休息中の彼女らはお茶会がてら、一人の少女の軌跡を赤裸々に聞いてみる事を提案する。
テレジアの仲間たちをネタにカノンノ3人がお喋りする短編です。元ネタはテイルズ数え歌とも言われてるアレです。
色々あるのですが久々過ぎて初投稿みたいなものなので大目に見ていただけたらと。
無数の命が生きつくこの世界、その中の片隅で顔を合わせた、つかの間の休息中である桜色三つ。知らない人が見たら三つ子とも取れる桜色三つ。
「久しぶりに顔合わせれたね~。今日のお茶会、何について話しちゃう?」
無邪気な笑顔のカノンノ・イアハート。
「そうねぇ、折角だから今日は『パスカ』の世界のみんなについて聞いてみようよ」
悪気はないのだが提案が無茶ぶりなカノンノ・グラスバレー。
「え、ええっ!? 私?」
唐突な事態に口元に手を当てながら驚きを隠せないパスカのディセンダーことパスカ・カノンノ。
「わぁ、それ楽しそう」
「ちょっと、イアハートまで!?」
無邪気街道を突っ走るイアハートがグラスバレーに賛同したため、パスカに味方がいなくなった。
同じ顔が3つも集まると普通怖いところがある気もするが、二人の少女が一人の少女に話してほしいと頼みこんだりしている様子はなんとも可愛らしい。
少しばかりこのような問答を続けた後、吹っ切れたパスカが……
「分かったわよ! 私が『テレジア』のみんなについて話してやろうじゃないの!」
「わぁい! 楽しみにしてるよ!」
受け入れる結論になった。イアハートも大喜びである。
「それじゃあお喋りしましょうか」
「今日は私だけだけどね!」
みんなでラヴ・ビート! ~in テレジア~
♪チェスター いつも私に妹重ねてアーチェの想いに振り向くことなく
♪チェスター 目指して今日も料理の試作を重ねる××料理人アーチェ
♪リッド は謎の胃を持つ大食い剣士 ロイド はちょっと間の抜けた剣士
♪ジーニアスとリフィル はエルフの魔術師 魔術は強力、料理は暴力?
♪皆を束ねる は我らがクラトス
♪さぁ戦うぞ、アイリリー解放夢見てー
「――ってパスカちょっとタンマーー!」
グラスバレーさん、キリがいいと思ったのか、はたまた耐え切れなくなったのか何なのか、唐突に叫びだした。
「え、そこ歌うの!? 歌っちゃうの?」
「だって私たちカノンノのお茶会でしょ?」
「意味わからないんだけど!」
グラスバレー、必死。目を白黒させながらおかしいのは自分なのかと言わんばかりに問いかけ続ける。しかしそれもむなしく……
「あれ、私も途中から一緒に歌ってたんだけど」
「い、いあはーと……」
いつもと変わらぬ何食わぬ顔でイアハートにそう告げられ脱力するしかなかったとか。
「そう言えば、チェスターがパスカに妹さん重ねてるってどういうこと?」
イアハートが首をかしげながら、疑問をぶつける。少なくとも彼女自身や、グラスバレー自身にはそのような事はないため、不思議に思うのも無理はない。
「あ、えっとね……チェスターってすっごく妹想いみたいで、それでどうも私を妹さんに重ねたみたいで……何とかよく『しようとした』みたいだけど……なんというか、その」
「ええっと、つまり空回ってたとか?」
「そんな感じかな……」
下を向いて言いよどんでいたパスカにグラスバレーが手助けすると、少しばかり焦りの混じった表情を見せながら答える。
その焦りはとある危惧。その危惧は杞憂に……
「それってつまり私たちの世界よりも重度なんじゃないの、シスk」
「それ言っちゃだめぇぇぇ!」
終わらなかった。イアハートの天然発動。一応チェスターの名誉を守ったつもりのパスカだったのだがあまり効果はなかったようだ……。
その後も、共通点を見出したイアハートが気にせず続ける。
「リッドが大食いなのやアーチェ、リフィルさんの料理は同じなんだね」
「ジーニアスは料理上手なのにどうしてなんだろうね……」
……グラスバレーの謎に答えられる人間は何処にもいない気がする。
「その実の弟、ジーニアスに迄試食拒否されるほどだもんね。リフィルさんには悪いけどもう手遅れだよ……」
「「……」」
自分の料理の腕を自覚し認めながらも、それを顧みず進歩しない彼女を思い浮かべ、唖然とするもどこか納得する二人の少女だった。
そしてグラスバレーの言葉に、凛としてパスカが答える!
「そしてそんな仲間たちをまとめるのが――」
「そう、アイリリーのアドリビトムのリーダー、クラトスさんよ!」
「クラトスさん、大変そうだね……」
「「……」」
そのあとにイアハートの素直な感想で撃沈した二人だった……。
「って、まだまだ続くんだからね!」
♪いつも燃えてるねぼすけスタン ガルドを片手に孤児運営ルーティ
♪気高きモテモテウッドロウ ルーティ居ぬ間支えるナナリー
♪いつも笑顔の受付嬢フィリア クールだけど実は仲間想いリオン!
♪独り言? いいえ剣と会話です! 出来なくても入れるから怖がらずおいでドープルーン!
「ってちょっと待ってーーー!」
唐突に再開したパスカについて行けず戸惑っていたグラスバレーが漸く再起し制止をかける。反応したパスカと、そしてイアハートもグラスバレーの方を向いた。
「え、まだその形式なの!?」
「当たり前でしょう? でなきゃ最初からやらないわ」
さも呼吸するかのごとく当たり前に、グラスバレーへのツッコミへ対処するパスカ。これにはグラスバレーも唖然とするばかりである。
「ドープルーンって待ちでは、私の世界で言うところのスタンさんのギルドのメンバーが中心なんだね」
何気に実はパスカに交じって歌っていたイアハートが、彼女の世界(グラニデ)のスタンのギルドメンバーが、ドープルーンのアドリビトムメンバーと共通している事に気づく。
(まぁ原作の関係上ってだけだよね……言わないけど)
グラスバレーさん身もふたもない。
「スタンさんはオンオフハッキリしてる感じで、ルーティさんは子供たちを養う文余計にお金への意識が強い感じがしたね。戦闘ほったらかしてサーチガルドばかり使うってみんなよく言ってたよ」
「あ、あはは……(そこは戦ってあげようよルーティさん……)」
燃えてる、ねぼすけをオンオフで言い表す一方、ルーティのガルドへの執着心をパスカが説明すると、グラスバレーは苦笑いしか出来なかった。
彼女が内心でも苦笑いしていると、今度はナナリーとの思い出を回想する。
「ナナリーとはよくお喋りしたなぁ……孤児院の子供たち相手に奮闘したのが懐かしいや」
「パスカ、孤児院にいたの?」
「ええ。ドープルーンにいる間は宿屋兼孤児院でお手伝いしてたんだ。とっても大変だったけど、楽しかったよ!」
それから少しの間、パスカは孤児院時代のことについて語りだした。最初は自分から申し出た割には馴染めずにいたけれど、それでもナナリーの助けもあってひたむきに続けてるうちにすっかり孤児院の子供たちとも仲良くなってしまった、と。
話し終えた時には、すっかり彼女は二人の羨望の対象となっていた。
「「いいな~」」
「ちょ、二人とも!?」
……羨ましすぎて少し意識が飛んでしまったらしい。
軽くショックを与えた後、慌てて別の内容を差し替え話題転換を図った。
……ただし、割と強引に。
「ドープルーンには、後フィリアさんとリオンさんがいたよ。とっても優しいフィリアさんと、言葉の割にはとっても優しいリオンさん!」
「結局二人とも優しいんだね」
「えっと……何か違う気がするんだけど……あれ?」
もうおなじみとなってきたイアハートの天然に、心なしか汗を流しながらグラスバレーが言葉を零し……つつ、何かに気付く。
「なんだろう、何か足りない気がする」
「えっ? そんなはずは……」
パスカが思案したその時、三つの桜色の中を一陣の風が駆け抜け――
――何、気にすることはない
何かが、キコエタ。
「……空耳、だよね」
と、グラスバレーが恐る恐る二人のいる場所に向き直ってみると……
「怖かった……怖かったよ……」
「イアハート怖がり過ぎ!大丈夫!?」
マンドラゴラのごとく地面にへたり込んで涙目のイアハートが真っ先にグラスバレーの目に飛び込んだ。思わずツッコミと心配が殆ど同時にしてしまったとかなんとか。
その時、一般人カノンノ二人をしり目に、パスカは一人虚空を向く。
「ウッドロウさん、ごめんなさい……」
閑話休題
「ここからは、気を取り直してクイズ形式で行ってみましょう」
「わぁい、待ってました!」
握った右手を揚げてウィンクしながら提案するパスカに、イアハートはもろ手を挙げて喜んだ。
そしてグラスバレーの手元には、半球状のスイッチのようなものが何故か置かれている。それを見たパスカは一言。
「……グラスバレー」
「何かな」
「早押し形式じゃないよ」
「……あっ」
指摘されたグラスバレーは一瞬で真っ赤になり、スイッチをサッと懐に仕舞い込んだ。案外、一番楽しみにしていたのは彼女かもしれない。……何処からそのようなモノ(スイッチ)を調達したかは謎だが。
「それじゃあ改めて、行ってみましょうクイズ形式!」
♪仲間を失った孤高の槍使い 黒豹のガジュマ
「ユージーン・ガラルド!」「イアハート正解!」
♪父親は医者、自身も医者の学に長ける 陣術見てみたかたった
「アニー・バース!」「グラスバレー、当たり!」
♪テレジアではフィリアの師匠、自称天才科学者のマッドサイエンティスト
「もしかしてハロルド・ベルセリオス?」「グラスバレー、連続正解!」
♪生き別れになった妹探して町から町を渡り歩く、マリントルーパー
「セネル・クーリッジ!」「はいイアハート、その通り!」
♪屋敷からぶっ飛んだら異世界でした! 断髪前でも唸れ、超振動!
「「ルーク・フォン・ファブレ!」」「二人とも、正解!」
♪クールな見た目と裏腹に、実は無類の可愛いもの好き!
「メシュじゃなくて」「ティア」「グランツ!」「まぁ……ラストも二人で正解だよ!」
♪魔科学に囚われないで、マナが息づくこのガヴァダ、これからもずっと続いて行くの、自然と一緒に何処までも、行こう~
「って、結局早押し形式じゃないのーーー!」
グラスバレーさん、やはり耐え切れなかったご様子。うっぷんを晴らすかの勢いで、それはもう天を衝かんかの勢いだ。
「まぁまぁ、前もこんな感じだったんだしいいじゃない」
やんわりとしたイアハートが居なければ、間違いなく周囲に被害が出ていたであろうレベルであった。イアハートさんマジお手柄。
そんな事も束の間、今度は説明を始めようと頭にイメージを始めたパスカが落ち込みだす。
「ガヴァダはいろんな意味で暗いイメージがあった町だね……」
「そうなの?」
と、覗き込みように見るイアハートに対し、
「他の町と違って町は閉鎖的でアドリビトムは煙たがられてて既に敵の手が回ってて初期のアドリビトムメンバーが異常に少なくて私が記憶を取り戻しちゃったせいでみんなを裏切っちゃったり……」
「「わ、分かったもういいからパスカ!」」
それはもう落ちるところまで落ちると言った感じにつらつらと語りまくるパスカ。暗くなる表情も留まるところも知らなかったため、二人は息を合わせて慌てて止めたとかなんとか。
「あ、あのさ! ガヴァダってところにはどんな人が居たの!?」
何とか話を切り替えようと、グラスバレーが手を打ってみるが……
「ガヴァダはメンバーまで辛い経歴ばかりなんだよ。ユージーンは同胞既に亡くなってるし、アニーはアニーで尊敬する父親も同じく亡くし、セネルは行方不明の妹を追って、少なくともアイリリー、ドープルーン、ガヴァダ、そしてそれ以前もずっと探索し続けてるし、ルークとティアは何も知らない異世界に飛ばされて来たみたいだし……」
「ちょ、ちょっとーーー!」
効果がなかった……。最早グラスバレー、打つ手なし。これまでか……。
「……ところでさ、ハロルドは?」
「……え?」
そんな時に、純粋というか天然というかのイアハート、単純に生じた疑問をぶつけた。ぶつけただけ……なのだが、どうもパスカの様子がおかしい。あれ程見てられないくらい落ち込んでいたのがウソのようにきょとんと呆けている。
そして暫くの後……
「えっと……あの人は、例外というか規格外というか、です」
そう答えた、という。
なんとも要領を得ない答えではあるのだが、二人して納得できるのだから凄いものである。二人の世界のハロルド・ベルセリオスという人物も、相応の人物なのだからある意味仕方無いともいえるのだが……。
『……』
ハロルドの破天荒さを思い浮かべ、暫し沈黙する桜色三つ。それを打ち破ったのは……イアハートでも、パスカでもなく、
「……でもさ」
グラスバレーだった。
「パスカも、ガヴァダのアドリビトムも、町民も、最期には救われたんでしょう?」
「あ……」
ギルガリムから解放されたあの日の出来事。
グラスバレーの言葉でその日のことを思い出し思わずあっけにとられた。
「それならさ、取りあえずはそれでいいんじゃないかな? ガヴァダの人たちも他の人たちも辛い事ばかり目を向けて悲しんで欲しくないと思うよ? ハロルドさんは置いといて」
「そうだよ! きっとその通りだよ! ……ハロルドさんはちょっと分からないけど」
次いでイアハートも同意する。……二人して考えが追い付かないハロルドだけは蚊帳の外に追いやっているが。
「ありがとう……ありがとう、二人とも」
「「どういたしまして」」
うつむくことも無くなり、パスカに笑顔が戻る。もう彼女に心配はいらなさそうだろう。
「それじゃあ、最後になったけど……私の大切な二人……紹介しないとね……」
「あ、結局そこまで言うんだ」
もう何度目になるか分からない純粋なイアハートの疑問。
「だってもうここまでしたら引き下がれないもの!」
「そこでディセンダーと対決した時の台詞の引用!?」
なんでグラスバレーがその台詞を知っているかが永遠の謎。
♪姿は獣、飛行原理は謎、♂♀はっきりしない上に、住んでる世界は上下も争いもなし
♪戦うわけじゃないんだから いいからちょっと黙っててって思った人もいるだろうけど
♪私にとっては大切な仲間 モルモ
♪いくつもの姿を持って、ギルガリムを吹き飛ばすテレジアの勇者
♪初めて会った時、何も知らないにもかかわらず助けてくれた大切な恩人
♪私が裏切っても私の事ばかり心配して、私の事を止めてくれて助け出して受け入れてくれた―――
「その人の名は―――」
***
「やっぱり盛り上がっちゃうね」
「束の間のお茶会の筈なんだけどね」
グラスバレーとパスカが、口々に感想を零す。「まぁ盛り上がる事自体はいいんだけどね」と笑いあう桜色三つ。
「にしても本当にパスカって『その人』の事好いてるよね」
「ちょっ、イアハート!?」
その時横からイアハートが投げかけた言葉は、一瞬でパスカの顔を沸騰させた。彼女自身が大好きな焼きリンゴそのものみたいな顔になっている。
「うんうん、『その人』の事話す時だけ顔と目が違ってたもん」
「ちょっと、グラスバレーまでー」
グラスバレーにまで肯定され、益々赤くなる。彼女自身この感情を自覚し、肯定しているため反論出来ないでいる訳だが。
「うー……もう、次のお茶会の時はイアハートがそっちの世界の事話す番だからね」
「うんうん、ってえぇぇぇ!」
ニコニコしていたイアハートだったが、まるで死に際の輝きのごとく反撃したパスカのおとした爆弾によって、此方も一気に顔が赤くなる。
「当たり前よ! 私だけ何ておかしいじゃない!」
「で、でも私の世界のアドリビトム人多いし……」
「問答無用!」
「うぅ……」
悪意こそなかったとはいえ、自分の言葉を完全に返されたイアハート。同情の余地は……無いかもしれない。
(……よかった、私に来なくて。でも……いずれ、私も同じ事しないといけないのかなぁ)
そして、一人意図的に空気になる事で回避しつつ内心不安になるグラスバレーであった。さわらぬ神にたたりなし、か。
――イアハートのディセンダーの事聞くためにも、絶対次回もお茶会やるわよ、グラスバレー
――目的変わってない!? パスカ落ち着いてよ!
――まぁいいか。こうして盛り上がれるなら話すのも悪くないのかも。
―――みんなでラヴ・ビート! ~in テレジア~――― 終わり
初めまして。
『今 更 な が ら』マイソロ1突破したので思わず書いてしまった次第。本当に今更ですが。
以前投稿していたサイトが封鎖されて久しく(と言っても自分が投稿しなくなってからも久しいんですが)懐かしんでるうちに執筆欲とテイルズ欲が湧いたってのもあるんですが。
それはさておき、某曲の様な疾走感溢れるハイテンポな感じを期待していたのなら本当に申し訳ないです。久々に書いたら自分でも全然納得いかないというね……。
何ともグラスバレーがツッコミ固定化されたり、合間合間の♪(歌)部分が適当感しかなかったり……
そもそも方向性が今一ぶれてる希ガスry まぁそれでも投稿してみたくなったのは一体……。
グラニデver以降続きそうな終わり方してますが、続きは全然考えてません(そんな余裕も時間もないしネタも……)むしろ誰か代わりに(ってォィ
感想、指摘あればお願いします。