フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
前回の続きになります。今回もオリジナルになっています。
それではどうぞ。
ソルオール村の地下牢でザンクの親衛隊長、ロンギと交戦になったレイル
「ヒャッハー!」
「……」
長槍による連続突きをアイスピックで弾くレイル。
「ヒーハー! よくそんな短い針モドキでオレ様の槍を躱せるねえ~!」
「……そっちの得物が長槍だからね。いつもの武器じゃ心許ないと思っただけだよ」
「ならこいつはどうだ~? ほうわったぁー!」
そう言うとロンギは、長槍を横に振り払った。即座にしゃがむレイル。攻撃を上手く躱せたが、牢屋の周囲が真っ二つになっていた。
「……(地下牢の地形を変える程の腕力、あいつもう人間じゃないな)」
そして気づけば、地下牢の広場らしき所に居た。何せ、移動しながらの戦闘を行っていたのだから気にする余裕なんてなかったが。
「シャオオオォォォ!!! 串焼きになるれぇぇぇっ!」
「(疾い……けど……)」
雷のような踏み込みでレイルに突っ込むロンギ。
「……ふんっ!」
「ぬあに!?」
即座に質量分身させたアイスピックを2本投げたレイル。スピードを殺されたロンギは投擲されたアイスピックを躱しながらもそのまま突っ込む。
「いっただきぃぃぃっ!」
「……遅い」
振り下ろされる長槍を躱すレイル。一瞬だけ緩まった踏み込みなら躱す事は造作もないのだ。
「ヒーハー! お前いいね! さあもっと楽しもうぜ? レッツエンジョイ!」
「……お断りっ!」
◇
「ファングさん、これを!」
「す、凄えパワーが沸き上がってくる……これが、ソルオール村のフューリーなのか……!?」
無事に地下迷宮でソルオール村のフューリーを見つけ出し、ファング達と合流したティアラはソルオール村のフューリーを投げ渡した。
「テメエッ、どうやって地下牢を脱出した!?」
「簡単な事です……地味な嫌がらせをされたと言う、変な人には絡まれかけましたが、お義兄様に助けていただきました!」
「……地味な嫌がらせをされた奴だと? っ! オレ様の事を実はアホだとかほざいてたクソヤロウの事かーっ!!」
ティアラの言葉の意味を理解したのか、フューリーフォームしたまま地団駄を踏むザンク。緑色のカメレオンを巨人にした姿……というより怪物の姿で悔しそうに地団駄を踏む姿は滑稽極まりないが。
「あれだけフューリーを保管しておけと言ったのに、奪われてしまうとは……責任を取れよ、ザンク……!」
物陰に隠れザンクとファングの戦いを見ながら呟くパイガ。
「テメエら、このオレをこけにしやがって……! 全員ぶっ殺してやるっ!!!!」
「上等だ! 来いアリン!」
「うん!」
反撃開始だとファングが剣を構えた時、爆発音が鳴り、それと同時に左側の壁が壊れて誰かが吹っ飛んできて態勢を整えていた。煙が晴れるとそこに居たのは長槍を持った男だった。
「ぐっ! なんだあいつは!?」
『長槍の……男?』
「よぉ、ロンギじゃねえか。お前が掠り傷なんて珍しいなぁ、オイ?」
「ありゃー? 気づけば、ザンクくんが居る場所まで来ちゃったでしゅか? そうなんよー。だーけど、流石に今の一撃であいつも死んで…………っ!?」
何かを感じたロンギが長槍を構えた瞬間、弾丸のような何かがロンギに突っ込んだ。長槍で受け止めるが、突進による衝撃波の余波のせいで壁際までぶっ飛ばされた。
「……いちいちよく喋るな。ほんとに」
「兄貴!」
「ん? あれは……っ!? な、なんでレイルがこの場に居るんだ!?」
ロンギをふっ飛ばした者の正体はレイルだった。彼が無事な事に安心するファング達。まさかの人物の登場に驚くパイガ。
「ヒーハー! 今のはちょ~っと痛かったな~……お陰でお気に入りの服がボロボロで~すよ。困ったポン!」
「……チッ(壁にぶつかる直前で受けるダメージを減らしたな、あれ……)」
未だに服だけがボロボロだけの状態のロンギを見て、軽く舌打ちをするレイル。
「……」
「っ! ヒーハー!」
今度はレイルが突っ込みアイスピックで攻撃を仕掛ける。そしてレイルの攻撃を見切るかのように、ロンギは長槍でアイスピックの攻撃の軌道を弾き返す。
「嘘だろ。隊長の攻撃が当たらないなんて……」
「あの野郎……ロンギの槍捌きを完全に見切ってやがる。あのガキ、一体何モンだ……」
「速過ぎて目で追いつけねぇ……」
『あ、あたしも……』
「ええ。相手も方もですが……」
「確かに敵さんの槍捌きも大したもんさね。あの短い武器で渡り合うレイル君もだけど」
両者による神速の斬り合いは、この場に居る敵味方全てを驚かせるのに充分だった。
「喉の仏、も~らったぁ~!!!」
「たあっ!」
「何っ!?」
急所を狙った突きによる攻撃をレイルはアイスピックで下から突き上げて長槍の中心を目掛けて弾き、ロンギの態勢を崩す。その僅かな隙をレイルは逃さない。攻撃の手を緩めず攻め込む。
「はあっ!」
「ちっ……! ほうわったぁー!」
相手のゼロ距離に入り込んだレイルは、身体を回転させ加速力を起こし、アイスピックでロンギの首元を狙い刺すが、寸前の所で止められた。アイスピックを弾き返し、間合いを取るロンギ。
「ヒーハー! いいよ! お前いいよ! この場で殺すのが惜しいくらいだよ! ヒーハー! ザンクくん~。オレ、こいつをお楽しみのハンバーグにしたいんだけど?」
「お前がそう言うなんて珍しいな。この村のフューリーはこいつらに取られちまったけど、どうするよ?」
「フューリーなら別の場所で回収すればいいんじゃね? 場所の目途はついてるし、後でこいつらを殺した後でも奪えば済むし」
「それもそうか」
狂ったように笑いながらロンギはザンクに言う。それを聞いたザンクはフューリーフォームを解除しながらニヤリと笑った。
「ファングとか言ったな? そのフューリーはくれてやる。良かったな? お前、命拾いしたぜ?」
「何だと!? 負け惜しみか!」
「あ? んな訳ねえだろ。機嫌が良いロンギが
「そーそー。お楽しみの奴に取って置く。そういう子なんだよオレは」
「……っ!(それって、まさかあの……!?)」
「っ! 厄災魔法だって……!?」
ザンクの言葉に噛みつくファングに対し、レイルとハーラーは『厄災魔法』という言葉に反応した。
「お前ら! 退くぞ! 今日は宴会だ! 上が何か言ってきたら、オレとロンギが言い返してやるから安心しろ!」
「可愛らしいそこのガキ。お前の顔、オレ覚えたぞ~? さあ~て、みんな行くよーん。他の部隊にも伝えといてねーん。今日はパーッとやるから、食材と酒の買い出しはよろしくねーん」
「はっ! 撤退だ! 退けーっ、退くのだ! ……ところで、今日の晩飯担当は誰だ?」
「お前じゃね?」
「は? いや自分、昨日隊長と一緒に作ってましたし!」
兵士達に命令したザンクとロンギは去っていった。兵士達は兵士達で何故か今晩のメニューを各々口にしていたが。
「あ、あの2人はまた勝手な事を……」
「でも部下の子が報告書を持って来てくれるからいいんじゃない。レイルとホロンの事はどうするの? あの子達、多分ザンク達の事知らないと思うけど?」
「そ、そうだな。それも含めて、直ちに報告せねば……!」
物陰に隠れていたパイガはビビアの助言もあって、上にどうやって報告するか考えながら去っていった。
「……やれやれ。面倒な奴に付きまとわれたかも。厄災魔法って単語を聞くとは思わなかったけど……」
「確かにね。私もあの言葉は、嘘には聞こえなかったけどね」
レイルもファング達に合流。そしてハーラーが気になる事もあるけど、帰るとしますかと言った時だった。
「ちょっと待ってーな、ファングのダンナ!」
金髪の青年が声をかけてきた。
「ファング。なんか呼ばれてるよ?」
「あ! お前は……誰だっけ?」
「ズゴーーーーーー!!」
「……いや、知らないんかい」
ファングの反応にレイルが冷静に突っ込み、金髪の青年はズッコケる。
「ガルドや、ガルド! ガルド・ガルムズオムや。さっきダンナと熱いバトルを繰り広げたフェンサーや!」
「ああ、そうだったな。うっかり忘れてた」
「アリンちゃん。説明を求む」
「あ、あたし!? えっと……」
なんでもアリン曰く、このガルドという青年はザンクが指定した御前試合の相手だったらしい。
「ワイな、アイツらの残虐非道っぷりには、ほとほと愛想を尽かしとったんや。ほいでな、ワイ、決めたんや。今日からダンナについていくでー!」
「は?」
突然ついていくと言われ、目が点になるファング。
「敵のワイを助けた、ダンナのバカさ加減に惚れたんや! ダメって言われてもついていくでえ!」
そう言って本当についてくるガルド。
「ちょっとファング、ホントについてくるよ、どうするの?」
「別にいいんじゃねえか?」
「ほ、本気ですの!?」
ファングの判断に驚くアリンとティアラ。
「おおきにっ、ファングのダンナ!」
「うちのガルドちゃんをよろしくお願いします~」
喜ぶガルドに、彼のパートナー妖聖の女性、マリサが頭を下げた。
「皆さん、ワイのこれからの活躍、期待しとってや」
「フッ、賑やかになりそうだね」
「色んな意味だけどね?」
ガルドを仲間に加えた一同は、広場を抜け出して、ソルオール村を後にし、大都市ゼルウィンズまで戻るのであった。
読んでいただきありがとうございます。
ガルドが仲間になるところ(空気だったけど)は原作と同じですが、ザンクの最後だけ少し変えてみました。
まだ生存させます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。