フェアリーフェンサーエフ~元ドルファ四天王の旅~ 作:ゆるポメラ
前回の続きになります。
火山の中なのにあんな立派な通路を作る古代人、凄いなと思いました。
今回は少しオリジナルにしています。
それではどうぞ。
シャイでアンチキショウな暗殺者、エフォールと果林に遭遇した次の日。
「おはよー」
「おはよう、アリンちゃん」
宿屋の食堂でレイルが朝食の用意をしていると眠そうなアリンが現れた。
「どうもおそようございます。出発の準備はとっくに整っておりますわよ」
ティアラがアリンに言う。
ちなみに彼女、レイルが朝食の準備をし始めた時に起きてきたので、早寝早起きなのは昔と変わらずだった。三文の徳だし。
「何よ、まだそんなに遅い時間じゃないでしょ」
「日付が変わる前に寝て鶏が鳴くのと同時に起きる。人として当然ですわ」
「老人か。……てか、頬っぺたに食べかすが付いたまま言われても、説得力があんまりないわよ」
「へ?」
そう指摘されたティアラはキョトンと目を見開く。確かによく見ると、左の頬っぺた辺りに食べかすが付いていた。
「あ、ほんとだ。しょうがないなぁ……ほら、ティアラ。こっち向いて」
「へ?」
多分、自分が作ってあげたデザートだろう。
そう思ったレイルは、てくてくとティアラの元まで歩き、常備してるポケットティッシュから1枚取って彼女の口元を拭いてあげた。
「はい、これで大丈夫。別に誰も取って食べたりはしないんだから、ゆっくり食べるんだよ?」
「うー……はい……」
「……(これじゃどっちが年上なのか分からなくなるわね)」
頭を撫でながら彼女に言うレイル。恥ずかしいのか顔を俯きながら返事をするティアラ。その光景を見て、どっちが年上なのか分からなくなるアリン。
「……(スッ)」
「あ。ありがと……」
そう思ってると、彼のパートナー妖聖、ホロンが朝食をアリンの前に持ってきた。
レイルもそうだが何故かホロンもエプロンを付けていた。すると今度は野菜スープを持ってきた。あんな小さな見た目で、こぼさずに物を持ってこれるのも凄いと思う。
……見てて、シュールだけども。
「あー、ねみー」
「おはよう、ファング。寝癖が凄いから、食べ終わったらでいいから直しておきなよ?」
「おお。あー、地味に頭痛てぇ……」
次に起きてきたファングが食堂にやって来た。彼は椅子に座ると頭が痛いと呟く。それを見たレイルは直ぐに何かを作り、ファングの前に置いた。
「ほら、ファング。これを飲みなよ。楽になるから」
「……おー。うげっ……毎回飲んで思うけど、相変わらず慣れねぇな。これ……」
「ねえ、何飲ませまたの?」
ファングに飲ませた物が気になったアリンがレイルに訊く。
「簡単に言うと、酔い止めと頭痛薬と眠気覚ましが混ざった料理……って言えばいいかな?」
「? なんで疑問形?」
「薬とも言い難いし、かと言って美味しい飲み物でもないからさ。僕的にこれはギリギリ料理って分類にしてる。ファング、また変な姿勢で寝てたでしょ?」
「うっ……だってよぉ……俺だって、気をつけて普通に寝てたんだぞ?」
ファングにそう指摘するが、こればっかりはしょうがないとレイルは付け足す。
「それって単純にファングの寝相が悪いだけじゃん」
「そうですわね」
「……お前ら、1回これを飲んでから言えよ。俺でさえ、気をつけてるようにしてるんだからな?」
言いたい放題な女性陣にファングが恨めしそうに言った。
「そういえば、ティルアは? いつもならもう起きてくる筈なのに……ご飯冷めちゃうじゃん……」
「あ。そういやなんか昨日の夜だっけか? 兄貴がよく飲んでる酒に
「あ"っ?」
「「「っ!?」」」
まだ起きてこないティルアを見かねたレイルが心配そうに言う。
そしてファングが思い出したとばかりにポツリと呟くと、レイルは低い声を出した。その声を聞き、思わず背筋を伸ばしてしまうファング達。
「……ふーん。いつも飲んでたお酒の味が違った理由はそういう事か~。そっか~、ティルアが珍しく一緒に飲もうなんて言った理由はそういう……」
「あ、兄貴……?」
「レ、レイル……?」
「お、お義兄様……?」
フフフと不気味な笑みを浮かべるレイル。正直言って怖い。
「僕、ちょ~~~~っと、ティルアを起こしつつお話してくるから、3人は少しゆっくりしててね?」
「「「……(((コクコクコクコク!!)))」」」
エプロン外しながら、少し遅れてもいいよね?とそこにあったのは極上の笑みを浮かべながらファング達に訊くレイル。ただし額に幾本もの青筋が。これは怖い。
今の彼に反論したら命は無いと思った3人は揃えて首を縦に振った。
「……(くいくい)」
レイルがティルアを起こしに階段を上がった直後、ホロンが見に行く?とファング達を誘ってきた。正直に言って見に行きたくないと同時に気になった3人は途中まで見に行く事に。
すると……
「ふわぁー……ん~……レイ? なあに~……」
「……」
「あ、あれ? レ、レイ? な、なんでそんなに不機嫌なの?」
「…………」
「え? き、昨日のアレはその……ちょ、ちょっとレイ? 落ち着いて、2人で話そ?」
「……………」
「え、ええと……だ、だから、その……ひゃあああん!?」
そこから先はティルアの断末魔……というより、卑猥な声が聞こえた気がした。一体、何をされてるんだろうか?
「「「……」」」
とりあえず、知ったら自分達は何かを失いそうな気がしたので、3人はレイルの言われた通りに食堂で待ってる事にした。
◇
「あ。お兄ちゃん、毎度ー。お得な情報があるんだけど、この値段で買わない?」
「……ん。じゃあこれでお願い」
広場でロロを捜し、情報料金をレイルは手渡した。
「まいどありー♪ フューリーの情報だよね。ええっとぉ。ヤタガン溶窟で見つかったっていう噂だよ」
「ヤタガン溶窟かぁ……」
ヤタガン溶窟とは、大都市ゼルウィンズの北西部にあるヤタガン火山の麓に位置する洞窟の事だ。まさかあんな場所にフューリーがあるとは思わなかったが。
「そもそも噂って、誰から聞いたのよ?」
アリンが訊くと、ロロは内緒だと答えた。
「それより、お買い得商品があるんだけど、買わない?」
「……お買い得商品?」
お買い得商品と聞いて、レイル達は首を傾げる。
「うん。
「……(いや、なんで完成まで3時間かかるの?)」
「そのカップ麺には致命的な欠陥がある。手軽さに欠けるし、絶対に売れない。そして俺としてはいらない」
「珍しく賢い選択だわ。さあ、行きましょう」
「しっかり稼いできてねー」
そう言ってロロは、笑顔で見送った。
「……ロロちゃんや」
「? なあに、噂のお兄ちゃん?」
ファング達に先に外に出ててと言ったレイルは、ロロに話しかける。
「そのカップ麺、1ついくら? 僕の見立てだと、150
「お兄ちゃん、詳しいね? お兄ちゃんなら特別に100Goldで売ってあげようか?」
「ううん。150Goldでいいよ。それを12個、買いたいんだけど……在庫ある?」
「まいどありー♪ 今度何かオマケしてあげるねー♪」
料金をロロに手渡し、商品を受け取ったレイル。
『レイ、なんで買ったの?』
「単純に食べたかったから。シャル達の分もあるよ?」
『それはまぁ、嬉しいけど……もしかして3日分も買ったの?』
「うん」
ファング達が待つ外まで向かう途中、シャルに話しかけられたレイルは質問に答えた。しかしお湯を注いで完成するまで3時間かかるカップ麺を買う理由はあったのだろうか?
単純にレイルが食べたかったというのは本当かもしれないけど。
「魔法で熱湯を使えば、3時間というデメリットも解決できると思って」
『なるほど。そういう事ね』
その答えを聞いてシャルは微笑みながら納得するのであった。
◇
「こちらがヤタガン溶窟のようですわね」
「まさかまたここに来る事になるなんてね……それにしても相変わらず暑いな」
ヤタガン溶窟に着いたレイル達。
その内部は古代文明によって作られており、舗装された通路も確認されている。だが同時にモンスターも潜んでいる為、こんな場所に来るのは一部の人間くらいだろう。
「とりあえず、3人にはこれを渡しておくから、飲んでおきなよ?」
「「「?」」」
そう言ってレイルは、コルク栓で蓋をした小瓶をファング達に手渡した。小瓶は冷たく、蓋からは煙が少し漏れ出していた。
「脱水症状を防ぐアイスドリンク。それを飲めば、少しの間だけ、こういう場所でも平気でいられるから」
「へえー。こういうのって、どこで売ってるんだ?」
「売ってないよ? だって僕が魔法の練習がてら、独自に作ったやつだもん」
ファング疑問に答えるレイル。
とりあえず蓋を開けて飲んでみる3人。味はレモンシャーベットを液体にした爽やかな感じだった。すると早速変化が現れる。さっきまで暑かったのに、全然暑さを感じなくなった。
「おおー! すげー! 全然暑くねー!」
「ほんとだ。火山の中なのに全然暑くない……」
「ほんとですわ。お義兄様、売ったりしないのですか? 凄く画期的だと思いますが……」
ティアラの言葉にファングとアリンも頷く。
こんな画期的な物、ゼルウィンズで売りだしたら流行る事、間違いなしだと思ったからだ。
しかし、レイルは首を横に振る。
「いや売る気はないよ。こんなのが世の中に出たら、確かに便利かもしれないけど、作り方の殆どが魔法だから、悪用されやすいんだよ」
「それは……なんか残念ですわね」
「なんかもったいねーな……」
「でもそれを聞いたら、確かにあり得なくはないかも……」
理由を聞いて残念がる3人。
新商品を開発する人は、こうやって悩むもんだよと3人に教えるレイルだった。
◇
「あっ、見つけました! きっとあれがフューリーですわ」
「また予想外な場所にあるもんだね……」
しばらく歩いてると、通路の中心にある広々とした空間にフューリーが突き刺さっていたのを発見した。
「それじゃ、早速……」
ファングがやっとかといった表情でフューリーに近づく。
「ちょっとお待ちになって」
「なんだよ? さっさと抜いて、こんな洞窟おさらばしようぜ」
「そうそう、何をもったいつけてんのさ」
目の前のフューリーを抜こうとしたが、ティアラが待ったをかける。早くフューリーを取って、こんな暑い洞窟から出たいファングとアリンが不満を口にする。
「簡単に見つかり過ぎではありません? こういう場合、何かしら罠が隠されてるとは思いませんか?」
「……罠?」
「ええ、フューリーが隠されている場所は、こういう古代の遺跡のようなものですからね」
隠した古代の方が、よくトラップを仕掛けているものだとティアラは付け足す。
「……確かにティアラの言う事も一理あるね。という訳で、今から古代人も想定しない方法で、このフューリーを取るから手伝って」
「古代人が……」
「想定しない……」
「方法……ですか?」
レイルがなんだ簡単じゃんみたいな感じで言った。そして彼の言葉の意味が解からないファング達は首を傾げた。
「先ず……こういう場所は大抵の場合、フューリーからほんの少し離れた場所に解除スイッチみたいのがある筈だから、ティアラとアリンちゃんはそれを探して?」
「「分かった(りましたわ)」」
そう指示されたティアラとアリンはトラップの解除スイッチを探しに行った。
「兄貴、俺はどうすればいいんだ?」
「ファングは、そのフューリーの持ち手を触ってもらっていい? 正確には柄の部分で」
「えーっと、こんな感じでいいのか?」
「そうそう。そんな感じでそのままでいてね? 仕上げをやっちゃうから」
そう言うとレイルは、白いテープのような物を取り出し、ファングとフューリーを中心にして小さく囲むようにテープを床に貼った。
「……これでよし。ファング、フューリーから離れても大丈夫だよ」
「え? 離れちゃっていいのか?」
「うん。準備はできたから」
単純にフューリーの周りに小さな印をテープで貼っただけなのに、レイルは準備ができたと言ったのだ。
「お義兄様ー! トラップの解除スイッチのようなものを見つけましたー!」
「はーい。じゃあティアラとアリンちゃんはそこにいてねー? 僕らも直ぐに行くからー。ファング、行くよ?」
「お、おう……(え? 俺らも向こうに行くのか……?)」
このフューリーをどうやって取るんだ?とファングは自分なりに考えたが、さっぱり思いつかなかった。
「ここからフューリーが見えるから、位置的にはこの辺りかな?」
「なあ、兄貴。結局、あのフューリー、どうやって取るんだ?」
「ん? ここからだよ」
「「「え?」」」
ファングの問いかけにレイルは答える。
自分達がいる場所は、トラップの解除スイッチがある辺りで、フューリーがある場所までは少し距離があった。それを彼は今居る位置からフューリーを取るというのだ。
「ティルア」
「はーい」
するとレイルはティルアを呼び出し、彼女をフェアリンクさせる。彼の右手には先端に深緑の勾玉のような物が付いた禍々しい見た目の鎖が握られていた。
「ティルアのフューリー形態変化を使って取るんだよ。最も、この鎖なんて形態変化、ティルアだけしかないんだけど。そーれ!」
『ちょっとレイ~!? 久しぶりなんだから、もうちょっと優しく投げてよー!? ひゃあああー!?』
思い切り投げられた鎖は、フューリーの柄に絡みついた。掴んだのを確認したレイルは、一気に引き上げて抜き取った。
「あ、なんか溶岩が吹き出てきた。という事は罠が作動したって事だから……解除スイッチをポチっとな」
トラップの仕掛けを理解したレイルは、ティアラとアリンが見つけてくれた解除スイッチを押す。するとフューリーが刺さってた場所を中心に取り囲んでいた溶岩は通路の下の溶岩へと流れていった。
「ちょっとズルだけど、無事に取れたでしょ?」
「あー、確かにこの方法は思いつかないわな……」
「そりゃ古代人も想定しないわよ……」
「それにしてもフューリーが鎖に変化するなんて、私聞いた事がありませんけど……」
ファングとアリンが感想を述べる一方で、ティアラは先程のフューリーの形態変化が気になっていた。
彼女が知る限りフューリーの形態変化は『剣』・『大剣』・『薙刀』・『ナックル』・『槍』・『斧』・『鎌』・『弓』・『銃』・『ランチャー』の10種類が世間では確認されているのだ。
そこに11種類目の形態変化、『鎖』である。見た目が禍々しいのも気になるが……
「……皮肉なもんだよ。
「っ!!(もしかして、お義兄様……)」
少し寂しそうに呟くレイルを見て、ティアラはある事に気づく。しかし確証がなかった。
女神の封印を1つ解いたその日の夜、姉であるティルアからこう聞かされた。自分がこうしていられるのはレイルのお陰であって、時がきたらティアラにも話すと姉は話していた。
そんな事を考えてると、自身の足元が振動し始めた。
「って、今度は何……!?」
「どうやらモンスターの親玉らしいな。今度は俺の出番だな!」
振動の正体は、装甲を纏った竜人と蠍のような甲殻獣だった。
「……お。ついてるね。
「「「え?」」」
自分達の聞き間違いだろうか?
凶暴なモンスターが現れたにも関わらず、レイルは目の前のモンスター達を食料と言ったのだ。
「なあ兄貴、あれ……食えるのか? ドラゴンみたいなやつはともかく……」
「ラヴァアンはあんな見た目だけど料理すると意外と美味しいよ? 前は確か……唐揚げと香草焼き、後はラヴァアンの出汁をふんだんに使ったスープだったかな?」
「しかも食べた事があるの!?」
まさか蠍のような甲殻獣……ラヴァアンを料理して食べた事があると聞いて、突っ込むアリン。
「あのドラゴンみたいなやつは……そうだな~、ビーフシチューの素材にもいいし……もやし炒めにも使えそうだなぁ……ティアラは何か食べたいのある?」
「え!? わ、私ですか!?」
まさかのキラーパスに戸惑うティアラ。
モンスター達に視線を向けると、ガタガタと怯えてるように視えた……気がした。
「そう、ですね……クリームシチュー……でしょうか……」
何故クリームシチューと言ったのか自分でも分からないが、食べたいものが何かと聞かれて頭に浮かんだのが、クリームシチューだっただけである。
「クリームシチューかあ……そういえば最近作ってなかったっけ。よし、今日の献立はそれにしよっか。……ホロン、ファング。あいつら、逃がさないようにね?」
「……(こくり)」
「おし! 任せろ!」
こうして、ティアラのリクエストメニュー……クリームシチューの材料を得る為に、レイル達はモンスターに挑むのであった。
読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
最後にティルアのフューリー状態での新形態の紹介になります。
新形態・鎖:『テイルズオブヴェスペリア』の凶鎖刃ウロボロス
こんな感じです。
次回もよろしくお願いします。