どす黒いウマ娘   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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弥生賞

 ホープフルステークスでアグネスタキオンに完敗した私は弥生賞に向けて調整を開始した

 

 中長距離路線であるクラシックシリーズ

 

 ティアラに進む事も考えたが、私は三冠路線を目指すことにした

 

 しかし、最大のライバルになり得るアグネスタキオンを倒すためには彼女が到達していた領域に私も入らないといけない

 

 それを人は領域と呼ぶ

 

「時代を作ってきたウマ娘達は必ずこの領域に入っている。マルゼンスキー、TTG、ミスターシービー、シンボリルドルフ、メジロマックイーン、トウカイテイオー、サクラバクシンオー、ライスシャワー、ビワハヤヒデ、ナリタブライアン、マヤノトップガン、フジキセキ、マチカネフクキタル、サイレンススズカ、98世代の4強、テイエムオペラオー……そしてアグネスタキオン」

 

「星子はこれらのスターの領域に入ることがアグネスタキオンに勝つための最低条件となる」

 

「……お母さん」

 

 練習中にフラりと現れたお母さんことガイアが言ってくる

 

「まぁその領域に既に突っ込んでいる妹が居るでしょ」

 

「……!? ラビット!?」

 

「そう、ラビットは領域を会得しているよ。で、私なりに領域を人工的に起こせる施設を作ってみた」

 

「……え? 作った?」

 

「青森のトレーニングセンターに作ったから来なさい。1学期間遠征許可頂いたから行くよ!」

 

「へ!? 椎名トレーナーには?」

 

「もう言ってあるし、許可も貰った。3月までの残り2ヶ月あっちでトレーニングするよ!!」

 

「え、えー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏休みぶりにつれてこられた青森トレーニングセンターに見覚えのない箱ものが建造されていた

 

「お母さんこれは?」

 

「低酸素トレーニング施設……人工的に高山でトレーニングしたのと同等の練習効率を出す施設だよ」

 

「低酸素トレーニング……」

 

「山登りさせても良いけど、それだと効率が悪いからこの施設でみっちり走り込んで貰うよ。特注のウマ娘専用ランニングマシーンの上を走ったり、筋トレするだけで効果有ると思うから」

 

「実験したの?」

 

「何人ものウマ娘達の協力で実験効果はあがってるから問題ないよ。これには筑波大学のスポーツ医学部の研修も受けてるからね。安全性は保証するよ」

 

「そ、それなら……」

 

「あとはちびっ子達や私が海外から雇ったウマ娘のコーチ達に併走トレーニングをしてレース感を培って……あとはラビットに聞いて、領域に踏み込んでるの彼女しか居ないし」

 

「わ、わかった……でもこんなにお金かけて採算は取れるの?」

 

「採算度外視に決まってるでしょ! まぁ数年前に買収統合した通販サイトのアマゾネスが世界規模で売上伸ばしているから大丈夫だけど……」

 

「そんなに大企業になってたんだ……」

 

「あ、数年後野球チーム買収しようと思ってるからヨロシクー」

 

「え!?」

 

「ささ、早速低酸素トレーニングしてみよう!!」

 

「は、はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々試してみたが領域に私は到達することができなかった

 

 しかし、体は一回り大きくなり、パワーをつけて弥生賞に出走することになる

 

「学園を飛び出してトレーニングをしてきたようだがどうだったかい? 私に勝てるビジョンは見えたかい?」

 

「アグネスタキオン……」

 

「ふむ、青森トレーニングセンターには私の知的好奇心を擽る様な施設が有ると聞いているんだが……心当たりは無いかね?」

 

「低酸素トレーニング施設かな?」

 

「そう! それだよ!! 実に興味深い! 君の筋肉の質は計測しなければわからないが良い肉付きをしているといえる。体幹のバランスも良い! 私が居なければホープフルステークスも勝てていただろう」

 

「今日は勝つよタキオン!!」

 

「やってみたまえファースト」

 

 

 

 

 

 

『さぁやって参りました第38回弥生賞9人のウマ娘でお送りします』

 

『注目は1番のアグネスタキオン、その末脚はシニアクラスと遜色有りません。昨年アグネスフライトで初ダービーを取った内河トレーナーがアクセスフライト以上と太鼓判を押した天才はここを勝って無敗で皐月賞に挑めるのか』

 

『対抗は2番のガイアファースト、新興グループ企業のガイアグループの長女となります。ホープフルステークスでは2着でしたが、それまでの3戦は全て7バ身以上の圧勝劇……逃亡者はこの一戦で逃げきることが出きるのでしょうか!』

 

『それに待ったを懸けられるかボーンキング! 京成杯を勝っています。距離の適正は十二分』

 

『さぁゲートインが始まります』

 

 

 

 

 

 

 

「ガイア会長このレースは見る価値があるので?」

 

「限界突破はできなかったが十分に仕上げることができた。なーに、ファーストが勝つのはアクセスタキオンが故障してからでも良い、アグネスタキオンは既に壊れかけている……このレースでどれだけ負荷をかけられるかで皐月賞が決まる」

 

「そうなのですか……私にはよくわかりませんが」

 

「おいおいしっかりしてくれよ秘書君……いや、ジェニュイン君。君は偉大な皐月賞ウマ娘なんだから」

 

「いや、まぁ私は色々成り行きというか……会長に拾っていただけなければ困窮していたと思いますし」

 

「レースの賞金はどうしたんだい? 沢山有ったろうに」

 

「いや……若い恋人に貢いでしまって……」

 

「おぉ……もぅ……トレーナーやコーチとしての適正も高くないんだから秘書としてシャキッとしてくれ、大企業の筆頭ではないものの秘書なんだから」

 

「すみません不器用なもので……」

 

「さて、始まるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ファンファーレが終わり、各ウマ娘ゲートに入りました弥生賞いざスタートです』

 

 ガゴン

 

『ポーンと勢いよく飛び出した2番のガイアファースト先頭を取ります……おおっとこれはデルマポラリスと競り合っています先頭争いデルマポラリスが譲る形か、ボーンキング、アグネスタキオンはここの4番手、後ろに圧力をかけていきます』

 

『ニシノフェニックス、ミスキャスト、マンハッタンカフェ、ダイイチダンヒル最後尾にハリケーンルドルフとなります』

 

『さぁ第一コーナーに入っていきますガイアファースト内ラチギリギリを攻めます後ろにデルマポラリスがすぐ後ろ、アグネスタキオンはボーンキングをピッタリマーク』

 

『さぁ第二コーナーが終わって直線となります。ここから動くウマ娘はいるのでしょうか』

 

『縦長の展開後ろの子達はそろそろ詰めないと危ないぞ! 1000メートル通過タイムは1分1秒ちょうど、1分1秒ちょうどになります』

 

『後ろの方で動き有り、ハリケーンルドルフが最後尾からマンハッタンカフェの横にピタリあがってきました』

 

『じわじわとアグネスタキオンあがってきた! ガイアファーストこれは危険な範囲内! アグネスタキオンの射程距離だ!!』

 

『第四コーナーを回って既にアグネスタキオン2番手! ガイアファーストとは1バ身差! これは捕らえるかアグネスタキオン捕らえるか! 捕らえた捕らえたアグネスタキオン残り100メートルで捕らえた! ガイアファースト粘る! 粘るが差し返せない!! 1バ身つけてアグネスタキオンゴールイン!! タイムは……2分2秒5! 2分2秒5!! これは不良バ場のタイムではない! アグネスタキオン異常な強さ!! 皐月賞はただ貰いか! 格付け完了!!』

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