が、動きらしい動きはしません
申し訳ない
第一幕 とあるありふれた朝
ーー空から女の子が降ってくると思うか?
昨日見た映画では降ってきたんだ、まぁ映画とか漫画なら良い導入かもな。
それは不思議で特別なことが起こるプロローグ。
主人公は正義の味方にでもなって、大冒険が始まる。
ああ、だからまずは空から女の子が降ってきて欲しい。
……何て言うのは浅はかってモンだぜ。
だってそんな子、普通の子のワケがない。
普通じゃない世界に連れ込まれ、正義の味方に仕立てられる。
現実のそれは危険で、面倒なことに決まってるんだ。
だから空から女の子なんて、降ってこなくていい。
俺はとにかく普通に、平凡な人生を送りたい。
………と、ボクの友人で隣人である、遠山キンジ君なら言うであろう。
けれどそれは少し間違っている。
何故なら、空から女の子が降ってこようが、道端ですれ違っただけであろうが、不思議で特別な事に、巻き込まれるヒトは巻き込まれる。
所謂『運命』というやつである。
ならばせめて、面白くて可笑しくて滑稽で無茶苦茶な運命であることを、ボクは、坂下 真白は祈ろう。
……ジリリリリリリ!……
喧しい目覚まし時計の音で目が覚める。
どうやらもう起きなければいけない時間らしい。
「五月蝿い」
手を伸ばして目覚ましを止める。
正直なところ学校に行くのは面倒くさい。
が、一応優等生で通ってるので休むことは出来ない。
「仕方ない、起きますか……」
ベッドから体を起こし、簡単に朝御飯を食べる。
……食事をとらなくても平気なのだけれど……。
「そう言えば夢を見なかったのは久々かな?」
ボクはよく夢を見る。
最低で最悪で災厄な夢を。
食べ終わったら制服を着て脇差しとM629を仕舞う。
優等生らしく見えるようにきっちり名札もつける。
「うん、準備万端、行きますか」
七時前になったので玄関を開けていつものように学校へ向かう………筈だったのだけれど。
「――っ!女狐!!」
玄関を出たところで、星伽の巫女さんとエンカウントしてしまった。
「今日こそは!!」
そう言って抜刀し斬りかかってくる。
ボクはなぜか、この星伽の巫女さん、星伽白雪さんに目の敵にされている。狐だとバレているのか、キンジにくっつく悪い虫だと考えているのか……。
……多分後者な気がする。よくキンジに食事作ってあげてたし、掃除、洗濯もたまにしてたし。
彼女からすれば自分の仕事を取られたようなものだしね。
流石に斬られたくないので、
「あの、いきなり刀を抜かないでくれないかな?」
無駄だと思いつつもそう提案してみる。
「それにほら、なにかキンジ君に用でもあったんじゃないの?」
まぁ、大抵それしかないんだけれど。なにか大きな包みを持ってたし。
「ーーそ、そうだった!!キンちゃんにご飯作ってきたんだった」
そう言って包みを見る。どうやらキンジを優先するか、ボクを滅するのを優先するか迷っているらしい。
なら、
「それじゃボクはこれで。早く愛妻弁当を届けた方がいいと思うよ」
そう言うが早いか逃げ出す。後ろを振り替えると、幸い追ってこないようだ。 やっぱりキンジ優先になったようだ。それとも愛妻と言う言葉が効いたのか。
のんびりと学校へ向かう途中で、女の子とすれ違う。ピンクの髪をツインテールにした小柄な女の子だ。
もしかしたら髪を染めてるのかな?
なるべく見ていることに気付かれないよう、注意する。
不思議な感じのする女の子だ。芯があるのに危うい、そんな印象を受けた。
それと変な雰囲気も。
まぁ、いいか。今は学校へ向かおう。
このときのボクは気づいていなかった。ボクが願った、面白くて可笑しくて滑稽で無茶苦茶な物語が、ゆっくりとその首を持ち上げていたことに。
まぁ、気づいていてもなにも出来なかったし、なにもしなかったのだろうけれど。
おそらく各話はこれぐらいの長さになると思います
てか、以外と1000文字って多いのね……