真剣で私に恋しなさいとか言われてもな   作:怜哉

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ちょっと忙しくて目を離した隙にとんでもない量のお気に入りを頂いていて目を疑いました。みんなまじ恋SSに飢えてたんやなって。

赤茶パックさん、zerosanbrackさん、Pteraさん、みるふぃーゆさん、ゲンディさん、カラド・レライエさん、高評価ありがとうございます!


進学には大きな夢を馳せるが、現実は大して変わらない

 

 

 

 2006年、3月末。

 風間ファミリーは全然無事に受験戦争を勝ち残り、この春から川神学園の生徒になることが決定していた。

 変わったことと言えば、京も川神学園に合格し、小学校以来の同校通学になることくらいだ。

 

 

 そんな、花の高校生活をどう謳歌しようかとそれぞれが夢を膨らませている最中。

 

「旅行に行こうぜ!」

 

 いつものように金曜集会を開いていた時、翔一が言い出した。

 マリ〇カートをしていた和樹、大和、モロ、ガクトはゲームを中断することなくそれ答える。

 

「旅行? キャップの気まぐれ旅に同行ってのはしんどそうだからパス。あ、クッソ! 誰だ雷打ったの!」

「右に同じく。気付いたら海外でした、とか普通にありそうだし。は? え、いやなんで最後尾だったモロが突然トップに出てくるんだよ!」

「海外に行く前に気付きたいところだけどね。マ〇カーには無数のワープポイントがあるんだよ大和」

「よっしゃキラー来たぜ! これで一気に追い上げ...あーッ!? なぜ落ちる!?」

 

「なぁ和樹ぃ、私に代われよぅ」

「モモはダメ。コントローラーぶっ壊すじゃん」

「加減するからぁ、な?」

「そう言って無惨に散っていったコントローラー達の残骸の山がそこにあるんだけど」

 

「京ー、何読んでるの?」

「ん、恋愛小説。興味ある?」

「んーん、全然。けど、和樹がたまには活字を読む練習しろって〜」

「そりゃお前、受験前の話だろ。今更読み始めても遅...あ、こらモモ! 奪うな!」

「へっへー! ......あっ」(コントローラーが握り潰される音)

「「「「加減は!?!?」」」」(和樹、大和、モロ、ガクト)

 

 

「あっはっはっは! お前らホント自由だな!」

『キャップにだけは言われたくない』

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 

「で? 旅行って何だよ、キャップ」

 

 モロの独走、コントローラー破損により動かなくなった和樹の未ゴールドンケツで決着が着いたあと。

 コントローラーの供養もほどほどに、和樹は翔一に聞き返した。

 

「ああ! 中学ももう終わって、来月から俺たちも高校生だろ? その前にみんなで旅行に行こうぜっ!」

 

 なるほど、いわゆる卒業旅行かと。翔一の提案に一同は理解を示す。

 百代は「私はもう高校生なんだがな」などと呟いているが、全員気にしない。

 

「いいじゃん。行先の目処は立ってるの?」

 

 大和が言った。

 これで決まっていないとなれば、本格的に冒険が待っているかもしれないという怖さもあり、その確認だ。

 だが、そんな大和の心配も杞憂に終わる。

 

「京都だ! 和樹の里帰りも兼ねてな!」

 

 幼さの残った、ニカッとした眩しい笑みを浮かべる。

 和樹が川神に来てから、里帰りはできていない。というのも、京都には六角家はもうないからだ。現在の六角家は川神にある。

 元々和樹と母親が住んでいた家は、借家として六角家の家計の足しになっている。今は別の家族が住んでいるのだ。

 

 翔一としては、和樹が喜ぶだろうと思っての選択だった。もう高校生になるとはいえ、故郷への想いはあるだろうと。

 しかし、翔一の案を聞いた和樹は、悪い顔はしないものの、あまり明るい顔もしなかった。

 

「京都かー。まぁいいんじゃないの?」

「ん? なんだ和樹、そんなに嬉しくないか?」

 

 素っ気のない返事に、良い事を思いついたと思っていた翔一が意外そうに聞く。

 

「いや、別に嬉しくないってわけじゃないけど」

「けど?」

「里帰りっていっても、実家は川神にあるしなぁ。まぁ京都の観光名所とかあんまり行ったことないし、みんなで行くのも楽しそうだし、反対じゃないよ」

 

 けど、と和樹は更に続けた。

 

「気遣いありがとね、キャップ。嬉しいよ」

「おう、そうか? まぁ和樹がいいならいっか! ほかのみんなはどうだ?」

 

 百代らからも特段反対意見は出ず、じゃあ京都に行くかと話が進んでいく。

 京都のあそこに行きたいアレが食べたいなど盛り上がっているなか、和樹は携帯を取り出し、メールを打つ。

 

 

『近々京都に行くことになった』

 

 

 送信し、携帯を閉じようとする。

 が、その前にメール受信を知らせる通知音が鳴った。

 

 

『え!? いつ!?』

 

 

 そんな返信を読み、和樹は翔一に聞く。

 

「キャップー。旅行っていつ行く?」

「明日だな! 二泊三日だ!」

「そりゃまた急だね」

 

 

『明日から二泊三日だって』

 

『近々過ぎるじゃん! ていうか一週間くらい九州に遠征行ってるんだけど。来週にならない?』

 

 

「遠征ってなんだよ」

 

 

『ならないね。グループで行くから、さすがに俺個人の意見で変えるわけにも』

 

『そんな...(´•ω•̥`)』

 

 

 

 少々腹が立つ顔文字を最後に、和樹は携帯を閉じる。

 

「最後に清水寺の舞台から飛び降りようぜ!」

 

 翔一が楽しそうに計画を話している。

 その程度の高さなら問題ない女性陣と、普通に命の危機がある男子陣で反応が別れているのを見て、和樹は少しばかり心を踊らせた。

 

 

 

 

 

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