フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
今回から『女神編』になります。
それではどうぞ。
第41話 失った者
夜明け前のカヴァレ砂漠の聖域は、フェンサー達と組織のドルファ兵にる乱戦状態と化していた。
「はぁ!」
フューリーフォームをしたマリアノの巨大な腕がティルアとシャルに振り下ろされるが、彼女達はジャンプして攻撃を避ける。
「喰らったら、ぺしゃんこかな?」
「ぺしゃんこ……まではいかなさそうけど、一撃が重いのは間違いないわね」
近くの岩に着地し、攻撃の威力を分析するティルアとシャル。
「でもそれだけだよね。今のところ……」
「そうね。狙うとしたら……」
そう言ってティルアとシャルは、その場から一気にマリアノの腕に着地し、そこから一気にマリアノ本体まで駆け出した。
「っ! クララ、フェアライズアウトよ!」
『えー!? と、解いちゃうんですか!?』
「いいから!」
相手の狙いが解ったマリアノは即座にフューリーフォームを解除する。足場が急に無くなった事でティルアとシャルは落下しながらも態勢を保ちつつ地面に着地する。
「……(アポローネスが言ってた通り、妖聖とは思えない動きに洞察力)」
マリアノはクララをフューリーの基本形態である
「シャル、
「珍しいわね。ティルアから提案してくるなんて」
「レイに負担をかけたくないから」
「そんな事だろうと思ったわ。それじゃあ……やりましょうか」
そしてティルアとシャルは軽く深呼吸をしながら左手を前に構えた。
「(相手の雰囲気が変わった!?)」
『あわわ、マリアノ様~! なんかあの2人、凄い勢いで
クララの言う同調率という言葉を警戒しながら、マリアノも身構える。
「「
なんとティルアの隣に居たシャルが光の粒子となり、ティルアに纏わりついたのだ。
「これで条件は貴方と同じ。レイの負担も少なくなる……」
そう言ってティルアは自身の基本形態である水属性の刀身を帯びた片手剣を右手に装備した。
「「……!」」
そして、それが合図かのように、ティルアとマリアノは目の前の相手に向かって走り出した。片手剣と片手槍がぶつかり合う。
「「くっ!」」
ティルアが片手剣で斬れば、マリアノが僅かな隙を狙って片手槍で突き返す。互いに武器を弾いては斬り返すという攻防が続く。
「はぁ!」
「しまっ……!?」
激しい剣戟の中、マリアノの攻撃によってティルアの片手剣が弾き飛ばされてしまう。その隙をマリアノは逃さない。
「クララ!」
『アタックエフェクト『ラフィングシニカル』』
相手は態勢を崩して丸腰。ゼロ距離で回避はほぼ不可能な攻撃……これは取った!とマリアノが思った時だった……
「……今の攻撃で
「!?」
瞬間、ティルアの身体が輝きだす。そして現れたのは消えた筈のシャルだった。彼女の左手には光属性の刀身を帯びた刀寄りの片手剣が。
「遅いわよ!」
そしてシャルは閃光のような速さでマリアノを斬りつけた。
『あわわ、マリアノ様、大丈夫ですか!?』
「はぁ、はぁ……なんとか、ね……(今の、
膝をつくマリアノ。同時に疑問が浮かぶ。それは先程シャルが放った技に見覚えがあったのだ。
「どうして、レイの技を……貴方が……」
「レイから基礎を教わっただけよ。寧ろ、なんで貴女は今の技を喰らっても軽傷なのかしら?」
「……確かに初見の人間なら、ただじゃ済まないでしょうね。でも私はレイと戦闘訓練もした事もあるから、その技も知ってるのよ……」
「だから軽傷って訳ね……。なんかズルいわね」
道理でマリアノが軽傷で済んでる訳だとシャルは納得した。
百裂斬りは確かにレイルの技だ。初見の人間ならまず見切れない。だがマリアノは最低限のダメージで済む方法で今の技を軽減したのだ。
『シャル、あの女がもしかして……』
「十中八九そうでしょうね……」
そういえば昔、レイルが自分達に言っていた。
ドルファに在籍してた時、自分達と同じくらい大切な同い年の同僚が居るという事をティルアとシャルは思い出した。
もしかするとマリアノは……
「「がっ……」」
「「「!?」」」
そう思った時、何かが3人の前に飛んできた。
「はぁ、はぁ……」
「……(ぜぇ、ぜぇ)」
「ふー、ふー……ク、クソが……しぶといガキだ、ねぇ……」
その正体はレイルとホロン、そしてロンギだった。3人は肩で息をしており、ボロボロの状態だった。ロンギに至っては、自慢の長槍が折れてしまっている。
「だーが、もうさっきみたいな動きも出来ねえ筈だ。お互いに……よぉ……」
「はぁ、はぁ……」
「せめてオレ様の……最後の、一撃を喰らって……死ねやあああああっ!」
「「レイ!」」
ふらついて立ってるのが、やっとのレイルに向かって、ロンギは折れた槍を投擲した。まずいと思ったティルアとシャルは踏み込むが、ギリギリ間に合わない……
このままではレイルに当たってしまう……
「ごふっ……!」
「ちぃ、よりにもよって
「え……?」
しかし投擲された槍はレイルに当たらなかった。そして標的に当たらなかった事をロンギは悔しそうに呟くと同時にパタリと倒れた。それじゃあ先程の槍は誰に当たった? それはマリアノだった。
「マ、リー……?」
「レ、イ……怪我は……ない……?」
ぐたりと倒れてる彼女をレイルは震えながら抱き上げた。
「な、なんで……僕なんかを助けたの……?」
「そんなの……簡単じゃない……」
「分かんないってば!! ……どうして、マリーが……まりーがぁ……」
「泣かないの……レイ……男の子……でしょう?」
顔がぐしゃぐしゃになるくらい泣いてるレイルの頭をマリアノは優しく撫でる。
「ホロン……ボロボロだけど……大丈夫~?」
「……(ふるふる)」
「わ、わたしは大丈夫だよ……心配……かけて……ごめんね~……」
マリアノがロンギの槍を喰らってしまった影響なのか、クララも弱々しい声でホロンに謝っていた。
「消える……私の……命……」
「っ! 嫌だ、嫌だよ! マリー! 死なないでよ! マリー!!」
「レイ……私……私……レイの事が────」
その言葉を最後にマリアノは目を閉じた。同時にクララも消えていった。それはすなわち彼女の死。
「マ、マリー? ねえ、起きてよ。……そういう冗談はいいからさ? ねえ、ねえってば!!」
抱えていたマリアノが重くなった事でレイルは
「「……レイ……」」
ティルアとシャルがレイルにそっと抱き付く。マリアノの気持ちは痛いほど分かる。自分達が死んだ時もレイルは今と同じように泣いていたのだから……
「う、うぅぅぅ……うわああああああ!」
聖域にレイルの絶叫が響き渡る。もう大事な人を失わないように行動した結果がこれなのかと……
「……クソ女神、クソ邪神。お前達は僕とホロンを怒らせた」
「……(ギョロリ)」
沸々とレイルの中で女神や邪神に怒りが湧いてきた。ホロンの瞳も赤色に発光していた。
そっちがその気なら、こっちもやってやろうじゃないか。
あとはそれを今から実行するだけだった……
「…少しだけ、待っててね。マリー。もう、こんな目には合わせないって約束するから……」
もう喋らぬ彼女に別れを告げた直後、レイルは光に包まれながらこの世界から消えていった。
読んでいただきありがとうございます。
途中からマリアノちゃんはフューリーフォーム解除形態で戦わせてみました(だってそれも書きたかったんだもん!)
ちなみに過去に戻れた理由については、次回で明かします。
……ザギはどうなったかって? 他のパーティーメンバーと戦闘してました(乱戦状態だし)
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。