フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。オリジナルになっています。

それではどうぞ。


第62話 ピピン

地への回廊の最下層の広場でピピンと1対1の手合わせをする事になってしまったレイル。

 

「参りますぞ、陛下!」

「……」

 

ピピンは自身のパートナー妖聖であるソウジとフェアリンクさせ、基本形態であるナックルを装備してレイルに突撃する。

 

「…『メイルディーン』!」

「むう!?」

 

レイルが魔法名を呟いた瞬間、彼の右手から電撃を纏ったビーム状の水流が放たれた。だが目の前の魔法の危険性を感じたピピンは即座に避ける。

 

「後ろがガラ空きですぞ?」

「……おっと、危ない」

 

土煙が舞う中、レイルの背後を取ったピピンが拳を叩き込む……が、彼はそれを容易く回避した。

 

「ちょっとなんかレイル、ピピンに押されてない……?」

「大丈夫でしょうか……」

「……それにしては少し妙ね」

 

防戦一方なレイルを見て不安な表情になるアリンとティアラ。しかしマリアノがそんな事を口にしたのだ。

 

「普段のレイなら今の攻防の間で、反撃のチャンスはいくらでもあったのに、それすらしないで回避に専念するのが気になるわね……」

「ああ。相手を(さぐ)る……というより、()()()()()しようとしてるにも見える」

 

アポローネスも疑問に思ってたのか、首を傾げながら言った。レイルがドルファに所属してた時、同僚であった彼とはよく戦闘訓練をした事がある2人から見れば、今の彼の行動に微妙な違和感を感じたのだ……

 

そして再び距離を取ったレイルとピピン。

 

「陛下。避けてばかりでは、我が輩は倒せませぬぞ?」

「……別にただ避けてた訳じゃないさ」

「む?」

「背後を取った時の君の一撃の威力を見て、あー、これは普通じゃ無理だなと悩んだよ。だから……」

 

瞬間、レイルの両腕が輝きだす。これはフューリーの形態変化の輝きだ。両腕という事は、自分と同じナックルが装備されるのかと身構えるピピン。

 

「僕らしく、工夫しながらやらせてもらう事にするよ」

『!?』

 

だが、レイルの両腕に装備されたのはナックルではなく『トンファー』だった。見た事がない形態にピピンだけでなく、ファング達も驚愕する。

 

「ティルア、シャル」

『『スタンバイモード』』

 

レイルが合図を呟くと、両腕のトンファーに変化が発生する。

右手に装備してるトンファーは水属性のオーラを纏い、左手に装備してるトンファーは光属性のオーラを纏っていた。その2つのオーラは炎のように燃え盛っている……

 

「さあ始めようか。次はさっきのように君の一撃が簡単に通るなんて思わない方がいいよ? 最も……」

 

そして音もなくその場から姿を消したレイル。

 

「む!(姿だけでなく、気配も消えた!? いったい何処に……)」

『ピピン! 後ろです!』

「…悪いけど、もう遅いよ」

「ぬう!」

「今みたいに僕に隙を与えるだけだから」

 

ソウジの警告にピピンはすぐさま振り向き防御の態勢を取るが、レイルのトンファーによる一撃でピピンは壁際まで吹き飛んでしまう。

 

「な、何が起こったんや……?」

「動きが全く見えませんでしたわ……」

「……そう? 私見えたけど……」

 

何が起きたのか判らないというガルドとティアラに対し、エフォールは今のレイルの動きが見えたと言う。

 

「え? お前、今の兄貴の動きが見えたのか?」

「……うん。お兄ちゃんがやったの……踏み込みだけだった。ただの踏み込みじゃなくて、予備動作が完全にない状態の……普通の人間でもできないやつだった……」

 

エフォールの説明によると、レイルが消えた種の正体はなんとただの踏み込みであり、その場で踏み込みを行い、ピピンが捜し始めた際には既にピピンの背後におり、攻撃を当てようとしていたというのだ。

 

「ふぅー、間一髪でしたなー……」

「よくダメージを逃がしたね、ピピン」

「流石に色んな意味で肝を冷やしましたからな……」

 

すると土煙の中から、ピピンがやれやれといった感じで現れた。レイルの口振りから察するに、どうやらピピンは吹っ飛ばされた際に何らかの方法でレイルの攻撃の威力を軽減したようだ。

 

「全力で参りますぞ! ソウジ!」

「『フェアライズ』!」

 

そしてピピンは必殺の鎧を身に纏った。その姿は5本の剣が刺さった体より大きいヘルメット状の姿となって装着されていた。

 

「…見くびってる訳じゃないけど、動きとか遅くなったりしないの?」

「それはやれば分かりますゆえ」

「だろうね」

 

レイルとピピンは再び、剣戟……ならぬ拳戟(けんげき)を互いに繰り出し始めた。トンファーとナックルがぶつかり合う音が最下層の広場に響く。

 

「……(流石はピピン。フェアライズした途端、攻撃の速度がさっきより上がってる。しかも一撃を入れられる隙が無い。こりゃ振り出しに戻っちゃうかもな……)」

 

ピピンの拳を受け流しながら次の策を考えるレイル。当たり前だが、フューリーフォーム中は物理攻撃や魔法攻撃も向上するのが特徴だ。防御面も然りである。幸い、昔からピピンの事を知ってるレイルは攻撃をまともに受けた時の威力が容易に想像できた。

 

そうなれば対策は限られる。

 

「……(ピピンのフューリーフォームは、主に体術特化寄りの身体強化系。なら……あれをやろう。結局、そうなっちゃうのか)」

 

トンファーでピピンのナックルを弾き、距離を取ったレイルはフェアリンク状態を解除した。その証拠に頭にはホロン、両脇にはティルアとシャル、肩にはミュイが居る。当然だが、この行動にはピピンを含んだ全員が目を見開く。

 

「まさか兄貴……」

「うん。フューリーフォームを使う気なんじゃ……」

「何!? レイルがフューリーフォームだと!?」

「あのレイが……?」

 

だがファングとアリンの言葉を聞くと、アポローネスとマリアノが反応した。

 

「え? 2人は見た事あるんじゃないの?」

「昔、レイルとは何度か共に行動した事はあるが、あいつのフューリーフォームは一度も見た事がない」

「私もレイのフューリーフォームは見た事がないわ」

 

アリンの問いにアポローネスとマリアノは首を横に振りながらそう答えた。

2人曰く、当時レイルはフューリーフォームを使えないんじゃないか?という噂がドルファ内で流れていたらしく、アポローネスとマリアノには『制約を付けてるだけ』とレイルは言ったそうだ。

 

「…いくよ」

 

それが合図かのように、ティルアとシャルもレイルと同じ利き手を前に構え目を閉じた。するとレイルの足元から銀色と虹色が混じり合った光が出現する。

 

そしてレイルは目をゆっくりと開き……

 

「「「フェアライズ!」」」

 

必殺の鎧の言霊を発する。光は輝きを増しながら、レイルを中心に最下層内を包み込み始めた。

 

そして光は収まり姿を現したのは……

 

「……」

『『フェアライズ・シーケンス・コンプリート』』

 

レイル……の筈だが、その姿は完全に別人だった。

髪形はショートヘアから、ロングヘアーに変わっており、瞳の色も『濃い紫色』から『赤色』に変色していた。

次に外装。紫色のヘッドドレスを被り、紫色のレオタード、両手には紫色の指絞め器を絞め付け、靴底に大量の棘がついた紫色のブーツを履いていた。

 

そしてオーラを纏っており、傍らには、ホロンが魔導書のような物を持ちながら浮遊していた。

 

「アリン、俺やっぱり兄貴のフューリーフォーム……見慣れねえよ」

「大丈夫。あたしも同じ事を思ってるから」

 

前の世界でレイルのフューリーフォームを見た事があるファングとアリンがそう呟く。その言葉を聞いたティアラ達は驚愕せざるを得ない。

 

「はい!? あ、ああ……あの可愛らしい女の子が……お義兄様なんですの!?」

「ふむ……見た感じ、融合係数を弄ってる訳ではなさそうだね……」

「別人じゃねえのか?」

「どう見ても別人やんけ!」

「でもホロンちゃんが傍にいるし……」

「初めて……見た……」

「私もです。あんなフューリーフォーム、初めて見ます……」

「威圧感がここまで伝わる。だが……」

「ええ。あれがほんとにレイだというの……?」

「でもでも~、本人で間違いないと思いますよ~」

 

見た目が完全に変わっている為、レイル本人なのかという状況整理をするだけでティアラ達はいっぱいいっぱいだった。特にアポローネスとマリアノは衝撃的過ぎたのか、目が点になってしまっている。

 

「……それが陛下のフューリーフォームですかな?」

「そうなりますね。()()姿()では……という意味になりますけど」

『いや、本当に誰!?』

 

ピピンの問いかけに答えるレイル。なんと声も余計に女性らしい声色になってる。直で聞いたティアラ達は心の中で突っ込んだ。

 

「ピピン、先に言っておきますね。今からほんのちょっとでも何かを見逃したり、瞬きでもしたら……貴方の負けです」

「はったりですかな?」

「いいえ。大真面目です」

 

真顔で答えるレイル。

 

「ティルア、シャル、ミュイ」

『『リミットアタック『ファントム・ホロンナイツ』』』

 

するとレイルの周囲を中心に複数の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が12体、出現したではないか。

 

「……ホロンナイツ、スタンバイモード」

 

レイルがそう呟くと同時に、ホロンナイツと呼ばれた12体の幽霊達はなんと武器を自ら召喚したのだ。

12体の内の10体は『剣』・『大剣』・『ナックル』・『薙刀』・『槍』・『鎌』・『弓』・『銃』・『斧』・『ランチャー』を、残りの2体は『鎖』と『盾』を装備している。

 

「……(フン!)」

「ぬう! いつの間に!?」

 

そして突如、レイルの傍らに居た筈のホロンがいつの間にかピピンの懐に入り込んでおり、愛用の古びたボロい釘で斬りかかる。寸でのところでナックルで受け止めるが……

 

「足元がガラ空きですよ。ふん!」

 

今度はレイルが背後に回り込んでおり、蹴り上げでピピンを上空に吹き飛ばす。飛ばされた先には銃とランチャーを装備した2体のホロンナイツが待ち構えていた。

 

「仕方あるまい。ソウジ! このまま迎え撃つぞ!」

『ピピン! 後ろから何か来ます!』

「むっ!?」

 

このまま上空で待ち構えてるホロンナイツを迎撃しようと思ったピピン。だがソウジの警告により、背後から槍を装備したホロンナイツがこちらに接近していた。

 

「言いましたよね。ほんのちょっとでも何かを見逃したり、瞬きしたら貴方の負けだと……」

 

すると地上に居たレイルがそう呟いた。

 

「むっ……これは……雪の結晶?」

 

気づけばピピンの周りには()()()()()()()が宙を舞っていた。

 

「さて……念の為、加減はしておきますね」

「……(パチン)」

『『アタックエフェクト『百花氷乱』』』

 

レイルとホロンが指をパチンと鳴らした刹那、結晶が弾けるのと同時に青白い光が最下層の広場を覆いつくした。

 

「…………」

 

青白い光が収まる。そこにはフューリーフォームを解除され、仰向けに倒れるピピンの姿があった。

 

「…おーい、ピピン。大丈夫?」

 

そしてレイルもフューリーフォームを解除し倒れてるピピンに声をかける。変身前と変わらずのファング達が知るショートヘア時の姿だった。

 

「正直に申し上げますと、少しばかり全身が痛いですな……いやー、我が輩の負けです。陛下」

「これでもピピンが死なないように加減をしたんだから、その辺は勘弁してね。立てそう?」

「申し訳ありませぬ。それと陛下。約束通り、ここで手に入れたフューリーをお譲りいたしましょう」

「…ん。ありがと」

 

ピピンをゆっくりと起こし、フューリーを譲ってもらったレイル。

 

「ピピン。せっかくだから、このまま僕らの仲間になってよ」

「なんと!? ……失礼ながら陛下は、我が輩のような古参フェンサーの助けが欲しいというのですかな?」

「僕としてはピピンが仲間になってくれると、この先も色々と凄く助かるんだけど」

「なるほど……よろしい。我が輩で良ければ、役立てましょうぞ! ソウジもそれで良いな?」

「はい。異論はありません。皆さん、よろしくお願いします」

 

こうして、なんやかんやで前の世界と同じく、ピピンとソウジも仲間になったのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。

そして最後にレイルのパートナー妖聖、ティルアとシャルロットのフューリー状態での新形態の紹介になります。

新形態・トンファー:『テイルズオブリバース』のバファーダム

こんな感じです。
次回もよろしくお願いします。
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