フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回から第1部終盤のカヴァレ砂漠、フェイスドロップ回収編になります。

それではどうぞ。



第36話 エミリ

「くそ! なんでグーを出しちまったんだ!」

「……何を出してたら勝ててたのさ? ……パーとか?」

「いやあそこはチョキだろ、チョキ!」

 

酒場桜花亭の近くに買い物に来ていたレイルとファング。

 

「ったく、買い出しなんてバハスとかソウジが行きゃいいんだ」

「じゃんけんで決めたんだから文句言わない」

「そもそも誰だよ、じゃんけんで決めようなんて言ったのは」

 

それを聞いたレイルは首を傾げる。

 

「え? ファングが決めたんじゃないの?」

「いや俺じゃねえ。もしかして兄貴?」

「僕でもない」

「「…………」」

 

ここでレイルとファング、そもそもじゃんけんで決めようと言ったのは誰だ?という疑問に首を傾げる事になった。しかもお互いに全く心当たりがない。

 

「やめてくださいっ!」

「「ん?」」

 

そんな事を思ってた時、女の子の嫌がる声が聞こえた。

 

「イヤ! 離してっ!」

「駄々こねてんじゃねーよ、お嬢ちゃん」

「そうそう。黙って、オレらの言う通りにしな。じゃないと痛い目にあっちゃうよ。そんなのイヤだろ?」

 

よく見ると、2人のちんぴらが1人の少女に絡んでいるではないか。

 

「やめてっ! 誰か……!」

「あきらめな。みんな見て見ぬふりだ!」

 

周りの人達は見て見ぬふりだった。()()2()()を除いて。

 

「おい、そこ。汚ねぇ手をその子から離せ」

「そうそう。気持ちも悪い……じゃなかった、汚い手を離せ」

「っ!」

 

ファングとレイルが割って入ったのだ。

 

「あん? なんだ、お前ら?」

「俺は今、機嫌が悪い。このグーのせいでな」

「ねえねえ、僕らとじゃんけんしない? お前ら頭がパーっぽいし、なんか勝てそう」

「誰がパーだ! おちょくってんのか、テメーら!」

「ふざけんじゃねえぞ! すっこんでろ!」

 

完全におちょくられて頭に血が上るちんぴら2人。

 

「「じゃんけん、ポンッ!」」

 

ちんぴら2人にファングとレイルは思いきりグーを叩き込む。

 

「い、痛ぇ……」

「く、くそ、お、覚えてろよ~~~~~」

 

あまりの痛さに、ちんぴら2人はその場から逃げて行った。

 

「……ふぅ。エミリちゃん、大丈夫?」

「レ、レイルお兄ちゃんー……!」

「はいはい、よしよし。怖かったねー?」

「兄貴、知り合いか?」

「うん。知り合いの妹」

 

エミリと呼ばれた少女は安心したのか、レイルに抱き付いた。彼女の頭を撫でながら、ファングの疑問に答える。傍から見たら、姉妹にしか見えない。

 

「それでどうしたの? 迷子?」

「ち、違うもん。その、近道ができそうだと思って……」

「思いきり迷子じゃねーか」

「うぅ……」

 

ファングが突っ込むと肩を落とすエミリ。

 

「ちなみにどこに行く予定だったの?」

「ここの病院に行きたくて……お兄ちゃんが療養してるって聞いたから」

 

そういうとエミリは病院の名刺を見せる。

 

「この病院ね。近くまで送ってあげるよ。ファングもいいでしょ?」

「ああ」

「あ、ありがとう!」

 

さっきのちんぴらの件もあるので、エミリが行きたい目的地の近くまで送ってあげる事に。

 

「この道を真っ直ぐ行けば、目印の花壇の広場が見えるから」

「レイルお兄ちゃん、ファングさん。送ってくれてありがとう」

「次からは迷わないようにね?」

「いや、俺は別に……」

 

エミリを噴水広場の大通りまで送り、そこからの病院への行き方を教えるレイル。

 

「それからこれ、よかったら、これ貰って?」

「これは……お守り?」

 

そう言ってエミリから渡されたのは、お守りだった。

 

「中に()()()()()()()()()()()()()()()が入ってるの」

「……渡さなかったの?」

「いいの。傷が絶えないから必要だと思ってあげたんだけど、要らないって言われちゃって……」

「…………」

 

その時のエミリの表情が寂しそうなのが窺えた。

 

「レイルお兄ちゃん、ファングさん。送ってくれてありがとう。次からは迷子にならないように気を付けるね」

 

それだけ言うとエミリは、レイルとファングに挨拶して去っていった。

 

「……ほんと相変わらず不器用だよ。こんなの第3者が見なきゃ、気づかないだろうに」

「不器用って、エミリの兄貴がか?」

「……うん。アポロの妹なんだよ、エミリちゃん」

「!!」

 

それを聞いたファングは青ざめた表情になる。もしあの時、黒騎士や骸骨騎士の乱入がなく、レイルの助けも来なかったら、自分はアポローネスを……

 

そして最終的に自分はエミリから……

 

「……兄貴。俺は……」

「それ以上は言わないの」

「いてっ!?」

「次になんか言ったらチョップね?」

「いや、勘弁してくれ……」

 

ファングが何を考えてるのか解ったのか、レイルはそれ以上先の事は言うなとばかりにファングの腰を少し強めに叩く。……恐らく、もしもの事を考えてしまったのだろう。

 

「よし。ファング、このお守りはファングが持ってなよ。うん、それが良い!」

「なんだよそれ? 根拠はあんのかよ?」

「え? 根拠? そうだね、うーん…………勘だよ」

 

お守りを受け取りながら、レイルのその言葉を聞いて、ファングは少しだけ気が楽になった。

 

 

 

 

「……ただいま」

「ただいま。ちょっと遅くなったー……」

 

向日葵荘に帰ると、他のみんなが何かを話していた。

 

「お、ナイスタイミングや! ダンナ、レイルはん、出かけるで」

「出かける……?」

「どこに……?」

 

ファングとレイルの姿を見つけるや否やガルドがそう言った。帰ってきたばかりの2人は首を傾げる。

 

「カヴァレ砂漠です。アリンさんの記憶によれば、そこにフェイスドロップがあると……」

「フェイスドロップがあれば、()()()()()()()事ができる」

「本当か!?」

「うん!」

 

その言葉を聞いたファングは目を見開いた。レイルもまさかこんなに早く見つかるとは思わなかった。

 

「ドルファが動き出す前に、先手を打ち、女神を復活させる……どうだい、ファング君、レイル君?」

「ああ、悪くねえ考えだ」

「右に同じ。異論無し」

 

寧ろ反対する理由はなかった。

 

「ところでファング……お主、何かあったのかの? 我が輩から見て顔色が優れんようだが」

「買い物が終わった後にアイスを買おうと思ったんだけど、常識のない客に割り込まれちゃってさ。しかもアイスは台無し。ね、ファング?」

「ああ。そんなところだ」

 

とりあえずレイルは尤もらしい理由でピピンの質問を誤魔化しておいた。

 

「よし、行くとなりゃ、早い方がいい。みんな急いで準備だ」

「砂漠だから、みんな水筒を忘れないようにね?」

 

そして各々、カヴァレ砂漠に向かう準備をするのであった。




読んでいただきありがとうございます。
この回も2話か3話、もしくは4話くらいに分けようかなと思ってます。
そして今作は原作と違い、アポローネスは死亡せずに療養中という状態なので、エミリから『助けてくれたお礼』という形で普通にお守りを貰いました。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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