文明監視員・ウルトラマンナイスのナ、ナ、ナ、ナイスな奮闘記   作:Sashimi4lyfe

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みなさまどうも、お久しぶりです。

これまで実際のウルトラマンの作品の長さをイメージして各話を書いていたのですが、少し短めに区切りながら投稿したほうが読みやすいかなと思い、一話ごとの長さを短くしてみました。

さて、今回からかつてナイスと戦ったこの宇宙の光の巨人、テノにスポットライトを当てていこうと思います。大人の事情で本来ウルトラマンでは主人公の周りの人物を中心にストーリーが展開されていくことが多いのですが、この作品ではナイスと輝以外のキャラたちにもしっかり活躍させてあげたいと思い、テノという女戦士のキャラを取り入れてみました。

すこし従来のウルトラシリーズとは違った作風になると思いますが、気に入っていただければ幸いです。


賢者の導き

ケンタウルス座α(アルファ)星B。

 

地球から最も近い惑星系に位置するこの惑星で、人型の宇宙生命体と巨大宇宙生物の群れが格闘していた。

 

その人型宇宙生物は、かつてウルトラマンナイスに敗れそのまま姿を消した、テノという青い光の巨人である。彼女を取り巻くのはコウモリのような姿をした宇宙生物たち。数々の異星人たちの宇宙船を群れで襲い、今でも宇宙航海士から恐れられているポポバウアと呼ばれる翼獣型宇宙生物だ。

 

ポポバウアはテノの周りを旋回しながら、テノに向かい火球を吐きつける。それをテノは慣れた手つきで華麗に一つ一つ弾いていく。

 

ポポバウアの一匹がしびれを切らしたのか、高度を落としながら急接近してくる。その瞬間、それを待っていたかのようにテノは構えを変え、敵に回し蹴りを食らわせる。その蹴りが炸裂したかと思った次の瞬間、テノの体は頭上を滑空している別個体の元に現れ、そいつの頭部に正確な正拳突きを繰り出した。頭部が急所なのか、それをもろに受け止めたポポバウアはよろめきながら落下していく。

 

あれよあれよという間にテノは空に舞っていたポポバウアたちに一匹ずつ瞬間移動しながら打撃を加えていき、ついには最後の一匹の頭にかかと落としを決めると、そのまま地上にしゅたっと着陸した。

 

γ(ガンマ)式…粒子封殺弾。」

 

 

説明しよう!

 

テノは宇宙拳法、流星拳の使い手。粒子封殺弾は打撃により生じる衝撃のエネルギーを用いて体を瞬間移動させ、次の攻撃に繋げるγ(ガンマ)式の奥義である。

 

流星拳はα(アルファ)β(ベータ)γ(ガンマ)の三つの体式を生かして戦う宇宙拳法の流派であり、状況に応じて体式を使い分けることで宇宙拳法のなかでも恐れられている流派の一つである。

 

 

「なにか聞きなれない奴の声が聞こえた気がしたが…まぁいいだろう。それにしても弱い!弱すぎるぞ!この銀河系にはナイスしか私の相手になるような輩はいないのか!」

 

テノはあの戦いの後、ナイスを倒すため天の川銀河のあらゆる宇宙生物と戦ってきたが、テノはそれらを難なく倒すことができた。

 

「これでは訓練どころか暇つぶしにさえならん…」

 

そこでテノは思い出した。天の川銀河の最果てにはザルバス星というかつて文明が栄えた惑星があり、そこには2億5千万年の知恵を蓄えた賢者がただ一人すむという噂を。彼女の一族の者たちもかつて、その賢者から導きを乞い、栄光を手にしたという。

 

「こんなくだらない噂話をまともに受け止めるつもりはないが…せっかく天の川銀河まで来たのだ、確かめてみても損はあるまい。」

 

テノがザルバス星を見つけるまでさほど時間はかからなかった。訓練相手を探すために天の銀河の星々をめぐり飛んでいたので、この銀河系のおおよその地理をすでに把握していたからである。

 

テノがザルバス星に降り立つと、そこにはかつての文明の痕跡が遺跡となって残っていた。奇抜なデザインの建物や、ここに住んでいた異星人で溢れていたであろう大広場、そしてゴーストタウンと化した街並みが広がっている。

 

今は無人の惑星と化したザルバス星だが、そこにそびえる山の頂上には青白い光が今も灯っており、殺風景な周りの風景とコントラストを醸し出している。

 

「なるほど、あそこに賢者が住んでいるというわけか…探す手間が省けたな。」

 

早速テノは山の頂上まで飛行し、そこへ着陸した。青白い光の正体はプラズマ融合装置であり、そこで生成されるエネルギーを使って賢者は生活しているようだ。ここでかつては儀式のようなものが行われていたのか、不思議な形の岩やトーテムのような彫刻物が並べられている。その奥に紫色の模様が入った岩で作られた建造物があり、そこに賢者がいるのではないかとテノは推測した。

 

「賢者殿!おられるか!」

 

テノは建物のドアの前に立ち、大声で尋ねた。するとドアは徐々に透けていき、しまいには消えてなくなってしまった。

 

その向こうには異様な姿をした老人の姿があった。肩幅が異常に広く、背は曲がり、それと対照的に細い手足が伸びている。頭部の皮膚はしなびれており、両目は閉じているがその中心にある緑色の結晶のようなものがぎらぎらと輝いており、部屋を不気味に照らしている。

 

あまりに異様な光景にテノは思わず固唾をのんだ。立ち尽くすテノに老人は震える声で言った。

 

「そなたが…テノ=トライアンギュリスだな。」

 

テノは驚愕した。半ば思い付きでこの場所を尋ねたというのに、この老人は自分の名をなぜか知っている。彼女はこの男こそがうわさに聞く賢者であると確信した。

 

「さ、さようでございます。」

 

これが真の賢者の持つ威厳なのだろうか。自分の一族の長と話すような言葉遣いを、無意識のうちにテノは使っていた。

 

「あのウルトラマンと対峙したと聞いた。強かったであろう。あの光の巨人は。」

「恥ずかしながら、まことに強うございました。賢者殿はあの巨人についてご存じなのですか?」

「ウルトラマン…あの一族の名は聞こえんとしても耳に入ってくる。そなたらと同じ、大いなる力を授かりし一族だ。」

「大いなる力…どうりであれほど強いわけだ…」

 

テノの一族、トライアンギュリスはウルトラの一族と同じ、プラズマ融合装置の光を浴びて巨人と化した者たちなのだ。

 

「賢者殿、私はあの男に勝たなければなりません。我が流派、流星拳の栄光のためにも。」

「ふふ…2万年前と同じよのう。そなたらの一族は己の流派を高めるために限りなく力を求め続ける…」

「それが我が一族の定め!流星拳を引き継ぐ私めに課された課題こそ、あの男を倒し、我が流派をより強くさせることなのです。それ故どうぞ、お導き下さい。力を求める、弱者の私を。」

 

賢者は重い腰を持ち上げるように杖を突きながらゆっくりと立ち上がると、手のひらから赤い光を放ちながら赤色の結晶を生成し始めた。光が消え、結晶が完成するとそれをテノに向かい、ゆっくりと宙に浮かべながら移動させる。

 

テノがそれを受け止めると、結晶はピカリと赤い光を放ち、ある方向を指し示した。

 

「そなたに必要なのは…自分と戦う相手ではない。そなたは自分に必要なものは全て自らの内にあると思い込んでおるようだ。」

 

(ともに鍛え合う仲間を探せ…ということか?)

 

「その光が指し示す地球人と共に暮らすがよい。なぜウルトラの一族ともあろう者たちが、人間たちを守りたがるのかわかるであろう。」

「地球人…ですか!?お言葉ですが賢者殿、地球人ごときと暮らせなどと…」

「我はそなたが導きを求めたので、そなたを導こうとしているのみ。所詮、老人の戯言だ。信じるも信じまいも、そなたの好きにするがよい。我の言葉を信じまいとするならば、その赤石を置いていくがいい。」

 

テノは赤石を見つめ、少し考えると赤石を握りしめ、くるりと振り返ると石が示すほうへと飛び立っていった。

 

「ほほ。礼も言わずに行くとは。威勢のいいものだな。」

 

賢者はそうつぶやくと、後ろの本棚から読みかけの書物を取り出し、静かに読書に耽った。本を開くと同時に、彼のいる建造物のドアが再び実体化し、建物への入り口が閉ざされた。

 

テノは賢者の導きに不信感を抱きながらも、赤石の導く方角へと粒子状態になりながら亜光速で飛行する。その示す先には、やはり地球があった。さらにその先へと移動すると、ウルトラマンエースとナイスが神獣アスラ=ゼウスと死闘を繰り広げている最中であった。

 

「あの巨人は誰だ?いやそれどころではない。ナイスのあの動きは何だ!?私が雑魚どもと戦っている間に、ナイスはあそこまで強くなったというのか!?」

 

粒子状態のまま飛行してきたので周りの人間にはテノの姿は見えないが、テノは二人の戦いを上空から見下ろしていた。テノの心に焦りが積もる。彼女とナイスとの力の差がどんどん開いていくのを実感したからだ。

 

テノは赤石の指し示すほうへと急いだ。

「もう、なんでもいい。この男との力の差を縮めなければ、私はこの男に勝てぬまま終わってしまう!」

 

赤石が示した先にあったのは、なんと一人の少女だった。がれきの中、今にも力尽きようと小さな息で呼吸しながら苦しそうに横になっている。塵や火傷のせいで顔つきさえもよくわからない状態だ。そのそばには、もう一人の人間が必死に少女を助けようと応急処置を施している。テノは赤石の導きが信じられないのか、驚愕しながらその光景を見つめた。

 

「この小娘を…赤石は示していただと…!?ふざけるな!私にはこんな弱小生物に構っている暇などないのだ!」

 

その瞬間、赤石の輝きは強さを増し、テノの粒子に干渉し始める。

 

「な、なんだ!?何をする―ッ!!」

 

テノの粒子がその少女に引きつけられていく。テノは抵抗しようと必死に体を実体化させようとするが、赤石の力には敵わなかった。テノの粒子が少女の体とどんどん同化していくのを彼女は感じた。

 

「くそっ!私の…意識が….」

 

遠のいていく意識の中、途切れ途切れにテノにはもう一人の人間の言葉が聞こえた。

 

「おい….だい…うぶか!?おい!!し..りしろ!!」

 

薄れていく呼びかけの声の中、テノの意識はこの少女の体の中に溶け込んでいくのだった。

 

 




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