一方、ウラガンキンの強襲にあったシロギスは右足を負傷し、攻撃を回避できなかったが、間一髪の所でミギマギが助けに入り、そのまま共闘する。だが二人で戦っても勝てず、窮地に陥った。それを救ったのは、シロギスに敗れて、動けなくなっていたはずの、アマエビだった。高らかに掲げたハンマーで、ウラガンキンの頭を叩きつけた。
そして、ユウゼンとカジキの技により、ユクモ村の外へ飛ばされたアカグツは、滅びたユウゼンの故郷があった場所である。今この場所でアカグツとの最後の戦いが始まろうとしていた。
荒れ狂う大嵐に見舞われ、家内で一人唯祈る。数多の民の安寧を、止まぬ災禍の沈黙を。
されど祈りは届かずに、家屋の軋む音さえも、やがて嵐に呑まれゆく。
降り続ける豪雨、鳴り止まぬ雷鳴、吹き荒れる暴風、村の全てが宙を舞う。
村の大損壊を目にしたその刹那、風が止み災禍の源しかと見た。
それは、天女の如き羽衣を纏い、金色の双角を携え、大空を悠々と舞う、古龍アマツマガツチであった。
恐怖のあまり家内を飛び出し遮二無二に走る、幸か不幸か足を滑らせ井の底へ。
やっとの思いで這い出ては、そこに広がる光景は、村の欠片も思えぬ程の虚無だった。
今から十年前。
とある村に突如現れたのは天災をもたらす、古龍アマツマガツチ。
その出現は村に大嵐をもたらし、村を壊滅させた。
何故この場所にアマツマガツチは現れたのか?理由は不明であったが、霊峰という独自の支配領域を持つため、普段はそこから動くことは無い。
だがこうして、人の住まう地に降り立ってきた。これを異常事態とみた、赤衣の男(アカグツ)が対処にあたる。
既に村人は全滅してしまったが、これ以上、被害を出してはならない。アカグツは刃を向けた。
激化する戦闘は、地形をも変動させる。
大嵐の中、剣戟と高圧水ブレスが何度も衝突を繰り返す。
人智を超えた運動能力で、あらゆる角度から斬撃で攻めるアカグツ。
それに対し身を捩って攻撃をいなすアマツマガツチ。
だが一進一退の攻防は、案外あっけない形で終わりを迎えた。
呪花の女王(リオレイア)の参戦である。
「このメンツはあの時以来だな」
二対一は戦力的に無理だと思ったのか、アマツマガツチはほとんど戦わず、霊峰に戻っていた。
「何の用だ?リオレイア」
「時ガ来タ。計画ヲ実行スル」
「七色の逆鱗に変化が起こったのか・・・近い将来、アルバトリオンが復活する可能性があるな」
「ソウダ。人間ノ指揮官ガ必要ニナル。良サソウナノヲ、砂原デ見ツケテオイタゾ。後デ拾ッテオケ」
「そいつも気になるが、俺はあいつも、ありだと思う」
アカグツは、崩れた家屋から上半身を出して、破壊された村を見渡す、ボロボロの少年を指さした。
「コノ村ノ生キ残リカ?期待スルナ、コノ光景ヲ見テ、タダ絶望シテイルダケダ」
「どうかな?」
「マァ、オ前ガ気ニナルナラ、止メハシナイ」
そう言うとリオレイアは、去っていった。アカグツは少年の元に近寄るって声をかける。
「大丈夫か?」
「・・・」
呆然としていて、反応は無い。やはり、ただ絶望しているだけか。攻撃が当たらず、たまたま生き残っただけの少年だ。
「近くに別の村があるそこへ・・・っ!」
少年は目を閉じ、突然倒れてしまった。
「おい!しっかりしろ!まいったな、異次元バトル見すぎちまったせいで、失神したか」
仕方が無いので、アカグツは少年を、近くにあるユクモ村へ連れて帰った。
「アカグツさんが帰ってきたぞ〜!」
「古龍を追い払ってくれたんだ!」
この頃アカグツは、既にユクモ村のレジェンドハンターとして名を馳せていた。
「アカグツさん!村は、あの村はどうなったんですか!?」
「・・・全滅だ。この少年以外はな」
「そうですか・・・だとすると、この子はきっと辛い思いを、するでしょうね」
「手当を頼む」
少年が目を覚ましたのは、事後三日後だった。
少年は当時の事を覚えてないらしく、自分の村がどうなった知りたいと強く願った。
だが村人達は誰一人その事について話そうとしなかった。
「お願いだ!俺の住んでた村はどうなったんだ!?教えてくれ!」
「そ、それはのぉ・・・」
「おい、少年。その事なら実際に見た方が早い。行くか?」
「本当!?」
「待ってください!アカグツさん!いくらあんたの言うことだからって、この子はまだ子どもですよ!事実を教えるのは酷すぎる!」
「それを決めるのは、こいつ・・・あー、お前、名前は?」
「ユウゼン」
「ユウゼン。お前が見て、自分で決めろ」
「分かった!」
「ダメだアカグツさん!おい、坊主!後悔するぞ!止めとけって!」
「嫌だ!」
村人達が、どれだけ止めようとしても、ユウゼンは聞かなかった。
次の日、アカグツは宣言通り、ユウゼンをその村へ連れて行った。
「・・・これがお前がいた村だ」
嵐はすべてを破壊した。家を、家畜を、居場所を、多くの命を奪い去った。ユウゼンの目の前に広がる光景は、かつて村だった物が、無惨に広がる平坦な地に変化していた。
「・・・」
「受け入れるまで時間がかかるだろうが、これが・・・」
「どうしてこうなったの?」
「古龍アマツマガツチが現れた。それだけだ」
「そいつは、今どこにいるの?」
「霊峰。人がたどり着ける場所では無い。やつが憎いか?」
「・・・古龍は災害と同じで、人の力じゃ、どうする事もできないって聞いた事がある・・・でも、俺がもっと強ければこんな事にはならなかったのかな?」
「さぁな」
「アマツマガツチは、また現れるの?」
「そうだな」
「だったら、今度は俺が戦えるようになって、みんなを守りたい」
「守りたい?」
「俺はもうこんな思いを、誰かに味わって欲しくない。それで、一人でも多くの人が助かるなら」
「分かった。俺が強くしてやる」
復讐心に駆られず、起きたことに絶望もしなかったユウゼンは、子どもながらなにして、強い精神力の持ち主であると、アカグツは思った。
そして厳しい修行の末、ユウゼンは立派なハンターになった。
そして今、ユウゼンはアカグツと戦っている。
自分達が負ければ、ユクモ村の人達は白黒種になってしまう。そんな事は絶対させたくない。
アカグツは自分と同じ武器である太刀使いだ。
お互いの剣閃が激しく舞う、それがぶつかる度に火花が散る。
アカグツの一振は、斬鉄の威力を持つアマツマガツチの高圧水ブレスに、匹敵する。
そのため太刀で受けると、普通なら太刀ごと身体を切り裂かれてしまうが、ユウゼンの剣技はあらゆる攻撃を、物理法則を無視して切り裂くため、アカグツの斬撃をまともにくらわずにいた。
その証拠に、ユウゼンの後ろの地面には、いくつもの斬撃痕が出来ていた。
「ほぉ、斬撃を切り裂く剣技か、面白い!」
「師匠ぉおおおおお!」
決して、やけに剣を振っている訳では無い。
ユウゼンは、アカグツの目線、腕の動き、手の動き、呼吸などのあらゆる情報から次の一手を読み、それに対応した確実な一手を繰り出していた。
ユウゼンは果敢に攻めているように見えたが、防御することに集中していた。
「どうした!その程度か!」
「まだまだぁ!」
「一点集中・・・螺旋突!」
「っ!?」
攻めるのはカジキの双剣であった。片方の双剣の剣先をドリルのように回転させながら、勢い良く突いてきた。
その攻撃がアカグツの体勢を一気に崩した。
「一閃集中、気刃斬り!」
逃せるわけが無い隙だった。ユウゼンは踏み込みと同時に、一閃集中型の気刃斬りを繰り出した。
その気刃斬りはいつものように、太刀のリーチを活かした広範囲の斬撃ではなく、振り幅を減らすことで局部的だが威力も高く、さらにスピードも特化させた、新たな技だ。
「ぐはっ!」
斬った。その感触は確かだった。アカグツは、またしても胸部を斬られて血を流している。
「よし!」
修行時代では考えられない事が起きていた。
二人がかりとはいえあのアカグツに二回も斬撃を与えれたのだ。
だがアカグツはそれを、気にすること無く襲いかかってくる。
一瞬の油断もできない、二対一でようやく戦えている状態だ。
一人でも倒れてしまえば、勝機はない。でも確実に傷は負ってるはず。
「っ!重い!」
「はぁあ!」
傷を負っているとはいえ、アカグツの一閃は、重かった。
アカグツの胸部と腹部には、斜めに斬られた傷が痛々しく見えた。
それでも剣閃は衰えることは無かった。カジキの双剣が、今度は乱舞で攻める。
その剣閃はぐちゃぐちゃであるが、それ故に読まれにくい。
威力も速さも十分な、暴龍の如き剣術である。また、アカグツの太刀は古龍アマツマガツチの素材できた太刀。
その刃には水属性を纏っている。そのため、カジキがその攻撃を受ける度に、身体能力が上昇していった。二人の怒涛の攻めが、格上であるアカグツに対して、互角の勝負を成立させていた。
「怯まねぇ!」
「それでも攻め続けろ!」
手を休めるな、絶対に躊躇うな。そうでもしないと、この人の相手は務まらない。
だけど、このまま攻め続けて本当に勝てるのだろうか?
「ふん!」
両者の大きな一撃どうしが、ぶつかりあい、距離が離れる。
「見違えるほど、強くなったな。だがお前たちには、終焉は止められん」
「そう言われて、やすやすと引き下がれるか!」
「そいつを見ても同じ事が言えるか?」
「がはっ・・・」
カジキはさっきの攻防で、アカグツの繰り出す斬撃を、何度もくらっていた。
そのダメージは張り詰めた攻防が、収まるとともに一気になだれ込んできた。
吐血、斬撃痕は身体の至る所にあった。倒れた体に一切の力が入らない。
「一手、一手また一手と確実に攻め手を潰していけば、戦いに勝利できる。逆に失っていけば敗北する。お前は俺の斬撃を受けれるが、カジキは違った。これでもまだ戦いを続けるか?」
「カジキ!」
「バ・・・ヵ・・・目ぇ逸らすな」
思わずカジキの方を見てしまった。吐血した血でできた血溜まりに、伏して動かないカジキ。
自分の事で手一杯だったユウゼンはまたしても後悔した。この一瞬の油断は、本来なら命取りだが、その隙に攻撃が来ることは無かった。
「諦めない!」
「そうか」
それでも戦わなければならない。
再び互いの剣閃が、激しくぶつかり合う。
アカグツの気刃斬りが、ユウゼンを襲う。
その斬撃は速くて全てを受けきれない。合わせるように斬撃を繰り出したが、身体中が傷だらけになった。
「ぐぅっ!」
「ふん!」
立て続けに斬撃が襲い来る。
その刹那にその斬撃を凝視すると、剣閃が三重になって見えた。
視界がブレているわけでもなく、幻覚でもない。一振で三重の剣閃が襲いかかってきていたのだ。
今度は見切った!そう思ったユウゼンは、また相殺するように、合わせて斬撃を繰り出す。
「くっ!」
「はぁ!」
だがまたしても斬撃は防げなかった。身体の傷が一気に増える。
重たい。鉛のように動かなくなっていく体を、直に感じる。腕が上手く上がらない、頭がぼーっとする、視界がぼやけてきた、突き刺すような痛みが、全身を駆け巡った。
「ぁぁ・・・」
弱々しい声をかき消すように、アカグツは斬撃を繰り出してきた。力無くかざした太刀が、斬撃を受ける。
弾かれ、弾かれ、それでも太刀をかざした。
動く限り、諦めない限り、命ある限り。
斬撃を受ける度に新たな傷が増えていく。
それでも何度も何度も、太刀をかざし続けた。
やがてユウゼンは立ち上がる事すら、出来なくなっていた。太刀は身体と同じように既にボロボロで、もう何も斬れそうに無い。
命の灯火が今にも消えそうである。
「太刀を下ろせば、楽に逝けたものを、どうしてそこまで粘った?」
「・・・・・・」
何も喋れない。
目を開けているはずだが、視界が真っ暗で何も見えない。
アカグツの声も、途切れ途切れになってきた。でも、どうしてここまで粘ったのか?
一撃受けた時、既に限界だった体はどうして、ここまで持ったのか?
でも関係ないか、俺は負けたんだ。
死ぬ前に何を思っても意味が無いや。
過去の記憶が走馬灯のように、一気に駆け巡る。中でも鮮明に思い出してきたのは、古龍に襲われた自分の故郷の事だった。
凄惨だった。
嵐が全てを宙に巻き上げ、村人や
家屋がぐちゃぐちゃに、ぶつかり合う。
それにたった一人で立ち向かう英雄、アカグツ。
その戦う姿は神のように見えた。
そうだ、俺はそんな師匠を見て、憧れたんだった。
じゃあどうして、裏切った?強いから?全てが仕組まれていたから?分からないまま終わるなんて。そんなの納得できない。そんなの。
「納得できない!」
ユウゼンは、立ち上がった。大量出血、失明、脳震盪、至る所の傷。関係あるか!立てたから立ってるんだ!
「何!?」
見えなくてもアカグツがどこにいるか、はっきりと分かった。
暗闇の中に、何かメラメラと燃える赤い炎のオーラようなものを強くを感じる。
太刀を握っている感触すら分からないが、今らな以前より強く振るえる気がする。
「気刃斬り」
ユウゼンは自分から、しかけた。
それをアカグツは、同じ技の気刃斬りで受けた。
両者の剣閃の威力は互角だった。
だが、そのぶつかり合いの末、傷を負ったのはアカグツの方であった。
「やるな!」
そこからは互角の戦いが続いた。
剣閃が互いの体を切りつけ合う。
防御なんてしない、相手を倒す事に全力だった。とにかく死力を尽くして太刀を振る。
気がつくとユウゼンは自分の隣に、別のオーラを感じていた。
二本の剣の形がぼんやりと浮かんでくる。それと何か、うるさく喋っているような気がする。
カジキ、お前もまだ戦えるんだな。なら一緒に戦おう!過去の事なんて、今はどうでもいいだろ!
「はぁあああ!」
カジキとユウゼンの覚醒した猛烈な攻撃により、アカグツを追い込む。確かに、アカグツは傷を負っても怯むことも、剣閃が衰えるも無かった。
だがどこかに限界があるはずだ。
攻撃を続けた先に勝利が見えるはずだ。
二人に迷いは無かった。徐々にアカグツは追い込まれていった。
「そうか・・・やっと分かった」
「どりゃぁぁ!」
「うおぁぁ!」
ユウゼンの太刀とカジキの双剣が、ついにアカグツの胸部を貫いた。
感じていた赤いオーラが、一気に弱まっていくのが分かる。
アカグツは太刀を地面に突き立て、二人の肩を掴んだ。
「・・・よくやった」
「師匠・・・?」
掴まれた肩から、龍脈エネルギーが伝わってくる。それが体の傷を癒していた。
「お前たちなら・・・終焉を止めれる。この力をお前たちに託す。だから、守ってくれ、生命を」
「師匠!」
安心したような表情でアカグツは、動かなくなった。ユウゼン達は視界が元に戻っており、アカグツの顔がはっきりと見えた。
「やった・・・」
「成し遂げたのか?」
「あぁ、そうだな。それに、とても重要な事を、託された気がする」
「秘泉水を撃たれたみたいに、体の傷が治ってる?」
「カジキ・・・本当の戦いはこれからだ」
「いたいた!カジキ!ユウゼン!お前たち無事か!」
「アカグツさんはどうなったの!?」
そこへユクモ村で戦いを終えた皆が、やってきた。
「・・・終わったぜ。俺たちで倒した」
「リオレイアと白黒種の方はどうなった!?」
「父さんが・・・いえ、皆さんの力を合わせたお掛けで、討伐することが出来ました」
「やるな!」
「と、言うことは?」
「俺たちの勝利だ!」
「よっしゃー!村の危機を救ったぞ!」
「ま、待ってください!一つ深刻な問題が発生してます!」
「何!?」
竜人族達が後ろから慌てながら、駆け寄ってくる。
「ユウゼン、カジキ、お主らはアカグツを打ち倒し、ユクモ村を救ってくれた。じゃが、自体は一刻を争う。龍脈の穴が、なにかの影響で塞がってしまったんじゃ。もし今アルバトリオンが復活してしまったら、終焉を止めることが、出来なくなってしまう」
「砂原で龍脈の穴を調査しておった、ダツからニャン二郎を通じて、伝達があったんだべ」
「何!?」
「龍脈の穴を探しましょう!アルバトリオンが復活する前に!」
「だけど、一体どこを?」
「ねぇ!あの黒い雲は何!?」
突如して暗雲が立ち込める。
渓流の近くにある霊峰を中心に、その周囲はまるで夜が来たように暗くなった。
ユウゼン達がいる場所からも暗闇へ変化する様子が、分かった。
雷鳴が轟き、風向きがまるで生き物のように、四方八方へと変化する。
気温が数秒毎に上昇と下降を繰り返した。
誰も体験したことの無い、混沌な環境が訪れる。
「何だよこれ!?急に暑くなったり寒くなったり!」
「暗雲が空を覆い尽くしている・・・」
「環境が酷く不安定だ!こんな現象は見た事も、聞いた事もない!」
「っ!?地震!?」
大地が震える。
ユウゼン達の地面の下を、巨大な何かが通った。
地震が収まったと思ったら、その正体が霊峰に現れた。
かなり距離が空いていいるが、あまりに巨体だった故に、それは目立っていた。
「原初の飛竜、アカムトルム!」
「地面から出てきおった!」
「ずっと地面に潜ってたのか!」
「どうりで見つからないわけだ」
「でも、どうしてこのタイミングで出てきたんでしょう?」
アカムトルムは霊峰に現れ、たたずんでいた。そのとき、暗雲の一部から旋風が巻き起こる。
それがもたらしたのは、暴風と豪雨だった。
「今度はなんじゃ!?」
「嵐だ!こんな突然くることなんてあるのか!?」
「いや、違う。自然発生した嵐なんかじゃない!この仕業は、まさか!古龍アマツマガツチ!」
天空から自身の風で暗雲を突き破ってきたのは、古龍アマツマガツチである。アカムトルムの横に悠然として空中に漂っている。
今ここに二体の古龍級モンスターが集った。
「こんな事ってあるの!?」
「待って、今度は雪が降ってきた!」
「こりゃもう、吹雪じゃ!」
「見てください!あそこ!」
孤島の沖合から、海中を凍らせながら、渓流にたどり着いたのは、崩竜ウカムルバスだった。
本来なら凍土の禁足地に生息しているはずだが、この場所に集ってきた。
移動するだけで、周囲の気温を氷点下まで下げる、強力な冷気を放っており、そのサイズはアカムトルムと同格である。
体の構造もよく似ていて、相違点といえば、体色が白銀であることと、スコップのような形に肥大化した顎を持ち、背中には棘ではなく爬虫類に似た甲殻と背びれがある。この特徴により、地面を掘り潜ることよりも、地面を魚のように泳ぐことが出来る。
「・・・おい、これ信じられるか?」
「いえ、信じられません。今あの場所に、天災と恐れられている古龍達が三体も、集っているなんて」
「これから三つ巴の戦いを始めるつもりか?」
「・・・いや、そうじゃねぇ。あいつらは同じ方向を向いてやがる」
「あの場所に、三体にとって共通の敵がいる。そいつは古龍達にとって、いや、全生命にとっての敵だ」
「・・・黒龍アルバトリオンですか」
「終焉が始まってしもうたか」
「そんな・・・」
ここに最強モンスター達による、最強のチームが結成された。
立場も威厳も今は全て関係ない。
ここで手を組まねば、確実にやられてしまう。
相手はまだ姿が見えない、終焉の黒龍アルバトリオンである。
ユウゼン達はその戦いに、どう関与するのか?終焉は回避できるのか?
最終章開幕でございます!