フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回から女神編のソルオール村のフューリー回になります。

邪神編も無事にクリア(2周目はエフォールENDだった)して、現在3周目で魔神編に向けて進めています。『Refrain Chord』の新キャラや魔神編のキャラも出て驚いてます。

……それにしても新作の時系列って、本当にどうなってるんだ? マリアノちゃんとハーラーさんに挟まれてるファング、羨ましい限り。続報が楽しみです。

それではどうぞ。


第50話 慣れない宿暮らしと次のフューリー

「こんな感じだ(かしら)」

「「「…………」」」

「あははっ! レイル君らしいや!」

 

レイルとの初対面時の経緯を話し終えるアポローネスとマリアノ。話を聞いてたファングとアリン、ティアラは未だに唖然としており、ハーラーは面白そうに笑っていた。

 

「なんか……いつも通りのレイだね」

「そうね。平常運転なレイね」

 

ティルアとシャルは、その頃になってもいつも通りのレイルだった事に安心した。

 

「兄貴に挑んだそいつって今でもドルファにいんのか?」

「いや。僕らがドルファに入社して、1年が経とうとした時に死んだよ」

 

そう聞かれたレイルは、ファング達にその元同僚の男の末路を話した。

 

「最初の時だけだったよね? あいつの印象が悪かったのって」

「ああ。最初の印象は最悪だったが、行動を見ていく内に、根は悪い奴ではなかったな」

「そういえば、動物には優しい一面もあったわね」

「あったあった!」

 

まあでも惜しい人を亡くしたよと思い出すように話すレイル。

 

「そんな感じで、入社式で勝負を申し込まれただけ」

「……確かに普通じゃないわね。というか、指先で剣を受け止めるなんて……そんな事できるの?」

「理論上は鍛えれば可能だ。だが、レイルのように素手で真剣を受け止めるのは並み大抵の事がないとできん」

 

アリンの疑問にアポローネスが答えた。

 

「覚えても損はないと思うよ? 空いた手を使って相手の心臓に風穴を空ける事もできるし……」

「なんかサラッと物騒な事を言ってない!?」

 

なんでもないように言うレイルにアリンは突っ込むのであった。

 

 

 

 

その日の夜。

レイルは向日葵荘の食堂で紅茶を飲みながら本を読んでいた。ちなみにファング達はもう部屋で寝ている。

 

「レイ?」

「あれ、マリー?」

 

誰かが入って来る気配がしたので、視線を向けるとマリアノだった。

 

「まだ起きてたの?」

「…いや寧ろ、それ僕のセリフなんけど。紅茶、飲む?」

「いただくわ」

 

とりあえずレイルはマリアノの分の紅茶を淹れる。

 

「はい、どうぞ」

「ありがと」

 

紅茶を受け取ったマリアノはレイルが座ってるソファに腰を下ろしたのだ。

 

「なんで僕が座ってるところに?」

「別にいいじゃない。……嫌なの?」

「いや全然」

「そう♪」

 

レイルがそう答えるとマリアノは上機嫌になりながら紅茶を飲む。

 

「それにしても宿暮らしというのはどうも慣れないわね。人の気配が多くて落ち着かないわ」

「気にし過ぎじゃない? もしかしてこの時間帯に起きてたのって、そのせい?」

「それもあるわね」

 

宿暮らしという慣れない生活に愚痴るマリアノ。人の気配に敏感な彼女にとって、落ち着かない気持ちも解らなくもない。

 

「そういうレイこそ、こんな時間に起きて何をしていたのかしら?」

「……誤魔化したね。別に大した事じゃないよ?」

「教えなさい」

「マリーのご想像にお任せします」

「教・え・な・さ・い!」

「分かった分かった。マリー、顔が近いって! 君の可愛い顔を間近で見れるのは個人的に嬉しいけども!」

「~~~~~っ!? ば、バカ……」

 

レイルにさり気なく可愛いと言われ、顔を赤くしながらレイルから視線を逸らすマリアノ。

 

「それで何をしてたのかだっけ? イメージトレーニングだよ」

「なんの?」

「魔法の」

「どうやって?」

「この本を読みながら」

 

そう言って先程まで自分が読んでた一冊の本をマリアノに手渡す。

 

「これは……料理雑誌?」

「僕が愛読してるシリーズの1冊だけどね」

 

なんと料理雑誌だった。

魔法のイメージトレーニングだとレイルが言うから、てっきり魔法を扱う専門書かと思ったマリアノだったが、全く違うジャンルだった事に思わず目が点になってしまう。

 

「僕は魔法の素質がないから、色々と工夫が必要なの」

「レイには魔法の常識というものはないのかしら?」

「フェンサーの癖に魔法使えないの?なんて、バカにされるよりはマシじゃない?」

「……」

 

正直マリアノが知る限り、レイルが使用する魔法はどれも常識外れ且つ画期的な魔法なものばかりなので、彼の発想には毎回驚かされるばかりだ。

 

「さて。マリーには僕の秘密を知られちゃった訳だし、どうしてくれようか?」

「は?」

 

その言葉に思わず間の抜けた声を上げてしまうマリアノ。

 

「だってマリーに秘密の特訓内容を教えちゃったから、当然マリーも付き合ってくれるよね?」

「今のやり取りで、そんな要素がなかった筈だけど?」

「そんなの知らないなぁ~♪」

 

軽く反論するマリアノだが、当のレイルはどこ吹く風といった表情だ。

 

「そういう訳でマリー? 今夜は寝かさないぞ♪」

「…わ、分かったわよ……(はあ……不謹慎だけど、期待してしまう自分がいるから、なんとも言えないわ……)」

 

これからレイルに何をされるのかを期待している自分がいる……と思ってしまうマリアノなのであった。

 

 

 

 

そして翌日。

フューリーの情報を貰おうとロロがいると思われる噴水広場にやってきたレイル達なのだが……

 

「……」

「マリー、元気ないよ? 大丈夫?」

「……大丈夫なわけないでしょ。誰のせいだと思ってるのよ」

「ごめん、僕のせいだね」

 

あんまり反省のないレイル。事情を知らないファング達は彼女の態度に首を傾げる。

 

「もしかして、レイの夜更かしに付き合わされたの?」

「……ええ。そんなところ」

「どのくらい?」

「私が寝落ちするまで」

「「……まあ、そのご愁傷様」」

 

ティルアとシャルに聞かれて頷くマリアノ。2人も経験した事があるのか、マリアノの肩を軽く叩きながらそう言った。

 

「いらっしゃーい。今日も活きの良い情報を、大好きなお兄ちゃんの為に、仕入れといたよ。特売価格このお値段で、どーお?」

 

そして案の定、彼女はいつも通り居た。レイル達に今回の情報料金を見せる。

 

「……えーっと、4980Gold(ゴルド)か。ロロちゃん、5080Goldで」

「まいどありー! 100Goldのお釣りになりまーす」

「…ん。確かに」

 

お釣りを受け取りながら、レイルは今回使った情報料金をメモする。

 

「んとねぇ、ソルオールって村にフューリーがあるんだけど、そこは()()()ってフェンサーが支配してるらしいの」

「……ザンク、か」

「また、あそこに行くんだね。あたし、あいつ嫌だな……」

 

ロロからの情報にファングとアリンは複雑そうだった。

 

「ザンク……あやつが動いているのか」

「面倒な事になったわね……」

 

アポローネスとマリアノもあまりいい表情ではなかった。

 

「あれー、ザンクを知ってるのー? でも、一度売った情報はガセでもない限り、クーリングオフは絶対にしないよっ!」

 

値引きとかもノーセンキューだからね!とファング達にくぎを刺すロロ。

 

「そういう事はしないって。ロロちゃん、そんなケチ臭い客には、今度から情報料金を通常の1.5倍にして対応しなよ。さて、僕らは今からソルオール村に行ってくるよ」

「はーい、いってらっしゃーい♪ また来てねー♪」

「なあアリン。なんかロロの奴、兄貴にだけ優しくね?」

「確かに……」

 

前の世界と同じく、ロロのレイルへの態度に不思議な疑問をもつファングとアリンであった。

 

「ファング、ザンクを知ってるのか?」

「……まーな。ちょっと色々あってな」

 

大都市ゼルウィンズからソルオール村に向かう途中、アポローネスに聞かれたファングは前の世界の事は伏せて曖昧な返事をした。

 

「ザンクはマリアノ、パイガ、そして私と共にドルファ四天王に数えられたフェンサーだ」

「正確にはレイが抜けた後釜……と言った方が正しいかもね」

 

マリアノの言葉にアポローネスもそうだなと返す。

 

「だが、ヤツの魂は外道に落ちた修羅そのもの。……無闇に関わらぬ方がよい」

「ちなみにアポロとマリーから見てのザンクの印象ってどうなの? …なんとなく察しはつくけども」

 

ちょっと気になったレイルはアポローネスとマリアノから見てのザンクについて訊く。

 

「やつが強いのは認めるが、私は同志などと認めた事はない。手段を選ばぬ残虐非道、邪悪な輩なのが私の印象だ」

「私も同じ意見ね。何か気になる事でもあるの?」

 

レイルの質問の仕方が気になったマリアノ。こういう時の彼は何か気になる事がある時だ。

 

「……いや別に。とりあえず直接見て見極める事にするよ」

 

しかしレイルは彼女の疑問にそう答えるだけだった。




読んでいただきありがとうございます。
この回は2話か3話、もしくは4話くらいに分けようかなと思ってます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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