フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回はマリアノちゃんとアポローネスの回想編になります。完全にオリジナルになっています。

それではどうぞ。



第49話 レイルとの初対面と入社式

遡る事、7年前……。

 

「ここがドルファ・ホールディングス……」

「うわー、大きいビルですねー、マリアノ様」

 

マリアノはパートナー妖聖のクララと共にドルファ・ホールディングスの入社式の会場に来ていた。

 

「人がたくさんいますね~。」

「みんなドルファに入社する人達みたいね。こんなに入社する人がいるなんて思ってなかったわ……」

 

見渡すと周りは新入社員でごった返していた。

 

「入社式は広場で行うと聞いてるけど……えっと、広場の場所は……」

「そこのお嬢さん、何かお困りですか?」

 

入社式が行われるという広場の場所を探してると、突然マリアノに馴れ馴れしく声を掛けてくる男が現れた。

 

「何か御用かしら?」

「見ればお困りのご様子! エリートである自分がお助けしましょう!」

「……」

「なんだお前! マリアノ様に向かって馴れ馴れしいぞ! マリアノ様~、こんな奴ほっといて早く行きましょうよ~」

 

クララの言う通り、馴れ馴れしい男だった。

現に今も別に聞いたわけじゃないのに、自分語りをしている……正直言って迷惑だ。

 

「なんというお美しいお名前! 是非とも、貴女のお助けになれるかと!」

「いえ、間に合ってるわ(はあ……理想の殿方っていないのかしら?)」

 

こんな時に自分の理想の男性が颯爽と現れては助けてくれればいいなとマリアノは軽く現実逃避していた。

 

「…あの~、そこ邪魔なんでどいてくれませんか?」

「あん?」

 

すると男の後ろから声がした。

声の主は銀髪のショートヘアで152cmで黒を基調としたワンピースを着ており、両腕に赤いリボンを巻いた少女のような子供だった。マリアノから見ても子供は迷惑そうな表情をしている。

 

「あ~、お嬢ちゃんごめんね? 用件なら後で聞くよ?」

「……これでも()は性別はれっきとした()なんですけど?」

「!?(え……女の子にしか見えない……)」

 

目の前の子供が男だという事実に驚くマリアノ。

 

「それにそちらの女性とパートナー妖聖が困ってるのに、口説くとか何考えてるんですか? ましてや入社式ですよ?」

「おいおい、場違いなガキがいい気になってんじゃねえよ。年上は敬えって習わなかったのか?」

「は? 僕は今年で18歳だし? それに敬う人くらい自分で決めるし」

 

まさかの自分と同い年だったという事実に別の意味で驚くマリアノ。身長のせいで全く分からなかった。人は見かけによらないとは正にこの事だろう……

 

「……(ピョコ)」

 

すると子供の頭から半円を描く曲がった角を持った、兜みたいに頭部全体を包む仮面を被り、灰色のボロボロのマントを着た真っ黒でちんまりボディの虫のような生物が姿を現した。もしかしてパートナー妖聖なのだろうか?

 

「…ホロン、またこういう人いたよ。どう思う?」

「……(ケッ!)」

「常識のない人だよね。こんな綺麗な女性と……か、かわっ……可愛いパートナー妖聖の女の子が困ってるのが分からないのかだってさ。わ、わたしがか、可愛いって……うぅ~……」

「(クララのこの顔……私、初めて見たかも……)」

 

ホロンと呼ばれた妖聖の言葉をクララが通訳する。しかも顔が赤い。主であるマリアノでさえ見た事がないくらいクララは真っ赤になっていた。

 

「そんな虫みたいなのがてめえの妖聖か? いかにも雑魚みたいな見かけしてんな?」

「……(ゲシッ!)」

「ぐほっ!?」

 

するとホロンが男の顔面に向かって蹴り飛ばした。その威力は凄まじく男は地面に倒れた。

 

「て、てめえ! エリートである俺様に向かって……!」

「今のは自業自得かと。僕のパートナー妖聖をバカにしたからでしょう? あ、警備員の人だ。すみませーん……」

「お、憶えてやがれ~!」

 

そう言うと男は捨て台詞を吐きながら、その場から去っていった。

 

「…はあ。やっと行った……」

「あの、ありがとうございます。助かりましたわ」

「ん? ああ、気にしないでください。怪我とかはないですか? そちらのパートナー妖聖も」

「いえ、怪我とかはしてませんので大丈夫です……」

「わたしも大丈夫だよ~」

 

助けてくれた目の前の彼にお礼を言うマリアノ。主だけでなく妖聖の自分にも気遣ってくれたクララは好印象をもった。

 

「それじゃあ僕はこれで。失礼します」

「あ、あの……」

「?」

「な、名前……」

 

そして普通にその場から去ろうとする彼をマリアノは引き止めた。名前を聞きたいだけなのに、何故か緊張して言葉が続かない。

 

「レイルです。僕の名前」

「マ、マリアノと申します。助けてくれてありがとうございます」

「どういたしまして。道中、気をつけてくださいね? それじゃ」

「……(パタパタ)」

 

マリアノにそう言うとレイルはホロンに『広場ってこっち方面かな?』と言いながら去っていった。

 

「……」

「マリアノ様~、お顔が真っ赤ですよ~」

「クララもでしょ」

「「……」」

 

お互いに指摘され何も言えなくなるマリアノとクララであった。

 

 

 

 

「ここが今日から私が働く場所か……」

「ぐるる」

 

アポローネスはパートナー妖聖のセグロと共にドルファ・ホールディングスの入社式の会場に来ていた。

 

「しかし広場というのはどこの事だ?」

「がう?」

 

入社式は広場で行うらしいのだが、場所が分からずアポローネスは軽く迷子になっていた。

 

「てめえ! ふざけんじゃねええぞ!!」

「むっ」

 

アポローネスの目に入ったのは、同じ新入社員と思わしき男が、銀髪のショートヘアで152cmで黒を基調としたワンピースを着ており、両腕に赤いリボンを巻いた少女のような子供に絡んでいたのだ。直ぐにアポローネスは間に入った。

 

「おい貴様、子供相手に何をしている!」

「チッ!」

 

そう言って舌打ちをした男は、その場から去っていった。

 

「怪我はないか?」

「助けてくれてありがとうございます。怪我とかはないです。いやー、こんな見た目だから絡まれやすいのかな?」

「それ以前に、この場にお前のような子供が居るからじゃないのか?」

「あ、これでも()、性別はれっきとした()で年も17歳なんですよ? 正確には今年で18歳ですね」

 

その事実を聞いて驚くアポローネス。なんと目の前の少女……ではなく少年は、自分と同じ17歳だと言う。身長が低く見えるのは、修行してるからだと言う。

 

「自己紹介が遅れました。レイルです」

「アポローネスだ。こいつは私の妖聖のセグロだ」

「ぐるる」

「龍の妖聖って初めて見た。やっぱりカッコいい……」

「……(ピョコ)」

 

するとレイルの頭から半円を描く曲がった角を持った、兜みたいに頭部全体を包む仮面を被り、灰色のボロボロのマントを着た真っ黒でちんまりボディの虫のような生物が姿を現した。

 

「あ、この子は僕のパートナー妖聖のホロンだよ」

「……(パタパタ)」

「ぐるる」

「……(ペコリ)」

 

ホロンがセグロに仕草でよろしくと言ってるのがなんとなく伝わった。アポローネスには頭を下げながら挨拶をしてるのでこちらも挨拶をする。

 

「お前もこれから広場に向かうのか?」

「うん。場所の確認をしてたとこだから、良ければ一緒に行かない?」

「ああ。こちらとしても助かる。ちょうど場所に困ってしまってな……」

「場所が広場って曖昧な表現だもんね」

 

そう話すと、レイルはその気持ちは分かると苦笑いしながら答えた。そしてレイルとアポローネスは入社式が行われる広場に向かうのであった。

 

 

 

 

広場に着くと、そこには大勢の新入社員がいた。中には腕っぷしに自信がありそうな男女の姿もあった。

 

「あら。貴方はさっきの……」

「あっ、先程はどうも」

「レイルとホロンだ~♪」

「……(パタパタ)」

 

すると黒いドレスに身を包んだベージュ色寄りの髪の1人の女性がレイルを見つけるなり声を掛ける。女性の傍らには白くて丸い猫みたいな物体に角と蝙蝠の羽が生えた生物が居た。恐らく彼女のパートナー妖聖なのだろう。

 

「知り合いか?」

「ううん。さっき僕に絡んできた人が居たでしょ? その人が彼女を口説いてたから、僕が止めたの」

「なるほど。それでか」

「そちらは?」

「さっき知り合いになったアポローネス。困った人から助けてくれたんだ」

「アポローネスだ。以後、よになに」

「マリアノと申します。以後、お見知りおきを」

「クララだよー」

 

その女性……マリアノとそのパートナー妖聖クララは、自己紹介をしつつ、レイルと知り合った経緯をアポローネスに話した。しかしその絡んできた男にも困ったものだなと3人は思った。

 

『えー、これよりドルファ・ホールディングス新入社員の入社式を始めたいと思います』

 

ちょうど入社式開始のアナウンスが鳴ったのを聞いた3人は近くの席に座るのであった。

 

 

 

 

『以上をもちまして、入社式を終わりたいと思います』

「いやー、無事に終わった終わった~」

「それにしても総帥が所用で来れないというのが、私は気になるけど……」

「多忙なのではないか?」

 

一通りの入社式が終わり、席を立つレイルとマリアノ、アポローネスの3人。総帥の代わりに副社長である花形が挨拶してた事が気になったが。

 

「確かこの後って希望者だけが立食パーティに参加だっけ? ちなみに僕は参加しない予定」

「奇遇ね。私も参加は遠慮する予定」

「私は立食パーティ自体が苦手でな。参加する予定はない」

 

この後に行われる自由参加の立食パーティに参加する気はない3人。他の社員達を見ると半数以上の者がパーティに参加するみたいだった。

 

「2人が良ければ、僕らだけで歓迎会やらない? 2人共、騒がしいのはあんまり好きじゃないでしょ?」

「「!」」

 

その言葉は的を射ていた。

正直、アポローネスもマリアノも騒がしいのはあまり好きではない。寧ろ、その誘いはありがたかった。

 

「ええ。そのお誘いなら是非」

「ああ。私もそれで構わない」

「それじゃあ行こうか。まずは材料を買いに……」

 

そして3人が広場を去ろうとした時だった。

 

「おい! そこのガキ! 待ちやがれ!」

 

背後から荒げた声が聞こえた。誰かと思い振り返ると、マリアノをナンパし、アポローネスに止められ、レイルに絡んできた男だった。

 

「さっきはよくも俺様に恥をかかせてくれたな!」

「はあ……」

「「……((まあ、溜息も吐きたくなるな(わ)……))」」

 

溜息を吐くレイル。そんな彼の心境を察したマリアノとアポローネスは同情の視線を送る。

 

「それで? 僕に何か御用ですか?」

「この場で俺様と勝負をしろ! 貴様のような何の取り柄もなさそうなガキがドルファに入社する等、笑止千万だ!」

 

男は周りの新入社員にも聞こえるこうに、わざと大声でレイルを侮蔑する。

 

「貴様……!」

「言っていい事と悪い事の区別もできないのかしら」

「おいおいなんでそっちの2人が怒るんだ? 俺様はそっちのガキに事実を言ってやっただけだよ?」

 

正直アポローネスとマリアノも男の態度には怒りを覚えていた。しかし男は態度を崩さない。

 

「えっと勝負だっけ? いいですよ。受けましょう」

「ほう、随分と利口な返事だな!」

「だって今後の生活……というか邪魔されたら嫌だし……」

 

勝負の申し出を受ける事にしたレイル。どの道、挑まれた勝負を受けないと今後の生活にも支障がありそうな気がしたからだ。

 

「それから迷惑料として、パートナー妖聖は見物させとけよ」

「つまりホロンは手を出すなと?」

「当たり前だ。このエリートである俺様の顔に蹴りをいれたんだからな!」

 

横暴な要求をしてくる男にアポローネスとマリアノは、男を睨みつけた。

 

「そういう訳だから。ホロン、2人と一緒に見学してて?」

「……(コクコク)」

 

レイルの指示に従ったホロンはアポローネスの肩に乗った。

 

「……大丈夫かしら?」

「だといいのだが……それより周りを見ろ」

「?」

 

心配するマリアノとアポローネス。

そして質の悪い事に他の新入社員もぞろぞろと集まってきた。レイルを大勢の前で『見せ物』にするという男の魂胆だとアポローネスは理解した。

 

「……(ハァ)」

「あいつ終わった~って言ってます」

 

ホロンの通訳をするクララの言葉にマリアノとアポローネスは視線を向ける。

 

「いい感じにギャラリーも集まった事だし、おっぱじめるか……」

「……」

 

なんと男は丸腰のレイル相手に剣を抜いたのだ。これは流石にマリアノとアポローネスも目を見開く。

 

「ドルファにてめえのようなガキは必要ねえ! 死ねええええっ!!」

「……」

「何!? き、消えた!?」

 

男はレイルに向かって走り出した直前、目の前に居た筈のレイルが突如消えたのだ。

 

「ど、どこだ!?」

「……こっち」

「!? い、いつの間に後ろに……「ふん!」ぐはっ!?」

 

背後からしたレイルの声に振り向こうとした男だったが、背中に蹴りを浴びせられた男は地面に倒れ伏す。

 

「あー、終わった終わった~……」

「ぐほっ……き、貴様っ! 逃げる気か!」

 

てくてくとマリアノとアポローネスの元に戻ろうとするレイルに男は倒れながらも引き止める。

 

「…………くだらない。入社して早々、死にたいの?」

「!?」

「(この威圧感……それに先程の攻撃までの動作……レイルは只者ではない!)」

 

レイルが威圧を放ちながら静かに呟く。その威圧はこの場に居る全員が震えるものだった。一部の者は背筋から寒気を感じた。そしてアポローネスはレイルが只者ではないと感じた。

 

「お、俺様はエリートだ! こんな奴に負けて……たま、るか……」

「…くだらない。そんなプライド捨てたら?」

「く、くだらないだと……? ふ、ふざけんじゃねええええっ!!」

 

男は怒りのまま、再びレイルに襲い掛かる。

 

「……危ないな。2人に当たったらどうしてくれるのさ?」

「ば、バカな!? 指先で受け止めただと!?」

 

しかし振り下ろされた剣をレイルは指先で受け止めたのだ。男は力を籠めるが、うんともすんとも言わない。

 

「……」

 

そしてレイルは指先に軽く力を籠める。すると剣の刀身はパリンッ!!と音が鳴り砕け散った……

 

「な、な、な……っ!?」

「……ぶっ飛んで反省でもしなよ」

「ぐはっ!?」

 

そう呟きながらレイルは武器がなくなり茫然としてる男を再び蹴り飛ばした。

 

「いやー、2人共お待たせ♪ 余計な時間を取らせちゃってごめんね?」

「「…………」」

 

何事もなかったようにアポローネスとマリアノに声を掛けるレイル。

 

「……(パートナー妖聖なしでこの実力……助けてくれた時もそうだったけど、目が離せないわね)」

「……(剣を指先で受け止めるだけでなく、刀身を破壊してしまうとは……面白い!)」

 

レイルが只者ではないと感じるのと同時に、彼に興味を持ったマリアノとアポローネスなのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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