フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
前回の続きになります。オリジナルになっています。
それではどうぞ。
フェイスドロップを手に入れた一同は野営して一晩過ごした後、カヴァレ砂漠の奥の方を進んでいた。
「着いた。……ここよ」
そして進んでいるとアリンが足を止めた。
「え……?」
「ここって……なんもあらへんで!」
「アリンさん、どういう事ですか?」
驚くのも無理はない。アリンが着いたと言ってるのは
「ファング、剣を……!」
「ああ」
「……(なんだろ。この嫌な予感は……)」
レイルは嫌な予感がした。バーナードの襲撃があったとはいえ、現に今も順調に進んでいる……その筈なのに何故か嫌な予感がするのだ。
「うおおぉぉぉっ!」
そしてファングが剣を地面に深々と突き刺す。すると光が周囲を包む。光が収まると同時に神聖な祭壇のような物が出現したではないか。
「す、すごい……」
「これが女神の聖域……」
「…何もない場所に神聖な場所はあるって、なんかの本で読んだ事があるけど……」
確かに聖域とはよく言ったものだとレイルは思った。
「ファング、フェイスドロップを中心にセットして。女神が降臨するわ」
「分かった」
アリンに言われた通り、ファングは聖域の中心に進む。
「いよいよですね……」
「…………」
その場に居る全員が固唾を飲む。
「いくぜ……」
そしてファングがフェイスドロップをセット……
「オラオラオラオラオラッ! 勝手な事をしてんじゃねーぞっ!!!」
しようとした時、1人の男によって遮られてしまった。
「ったく、調子こきやがって! 女神復活だぁ!? んな事はな!
「っ!?」
「……」
男が言った人物の名前にレイルは一瞬動揺する。まさか彼女が来てる? この場に!? そして親衛隊を率いたマリアノがレイル達の前に現れた。
「マリアノと親衛隊か……!」
「ドルファ兵も大勢おる……」
しかもピピンの言う通り、大勢のドルファ兵士もいた。その数にファング達も身構える。
「オラオラオラオラッ! どーした!? 怖じ気づいたかっ!!」
「ザギ! お前、
「マリアノ様に拾っていただいたんだよっ! この裏切り者が……今すぐメチャクチャに切り刻んでやるよっ!」
「リストラ? ガルド、なんで彼はリストラになったの? リストラ要素なんてないじゃんか」
「人事部から、フェンサーとしての素質がないって言われたからなんや」
先程フェイスドロップを遮った男……ザギの言葉が気になったレイルはガルドに訊く。なんでも人事部からお達しがあったからだそうだ。
「ザギ……下がりなさい」
「はい……! マリアノ様っ!」
マリアノから言われたザギは下がる。
「あの女がマリアノだって?」
「……可愛らしいお嬢ちゃんじゃないか」
「女やからってナメたらアカンで。ああ見えて、四天王の1人……実力は折り紙つきや」
ファングとハーラーの言葉にガルドが警告する。
「お久し振りね、
「そうだね。
するとマリアノはレイルに声を掛ける。
それも年相応な優しげな表情でだ。変わってないなと思いながらレイルは普段通りに応答する。
しかも互いに渾名で呼んでる。これにはファング達やザギ達親衛隊すら驚きを隠せなかった……
「4年経っても変わらないね」
「それはレイもでしょう? 子供達からよくレイの話は聞いてるわ」
「マリーには内緒って言ったんだけどな……。絶対に困らせるような事を言ってそう……」
「ふふふ♪ 私は別に困ったりはしてないわよ?」
親しげに話すレイルとマリアノ。
「ちょっとレイ! 何楽しそうに話してるの!?」
「同感ね。こればかりは私もスルーできないわ」
そんな2人の会話を聞いてて、我慢が出来なかったのか、レイルの両脇にティルアとシャルが現れた。
「うるさいわね。私はレイと話してるの、邪魔しないでくださる?」
「あら? その辺はごめんあそばせ。というか、なんでレイの事を渾名で呼んでるのよ。馴れ馴れしい」
「は? レイがそう呼んでって言われたからに決まってるじゃない」
「仮にそうだとしても、知らない女がレイと仲良くしてたら、今の状況みたいに邪魔はするわよ? その辺はどうなの?」
「その意見だけは同感ね」
「「「ふふふ……」」」
マリアノ、ティルア、シャルの3人は黒い笑みを浮かべながらバチバチと火花を散らす。一部のドルファ兵士達は産まれたばかりの小鹿ようにビビっていた。
「…な~どという、この緊迫した雰囲気と女同士の修羅場など全く気にせずに登場するこのオレ様! ヒーハー!」
「ったく、お前のそういうところはオレ様も見習いたいとこだぜ……」
「そ~う?」
「おう」
「キャハハハ! ロンギ、面白ーい!」
「デラちゃ~ん、そこ笑うとこ~?」
「ある意味、隊長しか出来ないと思います。断言してもいいです」
奇声を上げながら一同の前に現れたのは、ドルファ四天王の1人、ザンクと親衛隊長のロンギだった。彼ら2人だけじゃなくその親衛隊もいた。
「お前はザンク!」
「よぉ、ファング。てめえをぶち殺しに来てやったぜえ!」
「うるせえ! 返り討ちにしてやる!」
「ククク……やっぱり面白れぇ奴だ……。オイ!」
『はっ!』
そう言うと、ザンクは親衛隊の兵士達に指示をだす。指示を受けた兵士達はガルド達を囲んだ。
「ザンク様の邪魔はさせん!」
「くそ! そこをどきいや!」
「それは出来ぬ相談だ、仕事仲間だったよしみだとしても!」
「腐れ外道の部下の割に、随分な事を仰いますのね!」
「みんな油断したらあかん。ザンクの部下達は普通のドルファ兵達とちゃうで!」
ザンクの親衛隊の兵士達は普通のドルファ兵と違う事をよく知るガルドはティアラ達にも警告する。そして互いに交戦が始まる。
「やあやあ可愛らしいガキ。ぶち殺しに来たよ~ん?」
「……(こいつの性格上、最初の一撃は間違いなく味方関係なく攻撃する筈)」
ザンク達がそれぞれの相手と交戦を始めたのを見ながら、ロンギはレイルに長槍を突き付けながら話しかける。そしてレイルはロンギの思考を読みながらある結論に至る。
それは『最初の一撃目は自分の近くに居るマリアノごと』を巻き込む何か。
「…ホロン」
「……(こくり)」
「ほ~う、お前だけじゃなく、お前のパートナー妖聖も同じのを使えんのか。面白れぇ……」
レイルとホロンの構えを見て何かを察したロンギは、ニヤリと笑い、長槍を構えながらレイルとホロンと同じ構えをとる。
「「クロックアップ」」
魔法名を呟くとレイルとホロン、ロンギが消えた。地上空中で金属音と何かが通り過ぎる音だけが聞こえてきた。
「…レイの考えは分かったけど……個人的になんか複雑……」
「そうね。とりあえず私達は私達でやりましょうか……」
レイルの行動と考えを直ぐに理解したティルアとシャルは目の前に居るマリアノと向き合う。
「……たった2人でこの私に勝てるとでも? クララ、フェアライズ!」
「はーい、マリアノ様! フェアライズ!!」
そしてマリアノの身体が変貌する。パートナー妖聖のクララが巨大化し、内部の中心にマリアノは収納された。
「天に召しませ……召しませ、天にっ!」
「「上等!」」
ティルアとシャル、そしてマリアノによる3人の女同士の戦いの火蓋が切られた。
読んでいただきありがとうございます。
これにて第1部の共通ストーリー編は終了になります。
……今回のサブタイが一番悩みました(苦笑い)
次回から『女神編』になります。頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。