ユウゼン達がイビルジョーと奮闘している頃、ガザミはアカグツと共に、渓流で見つかった白黒種の新たな根城に向かっていた。
他の上位ハンターは古龍の捜索で忙しい中、今度こそ白黒種を確実に根絶するために、ユクモ村最高戦力を誇る二人が動き出す。
「お前と組むのは何年ぶりだろうな、アカグツ。だが本当に白黒種の新たな根城を見つけたのか?」
「本当だ。お前もそうやって見つけだろ?瀕死に追い込んだ白黒種を、わざと逃がして尾行し、住処に案内させる方法で」
「ん〜あながち間違ってないな」
「あながち?」
「まぁいい。あれからすぐに見つかったのは幸運だ。奴らも新居で油断してんだろ」
「そうだな」
激闘が待ち受けているというのに、アカグツはいつも通りのダラっとした態度であった。
ガザミも同様にそれほど緊張はしてなかった。
「赤衣の男は、不意をついて先にやった方がいい」
「ほぉ、お前が作戦を言うとは珍しい。そいつは人間だろ?何をそんなに警戒している?」
「確かめたいのさ、本当に人かどうか。人間ならすぐに終わる。人間ならな」
「敵はそいつだけじゃないだろ?なにせ白黒種の大群だ、そっちの相手も楽じゃねぇ」
「はぁ?慣れてるだろ、俺達はモンスターハンターだ」
「そうだったな。武器の方はもういいのか?水没林で全部無くしたんだろう?」
ガザミは担いでいる鋼鉄の大箱の方を見る。
「全て新調済みだ。いつも以上に量が多くて重いぜ」
「その大箱といい、お前みたいなハンターは、世界中探しても見つからねぇだろうな」
「ふん、褒めてんだかバカにしてんのか」
「両方」
普段通りの会話を繰り広げいるうちに、案内しているアカグツの足が止まった。
「ここだ」
「?」
ガザミはアカグツの言ってる事が分からなかった。
何故ならここは渓流の大滝である。この場所は大滝の裏に窪みのような空間があるが、洞窟ほど広い空間は無い。
根城にするには周囲が開けているし、辺境の地でも無い、とても大型モンスターが何体も潜むには適していないのである。
「本当にここか?」
「本当だとも。ついてこい」
「おい!そんな堂々と!」
ガザミの提案を無視するように、さっさと歩き出すアカグツ。
それを慌てて追いかけるガザミ。
止まらないアカグツはそのまま滝の裏に入っていく。ガザミもそれにつられて滝の裏に入った、そこには衝撃の光景が広がっていた。
「何だ!?こいつらは!?」
砂原も同じように衝撃の光景が広がっていた。
ユウゼンの目の前に現れたのは、メカニカルな人型をした合体モンスター。
一体誰が想像できただろう。未知の敵に対して戸惑うのは当然だろう。
「素晴らしいっしょ、このフォルム。ユウゼン、君はこのザ・モンスターの記念すべき最初の相手っす!誰よりも早くこの戦闘を拝めるのは、めっちゃ幸運っすよ〜」
「そんな事はどうでもいい。そこをどけ!俺はぎぎを助けるんだ!」
「ショックっすね〜。進化したあっしを見ても、感想の一つも述べないとは。ぎぎなら助けには行けないっすよ」
「何!?」
「あの子は特別な存在っすからね」
「ぎぎはお前らにとっては、何も関係ないだろ!」
「いいや大いに関係あるっすよ。イビルジョーとの邂逅があっしの計画の最終段階っすからね。あ、その計画はっすね・・・」
太刀を横に振り、アイゴの話を中断させる。
「御託はいい。俺の邪魔をするなら斬るぞ!アイゴ!」
「ははっ!話も聞かなければ、大人しくもしないっすよね!いいっすよ、相手になるっす!」
ギギネブラ(左腕)とリオレウス(右腕)が咆哮するように口を開いた。
新たなる戦いが幕を開ける。
挨拶がわりにリオレウスの火球が、放たれる。
「火だと!?」
想定外の攻撃だったが、ユウゼンは即座に反応できた。
ジャイロ回転を帯びる火球を正面で受け、ぶった斬る。
かつてシイラが過去のリオレウス戦でみせた、大剣で火球をぶった斬ったように。
「まだまだ!」
今度はギギネブラの首部分が伸びてきて、薙ぎ払う。
これもギリギリ反応できて、受け流しで対応する。
だが首を伸ばしたまま、毒のブレスを放出した。これは回避のしようがなく、毒にかかる。
「げほっ!くそっ!遠距離じゃ不利だ」
「へぇ、なら近づいであげるっす」
ジンオウガの足が力強く大地を蹴りながら走ってくる。
その間に、毒と炎のブレスが交錯しながら攻めてくる。隙の無い攻撃に、ユウゼンは後退するしか手が無かった。
「あれ?離れていいんすか?遠距離は不利じゃないんすかね?」
「くそ!」
ダメージ覚悟で突っ込んでもいいが、的確な弱点を見極めれてないため、デメリットが大きい。
電気系統で動いている構造を解析して、どこかにある電源を絶つ。
そんなことは考える余地もない。確かに炎と毒のブレスはいつかは、原料が尽きるだろう。
だが自分も既に毒に犯されているため、そんな悠長に待ってはいられない。
「抜刀術の隙さえあれば!」
対峙した相手が恐怖するユウゼンの抜刀術。
イビルジョーには効かなかったが、人間であるアイゴには効果はてきめんだろう。
どんな物に乗っていようと相手は所詮人間、一太刀でケリがつく、そう思っていた。
あのブレスをどうにかしなければ。
龍属性の影響で自身の耐性力は減少しているため、少しでも被弾を避けなければ。
「考えろ考えろ。自分は何をすればいいんだ!」
「独り言っすか〜?」
煽ってくるアイゴに気が散って、集中できない。
自分は特に何も苦労もせずに、ブレスばっか吐きやがって。モンスターでも、もっと必死にやっとるわ。
「ユウゼンは気にならないっすか?ぎぎが何故、あのように狂ったかを?」
「うるせぇ!話しかけてくんな!」
「ぎぎは特別な存在っす。あっしと同じようにモンスターの声を聴き、その感情を読み解くことができるね。だがその真価は戦闘により発揮するっす。今のぎぎはある意味、強力な自己暗示にかかった状態っすね。全部聞いてたっすよ。ましてや、イビルジョーの声を自分の声だと勘違いするとはね」
「勘違いだと!?」
「イビルジョーの凶暴な本能を、ぎぎは自分の意思だと勘違いしてるんすよ。病は気から、自分がイビルジョーって自己暗示は非常に強力っすね。それにぎぎは、既に白黒種になりかけてるっす」
「ふざけるな!」
嘘か本当か、アイゴはまるでぎぎのことを全て知っるような口振りで話しかけてくる。
「ふざけてなんかいない。ぎぎはイビルジョーの頭脳となるっす!」
「何だと!?」
「イビルジョーは凶暴で我々の手に負えないっす。だが白黒種になれば最高の戦力になるのは違いはいっす。あぁ、安心して欲しいっす、例えその姿がイビルジョーだったとしても、心はぎぎのものっすからね」
「黙れ!」
アイゴが言ってる事の意味が分からなかった。
ぎぎは既に白黒種になっていて、イビルジョーがそのぎぎを捕食することにより一体化し、身体はイビルジョー、心はぎぎになる。
そんな生物がなぜ必要なのか。
だがユウゼンはそんな事どうでもよかった、今すぐぎぎを助けたい、その思いでいっぱいだった。
もう悠長に考えてる時間は無い。
「一か八かだ」
ユウゼンは前進する、毒と炎のブレスを真っ正面から受けてしまうが関係ない。
「ふふっ!真っ向から向かって来るとは、潔いっすねぇ!」
ブレスが襲い来る、それに対してユウゼンは太刀を振った。
「何!?」
それは意味の無い行動では無く、有効打だった。
ユウゼンの太刀が本来切れることなんて有り得ないブレスを、切り裂いていく。
放射状の炎や毒のブレスを剣で受けるには、高速に回転させながら払う方法があるが、ユウゼンの場合はブレスがまるで物体のように切れていた。
「はぁ!?」
「今だ!」
原理は分からない。だが道は開けた、あとは突っきるのみ。俺の怒りのこもった斬撃を浴びせてやる。
ガチャン!と鈍い音が響く、胴体のパブルボッカの口が開き、刃を受け止めていた。
「危な!」
動きを封じられたユウゼンは右手のリオレウスによって、ぶっ飛ばされる。
「くそっ!」
「やっぱり、侮れないっすね」
ザ・モンスターの背中についている背電殻から、両脚にかけて電力が送られる。脚の周囲から溢れる電力は膨大な量を示していた。
「短期決着で決めてやるっす」
アイゴは雷狼竜の掌底踏み(雷を帯びた前脚で踏みつける攻撃)で攻めるつもりだ。
ザ・モンスターは少し屈伸して一気に跳躍、ユウゼンとの距離を縮める。繰り出される掌底踏みを紙一重で躱す。
「まだ、そんなに動けたんすね!」
何度も踏みつけてきた。一発でも喰らったら動けなくなる。その思いで必死に避ける。
だがそれもいつまで持つか分からない。時間は無い、短期決着はユウゼンも望んでいた。
一か八か、この賭けの行動は何度目だろうか。それでもやるしかない。
踏み外した脚を斬りつけ、本体を直接叩く。高い位置にいるアイゴに切っ先を向け、突き刺そうとした。
「ひっ!」
眼科に迫る刃に、思わずアイゴは怯んだ。だがまたしても、リオレウスの口に阻まれた。
それでもユウゼンは、そのまま睨みつけ、太刀を押し付ける。むき出しの殺意が見せるのは鬼の形相であった。
「アイゴォ!」
ギチギチと押し付ける音がアイゴをさらに恐怖させる。
しかしアイゴもそれに対し手は打っていた。下を見ると胴体のパブルボッカの下顎が膨らんでいた。
「離れろっ!」
発射されるは砂のブレス。かつてジエン・モーランが口から放とうとしていた、技と同じものだ。
それに比べて規模は小さいがぶっ飛ばすには十分な威力だった。
「うがっ!」
何度も地面を転がり、立ち上がる気力すら無くなったかのように横たわっていた。
その時ぎぎとイビルジョーが落ちていった流砂の所からズシンと音がした。
「来たっすね」
「っ!?」
イビルジョーがぎぎを殺して、這い上がってきたのだ。間に合わなかった。
ユウゼンの視界に入ってきたの返り血を浴びて真っ赤なイビルジョーであった。思わず拳を地面に叩きつける。
「くそっ!俺のせいで!」
だがそのイビルジョーは這い上がってすぐに横に倒れた。
「これは?どういう事っすか!?」
よく見ると傷だらけで欠損してる部位もある。
下半身はほぼ無かった。
それはまるで何かに食べられたようであった。
凶悪だった瞳は褪せ、もはや魂は宿っていない。
「死んでる・・・」
イビルジョーは自らの意思で這い上がってきたのではなく、ゴミのように下から放り投げられたのだった。今、投げた犯人が姿を現した。
「ぎぎ!?」
流砂に落ちたイビルジョーに奇跡的に勝利したのは、ぎぎだった。
下から大型モンスターを投げる腕力、それは並外れた怪力を持つ証拠である。
ぎぎも同じように返り血を浴びていた。流砂から出て力を使い果たしたのか、肩を落として下を向いてる。
「良かった!ぎぎ、無事だったんだな!」
「・・・」
「ぎぎ?」
「・・・不味い。プッ」
ぎぎは口から血の塊のような物を吐き捨てた。それは噛み砕かれたイビルジョーの肉塊であった。
イビルジョーの死体を踏みつけ、アイゴの方を見つめる(主に左腕)。
「まさか、喰ったのか!?イビルジョーを!?」
「美味そうだな、お前」
「え?あっしっすか?」
ユウゼンの事など気にせず、一目散にアイゴに襲いかかってきた。
咄嗟のできごとに反応できず立ち尽くす。
「速っ!?」
ぎぎは一瞬でザ・モンスターの左脇を通過し、後ろに立つ。その時、レッグウルフの口がギギネブラの左腕を抉りとって、咥えていた。
「何が起こった!?あっしの!あっしのギギネブラが!」
おもむろにそれを、貪り食い始めるぎぎ。それを見たユウゼンは思った。ぎぎはイビルジョーとの戦闘でおかしくなってしまった。
ぎぎの本能が全面に出ている、食欲が尽きぬその様はまるでイビルジョーそのものであった。
「ぎぎ!お前どうしちまった!?何があったんだ!?」
「あぁ、これだよ。この肉が欲しかった」
ユウゼンを無視して、ギギネブラにがっつく。求めていた食い物にありつけた。
ギィギの肉を好んで食べる偏食家ではあるが、ここまで抑えきれない食欲などあるのだろうか。
だが、ぎぎは予想外の食感に顔を歪める。当然である、このギギネブラはアイゴが改良を加えたものであり、接合部の鉄部分や中に通した管は、食べ物では無い。
「違う、これじゃない」
何度食らっても、それは変わらない、それでも食らい続けた。
「違う違う違う!こんなもので僕の腹が満たされるか!」
中途半端に食べたギギネブラの肉は投げ捨てられた。そして怒りの矛先はアイゴに向いていた。
「な、何なんすか!?こいつは!?」
今度はリオレウスの炎ブレスで応戦するも、止まらない。刹那に打ち込まれた徹甲榴弾が、両足で炸裂した。体勢が崩れる。
ぎぎの発砲はザ・モンスターの動きを封じたのだ。
「喰わせろ!」
「待て!ぎぎ!」
ぎぎはレッグウルフで至る所を噛み砕いた。そして動けなくなった、ザ・モンスターの上に乗り、アイゴを殺そうとレッグウルフを構える。
「暴れないように、殺さなくちゃ」
「た、助け」
「止めろぉぉぉ!」
何のためらいもなくレッグウルフは襲ってきた。だがその攻撃を受けたのは、アイゴの前に割って入ったユウゼンだった。
肩から胸部にかけてレッグウルフの歯が痛々しく、くい込んでいた。体を引き裂くほどの咬合力(噛む力)を持つレッグウルフだが、噛み付いた直後、硬直していた。
「ユウ・・・・・・ゼン?」
「・・・ごほぉっ・・・お前が言ったんだぜ・・・ハンターは・・・・・人を殺しちゃいけねぇってな」
ぎぎはその刹那、正気を取り戻した。だが目の前の光景は最悪だった。噛み付いたレッグウルフのせいで鮮血が溢れて止まらない。その瞳は力無く、今にも瞑りそうだ。
「そんな・・・どうして・・・」
「はは・・・・・・・・気にすんな」
力無き腕でぎぎの顔をさすると、力尽きたのか、レッグウルフに噛まれたままぐったりと倒れてしまった。
「ひぃっ!ひいぃぃぃぃぃぃっ!」
垂れ込むユウゼンの鮮血は、アイゴにとっては恐怖の演出以外の何物でもなかった。
それに耐えきれなくなったのか、ザ・モンスターから後退りしながら出てき、千鳥足で必死に走り去って行った。
ぎぎは現実が受け止められずにいた。
ユウゼンに噛み付いているレッグウルフが、ぎぎを絶望させる。
この事態は全て自分が引き起こしたのか?ユウゼンは僕のせいでこんな目にあったのか?
「そんな・・・うわぁぁぁぁぁ!」
これは悪い夢だ、現実じゃない。ぎぎも同様に逃げ出した。
走りながら何度も否定した。
嘘だ、ありえない。
取り残されたユウゼンは、穏やかな顔で眠ってるように見えた。傷は深く、血は止まらない、だけどまだ息はある。ここで死ぬ運命では無い。起きろ。
古龍の捜索、それは今ユクモ村のほとんどのハンターが行っていた。
ギルドナイトも同様に古龍の捜索をしていた。人手は多い方がいい。
そのおかげで、シロギスは憧れであったギルドナイトの長であるミギマギと、共に行動ができるのだから。
「無駄足だったな」
「いえ、ミギマギさん。私にとってはとても有意義な時間です。まさかこうして、一緒に探索できる日が来るなんて、夢にも思いませんでした!」
「我々はそんなに憧れる程の集団では無いぞ、シロギス」
「世間の評判なんて関係ありません。ギルドナイトは私にとって英雄ですから!」
ミギマギは笑みを浮かべる。しかし素直には喜んで無かった。
その理由は、シロギスがアマエビと一番親しかったハンターであるからだ。
元ギルドナイトのアマエビはギルドを裏切り、白黒種側についている。ギルドナイトにとっては許されざる行為である。
見つけ次第始末するだろう。今その話題をすれば、シロギスはどう思うだろうか。考えたくもない。
そんな事を思ってる時、ミギマギの部下が書類を見ながら話しかけてくる。
「古龍の痕跡が見つからないのは、いつもの事でも。あれだけ被害を出していた、白黒種の痕跡も何も見当たらない。これは異常ですよね。それにアイゴやアマエビをほおっておく訳にもいかないですし」
「っ!?お前、今それ言うか!?」
「その通りです」
「シロギス!?」
「白黒種に協力し、ギルドを裏切った罪は重い。同期として私が罪を償わせます」
驚いた。シロギスはアマエビのことを殺すつもりでいるのだ。
なんの抵抗も葛藤も無く。いや、そうとは限らない。心の奥底では何とか助ける方法を考えてるはずだ。
ハンターであるシロギスに、全て背負わせる訳にはいかない。罪を償わせるのは、我々ギルドナイトの仕事なのだから。
「その仕事は我々が担う。君はハンターだ。殺人を犯してはならない」
「ですが!」
「君はモンスターに集中したまえ。人の命を奪う行為は、非常に重く、苦しい」
「だとしても・・・」
「!?隠れろ!」
何かの物音が聞こえた。
ギルドナイトとシロギスは慌てて、近くのしげみに身を潜める。
音の正体は三体存在した。
空を裂く翼の音。
地中を掘り進む翼の音。
大地を転がる大車輪?のような音。
何かがこちらに向かっている。それらはシロギス達に気づかず、通り過ぎた。
「あれは、白黒種!」
「だとすれば、なぜ我々に気づかなかった?奴らの洞察力をもってすれば、簡単なはず。どういう事だ?」
「別の目的があるのでしょうか?」
「奴らが向かっていった方角は・・・まさか!」
渓流の奥地での探索は終了。
ミギマギはシロギスと部下に即座に命令した。今すぐあの三体の白黒種を追え、と。
ユウゼンはふと目を覚ました。なんだか長い時間眠っていたように、体がだるく感じた。
レッグウルフに噛まれた傷は、胸部細長い歯型のような形をしている。痛々しく見えるが、既に血は止まっていて、なんとか一命を取り留めたようだ。
「気がついたか、ユウゼン」
話しかけてきたのは、シイラ。
かつて白黒種リオレウスやジエン・モーランのクエストに同行した、ハンター仲間である。
久々に会ったため、声だけではしばらく思い出せなかった。
そのリオレウス装備が目に入り、やっと思い出した。
「シイ・・・ラ?」
少しづつ意識が戻ってきて、体を起こそうとしたが、痛みが急に襲ってきて、起き上がれない。
「痛たたた」
「ダメだ。まだ動くな。その傷じゃ、まだ立てないだろう」
「一体・・・何が?」
「砂原で倒れていたんだ。その大きな傷を負ってな」
「ぎぎは?ぎぎはどこに行った!?」
「いなかった。お前だけだよ。後はあのよく分かんないモンスターの残骸だけだ」
そこにはレッグウルフによってボロボロにされ、横たわるザ・モンスターがあった。
「・・・ぎぎ。探さねーと」
「待てと言ってるだろ!重症なんだぞ、動けるわけが無い!」
「そんなもん気合いで何とか・・お前その手!何があった!?」
シイラの右手は包帯がぐるぐる巻きであった。
「こっちも色々あってな。この右手は、白黒種ウラガンキンに潰されちまって、最悪だよ。おかげで武器もまともに振れやしねぇ。片手でお前の応急処置したんだが、結構苦労したんだぜ。だがお前の方が重症だろうな」
「ありがとうシイラ、おかげで助かったぜ。にしても白黒種・・・まだ生き残っていたのか。そういえば、シイラは何をしに来たんだ?」
「・・・俺はイビルジョーを狩猟中のお前らに、ある事を伝えにきた」
「ある事?」
「あぁ。実は今、ユクモ村が・・・」
「ユクモ村がとうした?」
「ユクモ村が・・・白黒種のモンスターに襲われたんだ!」
「何だって!?」
それはユクモ村の危機を表している、それはユウゼンにとって、いや全ハンターにとって決してあってはならない事だった。
傷なんか気にしている場合じゃない、早くユクモ村に行かないと!
とりあえず今回はここまで、こっから長い話が待っております(二回目)