フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
今回はソルオール村のフューリー回になります。
少しオリジナルになってます。なので、ザンクがちょっとまとも?に見えるかもしれません。
個性豊かなザンクの部下も書いてみました。(寧ろこれが書きたかったまででもある)
それではどうぞ。
なんやかんやあって、無事にシュケスーの塔のフューリーを取れて数日後。
ロロから、大都市ゼルウィンズの南に位置する村、ソルオール村にフューリーがあるとの事。
だったのだが……
『そこの村で管理されてるフューリーがあるんだけどね? 最近、ザンクっていう荒くれフェンサーがその村を乗っ取っちゃって、フューリーを自分の物にしたらしいよ』
現状あんまりよろしくないんだよ。とロロが詳しく教えてくれたのだ。
一応、レイルの方でも酒場のマスターからソルオール村について訊いたのだが、マスターの方も最近いい噂を聞かないですねと言っていた。
ソルオール村はワイン製造で有名なので、ロロの情報とマスターの情報と合致するのだ。なので一行は現在ソルオール村に向かっている最中である。
「なあ兄貴、なんでローブなんて着るんだ? 寒いのか?」
もう少しで村に着く時に、何故かフード付きの黒いローブを着始めたレイルを見て疑問に思ったファングが訊く。
「それもちょっとあるけど、ファング達と別行動用にちょっとね? 今回のフューリーは少し手がかかりそうな気がするから、念の為にね」
なんでもレイル曰く、十中八九だがザンクというフェンサーはソルオール村の人々を人質にしてそうな予感がするらしいのだ。
「だからファング達が村のフューリーを回収してる間に僕は先に村に侵入して人質を助けに行ってくるよ」
「うーん……兄貴1人だけ行かせるってのもなー……」
「……フフフ、相手の焦る顔が目に浮かぶよ」
「な、なんかレイル、楽しそうね……ちょっと怖いけど」
ソルオール村にいる敵がザンク1人だけとは限らないので、さり気なく数を減らしてくると言うレイル。フードを被ってる為か、表情が視えない彼の笑い声を聞いて引き攣った笑みを浮かべるアリン。
そんなこんなでレイルはファング達とは別行動を開始するのであった。
◇
「戦え! 親と子! なんなら恋人同士で! オレは人間の情というヤツが壊れていくのが大好きなんだ! ギャハハハハハハハ!!」
「……(思いのほか簡単に侵入できた)」
村の入口の反対側に居た見張りの兵士を気絶させ、ソルオール村に侵入したレイル。気配を消しながら広場らしき場所に向かうとそこには件のザンクが居た。周りには村人らしき人達が地に伏していた。
「ど、どうか、お許しください……! このままでは村が滅んでしまいます……」
「なんだテメエ? ならテメエが戦え。確かテメエにはひとり娘がいたっけな……生き残った方を助けてやる」
「……む、娘だけは……お助けを……!」
あろうことかザンクは村長と思わしき人に自分のひとり娘との殺し合いを要求してきたのだ。
「……(人質の扱いを分かってるやり方だな。認めたくはないけども)」
その様子を陰で見てたレイルはザンクのやり方は非道的だが、理には敵ってると思った。一般的に見れば卑怯だと思われるかもしれないが、これがもし『敵陣を取る戦い』だったら話は別になる。
「代わりに、私が……!」
「バカか、こいつ。自害しやがった。ケッ、
「…………」
「……(あの金髪の人、さっきもそうだったけど、もしかして……)」
その場で自害した村長を見て吐き捨てるように呟くザンク。その隣で複雑そうな表情をしてる金髪の青年がレイルは気になった。もしかしたら悪い奴ではないかもと感じた。
「おい、娘を連れて来い! バラバラにしてお手玉にしてやる!」
「キャハハハ! いい! それいいっ!」
兵士に命令するザンク。お手玉と聞いて、ザンクのパートナー妖聖のデラが面白そうに笑う。
「相変わらずですねぇ、ザンク」
「あん? よう、パイガじゃねえか」
「っ!?(なんでパイガのとっつぁんがこんな所に居るの!?)」
現れた眼鏡をかけた男、パイガの姿を見たレイルは目を見開く。彼を見かけたのは、ドルファ主催のパーティ以来なのだから。
「なんだ? 首尾よくフューリーを手に入れたオレに褒美でも持ってきてくれたのか?」
「確かに
「……(私達?)」
パイガの『私達』という発言にレイルは疑問を感じた。この言い方だとザンクも関係してるという事になるからだ。
「もっと穏便に事を進めるようにと上からのお達しがあったのですよ」
「おい、オレのやり方にケチつけようっていうのか!?」
「い、いえ、私ではなく上からの通達です。いいですかザンク。
「っ!?(あいつが……ドルファの幹部!?)」
その言葉は普段冷静なレイルが衝撃を受けるのに充分だった。まさかここ居る兵士は全員ドルファ兵士かと思ったが、レイルが知ってる鎧とは全く違っていた。……となると、ザンクの親衛隊みたいなものだろう。
「(ここでの出来事を解決しても、いずれ……いや、近い内に今とは違うドルファのみんなと戦う事になる。それなら……)」
それならこれを機に自分のこれからを決めよう。目的こそは変わってないが、かと言ってソルオール村を放っておけないのも事実だから。
「……ところでフューリーは保管してあるのでしょうね?」
「忘れちまった。その辺にあるんじゃねえの?」
「わ、忘れたって……!?」
「(という事は、村のフューリーは別の場所にあるのか……)」
少なくともザンクが持ってないだけ有益な情報だ。なら自分は人質を救う作戦に専念できる。フューリーとザンクはファング達に任せる事にしよう。
「ザンク様」
「何だ?」
するとザンクの親衛隊の兵士がやって来た。
「村に入ってきたよそ者を捕らえたのですが、ザンク様に用があると申しておりますが、いかが致しましょう?」
「どんな奴だ」
「はい。その、なんか勇者様御一行などと意味不明な事を言っておりました……」
「勇者だと……? 面白え冗談を言うヤツだな、通せ」
「はっ」
ニヤリと笑ったザンクは兵士に通せと命令した。兵士が言っていた勇者様御一行というのは、ファング達の事だろうなとレイルは思った。
「ファング達も上手く潜入できたみたいだし、僕達も動こうか」
「……(こくり)」
『うん』
『そうね』
レイルの合図にホロンとティルア、シャルが頷いた時だった。
「ザンク様!」
「あん? 何だ?」
先程の兵士とは別の兵士が入れ違いで慌てた様子でやって来た。
「隊長から伝言で、村に入ってきた侵入者を捕らえる許可が欲しいと」
「侵入者だあ? さっきの勇者とかほざいてた奴らじゃねえのか?」
「あ、いえ、それが……」
兵士がザンクに説明しようとした時、反対側の村の入口から『隊長、落ち着いてください!』とか『おい! 誰か隊長を押さえろ!』とか『ポポーン、こんな地味な嫌がらせされて黙ってられっか~……ヒーハー!』等が広場まで聞こえた。
「……おい。何があったか一から説明しろ。アイツがあんなに荒れた声を出すなんて相当だぞ?」
「は、はい。隊長が反対側の入口の見張りの兵士からの連絡が遅いので、直接見に行ったのですが、兵士が気絶しており、隊長が落ちてた槍を手に取ったのですが……その、
「なんだその地味な嫌がらせは!?」
「しかも隊長曰く、蜂蜜も塗ってあったそうです。挙句の果てに『引っかかってくれてナイス!』と侵入者からの煽り文が地面に書かれてまして……」
「……それで今に至るってか?」
「はい」
それを聞いたザンクはしゃあねえなと言いながらも溜息を吐いた。
「ザンク様!」
「チッ、今度は何だ……って、お前はなんでボコボコなんだ!?」
「……隊長を押さえてたら、巻き添えを喰らいまして。そ、それより、これを! 」
すると今度は何故かボコボコの兵士がザンクの元にやって来た。手に持っていた1枚の紙をザンクに手渡す。紙には『ザンクって実はアホなん?』と書かれていた。
「……捕らえる許可を出そうと思ったが前言撤回だ。おい、アイツに伝えておけ。お前の好きにしていいし、何だったらぶっ殺してもいいってな!!」
「はっ!」
「ふむ。私達は隠れた方が良さそうだな」
「そうしましょ(……? どこからか懐かしい気配がするわね~。気のせいかしら?)」
内容を読み終わったザンクはブチ切れながら兵士達に命令した。その間にパイガと
「ホロン。パイガのとっつぁん行った?」
「……(コクコク)」
「……ふぅ。危うくビビアに気づかれるところだったね?」
「……(コクコク)」
パイガが去った後の確認したレイルはホロンに確認をとる。実はビビアの気配察知に引っかかるところだったのだ。ビビアはクララと違って、気配だけでホロンの存在を認識できるのだ。
「……(面倒事になる前に行動開始しますか)」
とりあえず今は人質が捕らわれてる場所を誰にも見つからずに捜す事にするレイルだった。
読んでいただきありがとうございます。
この回は2話か3話くらいに分けようと思ってます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。