モンスターハンター 3rd 白黒の渇望   作:カワード

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白黒種とユウゼン達の戦いは最終局面を迎えていた。ぎぎ達はリオレイアを筆頭に、追い詰められるが、ガザミの戦線復帰により、形勢逆転する。白黒種が全滅し、残ったリオレイアも絶命寸前だった。だが最後の力を振り絞り、村を飲み込むほどの巨大な火球を生成し、最後の抵抗をしようとした。放たれた巨大火球は様々なブレスで弾き返し、ガザミがリオレイアにとどめを刺した。
一方、ウラガンキンの強襲にあったシロギスは右足を負傷し、攻撃を回避できなかったが、間一髪の所でミギマギが助けに入り、そのまま共闘する。だが二人で戦っても勝てず、窮地に陥った。それを救ったのは、シロギスに敗れて、動けなくなっていたはずの、アマエビだった。高らかに掲げたハンマーで、ウラガンキンの頭を叩きつけた。
そして、ユウゼンとカジキの技により、ユクモ村の外へ飛ばされたアカグツは、滅びたユウゼンの故郷があった場所である。今この場所でアカグツとの最後の戦いが始まろうとしていた。


25話「決着」

 荒れ狂う大嵐に見舞われ、家内で一人唯祈る。数多の民の安寧を、止まぬ災禍の沈黙を。

 されど祈りは届かずに、家屋の軋む音さえも、やがて嵐に呑まれゆく。

 降り続ける豪雨、鳴り止まぬ雷鳴、吹き荒れる暴風、村の全てが宙を舞う。

 村の大損壊を目にしたその刹那、風が止み災禍の源しかと見た。

 それは、天女の如き羽衣を纏い、金色の双角を携え、大空を悠々と舞う、古龍アマツマガツチであった。

 恐怖のあまり家内を飛び出し遮二無二に走る、幸か不幸か足を滑らせ井の底へ。

 やっとの思いで這い出ては、そこに広がる光景は、村の欠片も思えぬ程の虚無だった。

 

 今から十年前。

 とある村に突如現れたのは天災をもたらす、古龍アマツマガツチ。

 その出現は村に大嵐をもたらし、村を壊滅させた。

 何故この場所にアマツマガツチは現れたのか?理由は不明であったが、霊峰という独自の支配領域を持つため、普段はそこから動くことは無い。

 だがこうして、人の住まう地に降り立ってきた。これを異常事態とみた、赤衣の男(アカグツ)が対処にあたる。

 既に村人は全滅してしまったが、これ以上、被害を出してはならない。アカグツは刃を向けた。

 激化する戦闘は、地形をも変動させる。

 大嵐の中、剣戟と高圧水ブレスが何度も衝突を繰り返す。

 人智を超えた運動能力で、あらゆる角度から斬撃で攻めるアカグツ。

 それに対し身を捩って攻撃をいなすアマツマガツチ。

 だが一進一退の攻防は、案外あっけない形で終わりを迎えた。

 呪花の女王(リオレイア)の参戦である。

「このメンツはあの時以来だな」

 二対一は戦力的に無理だと思ったのか、アマツマガツチはほとんど戦わず、霊峰に戻っていた。

「何の用だ?リオレイア」

「時ガ来タ。計画ヲ実行スル」

「七色の逆鱗に変化が起こったのか・・・近い将来、アルバトリオンが復活する可能性があるな」

「ソウダ。人間ノ指揮官ガ必要ニナル。良サソウナノヲ、砂原デ見ツケテオイタゾ。後デ拾ッテオケ」

「そいつも気になるが、俺はあいつも、ありだと思う」

 アカグツは、崩れた家屋から上半身を出して、破壊された村を見渡す、ボロボロの少年を指さした。

「コノ村ノ生キ残リカ?期待スルナ、コノ光景ヲ見テ、タダ絶望シテイルダケダ」

「どうかな?」

「マァ、オ前ガ気ニナルナラ、止メハシナイ」

 そう言うとリオレイアは、去っていった。アカグツは少年の元に近寄るって声をかける。

「大丈夫か?」

「・・・」

 呆然としていて、反応は無い。やはり、ただ絶望しているだけか。攻撃が当たらず、たまたま生き残っただけの少年だ。

「近くに別の村があるそこへ・・・っ!」

 少年は目を閉じ、突然倒れてしまった。

「おい!しっかりしろ!まいったな、異次元バトル見すぎちまったせいで、失神したか」

 仕方が無いので、アカグツは少年を、近くにあるユクモ村へ連れて帰った。

「アカグツさんが帰ってきたぞ〜!」

「古龍を追い払ってくれたんだ!」

 この頃アカグツは、既にユクモ村のレジェンドハンターとして名を馳せていた。

「アカグツさん!村は、あの村はどうなったんですか!?」

「・・・全滅だ。この少年以外はな」

「そうですか・・・だとすると、この子はきっと辛い思いを、するでしょうね」

「手当を頼む」

 

 少年が目を覚ましたのは、事後三日後だった。

 少年は当時の事を覚えてないらしく、自分の村がどうなった知りたいと強く願った。

 だが村人達は誰一人その事について話そうとしなかった。

「お願いだ!俺の住んでた村はどうなったんだ!?教えてくれ!」

「そ、それはのぉ・・・」

「おい、少年。その事なら実際に見た方が早い。行くか?」

「本当!?」

「待ってください!アカグツさん!いくらあんたの言うことだからって、この子はまだ子どもですよ!事実を教えるのは酷すぎる!」

「それを決めるのは、こいつ・・・あー、お前、名前は?」

「ユウゼン」

「ユウゼン。お前が見て、自分で決めろ」

「分かった!」

「ダメだアカグツさん!おい、坊主!後悔するぞ!止めとけって!」

「嫌だ!」

村人達が、どれだけ止めようとしても、ユウゼンは聞かなかった。

 

 次の日、アカグツは宣言通り、ユウゼンをその村へ連れて行った。

「・・・これがお前がいた村だ」

 嵐はすべてを破壊した。家を、家畜を、居場所を、多くの命を奪い去った。ユウゼンの目の前に広がる光景は、かつて村だった物が、無惨に広がる平坦な地に変化していた。

「・・・」

「受け入れるまで時間がかかるだろうが、これが・・・」

「どうしてこうなったの?」

「古龍アマツマガツチが現れた。それだけだ」

「そいつは、今どこにいるの?」

「霊峰。人がたどり着ける場所では無い。やつが憎いか?」

「・・・古龍は災害と同じで、人の力じゃ、どうする事もできないって聞いた事がある・・・でも、俺がもっと強ければこんな事にはならなかったのかな?」

「さぁな」

「アマツマガツチは、また現れるの?」

「そうだな」

「だったら、今度は俺が戦えるようになって、みんなを守りたい」

「守りたい?」

「俺はもうこんな思いを、誰かに味わって欲しくない。それで、一人でも多くの人が助かるなら」

「分かった。俺が強くしてやる」

 復讐心に駆られず、起きたことに絶望もしなかったユウゼンは、子どもながらなにして、強い精神力の持ち主であると、アカグツは思った。

 そして厳しい修行の末、ユウゼンは立派なハンターになった。

 

 そして今、ユウゼンはアカグツと戦っている。

 自分達が負ければ、ユクモ村の人達は白黒種になってしまう。そんな事は絶対させたくない。

 アカグツは自分と同じ武器である太刀使いだ。

 お互いの剣閃が激しく舞う、それがぶつかる度に火花が散る。

 アカグツの一振は、斬鉄の威力を持つアマツマガツチの高圧水ブレスに、匹敵する。

 そのため太刀で受けると、普通なら太刀ごと身体を切り裂かれてしまうが、ユウゼンの剣技はあらゆる攻撃を、物理法則を無視して切り裂くため、アカグツの斬撃をまともにくらわずにいた。

 その証拠に、ユウゼンの後ろの地面には、いくつもの斬撃痕が出来ていた。

「ほぉ、斬撃を切り裂く剣技か、面白い!」

「師匠ぉおおおおお!」

 決して、やけに剣を振っている訳では無い。

 ユウゼンは、アカグツの目線、腕の動き、手の動き、呼吸などのあらゆる情報から次の一手を読み、それに対応した確実な一手を繰り出していた。

 ユウゼンは果敢に攻めているように見えたが、防御することに集中していた。

「どうした!その程度か!」

「まだまだぁ!」

「一点集中・・・螺旋突!」

「っ!?」

 攻めるのはカジキの双剣であった。片方の双剣の剣先をドリルのように回転させながら、勢い良く突いてきた。

 その攻撃がアカグツの体勢を一気に崩した。

「一閃集中、気刃斬り!」

 逃せるわけが無い隙だった。ユウゼンは踏み込みと同時に、一閃集中型の気刃斬りを繰り出した。

 その気刃斬りはいつものように、太刀のリーチを活かした広範囲の斬撃ではなく、振り幅を減らすことで局部的だが威力も高く、さらにスピードも特化させた、新たな技だ。

「ぐはっ!」

 斬った。その感触は確かだった。アカグツは、またしても胸部を斬られて血を流している。

「よし!」

 修行時代では考えられない事が起きていた。

 二人がかりとはいえあのアカグツに二回も斬撃を与えれたのだ。

 だがアカグツはそれを、気にすること無く襲いかかってくる。

 一瞬の油断もできない、二対一でようやく戦えている状態だ。

 一人でも倒れてしまえば、勝機はない。でも確実に傷は負ってるはず。

「っ!重い!」

「はぁあ!」

 傷を負っているとはいえ、アカグツの一閃は、重かった。

 アカグツの胸部と腹部には、斜めに斬られた傷が痛々しく見えた。

 それでも剣閃は衰えることは無かった。カジキの双剣が、今度は乱舞で攻める。

 その剣閃はぐちゃぐちゃであるが、それ故に読まれにくい。

 威力も速さも十分な、暴龍の如き剣術である。また、アカグツの太刀は古龍アマツマガツチの素材できた太刀。

 その刃には水属性を纏っている。そのため、カジキがその攻撃を受ける度に、身体能力が上昇していった。二人の怒涛の攻めが、格上であるアカグツに対して、互角の勝負を成立させていた。

「怯まねぇ!」

「それでも攻め続けろ!」

 手を休めるな、絶対に躊躇うな。そうでもしないと、この人の相手は務まらない。

 だけど、このまま攻め続けて本当に勝てるのだろうか?

「ふん!」

 両者の大きな一撃どうしが、ぶつかりあい、距離が離れる。

「見違えるほど、強くなったな。だがお前たちには、終焉は止められん」

「そう言われて、やすやすと引き下がれるか!」

「そいつを見ても同じ事が言えるか?」

「がはっ・・・」

 カジキはさっきの攻防で、アカグツの繰り出す斬撃を、何度もくらっていた。

 そのダメージは張り詰めた攻防が、収まるとともに一気になだれ込んできた。

 吐血、斬撃痕は身体の至る所にあった。倒れた体に一切の力が入らない。

「一手、一手また一手と確実に攻め手を潰していけば、戦いに勝利できる。逆に失っていけば敗北する。お前は俺の斬撃を受けれるが、カジキは違った。これでもまだ戦いを続けるか?」

「カジキ!」

「バ・・・ヵ・・・目ぇ逸らすな」

 思わずカジキの方を見てしまった。吐血した血でできた血溜まりに、伏して動かないカジキ。

 自分の事で手一杯だったユウゼンはまたしても後悔した。この一瞬の油断は、本来なら命取りだが、その隙に攻撃が来ることは無かった。

「諦めない!」

「そうか」

 それでも戦わなければならない。

 再び互いの剣閃が、激しくぶつかり合う。

 アカグツの気刃斬りが、ユウゼンを襲う。

 その斬撃は速くて全てを受けきれない。合わせるように斬撃を繰り出したが、身体中が傷だらけになった。

「ぐぅっ!」

「ふん!」

 立て続けに斬撃が襲い来る。

 その刹那にその斬撃を凝視すると、剣閃が三重になって見えた。

 視界がブレているわけでもなく、幻覚でもない。一振で三重の剣閃が襲いかかってきていたのだ。

 今度は見切った!そう思ったユウゼンは、また相殺するように、合わせて斬撃を繰り出す。

「くっ!」

「はぁ!」

 だがまたしても斬撃は防げなかった。身体の傷が一気に増える。

 重たい。鉛のように動かなくなっていく体を、直に感じる。腕が上手く上がらない、頭がぼーっとする、視界がぼやけてきた、突き刺すような痛みが、全身を駆け巡った。

「ぁぁ・・・」

 弱々しい声をかき消すように、アカグツは斬撃を繰り出してきた。力無くかざした太刀が、斬撃を受ける。

 弾かれ、弾かれ、それでも太刀をかざした。

 動く限り、諦めない限り、命ある限り。

 斬撃を受ける度に新たな傷が増えていく。

 それでも何度も何度も、太刀をかざし続けた。

 やがてユウゼンは立ち上がる事すら、出来なくなっていた。太刀は身体と同じように既にボロボロで、もう何も斬れそうに無い。

 命の灯火が今にも消えそうである。

「太刀を下ろせば、楽に逝けたものを、どうしてそこまで粘った?」

「・・・・・・」

 何も喋れない。

 目を開けているはずだが、視界が真っ暗で何も見えない。

 アカグツの声も、途切れ途切れになってきた。でも、どうしてここまで粘ったのか?

 一撃受けた時、既に限界だった体はどうして、ここまで持ったのか?

 でも関係ないか、俺は負けたんだ。

 死ぬ前に何を思っても意味が無いや。

 

 過去の記憶が走馬灯のように、一気に駆け巡る。中でも鮮明に思い出してきたのは、古龍に襲われた自分の故郷の事だった。

 凄惨だった。

 嵐が全てを宙に巻き上げ、村人や

家屋がぐちゃぐちゃに、ぶつかり合う。

 それにたった一人で立ち向かう英雄、アカグツ。

 その戦う姿は神のように見えた。

 そうだ、俺はそんな師匠を見て、憧れたんだった。

 じゃあどうして、裏切った?強いから?全てが仕組まれていたから?分からないまま終わるなんて。そんなの納得できない。そんなの。

「納得できない!」

 ユウゼンは、立ち上がった。大量出血、失明、脳震盪、至る所の傷。関係あるか!立てたから立ってるんだ!

「何!?」

 見えなくてもアカグツがどこにいるか、はっきりと分かった。

 暗闇の中に、何かメラメラと燃える赤い炎のオーラようなものを強くを感じる。

 太刀を握っている感触すら分からないが、今らな以前より強く振るえる気がする。

「気刃斬り」

 ユウゼンは自分から、しかけた。

 それをアカグツは、同じ技の気刃斬りで受けた。

 両者の剣閃の威力は互角だった。

 だが、そのぶつかり合いの末、傷を負ったのはアカグツの方であった。

「やるな!」

 そこからは互角の戦いが続いた。

 剣閃が互いの体を切りつけ合う。

 防御なんてしない、相手を倒す事に全力だった。とにかく死力を尽くして太刀を振る。

 気がつくとユウゼンは自分の隣に、別のオーラを感じていた。

 二本の剣の形がぼんやりと浮かんでくる。それと何か、うるさく喋っているような気がする。

 カジキ、お前もまだ戦えるんだな。なら一緒に戦おう!過去の事なんて、今はどうでもいいだろ!

「はぁあああ!」

 カジキとユウゼンの覚醒した猛烈な攻撃により、アカグツを追い込む。確かに、アカグツは傷を負っても怯むことも、剣閃が衰えるも無かった。

 だがどこかに限界があるはずだ。

 攻撃を続けた先に勝利が見えるはずだ。

 二人に迷いは無かった。徐々にアカグツは追い込まれていった。

「そうか・・・やっと分かった」

「どりゃぁぁ!」

「うおぁぁ!」

 ユウゼンの太刀とカジキの双剣が、ついにアカグツの胸部を貫いた。

 感じていた赤いオーラが、一気に弱まっていくのが分かる。

 アカグツは太刀を地面に突き立て、二人の肩を掴んだ。

「・・・よくやった」

「師匠・・・?」

 掴まれた肩から、龍脈エネルギーが伝わってくる。それが体の傷を癒していた。

「お前たちなら・・・終焉を止めれる。この力をお前たちに託す。だから、守ってくれ、生命を」

「師匠!」

 安心したような表情でアカグツは、動かなくなった。ユウゼン達は視界が元に戻っており、アカグツの顔がはっきりと見えた。

「やった・・・」

「成し遂げたのか?」

「あぁ、そうだな。それに、とても重要な事を、託された気がする」

「秘泉水を撃たれたみたいに、体の傷が治ってる?」

「カジキ・・・本当の戦いはこれからだ」

「いたいた!カジキ!ユウゼン!お前たち無事か!」

「アカグツさんはどうなったの!?」

 そこへユクモ村で戦いを終えた皆が、やってきた。

「・・・終わったぜ。俺たちで倒した」

「リオレイアと白黒種の方はどうなった!?」

「父さんが・・・いえ、皆さんの力を合わせたお掛けで、討伐することが出来ました」

「やるな!」

「と、言うことは?」

「俺たちの勝利だ!」

「よっしゃー!村の危機を救ったぞ!」

「ま、待ってください!一つ深刻な問題が発生してます!」

「何!?」

 竜人族達が後ろから慌てながら、駆け寄ってくる。

「ユウゼン、カジキ、お主らはアカグツを打ち倒し、ユクモ村を救ってくれた。じゃが、自体は一刻を争う。龍脈の穴が、なにかの影響で塞がってしまったんじゃ。もし今アルバトリオンが復活してしまったら、終焉を止めることが、出来なくなってしまう」

「砂原で龍脈の穴を調査しておった、ダツからニャン二郎を通じて、伝達があったんだべ」

「何!?」

「龍脈の穴を探しましょう!アルバトリオンが復活する前に!」

「だけど、一体どこを?」

「ねぇ!あの黒い雲は何!?」

 突如して暗雲が立ち込める。

 渓流の近くにある霊峰を中心に、その周囲はまるで夜が来たように暗くなった。

 ユウゼン達がいる場所からも暗闇へ変化する様子が、分かった。

 雷鳴が轟き、風向きがまるで生き物のように、四方八方へと変化する。

 気温が数秒毎に上昇と下降を繰り返した。

 誰も体験したことの無い、混沌な環境が訪れる。

「何だよこれ!?急に暑くなったり寒くなったり!」

「暗雲が空を覆い尽くしている・・・」

「環境が酷く不安定だ!こんな現象は見た事も、聞いた事もない!」

「っ!?地震!?」

 大地が震える。

 ユウゼン達の地面の下を、巨大な何かが通った。

 地震が収まったと思ったら、その正体が霊峰に現れた。

 かなり距離が空いていいるが、あまりに巨体だった故に、それは目立っていた。

「原初の飛竜、アカムトルム!」

「地面から出てきおった!」

「ずっと地面に潜ってたのか!」

「どうりで見つからないわけだ」

「でも、どうしてこのタイミングで出てきたんでしょう?」

 アカムトルムは霊峰に現れ、たたずんでいた。そのとき、暗雲の一部から旋風が巻き起こる。

 それがもたらしたのは、暴風と豪雨だった。

「今度はなんじゃ!?」

「嵐だ!こんな突然くることなんてあるのか!?」

「いや、違う。自然発生した嵐なんかじゃない!この仕業は、まさか!古龍アマツマガツチ!」

 天空から自身の風で暗雲を突き破ってきたのは、古龍アマツマガツチである。アカムトルムの横に悠然として空中に漂っている。

 今ここに二体の古龍級モンスターが集った。

「こんな事ってあるの!?」

「待って、今度は雪が降ってきた!」

「こりゃもう、吹雪じゃ!」

「見てください!あそこ!」

 孤島の沖合から、海中を凍らせながら、渓流にたどり着いたのは、崩竜ウカムルバスだった。

 本来なら凍土の禁足地に生息しているはずだが、この場所に集ってきた。

 移動するだけで、周囲の気温を氷点下まで下げる、強力な冷気を放っており、そのサイズはアカムトルムと同格である。

 体の構造もよく似ていて、相違点といえば、体色が白銀であることと、スコップのような形に肥大化した顎を持ち、背中には棘ではなく爬虫類に似た甲殻と背びれがある。この特徴により、地面を掘り潜ることよりも、地面を魚のように泳ぐことが出来る。

「・・・おい、これ信じられるか?」

「いえ、信じられません。今あの場所に、天災と恐れられている古龍達が三体も、集っているなんて」

「これから三つ巴の戦いを始めるつもりか?」

「・・・いや、そうじゃねぇ。あいつらは同じ方向を向いてやがる」

「あの場所に、三体にとって共通の敵がいる。そいつは古龍達にとって、いや、全生命にとっての敵だ」

「・・・黒龍アルバトリオンですか」

「終焉が始まってしもうたか」

「そんな・・・」

 ここに最強モンスター達による、最強のチームが結成された。

 立場も威厳も今は全て関係ない。

 ここで手を組まねば、確実にやられてしまう。

 相手はまだ姿が見えない、終焉の黒龍アルバトリオンである。

 ユウゼン達はその戦いに、どう関与するのか?終焉は回避できるのか?




最終章開幕でございます!
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