イビルジョーの狩猟のため、目撃されたとされる砂原に着いたユウゼンとぎぎ。
静寂さが支配していると思ったユウゼンだったが、意外にも環境は崩れてなかった。所々に生物の痕跡があり、小動物の鳴き声が聞こえる。
「てっきり、前行った凍土みたいに他の生き物が全くいねぇのかと思った」
「そうですね。僕ら前に来た時と変わったことは見当たりませんね」
イビルジョーがもたらす影響は、周りを見た感じ確認できなかった。
だが油断はできない、この砂原には特定の場所で流砂が発生する。
巻き込まれればら砂漠下の巨大な洞窟に落ちてしう。
それに大砂漠とまではいかないが、広大な砂漠をたった二人で歩き続けるのは、いくらハンターと言えど骨が折れる。
「何かイビルジョーを引き寄せるいい方法は無ぇかな?」
「食欲旺盛な性格上、すぐ見つかると思ったんですけどね、このままじゃ無駄に歩き続けることになりますね。ここは一つ罠をしかけましょう」
「罠?」
ぎぎは近くを歩いていた草食獣アプトノスを殺し、その死体を放置することで、その匂いでイビルジョーを引き寄せる。
待ち伏せする作戦を提案をした。
「イビルジョー狩猟のためだ、お命頂戴する」
ユウゼンの太刀が逃げ遅れたアプトノスの腹を、派手に切り裂く。ぎぎは自分が提案した案とはいえ、
モンスター同士の争いでも無く、自分たちを襲って来る訳でもない、アプトノスを一方的に殺すのはあまり気分が良くなかった。
「あなたの命は無駄にはしません」
「ぎぎ、俺達はハンターだ。そういう事に深入りしすぎると、続けれなくなるぞ」
「分かってます。ですが僕は命を決して軽んじるわけには、いかないんです」
「そうだな、アマエビやアイゴのように人を、命を何とも思わない奴らになったらダメだな」
「はい、彼らの行為は許されるものではありません」
「あいつらは俺が殺してでも止めなきゃ・・・」
「それはダメです!」
声を張り上げ、ユウゼンの顔を凝視した。
「僕らはモンスターハンターであって、人殺しじゃない!」
「ぎぎ・・・」
「いくら大罪を犯したからって、その人が死んだら意味が無いんです!ましてや自分の手で殺すなんて、それじゃ同じ事の繰り返しです!どんな状況でも人が人を殺すのは間違ってます!」
「ぎぎ・・・そうか。それ程まで思っていたのか・・・すまんさっきの発言は取り消すよ」
「あっ・・・いえ、自分こそ熱くなりすぎました。すみません」
「いや!熱くなるべきだ!お前のその意思は声を大にして、みんなに伝えるべきだ!」
「ユウゼンさん・・・ありがとう」
「自信持って!」
「はい!」
「ガザミさんも、そんな事思ってんのかな〜」
「父さんですか。確かにそう思ってると思います。でもこの事をよく言ってたのは母さんの方でした」
「お母ちゃんか、元気してるのか?」
「いえ、僕が小さい頃に亡くなりました」
「おっと、すまん。思い出させちまったな」
「いえ、構いません。昔の事ですから。むしろ語らせてくれませんか?素晴らしい母親でしたから」
「そうか、だったら是非聞かせてくれ!」
「優しくて、他人思いで、とても強い人でした。父と同じくハンターで、よく一緒に狩りに行ってました。命をとても大切にしていて、無茶ばっかりする父さんを、よく叱ってました。それと凍土で狩ったポポの肉で、作ってもらったシチューの味は忘れられません。ですが一番印象に残ってるのは歌ですかね」
「歌?」
「はい、お腹がすいて悲しくなっていた時、恐ろしいモンスターの声を聞いた時、僕が怯えていると、近く来てこの歌を歌って、励ましてくれたんです。逆に、父さんと喧嘩してイライラしている母さんに、僕が歌って上げたこともあったかな〜」
「まるで勇気が出る歌だな、ちょっと歌ってみてくれるか?」
「えっ!ここでですか!?」
「他にどこがあるんだ?」
「い、いいですけど随分昔に聞いていたので、あんまり上手くないかもしれませんが・・・」
「笑いやしねぇよ。ここには俺らしかいないんだし堂々と歌ってくれ。気になるんだ」
「分かりました、それじゃゴホン
ねぇ お母さん お父さん
どうして 今日の空は暗いの?
僕らは何から 逃げてるの?
恐ろしい災が 来るからさ
炎と氷 雷に龍も
そんなの嫌だよ 怖いよ 辛いよ
どうすれば 逃げれるの?
僅かな光を追って ひたすら追って
生き延びて 今はどんなに辛くても
いつかは 希望にたどり着く
生命を紡いで 愛しい我が子よ」
「意外と上手いじゃねぇか!」
「そう言われると照れますね・・・。災歌(さいか)と言います。歌詞の意味は災から逃れ、生き抜こうとする子供の話らしいのですが、詳しくは分かりません。でも何だかこの歌を歌うと僕は勇気が湧いてくるんです」
「そうか。なんか久々に結構話したな!お互い本音で」
「そうですね!・・・っ!」
「どうした!?」
ぎぎは急に緊張した表情になり、胸に手を当てる。
「恐らく、イビルジョーが近くに来てます」
「分かるのか!?」
「声が聞こえてきました。ですが、何かおかしい」
「何が?」
「声が何重にも連なって聞こえてくるんです、こんな事は初めてだ」
「他のモンスターの声も混じってるんじゃないのか?」
「いえ、違います。これは一つの感情だけです。腹が減った、イライラする。これの繰り返しです。どんどん強くなってきてる!」
「イビルジョーは食欲旺盛、腹が減ってイラついてんのか!?って、おい、ぎぎ大丈夫か!?」
ぎぎは頭を抱えながらしゃがみこんでいた。
「何だ、これは・・・この強く激しい感情は」
「しっかりしろ!近くまで来てるんだろ!」
だがユウゼンは、その瞬間自分の心音が高鳴るのを感じた。
それは背後から聞こえる荒い鼻息と、じゅるりとしたヨダレを啜る音に、危機感を覚えたからだ。
それは野生の本能から発せられた緊急信号でもあった。
今自分の真後ろにイビルジョーがいる。
だがすぐには振り向けなかった、それは後ろにいても伝わってくる尋常ではない圧迫感のせいである。
「すぐそこに、来てるのか・・・」
それが動き出すまでは、一瞬だっだ。
限界まで広げた口が、己の食欲に従うままに襲い来る。
ユウゼンはぎぎを突き飛ばしながら、自分も回避する。だがイビルジョーの狙いは、ユウゼン達ではなく、アプトノスの肉であった。
そのままかじりつき、無我夢中で骨ごと肉を貪るイビルジョー。
「っ!あの野郎、食いしん坊ってレベルじゃねぇ!ぎぎ!行けるか!」
「うっ・・・っはい!行けます!」
まだ頭が痛そうだが、ぎぎは何とか武器を構え戦闘態勢に入る。ユウゼンもぎぎが戦えそうなことを理解し、分かったと頷く。
早くも食事を終えたイビルジョーが、ユウゼンに振り向く。
獣竜種で一番大型な体格を誇り、その緑色の身体は筋肉の塊である。特徴的なのは存在意義を疑うほどの小さな前脚と、下顎を埋め尽くすほど外側に展開している棘のような歯である。
それはまるでイビルジョーの決して尽きない食欲を、体現してるようであった。
当然ユウゼン達はイビルジョーにとって餌に過ぎない。
「そんなに食いたきゃ、食ってみろや!」
ユウゼンが前線に出る、それは勢いに任せた単純な攻撃にみえた。
それに対し、イビルジョーは噛み付いて反撃しようとしてくる。いや、食べようとしてきた。
剣技と噛撃が交差する、たかが噛み付く攻撃とはいえ攻撃の起動は読みづらく、喰らえば終わりだ。
それをユウゼンは紙一重で躱し、斬撃を確実に与えていた。
しかしどの攻撃も浅く、ダメージは薄い、だかユウゼンに焦りの表情は無い。
なぜならこれが作戦だからだ。
バキュンバキュンとぎぎの放つ銃撃が命中する。
それは着弾時に発生するダメージは皆無だが、その弾は一定時間で爆破を起こす、徹甲榴弾であった。本命はこっちである。
「命中!」
ドカンドカン!と、着弾した回数分の爆発が起きた。
「居合抜刀・・・」
黒煙が登り、呆然としている頭にユウゼンは渾身の抜刀術をお見舞する。
「両断!」
これまで浴びせた剣術とは違う、本腰の入った一撃だった。
頬に痛々しい切傷が入る。
それがイビルジョーに怒りのスイッチを入れた。
目の前に簡単に食われない餌がある、だが食いたい、俺は空腹なんだ!邪魔をするな!と。
「想像以上に硬い!」
「うっ・・・声が、また強くなった!」
イビルジョーの体色が、だんだんと
赤色に変化していく。
それは隆起した筋肉のように見えた。
絶えず垂れていたヨダレは収まり、赤黒い雷のようなエネルギーがバチバチと口から溢れている。
そして体を大きく逸らしながら咆哮した。
「気を付けてください!恐らく、あれが龍属性エネルギーです!」
「おぉおぉ、こりゃグロテスクだな」
凶暴性、暴食性、そしてイビルジョーにとってもう一つの脅威が、この龍属性だ。龍属性を伴う攻撃を食らうと、他属性はその効果を失い、防御力、攻撃力、免疫力も低下する。
扱うモンスターは稀だが、毒や麻痺よりも厄介な属性でもある。
血走った目はユウゼンを餌ではなく、怨敵と認識していた。
内側に首を曲げ、ゴリ押すように突進してきた。
「こいつ!」
避けるのは困難と即座に判断し、受け流しで攻撃を捌く。ユウゼンは横にずれ、難を逃れたがそのまま突進は止まらない。
「まずい!」
「来ますか」
ぎぎの方に猛進してくる。ズドンと大きな音がしたため、ぶつかったように見えた。
「ぎぎ!」
頭を戻したイビルジョーはぎぎを、見失っていた。
「ここだ!」
ぎぎは逆さ吊りの状態で銃を構える。
「レッグウルフか!」
ぎぎが射撃していた場所の頭上には、枯れ木の枝が伸びていた。
そしてレッグウルフはただの義足では無い、装飾に見える狼の口は開閉することができる。
ぎぎはイビルジョーの攻撃が当たる直前、その枝にジャンプして攻撃をさけ、レッグウルフで枝に噛み付いたのである。
「はぁ、はぁ、こいつの声はしつこいですね!」
強化貫通弾を乱れ打つ。
その怯んだ隙に地上におり、またしても距離をとるが、ぎぎは聞こえてくる声に違和感を抱き始める。
腹が減った、イライラする、それはどこかで聞いたことがあるような気がする。だが今は戦闘に集中しなければならない、いくら声が聞こえてきても、気にしている場合では無い。
イビルジョーの追撃が襲ってくる。その凶悪な口はまず、ぎぎが捕まっていた枯れ木に噛み付いた。
そして力任せにその枯れ木を根元からへし折り、ぎぎの方にぶん投げてきた。
「避けろぎぎ!」
ぎぎから離れていたユウゼンはカバーできなかった。ぎぎは、瞬時にほふく(うつ伏せ)状態になり、飛んでくる枯れ木の間をすり抜ける。
ぎぎは長い間、レッグウルフの扱いに慣れるまで修行をしていたため、ハンターに復帰して間もない。
だが今や敵の動きを正確に読み、レッグウルフを最大限に活かせる立ち回りができていた。
それは狩猟に特化した性能と、ライトボウガンの戦闘スタイル、ぎぎのひたむきな努力による成果であった。
実力はユウゼンにも勝る程のものである。
ぎぎは今のところ目立ったダメージを受けてはいない。
だが心に鳴り響く声がその精神をすり減らしていた。
腹が空いた!イライラする!どこか聞いたことがある、いや、これは誰かの声に似ている?
「うるさい!今は関係ないだろ!集中しろ、僕!」
「ぎぎ?」
ぎぎは精神的に苦しんでいる、それを理解しつつもユウゼンは、解決する手は思いつかなかった。
だからユウゼンができることはただ一つ。
「早く倒さねぇと!」
太刀を納刀して、イビルジョーにダッシュにダッシュで近づく。
かつてさまざまな白黒種を追い詰めてきた抜刀術、覚悟の一閃(何が起きても絶対、敵にこの一撃与えるという覚悟で放つ一閃)で、一気に追い込む狙いだ。
「うおおぉぉぉぉ!!」
迷いなき斬撃が、極太の尻尾を切り裂く。
傷は入った、だが切断にはいたらなかった。
そして、イビルジョーはその攻撃を認知していたのか分からないが、
他のモンスターのように自身が確実に切られる恐怖は、感じていなかった。
「浅いか!だがまだまだ!」
ユウゼンの攻撃は続く。
流れるような動きで気刃斬りを繰り出す。
それは反撃をしかけた、イビルジョーの攻撃と同時だった。
ユウゼンは攻撃をもろに受けながら、気刃斬りをやりぬいた。
ダメージは当然、ユウゼンの方がデカい。
「流石に・・・無理があったか・・・」
「まともにやり合っては、ダメです!」
だがユウゼンも考え無しに突っ込んで行ったわけではない。それでも、ユウゼンがこれ以上攻撃を受けるのは危険である。
そこでぎぎが陽動も兼ねた行動を起こす。
「こっちだ!」
貫通弾で注意を逸らす。イビルジョーは尻尾のなぎ払いで振り払った、つもりだった。
またしてもぎぎはどこかに避けたのだ。
だが、さっきの枯れ木のように捕まる所は無い。
なんとぎぎは、振り切ったイビルジョーの尻尾の先端に、レッグウルフで食らいついていたのだった。
そのまま攻撃を続ける。
流石に気付いたイビルジョーは尻尾をブンブンと振って、ぎぎを振り払った。唐突に、かつ派手に飛ばされ、受け身も取れなかった。ぎぎとユウゼンはお互いを思い、交互に庇い合っていた。
「まだだ、勝負はここからだ!」
既に傷だらけでボロボロのユウゼンだったが、この発言は虚勢ではない。
「迷ってる暇はねぇ!秘泉水、その効果、試させてもらうぜ!」
ハゼから貰った秘泉水を身体中にかけて、傷を癒した。ユウゼンは速攻で戦線に復帰する。
「よし!行ける!」
「ああああぁぁぁぁ!」
「ぎぎ!どうした!?しっかりしろ!」
ぎぎは、自らの理性を保つため必死に叫んでいた。だがその行為は外部の声を遮断しただけで、ぎぎに聞こえてくるイビルジョーの声は、遮断できなかった。
むしろ逆効果である。頭の中でその声はより強く、より多く木霊する、腹が空いた!イライラする!腹が空いた!イライラする!そうか分かったぞ。
この声は僕の、感情に似ている!だから聞いた事があるんだ!それが何だ!これはイビルジョーの声(感情)だ、僕の心とは関係ないんだ!もう黙ってくれ!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!黙れ!黙れ!」
照準もまともに合わせず、がむしゃらに発砲していた。
そんな銃撃が当たる訳もなく、意味もない。それどころか、弾丸はユウゼンにも当たりそうになる。
それでもユウゼンはイビルジョーを攻撃しなければならない、早く倒してぎぎを何とかしなければ。自分にはそれしかできない。
「イビルジョー!俺が相手だ!」
焦りのある攻撃だが、無理やり攻め続ける。龍属性のせいでダメージが増加し、秘泉水で回復した傷が無意味になっているが、気にしている余裕は無い。とにかく必死だった。
「うりゃぁぁぁぁ!」
渾身で振るう斬撃が、空を切った。
それまでの攻撃は当たっていはいたため、虚をつかれ、体勢が崩れる。
だが反撃はすぐ来なかった。
イビルジョーは後ろに距離をとっていたのだ。
だがこれはユウゼンの猛攻に押された訳でない。
「距離をとった!?」
イビルジョーは頭を高らかに掲げ、龍属性エネルギーを滾らせる。それは、溢れんばかりに口からほとばしり、ブレスとなって一気に放たれる。
滅龍ブレスである。
直線気味のブレスはイビルジョーの前方から広範囲の扇状に薙ぎ払う。
ユウゼンが避ける術は無かった。
「ぐはぁぁぁぁぁぁ!」
ぎぎは今にも崩壊しそうな精神状態で、ブレスに巻き込まれるユウゼンを見た。僕が助けなければ。ユウゼンがやられてしまう。
腹が減った、イライラする。
うるさい!
腹が減った、イライラする。
黙れ!
腹が減った!イライラする!
僕は!?
腹が減った!イライラする!
僕は?
腹が減った!イライラする!
腹が減った!イライラする!
腹が減った!・・・・。
「・・・そうか、やっと分かった」
「・・・ぎぎ!?」
「僕の声だったんだ。ずっと」
「違う!それはイビルジョーの声だ!正気になれ!」
「腹が減った!イライラする!」
ぎぎは何かを諭したように、落ち着いて銃を構え、発砲しながらイビルジョーに突撃していった。
ガンナーにとってはありえない手法である。
遅かった、ぎぎは既におかしくなってしまったのだ。そう思い悔いるユウゼン。
「喰わせろ!」
口調が完全に変わり、獰猛な本性で攻撃する。餌を食すために。
イビルジョーの顔の直前まで近づくと、当然、噛み付いてきた。
ぎぎはそれに合わせて、レッグウルフの口を開き噛み付いた。
ガチン!と鈍い音がして、口どうしで噛み付きあった。ぎぎはその状態で上半身を起こし、発砲を続ける。
相手が抵抗を辞めるまで離さない。
イビルジョーは振り払おうと必死に、頭を振り回したり、地面に叩きつけたりする。
「止めろぎぎ!止めてくれ!」
ぎぎは発砲を辞めない。
周囲はお互いの血が飛散しまくっていた。
暴れ続けるイビルジョーのせいで、その場所が陥没し始めた。
そして、イビルジョーはもう一度地面にぎぎを叩きつけた、その瞬間、その場所に流砂が発生した。
ぎぎとイビルジョーは、そのまま流砂にどんどん飲み込まれていった。
地下に続く洞窟まで落ちていく。
このタイミングやっと立ち上がったユウゼンが、できることは無かった。
叫び声が無慈悲に響いていた。あの時のように。
「ぎぎぃぃぃぃ!!」
今すぐ助け出さなければぎぎは、絶対殺される。
身体はボロボロだが、ユウゼンは流砂の中へ入ろうとした。
その瞬間、何かがニュルっと伸びてきてユウゼンを攻撃してきた。
「っ!何だ!?」
それは乱入してきた第三者の手による妨害だった。
「ぎぎなら、心配要らないっすよ。これはあっしの計画っすからね」
「・・・アイゴ!」
聞き覚えのある声に、怒りが込み上げてくる。
だがその姿には見覚えが無かった、それ所ではなく存在自体がありえなかった。
「何だ・・・その姿は」
元のアイゴはその顔だけであり、他は全く違う。
胸部の辺りにはパブルボッカの巨顔があり、この時点で大型な体格であることが分かる。
関節駆動部は鉄で出来ていていて、他の部位も無理やり、くっついている。胸部の横に当たる腕や足の部分は別のモンスターで構成されている。
左腕はギギネブラの頭部、さっきはこれでユウゼンを妨害してきた。
右腕はリオレウスの頭部、これはかつてアカグツが倒した白黒種の物である。強力だった毒爪は顔の横に組み込まれている。
両足は白黒種ジンオウガの前脚、これは高い移動能力と攻撃力を備えている。
ユウゼンからは見えないが背中には、白黒種ジンオウガのは蓄電殻があり、電力により体を動かしている。
アイゴはパブルボッカの頭頂部に体がスポッと入っている状態である。
「ガザミの技術と、白黒種ウイルス、そしてこれらを行使して、あっしの努力が産んだ。最強の戦闘兵器ザ・モンスター!あっしは、もう何にも負けることは無いっす!」
「これが、現実なのか!」
流砂に飲まれたぎぎを追いたいが、このアイゴは無視する訳にはいかなかった。
ザ・モンスターは変形合体ロボット的なアレですが
これはモンスターの小説です。異論は認めます