どのくらいだろう…意識を失ってから…あれから何時間、いや何日、いや何ヶ月。士君たちが居なくなって…そして私は記憶をなくしてしまった。
ある日のこと。
私の目の前にいる青年、門矢士が突然話し始めた。
「明日から魔王の退治に行ってくる。当分帰って来れなくなるかもな。」
魔王?いい歳して何を言ってるのだろうか。私は唖然とした。って帰って来れないってどういうこと!
「士君!何を言ってるんですか?そんないきなり意味が分からない話されても困ります。第一、当分帰って来れなくなるってどういうことですか!」
士はため息を一つつくと、
「俺が遊びで魔王退治なんてするわけないだろ。心配すんな。新しいライダーの世界のことだ。」
「新しい世界?」
「そうだ。どうやらその世界で王様になりたがってるやつがいるらしい。全く何になろうが構わないが、王様とはな。おまけにそいつを導いて欲しいんだとさ。」
士君はまだ新しい旅に出なければならない…せっかく帰る場所を見つけたのに、また辛い思いをしなければいけなくなる。私は、胸を締め付けられるそんな感覚に陥っていた。
「導いて欲しいって言ってましたけど、誰かから頼まれたんですか?」
「まぁな。俺レベルになるとスカウトが来ちまうらしい。気に入らなかったが、どうしてもっていうから仕方なくな。」
「頼んできた人はどんな感じの方だったんですか?」
「本を片手に持ってやたらリアクションがでかいやつだったな」
「…変人ですか?」
「あぁ、たしかに変人だな。やたら主人のことを気にしてたみたいだがな。」
「また、私の前からいなくなっちゃうんですね…」
「なんだ拗ねてんのか?別に帰って来ないわけじゃないんだぞ。」
「そんなこと言わないでください!」
「何もそんなに怒ることじゃないだろ。そんじゃ行ってくるわ。」
すると士はすぐさまオーロラのようなカーテンに飛び込んでいった。
「ちょっと士君!って行っちゃった…もう…」
そんな時だった私の中に光球が入ってきたのは。
「あっ。」
「………」
「んー。ディケイドがいなくなってこの小娘の身体にようやく入れたわ!ちょっとあんたの身体間借りさせてもらうわねぇ。」
夏海はとあるイマジンに憑依されてしまった。髪はサイドテールで結っており、口紅が綺麗に塗られている。
「とりあえず外に出ないとねっ。」
夏海に憑依したイマジンは意気揚々に外に出た。
ドアを開けた先でとある4人のイマジンが待ち伏せしていた。
「ようやく見つけたぜ。このエロ女!」
「先輩、女性に対してその言い方はいくら何でもひどいと思うよ?」
「でも、こいつはそう簡単に許すわけにはいかんからなぁ?」
「早くやっつけようよ。答えは聞いてない!」
「リュウタ焦らないで。夏海ちゃんの身体が人質にされてるからこっちも下手に動けないよ。」
「へっ!そんなことこっちが入って追い出せば良いじゃねぇか!」
「桃の字にしては妙案やなぁ。それでいこか!」
「おい!熊!今何つった!」
「先輩揉めてる場合じゃないよ!とりあえず誰が夏海ちゃんに入るの?」
「ねぇ。まだ話終わらない感じ?あたし早くこの身体で買い物とか食べ歩きとかしたいんだけど。そこの赤い坊やあたしといいことしない?」
「もうその手には引っ掛からねえよだ!」
「あっそ。それよりあたしを追い出したいみたいだけど。あなたたち4人全員でなら力づくで追い出せるんじゃない?分かんないけど。」
「んだと!やってやろうじゃねぇか!」
「先輩落ち着いて!ここは僕1人で行くよ。」
「あら、そこの青い坊やが来るのね?いいわよ来なさい。でも…」
夏海に憑依したイマジンが腕を上にあげる。すると眩しい光があたり一面に広がっていった…
私は誰?私は女性?この着物は一体?目が覚めた光夏海?は近くの鏡を見た。
「あたしは一体誰なの?泣けるわ。」