今日は森ノ宮歌劇団のオーディションの最終日。
全ての配役を決めて、途中で役を止める事は出来ない為、
終わりまで演じるように。
そして、対象となるシーンが発表された。
主人公リュカの台本78ページ目をめくる。
そこには、ルイーズに刺されてから、最後の歌唱になる。
王女ルイーズは、台本35ページに、メインとなるシーンがある。
リュカの役の候補者は2人になっている。
なお、ルイーズ役は変えないようだ。
白虎町さんか、草薙さんに候補が絞られていた。
「それでは、先に草薙さんから、いきましょうか」
「はいっ!」
なお、夢葉、陽菜、よつばは、この場にはいなかった。
リュカの役を決める為の、オーディションの為である。
そんな中、遂に始まる、リュカの役をオーディションが!
白虎町は、それを間近で見ていた。
(上手い。草薙さんは、体の使い方が、まだ硬い印象が強いけど、
体の止め方、手の動き、刺された時の衝撃、痛みまで、
こちらに伝わってくる)
寧々が倒れかける演技をして、
寧々はセリフを完璧に覚えていた。
声も普段と違う。リュカの役を演じきっている。
そして、寧々が歌いだて、倒れかけて瀕死を表現する演技をした。
(この歌は、幼い二人が薔薇園で歌った歌だ。
それが、この別れのシーンで歌われることで、
悲壮感が、よりいっそ、大きくなる。
草薙さんは、弱く歌うというよりは、
ルイーズが泣かないように、優しく温かく歌った。
リュカは目的のために狂ってしまっただけど、
そこには、たしかな愛があったかもしれない。
そう感じられるように。
そして、そんな、リュカの純粋な想いが伝われば、
伝わる程、余計に悲しみは引き立つ)
「やるね…」
「草薙さん。ここまでです」
「はい。ありがとうございます」
「さて、次は私の番だな。今まで一番の演技が出来そうだ」
その後
「それでは、定期公演の配役の発表です」
(こんなに、すぐに結果が出るんだ…
どうしよう…本番前より、緊張する…
白虎町さんに、圧倒された…
えむだけじゃない。夢葉やよつば、陽菜も、
協力してくれた)
「リュカ役は…白虎町さんでお願いします」
(やっぱりか…)
その後
「ど、どうだったか!?」
と、よつばが心配していた。
「悔しい…」
「…!」
陽菜が思わず泣きだす。
「わ、わら、私まで泣いちゃいそう…」
言葉に出なくても、寧々がリュカ役に選ばれなかったことは、
みんな、わかっていた。
「夢葉…陽菜…それに、よつば…ありがとう…
私の為に支えてくれて…」
と、寧々まで泣き出す。
「うぅ…」
「…!」
「だが、よつばは、めげない!」
と、よつばは泣いた後に急にそう言いだす。
「よつば…うん。そうだよね…わかった」
もっと、成長すると、皆で心に誓った。
「本当に悔しいけど…でも、もっと成長するしかない!」
「わ、私も参加してよかった…」
「あぁ、私もだ」
「よつばもだ!」
と、みんなで抱き合いながら、泣いていた。