フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。オリジナルになっています。

それではどうぞ。


第30話 双方が納得する形も時には大事

「す、すげぇ……今の何が起きたんだ?」

「全く見えなかった。あたし、レイルが敵じゃなくて良かったって思うわ……」

 

ファングとアリンの言葉にティアラ達も頷く。自分達が見た事がない剣技やフューリー形態であっさりと骸骨を倒したレイルを見たファング達は戦慄した。仮にレイルが敵だったらと思うとゾッとする。

 

敵に回したくないフェンサーの1位に入るだろう。

 

「アポローネス、無事か!?」

「ご無事ですか!?」

 

そこにパイガとドルファ兵がやって来た。何故か兵士達は泡だらけだが。

 

「はっはっはっ! 小僧、まさか()()()()の骸骨を本当に倒すとは見事だ。やはりテメエは面白れぇよ!」

「…………」

 

骸骨騎士が拍手をしながらレイルに声を掛けた。黒騎士はレイルとアポローネスを見ているが。

 

「……さっき言った事、覚えてるよね?」

「安心しな。男に二言はねえよ。約束通り、退いてやる。詫びと言っちゃなんだが、これをやるよ」

 

そう言うと骸骨騎士は何かを投げ渡す。なんとその正体はフューリーだった。

 

「ダンナもそうなんだが、俺様はフューリーには興味はねえ……今回はそれでお互いに手打ちって事にしな。……そんじゃ黒騎士のダンナ、俺様はこれで失礼させてもらいますぜ」

 

そして骸骨騎士は、それだけ言い残すとザワザ平野から消え去った。

 

「……………………次は正々堂々と消す。……割り込む事があっても貴公らを消す」

「「「っ!?」」」

 

骸骨騎士に続いて黒騎士が去り際にレイル、アポローネス、パイガにそう呟いた。()()()()()()()事に驚愕の表情になる3人。

 

そして大剣を地面に思い切り突き刺し、土煙に紛れるかのように姿を消していった……

 

 

 

 

想定外の乱入者2人が去った後、静かになる一同。

 

「パイガのとっつぁん、そっちのフューリーは譲るから、あのチートグルメ骸骨がくれたフューリーは僕らが貰ってもいいよね?」

「いいだろう。条件を飲もうじゃないか。そのフューリーは君達に譲ろう」

『っ!!?』

 

レイルの衝撃発言にファング達は驚いた。そしてパイガの返答にアポローネスを除いたドルファ兵士達も驚いている。

 

「レイルよ、貴様との決着はいずれつける」

「それなら怪我が完治してからにしてよ。万全じゃないアポロと勝負して勝っても嬉しくない。アポロだって逆の立場だったら、同じ事言ってくれるでしょ?」

「……ふっ。お見通しという訳か」

 

ファング達の元に戻る際に、アポローネスから訊かれたレイルは彼にそう返した。

 

「あの、お義兄様。どうしてフューリーの1本をドルファ側に渡したんですの?」

「簡単に言うと、監視の目があったから」

 

そしてザワザ平野の入口に戻る途中、ティアラの疑問にレイルは答えた。なんでも、あの骸骨騎士の配下と思わしき気配に見張られてる気配がしたからだと言う。

 

「交渉役に長けてる部分もあるからね。パイガのとっつぁんは。雰囲気が違ってたでしょ?」

「確かにパイガのおっさん、いつもと違う雰囲気やったな。こう、四天王って感じやったわ」

「そうね~」

 

その一言にガルドとマリサも頷いた。

 

「ですが、義兄さん。これでボク達はドルファのお尋ね者になってしまった。今後、ボク達はフェンサーだけでなく、ドルファの刺客にも狙われるでしょう」

「…あー、それはあるかもね。……とっても一部の派閥からだと思うけど」

 

シャルマンの言葉にレイルは肩を落とす。今のドルファ内部がどうなってるか分からないので、その可能性は無きにしも非ずなのだ。

 

「どうですか、一緒に行動しませんか。仲間は多い方がいいかと」

「え……えーっ!? ウソウソ、ホントー! シャルマン様が、あたし達の仲間に♪」

「確かに……そうですわね。シャルマン様のお力があれば、この先、怖いもの知らずですわ」

 

シャルマンの提案にアリンとティアラは賛成。そうなると反対の者もいるわけで……

 

「ふざけんな! 誰がこんな奴と!」

「そやそや、誰がこんなキザ野郎と!」

「「バカっ! こんな美味しい話に何言ってるの!」」

 

ファングとガルドだった。そして声を揃えて、こんな美味しい話に何を言ってるんだと言うアリンとティアラ。

 

「まあ、いいじゃないか。こいつは確かに腕は立つ。楽できるぞ、ファング君」

「うーん、仕方ねえ……。その代わり俺と兄貴がリーダーだからな。なんでも言う事を聞くんだぞ。それが条件だ」

「はい。宜しくお願いします」

「……(僕はいつからリーダーになったんだろ? まあ、いっか……)」

 

ハーラーの言葉にひとまず納得したファング。

そして自分は何時からリーダーになったんだろ?と首を傾げたが、まあいっかと思うレイルであった。

 

 

 

 

「なに!? アポローネスが敗れただと!」

「は……。アポローネスは念の為に病院で療養をさせています。他の兵士達も全員、軽傷でございます」

 

パイガからの報告を聞いた花形は驚きの声を上げる。フューリーは無事に回収できたが、四天王の1人が敗れたという事実に驚いていた。

 

「しかし、深手を負ったとはいえ、アポローネスが破れるとは、信じられん。一体相手はどんなフェンサーなのか」

「信じられないかもしれませんが……6年前にアポローネス達が倒した筈の黒騎士です」

「「っ!?」」

 

パイガの言葉に目を見開く花形とバーナード。

 

「それは確かなのか?」

「はい。この目で確かめました。念の為にそちらの方も調査致します」

「…ふむ。パイガ、報告ご苦労。アポローネスには完治するまで休養だと伝えよ。そしてバーナード、例のフェンサーを叩き潰せ。お前なら間違いはあるまい」

「は、お任せ下さい」

「では私も失礼をば……」

 

そしてパイガとバーナードは社長室を後にした。

 

「はぁ~」

「って、次に戦うのが自分じゃなくて良かったぁ……とか実は思ってるんでしょー」

 

社内を歩きながら溜息を吐くパイガ。溜息の理由を言い当てるビビア。

 

「う、うるさいな! もしあの場にレイルが来なかったらと思うとゾッとしてただけだ……」

「まあ実際それは言えてるわね。アポローネスとセグロが無事にいられたのも、レイルとホロンのお陰だし」

「その話、詳しく聞かせてほしいわね」

「聞かせろ、聞かせろー」

 

別の声がしたので振り向くと、そこにはマリアノと彼女のパートナー妖聖、クララが居た。

 

 

 

 

「では今日を入れて3日は安静にしてください。傷の塞がり次第によっては、素振り程度でしたら大丈夫ですので」

「ああ。かたじけない」

「では私はこれで」

 

退室していく医師に改めて礼を言うアポローネス。

 

「グルル……」

「セグロ、傷の方は大丈夫なのか?」

「グルル」

 

とりあえずは大丈夫だと答えるセグロ。医師曰く、妖聖の方は個体差によるが、深い傷は負ってないから、とりあえず安静と言われた。

 

「失礼するよ、アポローネス」

「失礼するわ」

「パイガ。それにマリアノ……?」

 

そこにパイガとマリアノが入ってきた。溜息を吐くパイガの表情を見る限り、今から説明するのが窺えた。

 

「先ずはアポローネス、傷が完治するまで療養するようにと社長から伝言だ」

「承知した」

「次に……マリアノがここに居る理由なんだが、早い話、レイルの事を聞かれてしまってな」

「そういう事か……」

 

それを聞いたアポローネスは納得した。それだったら彼女がこの場に来る理由も説明がつく。

 

「今回フューリーを回収できたのは、レイルが交渉に応じてくれたからなんだ。双方が納得のいく形でな」

「レイが?」

「そうだ。それと兵士達が軽傷なのはレイルが殺さないでくれたからだ」

 

兵士達が軽傷という疑問は納得したマリアノ。部下のザギから聞いたが、彼の同僚が『人生で初めて殺されなくて良かったと実感した』と言ってたらしい。

 

「ああ。あとそれとだね……」

 

そう言ってパイガは懐から小型の映像記録を再生する装着をテーブルに置いた。

 

「これは?」

「見れば分かる。特にレイルと同期で付き合いの長い2人なら尚更かと思ってね」

「「……」」

「それじゃ報告も終えたし、私はこれで失礼させてもらうよ。アポローネス、くれぐれも無理するんじゃないぞ」

 

パイガはそれだけ言うと、病室を後にした。

 

「「……」」

「グルル?」

「あ、ああ。そうだな……」

「マリアノ様~、これ見ないんですか~?」

「そ、そうね。見てみましょうか……」

 

黙ってる2人に、セグロとクララが映像記録を再生しないのか?と訊かれた。動揺しながら返事をする主達を見たセグロとクララは珍しいなと思った。

 

そして映像が再生される。

 

『えー……』

『いや、そこを頼む! 部下とアポローネスを助けてくれないか』

 

いきなり再生されたのは、めんどくさい表情のレイルだった。もう片方の声はパイガだろう。

 

『アポロを助けるのは別にいいんだけどさ……あの魔法を解くのめんどくさいんだけど。二度手間じゃん……』

 

元来た道を早歩きで進むレイルとパイガ。そこには全身泡まみれになりながらもがいてる兵士達の姿があった。

 

「見て見て~。マリアノ様、あいつら泡まみれ~」

「そ、そうね……なんの魔法を使ったのよ、レイ……」

「見ろ。右上の者に関しては、悟りを開いた表情をしているぞ」

 

これには別の意味で少しドン引きになるマリアノ。そして冷静に突っ込むアポローネス。

 

『……』

『ぐへっ!? あ、泡がさっきより減った……。っ! き、貴様は……さっきの!? それにパイガ様?』

『…パイガのとっつぁん、これでいいんでしょ?』

『ああ、感謝するよ! お前達、この子に手を出すんじゃないぞ?』

『えっ!? で、ですが……』

『今は休戦状態だ。今回の任務が終わった後に私がみんなに話そう! それより他の兵士達の手当を。緊急事態が起きた』

『はっ。直ぐに! 他の者達にも伝えときます!』

 

指をパチンと鳴らし魔法を解除したレイル。そこからはパイガが他の兵士達にも状況を軽く説明していた。

 

「指示が意外と的確ね。普段からこうだと良いのだけれど……」

「そうだな……」

 

パイガが普段からこうなら言う事はないのだが……というのがマリアノとアポローネスの正直な感想だった。

 

『なあレイル。ドルファに戻って来る気はないのか?』

『……無理。内部抗争が確実に起こるから』

 

再び早歩きで奥へ進み始めたレイルにパイガは彼に質問をする。しかし返ってきた言葉はそれだった。

 

『しかし困ったな。君のブロマイドの在庫がちょっとだけ残っていてね……』

『処分していから。そもそも誰が買うのさ? 僕のブロマイドとか……』

「おいマリアノ。何故今のレイルの言葉に対して視線を逸らす」

「……してないわ(言えない、実はレイのブロマイドを買ってたなんて……。誰にも見つからないように5つ買っただけだけど……もし残ってるなら、私が全部買い占めようかしら?)」

 

アポローネスの言葉に視線を逸らすマリアノ。実を言うとマリアノ、現在は絶対に手に入らないレイルのブロマイドを今も大事に持ってるのだ。

 

『ブロマイド!? ねえレイ、どういう事!?』

『詳しく聞かせてもらいたいわね、レイ?』

『なんでティルアとシャルもそこで反応するの!? 意味が分からないよ!?』

 

するとレイルの両脇に167cmの2人の女性が現れた。

 

「…………この女達は誰?」

「レイルのパートナー妖聖だそうだ。最初は私もフェンサーかと思ったが……」

「ふーん……そうなの……」

「あわわ、マリアノ様、お顔が怖いです~……」

 

それを聞いて、ふーん……といった感じで呟くマリアノ。そしてクララはマリアノが怖い顔をしてる事にビビっていた。

 

『グギャギャッ!』

『『邪魔~~!!』』

『グゲエエエッッッ~~!?』

 

ちょうどいいのか運が悪いのか、ザワザ平野に生息している魔物が現れた。……が、機嫌が悪いティルアとシャルによって蹴飛ばされ星になってしまった。

 

「あの巨大な魔物を蹴り飛ばすか。ふむ、落ち着いたら、素手の訓練もしておくか……」

「あ、あれくらい私もできるわよ!」

「お前は何に張り合ってるんだ?」

「グルル……?」

「うん~。なんか昔のマリアノ様に戻ってきてるよね~」

 

アポローネスとマリアノは気付いてないようだが、セグロとクララは、レイルがドルファに在籍してた頃の賑やかな感じに戻ってきてる気がするのだった。




読んでいただきありがとうございます。
本来アポローネスはファングに倒されて退場なんですが、『かつて倒した筈の敵の乱入により深手を負って退場』という形にしました。
……ザワザ平野のフューリー回、思ってたより長くなってしまった(苦笑)
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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