フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
今回から女神編の地への回廊のフューリー回になります。今回は定食屋での会話兼ピピンとの遭遇イベント回です。
それではどうぞ。
エフォールと果林を仲間にした一行は大都市ゼルウィンズの定食屋に来ていた。
「……ぱくぱくもぐもぐ。ごっくん。ぷはー。今日の
「なんだか、今日は上機嫌ね」
いつもより上機嫌なファングを見て呟くアリン。
「エフォールさん、もっとこっちにいらっしゃったらどうです?」
「……ヤダ」
「そうですか。ではこの
「……いる」
「もう私の通訳は必要なさそうですね。皆さん、エフォールを仲間にしてくれて、ありがとうございます」
ティアラとエフォールのやり取りを見た果林が全員にそう言った。
「ずっと普通の女の子らしく生きて欲しかったんです。だから、服もイメチェンさせたんですが、まさかこんな形で私の願いが叶うとは……」
「ま、いいって事よ。あんま感謝とかいらねーからな、ケツが痒くなる」
「ファングって、昔からそうだよね。他人から面と向かって感謝される事に慣れてないところとか」
「いや兄貴、別にそんなんじゃねーし」
「なるほどねえ……ファングにも可愛いところあったのね? ふふ」
他人から面と向かって感謝される事に慣れてないファングにレイルが指摘する。その光景を見て嬉しそうなアリン。
「でもさ、なんでエフォールはフューリーも集めてないのにフェンサーやってるの?」
戦いが目的、なんだっけ?とアリンが訊く。
「……」
「エフォールは
その質問に答えたのは果林だった。
「フェンサー養成機関?」
「はい。才能のある子供をフェンサーとして育て、大手企業などに斡旋する機関の事です」
「「「……」」」
ハーラーの疑問に答える果林。レイルはろくでもない機関だろうなと思いながら、同僚であるアポローネスとマリアノにも目を合わせてみるが、2人も自分と同じ事を考えていたようだ。
「しかしフェンサーとしての力を人為的に発現させるには大きなリスクが伴います。エフォールのようにフェンサーの力を得られたのはごく
「胸糞悪い話やな」
ガルドが代弁する。正直、その機関の活動内容を聞いてて胸糞悪い。
「ある日、その施設が火事になり私達は混乱に乗じて逃げ出したのです」
「私は、戦う事しか教えられなかった……私に出来るのは破壊する事だけ。だから私は戦わなきゃいけない……」
施設を逃げ出したのはいいが、これから先の生き方が分からなかったのだろう。エフォールが教えられたのは戦う事だけだったのだから。
「あ、あのさあ。真剣なお話し中に悪いんだけどちょっといいか?」
「どないしたんや? 食べ過ぎて腹でも壊したんか?」
するとファングが気まずそうに言った。どうかしたのだろうか?
「……財布、無くしちまったみたいなんだよ」
「ええ!?」
その一言でアリンが驚きの表情になる。他の者も同様だった。
「言っておくが、私はこの店の代金が支払えるほどの持ち合わせはないぞ。金銭は極力持ち歩かない主義だ」
「昔から金銭面に関してはしっかりしてるもんね、アポロ」
そう言ったのはアポローネス。確かに彼はドルファ入社当時から金銭は必要最低限だけしか持ち歩かないという話は、レイルも知っていた。
「私も今はそんなに持ち合わせはないわよ」
次にそう言ったのはマリアノ。最も彼女の場合、カダカス氷窟で倒れてた事もあって
「やれやれ、ファング君の奢りだというから思いきり食べたというのに。君も結構抜けてるねえ」
「う、うるせえな!」
ハーラーにも指摘され、支払いはどうするのかとファングが悩んでると何かを見つけたようだ。
「お……あれは……
「……(あ、ほんとだ。ピピンだ)」
視線の先には確かに緑色のアフロヘアーの頭に剣を刺した、緑色の猫のような顔、紡錘形の身体という、着ぐるみのような謎の生物……ピピンの姿が。隣にはソウジの姿も。
「ああ、あの変な生き物は間違いようがねえ。相変わらず頭に剣が刺さったまんまだぜ。そういや、ピピンとは……」
そして何を思いついたのか、ファングはピピンの元に駆け寄った。
「ちょっと僕、少しだけ気配を消してるね。ホロン」
「……(こくり)」
『?』
テーブルの上で器用にクレープを食べてるホロンに合図を送るレイル。他の者は一瞬、何かが起こった気がしたのは確かだがその正体がなんなのか分からなかった。
「む……我が輩を呼んだのは君かね?」
「な、なんやコイツ……!?」
「な、なんですの……この変な生き物は?」
「妖聖……いや、モンスター? ……違うな。およそ名状し難い容姿。そして、何やら、ちょっと香ばしい匂いがする」
「む、面妖な」
「そもそも人間なのかしら……?」
ピピンを見た他の者はこの反応である。
「(あれ? ピピン、もしかして……レイルがすぐ目の前に居る事に気づいてない?)」
ここでアリン。目の前にレイルが居るにも関わらず、彼の存在に全く気づいていないピピンに違和感をもった。
試しにレイルに視線を向けると、口元に指を当てながら、しー、だよ?と合図をアリンに送っていた。ティルアとシャルも『またレイの悪い癖が始まった』とばかりに溜息を吐いていた。
「なー、ピピン! 頼む、ここのお代を払ってくれ!」
「え、ファング、それはちょっと早いんじゃない? ただのタカリだと思われるよ。タカリだけど」
何を言い出すのかと思えば、ファングは前の世界と同じように、ピピンに払ってもらおうと思ってるらしい。
「むむ……我が輩は君など知らん。初対面なのである。よって、君の分は君が支払うべきだ」
全くその通りである。終いには、初対面の人にたかるなど恥を知らんのか!と叱られてしまい、ピピンとソウジは定食屋から去っていった。
「……あ、行っちゃったか。タダ飯大作戦失敗だな」
「もー、今のでピピンが仲間にならなくなったらどうする気?」
「どうもしねえよ。なるようになるって。ま、ピピンの事だ、またどっかで会えるだろ」
「そうだよ、アリンちゃん。ピピンなら、またどこかで会えるって」
まあまあとアリンを宥めるレイル。
「それにしても、ピピンなら気配を消してる僕に気づくと思ったのに……ピピンもまだまだだなあ」
「レイ。普通は気づかないよ?」
「そうよ。たまにそうやって反応を楽しむの悪い癖よ、レイ」
「え? ピピンにしかやらないよ?」
「そういや兄貴、かくれんぼに関しては天才だったよな。今みたいに気配を消しながら隠れるから全然見つからねーし……」
「あったね。そんな事……」
のほほんと残りの紅茶を飲みながら答えるレイルに軽く呆れるティルアとシャル。気配を消すで思い出したのか、ファングもそんな事を呟く。
「……これ、ファングの財布。テーブルの下に落ちてた」
「え……?」
「……バカ」
レイルが懐かしんでると、エフォールがファングの財布を見つけてくれた……のだが、まさかテーブルの下に落ちてた事に財布を無くした当人であるファングは目が点になるのであった。
読んでいただきありがとうございます。
この回は2話か3話、もしくは4話くらいに分けようかなと思ってます(オリジナル回も含めて)。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。