ファンファーレと共にゲートに入っていく私は9枠13番
13人出の争いになる
私はスッとゲートに入り、集中力を高める
『さぁ各ウマ娘ゲートに入りました』
ガゴン
『スタートです!』
私は相変わらずのロケットスタートで他のウマ娘より半歩先に行くと、少し脚を使いながら逃げをする
(大外から無理に内側に食い込めば反則を取られかねない……練習通り緩やかに内側に進撃しよう)
私に負けず劣らずの好スタートをしたマイネルエスケープが逃げにいこうかうかがっているところにスターリーロマンスが逃げの体勢にはいるが、私がすかさず合わせにいく
「先頭は貰うよ」
「くっ!!」
コーナーに入る頃には私が先頭で真後ろにスターリーロマンスが来る形になる
クロフネとジャングルポケットは5番手6番手で走っている
私が警戒しているアグネスタキオンは8番手で周りをじっくり観察しているようだ
先頭にいる私は後ろにピッタリついてきているスターリーロマンスしかわからないが、あれだけマークすると言っていたジャングルポケットは中段に居ることから先程の発言はブラフ
狙いはクロフネと見た
600メートル通過タイムは37秒とやや遅め
(前にいるてもわかるぐらいビンビンにオーラを感じる……クロフネは私を見ているな)
(そろそろ差をつけていかなければ)
800メートルの時点で私は進撃を開始する
スターリーロマンスから差を1バ身から2バ身、3バ身と差を広げてゆく
1000メートルの通過タイムは1分0秒8、残り1000メートルであれば私ならロングスパートでも脚が落ちる心配はない
『ガイアファースト動いた動いた! スターリーロマンスから更に差を広げてゆく! クロフネもたまらず動いた動いた! マークしていたジャングルポケットも動き始める!』
マイネルエスケープの気配がするカーブで差を詰めてきたか?
残り800メートル、私は差を確認するために一瞬後ろを向いた
背筋が凍った
何かが光輝いているように見えた
周りが真っ黒に塗りつぶされたかのようにも見えた
ゾワッとした
私は残った脚を使い後ろから来る何かから逃れようとした
(クロフネ? 違うジャンポケでもない! ……あれは……アグネスタキオンだ!)
「ふふーん、十二分に見させて貰った。そろそろ捕らえるとしよう」
残り600メートルの時点で私ことアグネスタキオンはクロフネ君とジャングルポケット君を射程距離に捕らえていた
(おや? ガイアファースト君は私に気がついているな! 面白い! 私のゾーンと君の逃げ、どちらが強いか勝負だ)
次の瞬間、私の周りから音が消え、視界が白黒に変化する
「これがゾーンというものなのだよ」
私は変人であった
授業中にも実験を繰り返し、同室のマンハッタンカフェにも実験と称して色々やってきた
それはウマ娘を次なる次元へと導くため
この小さい頃から集中力が高まると私はこのゾーンに入ることができた
他のウマ娘達はそれを理解できず、変人と私の事を言い、それを解明するために日夜実験を繰り返した
そんな変人である私を正面から受け止めてくれたトレーナーや、変な実験に協力してくれているマンハッタンカフェには心より感謝している
彼らに証明したいのだ
選抜戦を拒否し続け、全ての始まりであるシンボリルドルフとの併走
そう、私は自身で証明するのだ!
限界のこの先を!!
【超光速の粒子】
私は完璧で有ったハズだ
他のウマ娘の先頭を走り、更に加速して突き放したハズなのだ
なのに……なぜ横にいるアグネスタキオン
私のことが見えていないのか
涼しい顔をして私の横を通りすぎようとしている
冗談じゃない!!
「私はファースト! 1番なんだ!!」
狂気の血統
父親がお母さんのお父さんというハプスブルク家並みの近親交配から生まれた異常者が私だ
健康体で心身異常がないのが奇跡だろう
そんな私はここで負けてよいのか?
否否否!!
次のチャンスが有るかわからないのがウマ娘の人生だ
私は1着が欲しい!
最後に残った気合いで脚を更に加速させようとする
「どうして!? なぜ1歩がそんなに遠いんだ!!」
『先頭はアグネスタキオン! アグネスタキオンだ!! ガイアファースト驚異の粘りだが1歩届かず!! アグネスタキオンホープフルステークスを見事勝利!!』
「……もう終わりか」
「タキオン!!」
「なんだい? ガイアファースト君」
「次は負けない! 私が1着になる!」
「ふんー! 見せてくれたまえよ、私より超えたこの先を」
1着アグネスタキオン 1分59秒9 上がり33.7
2着ガイアファースト 半バ身
3着ジャングルポケット3バ身
4着クロフネ 1/4バ身
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