ドスジャギィは自身の命と引き換えに、火山を噴火させた。溶岩の中で咆哮し、大地震を起こすつもりで力の限り暴れたのだ。
「もう遅い、覇竜が目覚めるべ・・・」
「止められなかったのね・・・」
「どうなっちまうんだ?」
噴火すると同時に、黒くて巨大な手が火口から出てきた。腕だけで既に赤紅と同等の大きさがある。
崩れゆく火山の頂上からついに上半身が現れる。
下顎から生えた二本の牙が特徴的で、大きな棘が全身を覆うように生え揃っている。身体の形は翼の無いティガレックスのようであり、飛竜の原型とも見える。
「デカい・・・」
「奴から見れば、私達の事なんて虫みたいなもんね」
「俺達でどうにか出来るのか?」
「ハッキリ言って、無謀だべ。覇竜アカムトルム、オラも動くのは初めて見るが、歩く災害ような奴と聞いてるべ。赤紅も重傷を負った今、オラたちはただ見守ることしか出来ないべ」
「そんな・・・ならせめてここから離れないと!」
「その必要は無さそうよ、見て」
アカムトルムはユウゼン達には目もくれず、火山を去ろうとしていた。
「どこへ向かう気だ?まさか!ユクモ村に行こうとしてんじゃ!」
「分からないわ。私達には悔しいけど何も出来ないわね」
「そうだべ。だがこの事実はギルドだけでなく、他の地に住んでる竜人族にも伝えねば。後でニャン二郎に速達を送ってもらうべ。一旦ギルドに帰って、休むべ」
動き出したアカムトルムに対して何も出来ないまま、ユウゼンはユクモ村へ帰還した。
転がるウラガンキンの上、アマエビに抱えられていたアイゴは目を覚ます。
「よぉ、思ったより早く気がついたな」
「・・・何があったんすか?ドスジャギィは?」
「敗けた、あいつらにな」
「そうっすか・・・この音は?」
「あれだ」
アマエビはどこからでも見える程大きな、アカムトルムの方に向く。
「おぉ!アカムトルム!ついに目覚めたんすね!」
「はぁ?何喜んでんだ、古龍でも無いくせに激強モンスターだ。俺らの活動に支障が出まくるだろうが。相変わらず分からねぇ奴だな」
「分からないのは、お互いっすよ。いくら幼なじみとは言え、シロギスは敵っす、あっしが止めるまで、確実な隙があったのに殺さないとは、まだ仲間意識があるんじゃないっすか〜?」
「お前が止めに入ったくせに、お前が疑問を持つのか。それに俺の戦いに口出しするとは、一丁前に戦士にでもなったつもりか?いいか、あの時あいつは矢を握っていた、その意味が分かるか?」
「さぁ?それが何の脅威になるんすか?」
「俺がハンマーを振り下ろすより早く、あいつの矢が俺の首に飛んでくる。あいつの方が速く殺れる」
「へぇ〜流石は元ギルドナイト。言うことが違うっすね。でもあっしも、もう頼らないっすから」
「はぁ?」
「もう少し、もう少しであれが完成するっすからね」
ウラガンキンはそのまま転がり続け、火山を去っていった。
以後ニャン二郎の働きにより、ギルドを始め、この情報は各地へ共有された。
しかしアカムトルムによる被害はおろか、その目撃情報すら未だに無い。
どこにいても、ひと目で分かるような巨体にも関わらず、誰も見つけれないでいた。
また、白黒種による被害もギルドに報告は無く、既に絶滅したのでは?とハンターの中で噂が広まっていた。
だがそんな思いとは裏腹に、白黒種頭領のリオレイアは新たな洞窟を拠点とし、自身の配下のモンスター達にある計画の話していた。
当然そこには、アイゴとアマエビ、そして白黒種の祖である赤衣の男もいた。
『アカムトルムガ目覚メタ。イヨイヨダ、我々ノ目的ヲ果タストキガ来タ』
『目的?ずっと言ってるけど、何だよそれ?』
『そうだね。最近はろくにハンターを狩ってないし』
『黒龍・・・アルバトリオンヲ討伐スル事ダ』
その発言にいち早く反応したのはアマエビだった。
「黒龍アルバトリオン・・・それが目的か」
『ソウダ』
『あ?何だそいつ?聞いた事ねぇぞ』
「知らなくても無理ないっすね、禁忌の話っすからね。人もモンスターも知らないのが普通っすね。あっしから説明した方がいいっすよね?ボス」
『ウム』
「了解っす。黒龍アルバトリオンは全生命に終焉をもたらすモンスターっす」
『全生命だと?』
「人もモンスターも、小動物、草や木、果ては微生物まで、ありとあらゆる生命に終焉をもたらす存在っす。アルバトリオンが出現したら最後生き残れる生物は居ないっす。例え古龍であっても」
『ありえないね』
『イヤ、本当ダ。オトギ話ノヨウニ聞コエルダロウガナ』
「あっしらは、その終焉を止めるために、この組織を形成し今まで活動してきたっす」
『人間を支配するためじゃないのか?』
「ただ人間を支配しただけじゃ意味無いっす。この終焉に立ち向かうには、人もモンスターもお互いが協力する必要があるっす。そして、何より白黒種による強化が必要っす」
『人間ヲ、オ前タチノヨウニ覚醒サセル必要ガアル』
『何故人間にそこまでこだわる?力も知識も俺達が上をいってるんだぜ』
白黒種ディアブロスと白黒種ナルガクルガは、ユウゼン達や古龍との戦いで瀕死の重傷を負っていた。
だが白黒種の異様な回復力で復活を遂げ、その強さは以前よりずっと強くなった。欠損した体の部位は、既に再生している。
そして敗北という不名誉を与えた奴らに対して、激しい憎悪を抱いていた。
「人間は我々を導くリーダーになってもらう必要があるっす。そのために、白黒種のウイルスに古龍の血を混ぜて、人間にも、効果が出るようにする必要があったっす」
『納得がいかないね。人間に強化が必要だとしても、支配して僕らに従わせた方がいいよね?』
『ナルガの言う通りたぜ。俺たちの方がよっど強い、弱者は強者に従う。それが自然の理だろ?』
『強クナリ、戦イタクテ仕方ガナイカ。今ノオ前達ニ、言ッテモ理解デキナイダロウガ、白黒種ノ人間ノ方ガ強イ』
『何だと!?』
「まぁまぁ、落ち着くっす!物事に順序が・・・」
『そんな戯言を、素直に聞けると思える?』
二体は臨戦態勢をとる。レイアと一触即発の状態であった。
『我ヲ相手ニスルナラ、アマエビト、外ニイル黒イ連中モ相手ニスル事ニナルゾ』
黒い連中とは、白黒種で身体の色が黒くなったモンスターの事である。
レイアは命令一つで、そのモンスターを一斉に襲わせる事が可能であった。
今は総勢二十体はいる。
「ま、計画は順調に進んでいるんだ。今事を起こしても面倒なだけだぜ。それに死んでった奴らの大半の死因は、お前らも分かってんだろ?」
『命令無視か。だが俺たちはアイツらとは違う』
『ハテ、何処カニ強イ人間デモ、イレバ納得デキルダロウガナ』
『そんな奴がどこにいる?』
その時、白黒種達の前に見慣れない タル爆弾がゴロゴロと転がり込んで来た。
「何すかこれ?」
「おい!離れろ!!」
ドガァァンとタル爆弾は、そのサイズには想像もできないような威力で爆発した。周囲に煙が立ち込み、洞窟の岩壁がボロボロと崩れで始めていた。
「大タル爆弾の比じゃねぇ威力。こんな馬鹿げた代物を扱えるのは、奴か」
爆心地から大柄の男がズシンと降りてくる。大きな箱の様なものを背負っており、手には何も持っていない。
「少々派手にやりすぎたか、洞窟が崩れちまうかもな。まぁいい。やっと見つけたぜ、白黒種の親玉」
「ガザミ!どうしてここが!」
『バカな奴だ!一人で乗り込んでくるとは!』
『不運だね、今イライラしてんだよ!』
『同胞達ヨ、今スグコノ場カラ退避セヨ!』
二体を咆哮で抑制し、退避を命じた。
いつも余裕ぶった発言をしているレイアだが、今回は珍しく焦っていた。
それは崩れそうな洞窟の心配ではなく、ぎぎの父親で、ユクモ村の英雄ハンターでもある、ガザミを警戒しての事だった。
「行くぞ!」
硬直した、ディアブロスやナルガクルガを通り越して、一直線にレイアに向かって走ってくる。
『無視だと!?舐めやがって!』
吼えるディアブロスの前には、駆動変形する武器、剣斧(スラッシュアックス)が直立された状態で置かれていた。
剣斧は剣と斧のモードに変形しながら戦う、扱いの難しい武器の一つである。
また剣モードは属性ビンを伴った追加攻撃が特徴的で、この属性ビンを一気に解放させて爆発を起こす、属性解放突きが高火力かつロマン溢れるの技である。
だがガザミは本来、ハンターが両手でしっかり押えながら放つ、属性解放突きを自立させ自動的に発動させた。
ハンターであり技術者でもあるガザミが開発した、オリジナルの武器である。それが今ディアブロスの前に、一瞬で置かれた剣斧である。
駆動部が全開になり、エネルギーを一点に凝縮させ、バチバチと音を立てながら震えている。
そして属性解放突きが発動する。
『何!?』
氷属性を伴った属性解放突きは、ディアブロスの的確な弱点でもあったため、一撃で吹き飛ばせた。
『こいつ!』
ナルガクルガは尻尾の棘を飛ばした。その棘はユウゼンと戦っときよりも、より大きく鋭くなっていた。瞬時に横目で気づいたガザミは、また背負ってる大箱から何かを取り出しぶん投げる。
ガザミの投てき物(双剣)にぶつかり、放たれた棘は全て地面に落ちた。
『防いだ!?ぐっ・・・これは!?』
ナルガクルガの肩に刺さっていた、強麻痺属性の双剣(一本だけ)であったため、動けないでいた。
レイアの目前まで来たガザミは、大箱から大剣を取り出す。
それも二本。
「ボス!」
「あの箱どんだけ武器が入ってるんすか!?」
その大剣を、まるで双剣のように扱い、飛びかかりながら両方で袈裟斬りを繰り出す。
『チッ!』
レイアは両翼で顔を覆い、ガードしたが。傷がつきズズズと強制的に後ろに押される。
翼を少しだけ下ろして、ガザミを睨みつける。そしてすぐさま反撃に打って出た。
翼を広げ、顕になった口には溢れんばかりの炎がほとばしっていた。
『オ前ラ離レロ!』
「止めろ洞窟が持たないぞ!」
「うぉっ!?やばっ!」
問答無用で放たれる炎の広範囲ブレスは、凄まじい衝撃と共に周囲のものを吹き飛ばし、崩壊は加速する。
ガザミが最初に使ったタル爆弾よりもその威力は高い。
外に通じる穴が増えたせいか、爆煙は一瞬で晴れた。
そこにはガザミの姿は無く、背負っていた大箱がひっくり返った状態で置いてあった。
あの炎ブレスを受けても破損や変形はしない程、頑丈であった。
よく見ると大箱の中央部から少し上の辺りに長方形の小さな穴が空いているのが見えた。
『タダノ、バカデカイ箱ジャナイナ・・・ッ!?』
「アイゴ!出るぞ!」
「っ!あれを取らないと!」
アマエビとアイゴは洞窟を脱出した。いつの間にか他のモンスターも既に洞窟を出ていた。
レイアにはその大箱の小さな穴からキランと銃口が見えた。
撃たれる!と思った瞬間、大箱はジャキン!と真っ二つに切られた。
中には伏せながらヘヴィボウガンのグリップを握っているガザミの姿があった。
「鋼鉄の大箱が切られただと!?誰が!?」
『赤衣ノ!』
切ったのは赤衣の男の太刀であった。切られた大箱から出てきたガザミは二本の大剣を持ち、速攻で斬り掛かる。
赤衣の男はそれを太刀で軽々と受け止める。
太刀でこの強烈な斬撃を止めるのは容易ではない。
その事に驚いて赤衣の男の顔を見るが、赤黒いフードを深々と被っているため誰かは分からなかった。
「何者だテメェ?」
「・・・」
『ソノママ抑エテロ!赤衣ノ!』
だが洞窟の完全崩壊が始まる。巨岩が全体に降り注ぎ、そのまま洞窟は埋もれた。
水没林で古龍の痕跡を調査していたギルドナイトの長ミギマギは、不自然の爆発音を聞き、現場に向かっていた。
「さっきの爆発音はこの洞窟からで間違い無いだろう」
「そうですね、この通り崩壊してますから」
「この洞窟はかなり広かった。それがこのザマだ。そうとう威力の強い爆弾が使われたのだろう」
「一体誰が・・・?動いた!?」
部下の一人が崩れた瓦礫を注視しているとグラグラと岩が動いていた。そしてその岩をどかし、大きな手がボゴっ!と出てきた。
「うわっ!?何だ!?」
「・・・はぁ・・・まさかな」
ぷはっ!と顔を出したのはガザミであった。
「あぁ〜死ぬかと思った」
「ガザミ・・・ここで何をしている?新種の武器の実験か?」
呆れた口調になりながらも、手を伸ばすミギマギ。ガザミとは職は違えど古い付き合いであった。
「白黒種の根城を見つけたんだが、逃げられちまったな」
「この洞窟が白黒種の根城だど!?何故ギルドの指示を仰がなかった!まさか単独で突入したのか!?」
「うるせぇな、俺がいちいち報告すると思えるか?最短でかつ少数精鋭で行きたかったんだよ、文句あるか?」
「おおありだ!いくらお前が強いからって、一人は危険すぎる!」
「分かったよ。次はアカグツ辺を連れてくよ」
「また勝手に!」
「あのぉ〜?」
部下の一人が恐る恐る会話に割って入る。
「あれだけの崩壊ですよ?ここが白黒種の根城なら、大半が生き埋めになったのでは?」
「どうかな。洞窟の中心部にいた俺ですら脱出できたんだ。奴らが脱出するのは雑作もないだろうな」
「そんな・・・」
「いや、お前は基準にならんだろ」
「もういいか?この崩壊で俺の武器がおしゃかに、なっちまったから新しい武器を新調してぇんだ。じゃあな」
「待て、一つだけ聞かせろ、アマエビとアイゴはいたのか?」
「あぁ、いたぜ。だが俺が気になってんのは、あの赤衣の男だな」
「赤衣の男だと!?」
「話でしか聞いたこと無かったから半信半疑だったが、確かに奴は実在したな。モンスターをぶっ飛ばす、俺の大剣を太刀一本で受け止めやがった、そんな人間は今まで会った事ねぇな」
「まさか。考えたくは無いが、白黒種の人体実験の成功例が奴なのか?」
「その線も有り得るだろうが、龍脈に落ちた人間の可能性もあるな」
「龍脈に落ちた人間ですか?」
「あぁ、今じゃほぼ伝説なんだが、砂原のどっかに龍脈の地って場所があってな。そこは死んだ古龍が辿り着く場所であり、物凄いエネルギー源が停滞しているらしいんだ。今から何百年も前にそこに落ちた人間が、その龍脈エネルギーを身にまとい超人となって、あの古龍と渡り合ったそうだ」
「意外だな、お前がそんな話を知ってるとは。だが近年、龍脈の地に関する情報は一切無い。そもそも砂原のどこにあるのかも分からない。もはやただの伝説になりつつある。だがお前が対峙した赤衣の男は、それを彷彿とさせる程危険な相手だったんだな?」
「正直ビビったぜ。リオレイアと同時に相手したら、多分負けてただろうな。この洞窟の崩壊で命拾いしたってところかな」
「そんな!ガザミさんでも勝てない相手がいるんですか!?」
「俺だってただの人間よ、限界はある。だが勝算もある、俺がアカグツと組めばな」
「どうせ言っても聞かないんだろうが。だが準備は怠るなるなよ」
「だから早く帰らせろっての」
そのはるか上空でガザミたちの様子を見ていたのは、白黒種クルペッコだった。
クルペッコはガザミが襲来した時は別の場所におり、そこからこの洞窟に帰還した際、爆発音を聞いていたのだった。
『たった一人で乗り込んできて、拠点を壊滅させるとは。これで何体殺されたんだ?』
そこにボロボロのリオレイアが飛んできた。
『ボス、無事だったですね!他の連中は?』
『何トカ、全員脱出デキタヨウダ。ガザミメ・・・想像ヨリモ厄介ナ男ダナ。コノママデハ計画ニ支障ガ出ル。奴ヲドウニカシナケレバ』
『・・・私に考えがあります』
白黒種達はガザミ達を尻目に飛び去って行った、クルペッコが提案したガザミの対策を聞きながら。
その数週間後、ユクモ村では受付嬢がユウゼンにあるクエストの手配をしてた。
だが受付嬢のその表情は険しく、中々認定印を押すのを躊躇っていた。
「恐暴竜イビルジョー・・・食欲旺盛で周囲のモンスターを絶滅させる程の大食らいで、その名の通り非常に凶暴。目に入った物は何でも食べようとする、恐ろしいモンスターです。その実力は古龍にも匹敵すると言われています。ユウゼンさん、いくらギルドから許可が下りたからったって、たった二人でこのクエストを受けるのは危険すぎませんか?」
「いや、問題無いです。他の上位ハンターは、古龍の調査で忙しいんだ。でもイビルジョーはほおって置けない。万が一、古龍や白黒種と衝突でもすれば、被害は計り知れないですからね」
「しかし・・・」
「大丈夫!俺には頼もしい味方がついてるんだ!」
ユウゼンは隣にいた、ぎぎの肩をポンと叩く。
「買い被りすぎですよユウゼンさん。受付嬢さん、不安があるのは分かりますが、僕らなら問題ありません。父から貰ったこの義足、レッグウルフが、僕の心と身体を鍛えてくれました」
そう言ってぎぎは、鋼鉄の義足を鳴らして自慢げに微笑む。
ぎぎは以前、古龍ジエン・モーランとの戦いで右足を失っていた。
だがハンターとして活動を続けたいと思い、技術者である父に頼み込んで、狩猟活動に特化した特殊な義足、レッグウルフを付けてもらったのだ。
レッグウルフは完璧な足の形はしておらず、狼のような猛獣の顔の形を細長くしたようなものであり、先端は丸みを帯びているため、非常に歩きづらそうである。
その模様は先端部分から中央にジグザグの線が入っており、まるで狼の口のようにも見える。
口の斜め上には狼の目とも思える装飾が施されており、一見すると屈強な狼の顔が容易に思い浮かぶ。
「僕はこの足で何度も狩りをしてきました。今で自由自在に動かすことができるんです!」
その場を走り回ったりジャンプしたりと、アピールして見せた。異様にテンションが高い。
「わ、分かりました!ハンターを信じるのも、また受付嬢の役目!あなた達を信じ、受理します。ですが約束してください、例え五体満足じゃなくなっても、必ず帰ってきて下さい」
「毎回言ってるじゃないですか(笑)」
「この村はあなた達の居場所です。そしてあなた達はこの村にとって大切な一員なんです。忘れないでください」
受付嬢はそう言って、快く認定印を押してください。
「おう!それじゃ行ってくるぜ!」
「安心してください、ユウゼンさんは僕が守ります」
「おい!この前みたいな無茶するなよ!」
「分かってますよ〜」
「行ってらっしゃい」
手を振って見送る受付嬢の元に、ユウゼンとすれ違うようにギルド役員の男が走ってきた。
「受付嬢、マスターはどこに?」
「マスターですか?今はいませんけど、どうかしました?」
「いえ、例の不自然なモンスターの死体がまた見つかりました。これで五件目です」
「分かりました、代わりに私が向かいます。その死体はどちらに?」
「案内します」
ギルド役員の男は運び込まれたばかりで取調べ中の死体がある、村の入口に向かった。
「こちらです」
被せてあった大きなシートを剥ぐった。
「・・・確かにこれはおかしいですね」
顕になったのは毒怪竜ギギネブラの死体であったが、頭部から首にかけての部位が丸ごと欠損していた。
「ギギネブラの狩猟クエストは、今どのユクモ村のハンターにも依頼してません、一体誰が?」
「この死体は水没林から帰還中のギルドナイトが、発見したものです。話によりますと、通常水没林にギギネブラは、生息していないので違和感を抱き、回収したとのことです」
「確かにそれもそれも気になりますが、これは明らかにモンスターの仕業には見えない、鋭利な刃物による傷跡ですね。何者かが意図的に搾取したと断定して間違いないでしょう」
「胸部にある毒腺も抜き取られいますからね。もっと詳細に調べてもよろしいですか?」
「マスターからは私の方から話しておきますので、引き続きお願いします」
過去にも回収したモンスターの死体が欠損していたらしい。
それは主に白黒種が多かった。
白黒種リオレウス、頭部と火炎袋が欠損。
白黒種ドスバギィ、両脚と睡眠袋が欠損。
一番酷かったのは白黒種ジンオウガ(倶利伽雷)である、両前脚、右後脚、蓄電殻の全てが欠損していた。
この一連で欠損した部位は、鋭利な刃物によって切り取られていた。
ギルドも人手が薄くなり、通常なら受付嬢に回って来ないような仕事でも、こなさなくてはならない現状だった。
密かにその話を聞いていた人物がいた。
あの洞窟の崩壊によりバラバラになった、白黒種陣営の一人アイゴだ。
一緒に逃げたアマエビは居らず、古龍の件で慌ただしいユクモ村に易々と単独で潜入していた。
目的は不明である。
「ふふふっ。誰の仕業とも知らずにマヌケどもっすね。それとアマエビと上手くはぐれてラッキーっす。これからは、あっしが自由にやらせてもらうっす!もう誰にも頼らない!」
得意げそうに、不敵な笑みを浮かべるアイゴは、ユクモ村を去っていった。
やっぱり長すぎるのでちょっとだけ投稿しました。
だけど投稿してない期間が長すぎて皆前の話忘れてるよね
すいません