フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
前回の続きになります。
それではどうぞ。
「……ここは、あんまいい思い出がねーな」
「大丈夫だって。大体、一度戦った相手でしょ」
ソルオール村の近くまで着いた途端、ファングがそう呟いた。そんな彼をアリンは励ます。
「面倒な戦いはゴメンだぜ。だから、最短ルートを目指す」
「最短ルート? ああ、地下牢のルートを使うんだね」
ファングの言う最短ルートという言葉に納得したとばかりにレイルは頷いた。
「ああ。確か村の地下牢にフューリーがある筈だ。ザンクとの戦いを避けて、地下牢に忍び込み、フューリーを盗み出す!」
「賢い選択だ。外道とは関わらない方がいいからな」
アポローネスや他のみんなもファングの作戦に賛成のようだ。
「という事で……おい、アリン! 牢屋のある場所を探して来い!」
「やっぱりそうなるのね」
なんとなく分かってたとばかりに苦笑いしながらもアリンは体を妖精くらいの小さいサイズまで縮小させた。これは一部の妖聖が使える能力だ。
「それじゃあ行ってくるわ」
そしてアリンはソルオール村に侵入できる入口を探しに飛んでいった。
◇
「どうした、戦え! 命を懸けて殺しあえ! 勝った方の命だけは助けてやる!」
「お、お許しください!」
「そんな事はできません! 兄弟同士で殺し合うなんて!」
ソルオール村の広場にザンクは居た。兄弟同士で殺し合いをさせられていた村人2人は必死に懇願する。
「バカヤローッ! 兄弟同士だから面白えんだよ! あーっ、イライラする! そんなに仲がいいなら、一緒に眠ってろ!」
「「がはっ!?」」
そう言ってザンクは村人2人を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた村人2人は地面に蹲りながら気絶した。
「ケッ、つまらねえ奴らだ。何故、オレ様を楽しませねえ!」
「キャハハハ! ザンクがキレたキレた。今日もキレキレ~!」
パートナー妖聖のデラが面白そうに笑う。
「く……」
その光景を見てたガルドは複雑そうに見ていた。
「ザンク、程々にしてくださいよ」
「あーん? オレに意見するとは随分、偉くなったじゃねーか? え、パイガ?」
眼鏡をかけた男、パイガの言葉に聞いたザンクは軽く睨む。そして肩をすくめるパイガ。
「忘れたんですか、私はあなたのお目付け役なんですよ?」
「それがどうした? オレ様のやり方に文句あんのか?」
「い、いえ……そういう訳では……。ですが、上がもっと穏便に、と言っているんです」
「……うっせえ! フューリーを手に入れたんだから、文句はねえだろうが!」
「た~だいま。見回りから戻って来たでごじゃるよ!」
すると長槍を持ち、紅い服を着た186cmの男、ロンギと親衛隊の兵士数名が広場にやって来た。
「おう、ロンギ。お前らもご苦労」
「ザンクくんもパイガすわ~んもお疲~れ。ところで、倒れてるこいつら今日もダメだったん?」
「全然だ」
「お~し、お前らこの村人2人を連れていきなしゃ~い」
「はっ!」
ロンギに指示された兵士達は村人を運んで行った。
「隊長、ザンク様」
すると今度は入れ違いに別の兵士がやって来た。
「どうした?」
「先程、反対側の入口から侵入したモンスターを仕留めたのですが、見た事もないモンスターでしたので……ザンク様と隊長のご意見をいただきたいのです」
「見た事ねえ……」
「モンスターだあ?」
兵士の報告にザンクとロンギは顔を見合わせる。
「オーライ、オーライ! あっ、ザンク様に隊長。それにパイガ様。おい、お前。建物にぶつけるなよ!」
「やかましい! んなの分かってるわ!」
丁度いいタイミングで少しボロボロの兵士が口喧嘩をしながら何かを運んできた。
「こちらがそのモンスターです」
広場に運ばれたのは、骨が剥き出し状態の四足歩行型のモンスターだった。
「なんだコイツは……狼型? にしては、やけに少しでけえな……それともドラゴン系の類か?」
「いんや、それにしては翼も生えてなければ、ドラゴンの鱗みたいのもないねえ……」
それなりにモンスターの生態に詳しいザンクとロンギだが、部下達が仕留めたこのモンスターは見た事もなかった。
「一応、村人にも訊いたのですが、誰もこのモンスターは見た事もないみたいです」
「って事は、この周辺に生息してるモンスターじゃねえって事か……」
「そうなるね~。騒ぎになってもおかしくない見た目をしてるしね~」
ソルオール村に生息するモンスターは、ゴースト、ポイビー、そして稀にであるが、キダナル地域からグナーダが移動してくるくらいだ。
「それから、他の者も言ってたのですが、自分達がこのモンスターを発見した時には、抵抗する間もなく倒れたのです」
「「なんだと?」」
「はい。まるで
「「……」」
部下の話によると、この未知のモンスターは、部下達を一瞬見た後に村の方を見て、その直後に安心したかのように倒れたと言う。
「おい、入口の防御を固めろ。特に反対側は念入りにな。それと周辺のモンスターには特に警戒しろ」
「お前らは村人達に足りねえ物資を聞いて回れ。村長には村の連中が不安がらないように今の状況を一言一句、丁寧に説明しろ。物資は見張りと交互に買い出しに行け」
「「はっ!」」
直感でこれは只事ではないと判断したザンクとロンギは部下達に指示を出す。
「ロンギ、どうやら今日は祭りの日になりそうだな」
「奇遇だね~。ザンクくん~。オレ様もそう思ってたところだ~よ……」
ニヤリと笑い合うザンクとロンギ。
「パイガ、お前はさっさと帰れ。巻き込まれて死にたくなかったらな」
「え? どういう事だ?」
「パイガすわ~んの身の保証まではできないって事だよ。シャチョさんにも説明しておいて?」
「む……わ、分かった……」
「お前ら、パイガすわ~んを会社まで護衛してやれ。無事に送り届けるまで気を抜くなよ?」
「はっ!」
とりあえず命が惜しいパイガは数人の兵士達と一緒に広場から去っていった。
「お前ら。これからオレとロンギで地下牢に保管してあるフューリーの場所に行ってくる。全員に
「新しい指示を出すまで、今出した指示に全力を尽くせ。いいな!」
「はっ! 行ってらっしゃいませ!」
これからの行動を部下達に指示を出したザンクとロンギは、地下牢に向かうのであった。
◇
「ただいまーっと」
「アリンちゃん、おかえり。どうだった?」
しばらくしてアリンが帰ってきた。出迎えるレイル達。
「大体の場所は分かったわ」
「アリン、見張りとかはいたのか?」
「ざっと見たところ、見張り自体は結構いるみたいだけど、気をつけて歩けば、なんとかなると思う」
「簡単じゃねえな……」
つまり慎重に進みながら地下牢を目指すという形になる。
「なるべく戦いは避けましょう」
「了解。万が一、見つかりそうになったら無言で相手の腹に拳を叩き込んで気絶させればいいんだね?」
「サラッと真顔で怖い事を言わないでくれる?」
「冗談だよ」
「お義兄様の場合、普通に実行しそうですわね……」
冗談で言ってるのか本気で言ってるのか判らない表情のレイルにアリンとティアラは突っ込むのであった。
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