モンスターハンター 3rd 白黒の渇望   作:カワード

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ユウゼン達の窮地を救ったのは、白夜刀だった。それに、ハゼや赤紅、竜人族までが、助けに来てくれた。ハゼが持ってきた秘泉水で傷を癒し、ユウゼン達は再反撃を始める。
ナルガクルガは白夜刀に、ディアブロスは赤紅の相手をする。
アマエビの戦いの最中、シロギスか憧れていた、ギルドナイトの長ミギマギの正体と自分がギルドナイトを脱退した経緯を話始める。ミギマギはシロギスの母親であり、シロギスがギルドナイトになれなかったのは、ミギマギがシロギスを身の安全ためである。それを言ったアマエビは覚悟を決めてシロギスと戦うことを決意した。それに答えるように、シロギスも全力で応戦した。その結果、シロギスは自身が放った矢を、アマエビの体の奥に射し込んで、勝利した。だがそこに現れたのは、天敵であるウラガンキンであった。
ユウゼン達の快進撃は続く。何頭もの白黒種を薙ぎ倒しながら、カジキとユウゼンは、合体技でアカグツを村の外へぶっ飛ばすことに成功した。
白夜刀はナルガクルガとの戦いで、氷の武装を使用したが、恨みによって攻撃力と耐久力が上昇していたため、逆に追い込まれていた。


24話「託した思い」

 

 白夜刀はナルガクルガに苦戦している。

 氷の武装を破壊され、爪や牙も負傷した箇所が目立ってきた。

「白夜刀!今助ける!」

 両者の戦闘中は、秘泉水を撃ち込める隙がほとんど無かったが、取っ組み合って固まった今がチャンスだ、と長老は思った。

『寄るな!竜人!』

 ナルガクルガが棘を飛ばしてくるため、狙いをつけれない。

 その時、地中でディアブロスと交戦中の赤紅から、たまたまこっちの方向へ熱線が飛んできた。

『熱ぃ!』

ナルガクルガは思わず怯んだ。

白夜刀は、その一瞬の隙を見逃さなかった。

 ナルガクルガを押しのけて、距離をとる。

 そして冷気の竜巻を乱発させた。それは、ナルガクルガを挟み込むように、むら中の建物の残骸を巻き込み、舞い上がっていく。

「この攻撃は!」

 

 やがて竜巻は収まり、ナルガクルガにとっては忌々しい、氷の双璧ができあがっていた。

『またこれか!クソッ!』

 凍土で戦った時はこの双璧を利用させ、壁から壁へ俊敏に伝う戦術でやられたのだ。

 その時と全く同じ状況であり、流れは最悪だ。

 だが自分は以前とは違う、あれから確実に強くなったのだ。

『来いよ!あの時みたいにさぁ!』

 白夜刀は創り出した氷の壁にしがみついて、もう一度ナルガクルガを睨みつけた。

 氷の武装は、もう纏わない。

 そして、白夜刀は滑空しながら飛びかかってきた。その翼脚はナルガクルガを一直線に捉えていた。

 だがナルガクルガは避けようとはしない。

 次の瞬間、軽く跳ねて、ビタン!と尻尾を振り下ろし、白夜刀を地面に叩きつけた。

「白夜刀!」

 尻尾に付いていたナルガクルガの棘が、白夜刀の身体に刺さり、苦しそうに吐血した。

 

 地中戦を繰り広げていた、ディアブロスと赤紅は、地上に出ていた。

 赤紅の熱線を何度も喰らったディアブロスは熱に耐性ができていた。

 得意の熱線が効かず、赤紅は苦戦を強いられる。

 近距離戦はディアブロスの方が有利でもあった。

「赤紅が押されておる!こりゃいかん!」

 秘泉水で回復させたい龍仙人は、危険を犯して赤紅に近づく。だがその瞬間、ディアブロスと赤紅は激しく衝突した。

 その衝撃は龍仙人を軽く吹き飛ばす。

 近づけない。

 またしてもサポートができない。

「これじゃ埒が明かないべ!」

 

 各所の戦局をくまなく見回していたのは、ハゼだった。

 白夜刀、赤紅、ぎぎ、シイラ、全員がピンチである。一体、どうすれば打開できるのか?

 「みんな別々に戦っている・・・このままじゃ勝てない!」

 巨悪に立ち向かうなら、団結しなければ勝てない。

「集まって!みんなで一緒に戦うの!」

 そう呼びかけるが、みんなは必死に戦っていて、応えてくれない。

「イクラ強イ軍隊デモ指令ガ無ケレバ、機能シナイ」

「お願い!聞いて!」

「ハゼ!今はそれどころじゃなねぇ!」

 シイラは四方八方から襲い来る、白黒種に振り回されていた。

「シイラさん!」

 前線にいたぎぎが、戻ってきてシイラを援護する。

 銃撃と格闘で、ザ・モンスターに集ってくる白黒種を引き剥がそうとした。

「うぐっ!」

 だが、ぎぎの身体能力をもってしても死角からの攻撃は防げなかった。白黒種に殴り飛ばされる。

 すぐに立ち上がり応戦しようとしたが、力が入らない。

「ぎぎ!」

 そこに突如、1本の大剣が投げ込まれた。

「大剣!?」

 それは人間離れした怪力の持ち主の仕業であった。

「随分と派手に壊してくれたじゃねぇか」

「この声は!」

「ガザミさん!?」

「父さん!?」

「みんな、よくここまで持ちこたえてくれた。あとは任せろ」

 ガザミの登場で、リオレイアに緊張が走る。これは想定外の事態だ。

「貴様・・・マダ戦ウノカ!?」

「ハンターの強さは、肉体の強さで決まる。どんなに強い装備でも、特殊な装備でも、武器に振り回されてるんじゃ意味が無い。鍛え抜かれた肉体と、積み重なった戦闘経験が、己の武器の持ち味を限界まで引き出してくれる俺の最大の武器は剣でも銃でもねぇよ。この体だ」

「フン所詮ハ人間ノ体ダ、意地ヲ張ッタ所デ限界ガアル」

「試してみろ。お前に直接叩き込んでやる。行くぞ!」

 宣言通り。投げた大剣を拾わずに一直線にリオレイアの元へ走り出したガザミ。

『あいつか、生意気なやつだな。おいナルガ、こっちも押さえてろ。礼儀ってもんを教えてやる』

『おい!抜けがけする気か、ディアブロス!』

 ディアブロスが赤紅の相手を止め、ガザミに向かって地中を泳いでいく。そのまま足元から飛び出し、不意をつこうとした。

『何度も無視出来ると思うなよ!』

 地中から勢いよく飛び出すディアブロス。

 だがガザミはそれを察知していたのか、身をよじって躱した。

『また躱された!?』

 そのまま拳を振りかざして、リオレイアに殴りかかっていく。

「素手ダト!?」

「はぁあ!」

 ゴンっ!と頭を殴りつける。リオレイアは頭を地面に叩きつけられた。

「何ダ!?コノ威力ハ!?」

「ふん!」

 怯んでふらついていると、同じ箇所にもう1発殴られた。重い、こいつ本当に人間か?

「全員気合いを入れ直せ!ここからが本当の反撃だ!」

「おぉぉ!」

 歓声と共に総勢百人程度のハンターやギルドナイト、ギルド傭兵部隊が村に加勢に来た。

「村のハンター達!それにギルドナイトと傭兵部隊まで!」

「へへっ!こりゃ頼もしいぜ!」

「ハオコゼ!やったのね!」

「ハゼ!ここまでよく持ちこたえた!もう大丈夫だ!」

 状況がひっくり返る。

 ガザミを筆頭に、ハンター達は白黒種を次々と倒していく。

『生意気な人間どもめ!』

『いつまでも調子に乗るなよ!』

 ナルガクルガと、ディアブロスが倒されていく白黒種達を見て、痺れを切らした。ガザミに一気に襲いかかっていく。

「はぁあ!」

 ぎぎがレッグウルフで二体を蹴り飛ばした。

『あぐっ!』

「僕も戦う!」

「ぎぎ・・・」

 見ているだけじゃダメだ。僕だって強くなった。いつまでも父さんに頼っていられない。

「そうか・・・じゃあ行くぞ!」

 最強親子ここに見参。

 ガザミとぎぎは抜群のコンビネーションで、リオレイアを追い詰める。ひたらすらに殴る殴る、蹴る蹴る。

 交互に繰り出される物理攻撃の連打を受けて、リオレイアは、ついに倒れた。

「グ・・・コレガ人ノ力・・・」

「ぜぇ・・・はぁ・・・なんてタフな野郎だ」

 ディアブロスとナルガクルガな、ザ・モンスターの滅龍ブレスを受け、弱体化した所を白夜刀と赤紅の熱線と冷気ブレスの挟撃をくらい、完全にダウンしていた。

 ハゼやハオコゼ、竜人族の秘泉水による徹底したサポートのおかげでら他の白黒種達の討伐も完了していた。

「っ!?そう言えば、アカグツは!?」

「ユウゼンさんと、カジキさんが追ってます。父さん、二人を追いかけましょう!」

「あぁ・・・うぐっ!」

「父さん!?」

 リオレイアはまた立ち上がった。

 背後を見せたガザミにサマーソルト(宙返りしながらしっぽで攻撃する)をぶちかましてきた。

「オ前達ニ、止メラレルノカ!?終焉ヲ!本気デ、ソウ思ッテイルノカ!」

「ぐっ・・・」

「オ前達ノ攻撃ハ、確カニ強イ。ダガ我ニモ、全生命ヲ守リ抜ク覚悟ガアル!ダカラ、全力デ、ブツカル!受ケ切レルカ!我ノ全霊ヲ込メタ攻撃ヲ!」

 リオレイアは、はち切れそうな程、大きな口を開け、巨大な火球を生成し始めた。

 その火球は口の中に留まらず、みるみる大きくなり、村を覆い尽くす程、巨大になった。

「いかん!」

「このままじゃ全員やられる!」

「シイラさん!滅龍ブレスを!」

「分かった!」

 空高く上昇したリオレイアは、村の全てを破壊すべく、その火球を放とうとしていた。

 もう計画も目的もどうでもいい。とにかく目の前にの人間に何がなんでも勝ちたかった。

「ぐおぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

 その咆哮が放たれる合図だった。

 巨大な火球は、ゆっくりと降下してくる。

 その下にいた全員が、凄まじい熱波を感じる。

 ぎぎとシイラが、滅龍ブレスで相殺しようと巨大火球に向かって放つ。

 龍属性と火属性の激しいぶつかり合いは、拮抗していた。

 そのおかげで巨大火球は空中で留まっていた。

「いけぇ!頑張れ!」

「頼む!耐えてくれ!」

 他のハンター達はそれをひたすらに応援した。もしくは祈る事しかできなかった。

「押されてる!このままじゃ!」

「赤紅!」

「白夜刀!」

「お願い!力を貸して!」

 その思いに応えるように、白夜刀と赤紅は巨大火球に向かって、冷気ブレスと熱線を放つ。

 重ね合わせたブレスが巨大火球を押し返し始めていた。

「まだだ!もっと押し返せぇ!」

 シイラは、ザ・モンスターの全エネルギーをイビルジョーの滅龍ブレスに注ぎ込む。もう一押しだ。

「ぐふっ・・・いい加減に・・・」

 苦しみながら、ガザミはさっき投げ込んだ大剣を持ち、助走し始める。

 その後ろから、片翼になったクルペッコが走っていってくる。

 そして、そのままガザミに追いつくと、思いっきり翼でガザミをリオレイアに向かって、はたき飛ばした。

 巨大火球を越え、リオレイアの上空へ到達したガザミは、大剣を振りかざした。

「止まりやがれぇ!」

 振り下ろされた大剣が爆発を起こした。

 それは起動スイッチで爆発が起こる、ガザミが開発した特殊な武器である。ガザミの決死の覚悟で放つ一撃だった。

 その爆発を避けることは、リオレイアも、ガザミにもできなかった。

「止まった!」

「ガザミさぁぁぁん!」

 巨大火球は消失し、リオレイアとガザミが落ちてくる。

 ぎぎは、ガザミの落下地点に急いで走っていった。

「うっ・・・!」

 落下を受け止めたぎぎの、両足が地面に沈む。

「無事・・・か?」

「父さん!父さん!しっかりしてください!」

 爆発、サマーソルト、毒、秘泉水で回復したとはいえ、蓄積したダメージは多すぎた。

 ガザミはもう、体を動かすことはできなかった。

「止まっ・・・たか?」

「えぇ!やりましたよ!リオレイアを倒しました!父さんのおかげです!」

 リオレイアは大剣の斬傷に爆発をくらい、力尽きる寸前だった。それを悟り、心の中で自分の思いを託す。

 我々ハ敗レタ。オ前達ガ予想以上ニ強カッタカラダ。ダカラ、命ヲ、世界ヲ、守ッテクレ、頼ンダゾ。

「そうか・・・分かった」

「え?・・・何がですか?」

「いや、何でもない・・・すまねぇな、もう、指一本も動けそうに・・・無い」

「ガザミさん!?」

「大丈夫です。父さんは、役目を果たしました。今は休ませてあげましょう。お疲れ様でした」

「そうだな。よし、リオレイアは倒した。後は・・・」

「おーい!緊急伝達にゃ〜!」

「ニャン二郎!?」

 そこに現れたのは、横ダルを転がしながら、それに乗ってきたニャン二郎だった。

 その足取りは慌ただしく、いつも以上に急いでいた。

 

 村の外の、渓流でウラガンキンの強襲にあったシロギスは、アマエビとの戦いで既にボロボロであった。

 何度も往復してくるウラガンキンに、反撃の手段は無い。

 前に必死にダイブしながら直撃を避けていた。

「どうして・・・ここに!っ!?」

 集中力が切れたのか、次に転がってきた攻撃を避け損ね、足を轢かれてしまった。

「うああぁぁぁあ!」

 痛い!痛ぁぁぁい!

 足の骨が折れたのだろう。必死に足を抱えながら、うずくまって転がる。

 次の攻撃を避けられなければ、このまま轢き殺される。避けないと、逃げないと。このまま殺されるなんて嫌だ。痛い、痛いよぉ。誰か、お願い、助け。

「止め・・・て」

 願いは届かない、既に目の前は転がってくるウラガンキンの堅殻で埋まっていた。怖くて思わず目を瞑った。

「シロギス!」

 次の瞬間、シロギスは誰かに抱えられていた。それが誰だか、すぐには分からなかった。

 だけど、抱えられた手の中は何故かとても安心した。

「ミギマギさ・・・いや・・・母さん?」

「長い間、待たせてしまったな」

 窮地に駆けつけたのは、ミギマギだった。

 それはシロギスの、実の母親である。

 ミギマギは、ウラガンキンを睨みつけながら、語りかける。

「全て、アマエビから、聞いたようだな」

「・・・私は」

「今はいい。それよりもやつを何とかしなければな」

「待って、私も戦っ・・・くっ!」

「お前・・・その足っ!」

「来る!」

 再開の喜びに浸っている暇は無い、ミギマギがシロギスの足の方を見た瞬間に、ウラガンキンは容赦なく転がってきた。咄嗟の判断でそれは避けれたが、隙がない。

「厄介な!」

「私が・・・私が倒し・・・」

 そう言いながらシロギスは、苦悶の表情で弓矢を持ち、構える。

「待て!その怪我で何が出来る!」

 またしてもウラガンキンが転がって来た。

 単純だが転がり続けるだけのこの戦法を、止める方法はミギマギには無い。

「なんとかせねば、待ってろシロギス」

「何を?・・・まさか!」

「来い!」

 そう言ったミギマギはが抱えていたシロギスを置いた。

 そして転がるウラガンキンの起動で、堂々と武器を構えた。

 真っ向からぶつかる気だ。

「ダメっ!」

 ゴロゴロと転がってくるウラガンキン。そして、ガチン!と大きな衝突音が響いた。

 ミギマギら、片手剣と盾でウラガンキンを受け止めたのだ。

「ぐぬぬぬぬぬ!」

「母さん!」

 だがそれは一時的で、次第に押しつぶされそうになっていくミギマギ。

 肥大化した顎をググッと押しつける。このままでは潰されてしまう。

 なんとかしようとしたシロギスだったが、今使えるのは弓矢だけである。

 だがそれでは、頑丈な堅殻弾かれてしまうために、効果は無い。でも、射抜かなきゃ!

「助ける!」

 狙う部位はどこか?それは決まっていた。あらゆる生物に共通する柔らかい部位は何処か?全身が鎧のように頑丈なウラガンキンの柔らかい部位、それは。

「眼球!」

 放たれた矢が、狙い通りその眼球に命中した。

 痛みのあまり、暴れながら後ずさりする。

「はぁ、はぁ、シロギス・・・」

「痛たた・・・大丈夫!?」

 歩けないため、這いずってミギマギの元へ行く。

「それほどの怪我を負いながら、大した技術だ」

 だがウラガンキンは体勢を立て直し、フラつきながらも再度、向かってきた。

「こいつまだ!」

 矢はもう無い。

 それに、ミギマギはさっきの攻撃を受け止めた反動で、動けなかった。体力の限界でもある。

 シロギスはミギマギを連れ出そうと試みるが、這いずった状態では上手く運び出せない。

「あの矢をもっと推し込めれば!」

「私に・・・構うな・・・早く・・・逃げろ!」

「嫌だ!」

 シロギスとミギマギの前に来たウラガンキンは顎を振り上げる。

 片目に刺さった矢をから流血が止まらない。

 あの矢を、あの矢をもっと深く押し込めれば、倒せるのに。

「逃げろ!シロギス!」

「絶対に嫌だ!もう何も失いたくない!」

 二人ともその場から動く気は無かった。絶体絶命の状況である。

「ったく。世話が焼けるぜ」

「アマエビ?」

 ウラガンキンの前に立ったのは、倒れていたはずのアマエビであった。

「あの矢か。やっぱりお前は器用だな」

 アマエビは、跳躍した。

 顎を振り上げたウラガンキンの体を伝って、頭上まで到達した。

 さらに上からハンマーを叩きつけるために。これで最後だ。

「黑異天」

 刺さった矢に向かってハンマーを振り下ろす。矢は更に奥に押し込まれ、脳まで到達した。

 ウラガンキンが、横に倒れ、力尽きた。

 アマエビも着地と同時に地面に倒れた。

 仰向けになって激しく吐血した。

「どう・・・して?」

「・・・分かんねぇ」

「アマエビ・・・あんたは、本当に・・・不器用なんだから」

「ふふっ。うる・・・せぇよ」

 アマエビは最後の力を振り絞り、シロギスとミギマギを助けた。

 それは慈悲であった。

 覚悟を決めてシロギスと戦ったが、心の中では争いなど望んでいなかったのかもしれない。

「シロギス・・・お前に大きな責任を背負わせてしまったな」

「私・・・」

「ごめん!ごめんねぇ!私が、私が悪かった。全てを隠そうとした。あなたを騙し続けて生きるつもりだった!でもこんな事になるなら。最初から全て話せば良かった。本当にごめんなさい!ごめんなさい!私には、貴方の母親の資格なんて無いのよ!」

「待って、もう、いいから。謝らなくていいから!会えて良かった!本当のお母さんに。それだけで十分よ。ありがとう、私の憧れの人」

「あ〜ぁ。意外と仲良しなんだな」

「アマエビ!?」

 そんな声が聞こえた気がしたが、その時、既にアマエビは息をしてなかった。

「気のせい・・・か」

 心の内を明け合った二人は、自然と涙が溢れていた。

 しばらくの間、二人は互いを励ますように泣きあっていた。

 

 アカグツはユウゼンとカジキの合体技にぶっ飛ばされて、ユクモ村からかけ離れた場所に着いていた。

「ここは?」

 荒れた家屋が苔まみれで、自然と一体化している。

 明らかに居住の痕があった。それを見てここが何処か理解した。

「あいつの故郷か、懐かしいな」

 ここはユウゼンの故郷であり、滅びた村の跡地である。

 そこに何者かが走ってくる足音が聞こえる。

「どこだここ?」

「・・・俺の故郷だ」

 やってきたユウゼンとカジキの声が聞こえてくる。

「ワザとこの場所選んだのか?」

 アカグツが太刀を構え、近付きながら問う。

「始まりはこの場所だった。この場所で決着をつけようぜ」

「そうか・・・いいだろう」

「師匠・・・終わらせようぜ」

 今、ユウゼンとカジキは、アカグツに最後の戦いを挑むところだ。




今回はここまでです!次の投稿で最終話まで行きたいと思います!長いこと読んで下さりありがとうございましたー!
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