フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。オリジナルになっています。

それではどうぞ。


第52話 村の異変の真実

「この階段を下りた先よ!」

 

アリンが見つけた地下牢へ向かうレイル達。

 

「アリン、なんか臭うな?」

 

階段を下りて進むと、ファングが呟いた。

 

「え、あたし、ちゃんとお風呂入ってるわよ! ティアラじゃないの?」

「私も入ってます!」

 

失礼なとばかりにティアラが答える。

 

「ちげーよ、なんか、嫌な臭いがする」

「うわ。ほんとだ……」

 

ファングの言う通り、どこからか嫌な臭いがした。その臭いの元を辿ると、近くに少し大きい窯のような物があった。

 

「この穴から臭いが……うっ!(死体が……墓穴……いや、処理場ってところかよ?)」

 

穴をファングは覗くと、穴からは数々の死体の山がこちらを覗いていた。

 

「どうしたの、ファング?」

「来るな! 見るんじゃねえ!」

 

こちらに来るアリンを止めるが、時すでに遅しだった。

 

「これは……ザンクの仕業。フェンサーとして、許しがたい非道ですわ!」

「女だけでなく子供まで手をかけているとは……度し難い」

「人間としてあってはならない行為ね」

 

ティアラ、アポローネス、マリアノもこれには怒りを隠せなかった。

 

「……気持ちは分かるけど、そう決めるのはまだ()()だよ」

「右に同じく。みんな少し落ち着きなって」

『!?』

 

だが異を唱える者が居た。それはレイルとハーラーだった。他の者はこの光景を見て何を言ってるんだとばかりに目を見開く。

 

「ハーラーちゃん、例のアレ。まだ持ってたりする?」

「レイル君がそう言うと思って、かなり前から新しいのを用意してあるよ」

「流石ハーラーちゃん。仕事が早いね」

 

そしてレイルは死体の山に近づき、手を前に出す。

 

「…『ソナースキャン』」

 

レイルが魔法名を呟いた瞬間、彼の右手から半透明の球体が死体の山に向かって放たれた。球体はドーム状に変化し音波のような物質がファング達にも視認できた。

 

「なんだアレ。もしかして、アレも兄貴の魔法なのか?」

「そうだよ。学生時代の頃にレイル君が独自に編み出した魔法でね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()する事ができるんだ」

「前者はまだ理解できるけど、後者は何の意味があるの?」

「後者が特に大事なんだ。今の状況がかなり分かりやすいね」

「どういう事ですの?」

「……この村人達の死体は()()()()()()()()()()があって、殺されたのかもしれないって事さ」

 

それを聞いて信じられないとばかりに、ハーラーの説明に衝撃を受けるファング達。

 

「……」

「レイル君、どうだった?」

「正直に言って……えぐいね」

 

すると今度はハーラーが用意したと思われる機械をその場に置き、起動させた。レイルの表情は複雑そうな表情だった。

 

「みんなに先に言っておくよ。今回はある意味、ザンクが正しい」

「ど、どういう事だよ!?」

「この映像を見れば嫌でも分かるよ。この魔法の再生は限りなくリアルタイムに近いから、その辺は理解してね」

 

レイルは念の為の注意事項をファング達に言う。

 

「ハーラーちゃん」

「オッケー。再生っと……」

 

そして映像が再生された。

 

『だ、だれか……た、たす、けて……』

『か、体の奥が……か、痒いよぅ……』

 

最初にファング達の目に映ったのは、何かに苦しむソルオール村の村人達だった。

 

『う"っ……! お、おええええええっ!?』

 

すると1人の村人の口から肉食虫の亜種モンスター、グナーダが飛び出してきたのだ。その光景を見た他の村人達は悲鳴を上げる。

 

『クソッ!! 遅かったか!』

『なんであのヤロウの言葉に疑問を持たなかったんだ!! お前ら、とにかく他の村人達を非難させろ!』

『はっ!』

 

そして声を荒げながらザンクと親衛隊長のロンギが部下達に他の村人達の避難を指示させた。

 

『グ、グゲ……ゲ……!』

『『ちぃ! クソがっ!』』

 

襲ってきたグナーダをザンクは剣で斬り、ロンギは長槍で突く。しかしグナーダは攻撃を見切って、2人の攻撃を避けたのだ。

 

『オレ達の攻撃を避けただと!?』

『なーんか、ムカつくねー……』

『痛い、か、体がいた……ああああああああ!?』

『今度はなんだ!?』

『オーイ……冗談じゃねえぞ……』

 

子供の悲鳴を聞いたザンクとロンギは思わず手を止めてしまう。何故なら、蜂型モンスターのポイビーが子供の身体のあらゆる場所から突き破って飛び出してきたのだ。しかも通常のポイビーよりも一回り大きかった。

 

『グ、グゲ……ゲ……』

『ビ、ビビッ……ビビビッ……』

 

そしてポイビーはザンクとロンギが相手にしてたグナーダを見つけると、小さな手を使ってグナーダを持ち上げたのだ。

 

『グ、グゲゲ……!』

『ビ、ビビビッ……!』

『『ちぃ!』』

 

次の瞬間、グナーダを持ち上げたポイビーが凄まじい速さで突撃してきた。ザンクとロンギは攻撃を寸前で避ける。

 

『さしずめ空中戦もできるようになりましたあ……ってところか?』

『だろうね~、肉食虫のグナーダに毒蜂の中でも無類の速さを誇るポイビーか……やってくれるね~?』

 

肉食虫に毒蜂……ある意味、恐ろしい組み合わせだ。

 

『ロンギ。グナーダはともかく……ポイビーが人間の中から出てくる話、聞いた事あるか?』

『ないね~、オレ様も初めて見たよ~。だが見直さねえといけねえのはポイビーもグナーダと似た生態を持つ可能性が高まったって事だね~……蜂の癖に生意気な』

『はっ! 違いねえ!』

 

あり得ない現象を目撃したせいで、逆に笑いたくなる気分になるザンクとロンギ。

 

『ザンク様! 隊長! 大変です!』

 

すると全身が切り傷の1人の部下が駆け寄ってきた。

 

『なんだ!』

『こっちも立て込んでるから、手短にね~』

『村人達を広場に非難させた直後、数名の村人達の身体からグナーダと何故かポイビーが出現しました!』

『『なんだと!?』』

『しかもグナーダとポイビーが連携を組んでいます。現在は自分達でなんとか応戦していますが……』

 

その報告を聞いたザンクとロンギは自分達が交戦してるグナーダとポイビーに目を向ける。

 

『グ、ゲゲ……』

『ビ、ビビビッ……』

 

まるで何かを企んでいるかのような鳴き声だった。

 

『ザンク様! 隊長! 倒した筈のグナーダとポイビーが何故か再生しています!』

『再生だと!? どういう事だ!』

『そのままです! 部位破壊をして倒しても完全再生して襲ってくるんです!』

 

そしてザンクとロンギはある結論に辿り着く。

 

『まさかあの野郎……!』

『やってくれんじゃねえか……!』

『グゲゲ……』

『ビビビッ……』

 

それは今、自分達が交戦してる最中のグナーダとポイビーだ。部下達が言ってた完全再生能力……つまり親玉であるこいつが元凶だ。

 

『おい、そっちの戦力の状況はどうなってる?』

『今はまだなんとかなります。』

『村人に怪我人とかはいないわ~け?』

『怪我人の方はガルドの方に任せています! 恥ずかしながら自分は回復魔法は使えないので……』

『お前ら。グナーダの特性は憶えてるな? 最悪の場合になっても殺すんじゃねえぞ』

『時間が惜しいから、全員に伝えて迅速に行動しろ! いいな!』

『『はっ!』』

 

部下が去っていった後、ザンクとロンギは得物を構えた。

 

『上等だ……』

『オレ様達の手で……』

『『ぶっ殺してやるよ!』』

 

そして映像はそこで終了した。

 

「これを見てもザンクが悪いって、言い切れる?」

「……」

 

映像を見たファングは何も言えなかった。言葉に表せないといった表情だ。

 

「まあでもファング達の言い分も解るよ? だけどここにある死体の中には()()もいたわけだし」

「!? そ、それじゃあ産まれてくる筈だった子供は……?」

「グナーダに喰い殺されたんだろうね。栄養源として」

「ひ、酷い……」

 

非情な現実を聞かされて言葉を失うアリン。

 

「しかし解せぬな。ならば何故ザンク達は、この村を未だに支配などしているのだ?」

「僕の推測なんだけど……村を支配っていうのは表向きで、本当は誰も助けてくれないから、ケジメとして自分達が村を守ってあげてるんじゃないかなって……」

「レイ、どういう事?」

「早い話。誰も助けてくれないっていうのは、()()()()()()()()()()()されてるっていう意味」

 

アポローネスとマリアノの疑問に答えるレイル。

 

「……ザンク達みたいな性格の人間のお陰で救われる命もあるって事」

「殺される事が……ですか?」

「それに近いって事。それとティアラ。勘違いしてるっぽいから、訂正しておくけど……僕が言ったのはモンスターの被害や一部の人間って意味で、ティアラが考えてるのとは別だからね?」

 

ティアラが何を言おうとしたのか察したレイルは、そういう意味とは別だと強く言った。

 

「とにかく今は地下牢のフューリーを回収してから考えよ?」

「ああ。そうだな……(もしかして兄貴……)」

 

そういう捉え方もあるという事を自分達にも憶えてほしいという意味で、ああ言ったのだろうか?とファングはレイルの背中を見て思うのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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