文明監視員・ウルトラマンナイスのナ、ナ、ナ、ナイスな奮闘記 作:Sashimi4lyfe
今年も皆様にとってナ、ナ、ナ、ナイスな一年になることをお祈りします。
さて、2022年はウルトラマンエース50周年の年!
ギロチン王子の異名を持つほど豪快(?)な戦闘スタイルを持つことで知られるエース兄さんですが、実はその裏には立派な理由があったりします。エース兄さんの勇士を見たことがない方も、この機会に見てみてはいかがでしょうか?
僕のおすすめは「ウルトラマンメビウス」第43-44話を見た後に、「ウルトラマンZ」19話を見ることです。メビウスではヤプールや南夕子の存在をまとめて知ることができ、そしてZではエース兄さんのギロチンファイトを堪能できます。約一時間ちょっとで見れますので、興味のある方は是非。
長くなりましたが、改めまして今年もどうぞ本作をよろしくお願いします!
Sashimi4lyfe
午後6時3分。
太陽がもう沈もうとしており、オレンジ色の光が街を満たしていた。
輝は一日の仕事を終え、自宅に帰る途中だった。ぼーっと特に何も考えずいつも通る道を歩いていると、道の端に怪しげな格好をした人影を見つける。塀によりかかり、誰かを待ち構えているような様子だった。
(やばそうな人だな…声かけられないといいけど…)
輝がその人影の5メートルほどまで近づくと、輝の前へと姿を現した。
「うっ、何か御用ですか?」
気味悪そうに輝が訪ねる。相手は体が丸々隠れてしまうほど大きなマントにフードをかぶっており、体つきはおろか顔もはっきり見えないような恰好をしている。
―貴様か。-
「へっ?」
輝の脳内に女性の声が響いた。彼女は口を動かしていないはずなのに。
―貴様がウルトラマンナイスなのか。-
「あ、あなた今口を…」
ドンッ!!!
―質問に答えろッ!!-
謎の女性が塀を拳で一突きしたかと思うと、何かが砕ける音とともに塀に小さな穴が開く。血の気が輝の顔からサーッと引いた。
「あ、あ…」
何かを話そうとするも恐怖で体がこわばり、言葉にならない。
―さぁ、どうなんだ?-
「う、うぅ~ん…」
輝が白目をむいたかと思うと、よろりと膝をつき、その場に座り込んでしまった。
―コイツ、気を失っているのか?やれやれ、人違いだったようだ…―
ひらりとマントを翻し、輝に背を向けたその時、
「待てぇいッ!」
呼び止められ、ちらりと謎の女は肩から輝の方向を見る。さっきまで気を失っていた輝が膝をつきながら立ち上がり、さっきと同じ人物とは思えない顔つきでこっちを見ていた。
―やはり貴様がナイスだったか。―
「お前、何者だ!名を名乗れ!」
―私はM78星雲、
「この宇宙のM78星雲の住人か…私に何の用だ!」
―貴様に挑戦しにきたのだ。-
「挑戦?」
―我が一族は宇宙最強の戦闘民族を目指す巨人の一族。私は宇宙拳法、流星拳の使い手だ。流星拳の道を極めるため、天の川銀河に修業に来ていたのだが、地球という星にウルトラマンナイスという光の巨人が現れたという噂を聞き、腕試しをしにこの星にやってきた。―
「腕試しって..いや、君ね、こういうことはちゃんとアポを取ってからにしてもらわないと…」
―ふざけるのも大概にしてもらおう。貴様が断ればこの場で貴様のそのひ弱な器もろとも殺す。貴様もその器では本来の力を発揮できないだろう。-
テノの殺気をナイスは感じ、ごくりと唾をのんだ。
(断ったら輝もやられてしまう…ここは引き受けるしかないか…)
「い、いいだろう。受けて立つ!」
―そう来なくてはな。では行くぞ!-
「ちょ、待て、こんなところで変身したら…」
ナイスの言葉を無視し、テノが右手を胸に添えると胸が青く光りだし、その光に彼女の体が飲み込まれていく。見る見るうちにその光は巨人の姿へと変わっていき、テノは光の巨人としてナイスの前に立ちはだかった。その姿はウルトラの一族とほぼ変わらず、銀色のボディに青紫色のラインが入っている。
「くそう、こうなったら…」
ナイスはペペペンを輝の背広のポケットから取り出し、まるで刀を鞘から出すようにペンを腰に当て、勢いよく引き抜いて天に向ける。
『ウルトラマン、ナーイス!!』
夕暮れ時の住宅街に二人の巨人が現れた。ナイスはまず飛び上がり、すぐさま人気の少ない自然公園の方面へと移動した。
「ははぁ、人間どもがいない場所で戦おうというのだな。いいだろう。」
ナイスに続くようにテノも空へと舞い上がり、軽やかにナイスと同じ公園へと降り立った。人気が少ないとはいえ、公園には数人の人々が巻き添えを食らわないように避難していた。
「それにしてもこのような貧弱な民族に手を貸すとはな。」
逃げまとう人々を見下すようにテノは言った。
「貧弱な民族とはなんだ!お前は人類の本当の強さを知らないだけだ!」
「ほう。」
テノはナイスをおちょくるように足で地面を踏み、その地響きで何人かの人が倒れてしまった。その様子をテノは鼻で笑う。
「やめろぉ!!」
ナイスは耐えかねたのか、相手めがけて飛び上がってチョップをかまそうとするもひらりとよけられ、逆に腹に膝けりを食らってしまう。
「グッ…なんの!!」
膝けりをもろに食らったように見えたが、しっかり受け身を取り、体を押し出してテノを突き放す。その隙にテノのボディめがけ、ミドルキックを炸裂させる。
「キキキック!」
キックは腹に見事命中。体制を整えるため、テノは腹を抑えながら後ろに下がって距離を取る。
「クッ…やるじゃないか。少し本気を出さねばいけないようだな。」
テノが拳を腰まで引いたかと思うと、青色の光が彼女の周りに集まり始める。
「流星拳奥義…」
そうぼそりとつぶやいたと思った次の瞬間、テノの体は青い閃光と化し、まるで一筋の光になったようにナイスめがけて突進し、強烈なパンチをナイスの腹に炸裂させた。
『アルファ式・
「ガハァッ!!」
吹き飛ばされたナイスの体は池にザブンと落ちてしまった。衝撃で池の水があたりに飛び散る。何とかナイスは体を起こし、反撃の光線を撃とうと構えを取る。
『ミレニアムショット!』
頭部を狙ってナイスは光線弾を放ったが、いとも簡単にそれは弾かれてしまった。
「ならば…」
接近戦では勝ち目はないと判断したのか、今度は両手に光を集め、クロスさせるとともに必殺光線を発射する。
『ベリーナイス光線!!』
テノはそれに対し片方の腕に光エネルギーを集中させ、手のひらで光線を受け止めるように前に突き出すと、
『ベータ式・
ベリーナイス光線をそのまま片手で受けきってしまった。
「ベリーナイス光線を片手で防いだだとぉ!?」
間髪入れずテノは体をピカリと光らせると今度は姿を消し、ナイスの前に現れた瞬間ハイキックをナイスのあごに直撃させる。たまらずナイスはその場に倒れ、仰向けになってしまう。ナイスのカラータイマーも点滅をはじめた。
「ぐっ…体に…力が…」
ナイスは体を起こそうとあがいたが、起き上がることすら困難な状態だった。
「なんだ、この程度か?宇宙艦隊をその光線で撃墜させたと聞いたが…貴様、この星の守護神にでもなったつもりでいたのか?」
点滅するナイスのカラータイマーを踏みつけながらテノはナイスを嘲笑った。
「この宇宙の絶対的な法則―それは力を持つ者が持たざる者たちを滅ぼし、生き残ることができるということだ。こいつら人類が自分たちが力不足なために滅びるというのであれば、それは起こるべきして起こること。貴様のような弱者が首を突っ込んだとしてもそれは変わらない。」
その時、どこからか子供の声が聞こえた。
「がんばれー!!ウルトラマーン!!」
「まけちゃだめー!!」
テノが声のする方向を見ると、公園の周りのビルの屋上から子供たちがナイスに向かって叫んでいた。子供たちの声援に続き、ナイスを応援し始める大人もいた。
「気張れよー!!ウルトラマーン!!」
「負けないでー!!」
その様子を馬鹿らしそうにテノは見ていた。
「見ろ。戦うこともせずに遠くから見ていることしかでない輩が貴様の勝利を願っているぞ。こんな奴らのために…ん?」
自分の足に違和感を感じたテノが下を見ると、ナイスが力を振り絞り、テノの足を押しのけようとしていた。
「ぐぬぬ…ヌ゛ァァッ!!!」
「うわぁっ!!」
テノの体は吹っ飛ばされ、地面に激突する。テノが体を起こすと、よろよろと立ち上がりながらも体勢を立て直すナイスの姿があった。
「それでも構わない…彼らがいる限り、私は強くなれる!この地球を、この星に生きている人々を守って見せる!!」
「綺麗ごとを…そういうことは勝ってからほざけ!!」
テノはひらりと体を起こし、戦闘の構えを取ると再び体にエネルギーを溜め始めた。
(なんとか体勢を立て直せたはいいものの…あんなのどうやって避ければいいんだ?)
その時、脳内にかすかな声が響いた。
―ナイス…聞こえるか、ナイス!-
それは確かに輝の声だった。
(この声は…輝!君の意識は眠っているはず…)
―細かいことはいいから!とにかく上だ!あの巨人の体がピカッと光った瞬間に上に飛ぶんだ!-
(う、上にだな!わかった!信じるぞ!)
輝の助言通り、テノの体はエネルギーを集め終わると同時に一瞬だけピカッと光った。
『アルファ式・
―今だ、ナイス!-
「よいしょお!!」
ナイスは思いっきり地を蹴り、空高く垂直飛びをした。するとナイスがいた場所にテノが目にもとまらぬ速さで突進していたが、ナイスが上に飛んだおかげでその一撃は外れてしまった。
「外した!?」
「ナイスアシストだ、輝!食らえ、ゼアス直伝の必殺技―」
ナイスは体を回転させながら勢いをつけ、テノめがけて落下していく。テノに受け身を取る暇も与えず、ナイス渾身の力技が炸裂する!
『ウルトラかかと落とし!!』
「グアァァ!!?」
重力と回転力を活かした一撃を受け、テノの顔面は地面に激突してしまう。
―やった!よし、今度は投げ技を使って敵にガードを取らせる間も与えずに攻め立てるんだ!-
(な、投げ技だな!ようし、これ一度はやってみたかったんだ…)
テノの後ろに回り込み、ナイスは両足をつかむと、遠心力を活かして豪快にスウィングを決める。初代ウルトラマンが得意とする投げ技の型である。
「うぉぉ!!!」
勢いが十分につくとそのまま反対方向へとテノを投げ飛ばした。強烈な頭部への一撃を食らった後に投げ技を食らったテノは地面の上でぐったりしてしまった。
―チャンスだナイス!とどめの必殺光線だ!-
(お、おう!)
ナイスが腕に光エネルギーを集めようとしたとき、聞きなれたエンジン音が空から聞こえる。HTDFの無人戦闘機群だった。
―どうしたんだナイス!早くとどめを刺さないと反撃されちゃうよ!-
(….)
ある程度戦闘機群が接近してくるとテノに向かって集中砲火を浴びせかけてきた。ナイスは素早くテノの前に立ちはだかり、バリアを展開する。
「クッ…なんの!」
あまりの威力にバリアが壊れそうになるも、残った力を絞ってなんとか集中砲火をふさぎ切った。ナイスの様子がおかしいことに気が付いたのか、戦闘機群は砲撃をやめて彼らの上を旋回し始めた。
「ふぅ!なんとか防ぎ切った…」
「何の…真似だ…」
テノが体を起こそうとするも、腕に力を入れようとした瞬間に体が崩れてしまう。もう戦える力は残っていないようだった。さすがにあきらめたのか、仰向けになり、降参したように両手を広げた。
「殺せ…私は負けたのだ…」
「嫌だね。」
「なぜだ…今私を生かしておけば、私はいつでも貴様をまた殺しに来るかもしれないんだぞ!」
「そうなったらまた私が勝つさ。」
「この…私のような弱者は貴様に及ばぬというのか!」
「違う。私は一人で戦っているのではないからだ。」
ナイスは彼に声援を送ってくれている人々の方を見る。
「君は力を持つ者は持たざる者を滅ぼすといった。それは間違っちゃいない。でも、それだけが力の使い道じゃあないんだぜ。」
ナイスは人々に向かって親指ポーズを作り、感謝の念を伝えた。
(なんだんだ…なぜこんなヤツに私は負けたのだ?一人で戦っているのではない、だと?それはどういう意味なんだ?)
テノの脳内には答えのない質問が行き来していた。
「…」
何も言わないまま、テノは青い光となってどこかへ消えていった。
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変身を解いたナイスが輝と意識を入れ替えると、輝の脳内からナイスの声が聞こえてきた。
―おい、輝―。聞こえるか―?-
(うん、聞こえるよ…なんで急に君と意識を両立できるようになったんだろう。)
―私にだってわからんよ、そんなもん。-
いつもの帰宅路を歩きながら輝はナイスと会話を続けた。
―ところで輝、どうしてテノの動きが読めたんだ?-
(えーっと…ちょっと長くなるんだけど、いいかな?)
―長くなる?どういうことだ?-
(実は僕が好きなアニメで、『電脳戦士ウルティメーター』って言うアニメがあるんだけど、主人公のライバルで、あの巨人とそっくりの動きをするキャラが出てくるんだ。第4話に初登場して、終盤までずっとウルティメーターと対立することになるんだけど、あっ、ウルティメーターっていうのはね、
輝のウルティメータートークは自宅に着くまでずっと続いた。
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