ダンボール戦機WW 作:マザー母ッカー
それと、前回乱入戦と書きましたが描写してみると退屈極まりなかったので郷田VS仙道に端折りました。
原作キャラやオリキャラは少しずつ出していこうと思います。
「凄い、ですね」
「ねー、私もびっくり」
飛行装置に乗りながら眼下に広がるバトルを見て、ヒロはそんな言葉を漏らし、ランも適当に言葉を返す。
実のところ、ヒロは甘く見ていた。
世界大会アルテミスで優勝出来た自分なら、入学してもさほど苦労はしないだろうと。
だが、そんな予想は呆気なく覆される。覆され続けている。
「君たちが満足しているのなら何よりだ。ルールを考案した甲斐がある」
新入生たちを、そして何よりレジェンド達を飽きさせず、熱中させるようなレクリエーションを考えろと白羽の矢が立ったのは日暮である。
これで校長から呼び出される事はないだろうと彼女が思考すると同時に、残りの部隊が2つに減った事を知らせるアナウンスが響く。
「残ってるのは……あっ! 郷田さんと仙道さんですよ! バンさん!」
「あぁ、実力者揃いだったのに凄いな、二人とも」
「へへっ、どっちが勝つか見ものだぜ」
勝者が所属する国に報酬が与えられるこのレクリエーションも、いよいよ大詰めに入る。
◆◇◆◇
「よぉ、郷田。随分と消耗してるじゃねぇか。苦戦したみたいだなァ?」
「ハッ、こんなもん軽症だ。テメェこそ、あちこちバチバチ鳴ってんぜ」
相対する郷田のハカイオー雷牙と、仙道のイビル・ナイトメアはスピーカー越しに会話をしていた。
時間に制限がなく、スナイパーといった奇襲を受ける要素がないからこそ成立している。なお、示し合わせていたわけではない。
そして、ハカイオーとナイトメアは両者とも相応の負傷を負っていた。
ハカイオーは片目と右肘の関節を失い、ナイトメアもその薄いストライダーフレームのあちこちに浅くない負傷を負っている。
「勝ちは俺が貰う」
瞬間、ナイトメアの姿が掻き消える。
テレポートではない、一切の事前動作なく高速移動を開始しただけだ。
郷田にその姿は捉えられないが、大まかな位置情報はギンジと情報収集機器が教えてくれる。
それで十分だ。
「ラァッ!!」
一切の無駄なく突き出された獣神雷鳴刃がデスサイスを受け止め、僅かな硬直が発生する。
郷田がその隙にナイトメアを掴もうとするも、仙道は極めて冷静にそれを躱す。何回も何十回も、何百回もバトルを繰り返しているのだ。この程度なら読める。
「まだまだァ!」
そして、郷田もこの程度で終わるわけがないと知っている。
間髪入れずに片方しかない獣神雷鳴刃でナイトメアを攻め立て始めた。
柄で、刃で、その身軽さで、ナイトメアは決してダメージを受けない立ち回りでハカイオーの攻撃をいなし続ける。
(クソッ、片腕がないせいで攻めきれねぇ! 必殺ファンクションの【ガオーキャノン】はクール中だしそもそも避けられる!)
数年前、郷田は高速移動するナイトメアを片腕を犠牲にして倒すという荒技で攻略した、しかし今は通じないだろう。
二刀流であればまだなんとかなったかもしれないが、そんなたらればを考える時間すら郷田には惜しい。
上段の突き出しが上にそらされ、そのまま獣神雷鳴刃を振り下ろすも柄を滑って大きな隙を晒す。デスサイスの先端で顎が弾かれ、次いで刃が回転する。それを勢い良く後ろに反って躱すと、顔の下半分が大きく切り裂かれた。
終わりなき攻撃の手が、郷田と仙道に最適解以外を許さない。
両者共に互いのスペックは理解している、だが機体の性能までは分からない。
そんな、傍から見ると酷く簡単そうな、あらかじめ練られているとすら錯覚しそうな応酬は。
「終わりだぜ、郷田」
焦った。焦ってしまった。最適解を先に踏み外してしまったのは、郷田だった。
なんとかして現状を打開しようと僅かに手段を誤った郷田の首に、死神の刃が迫る。
このままハカイオーの首は落ち、郷田の視界は赤く染まる――
「必殺ファンクションッ! いっけぇぇぇぇぇぇ!」
《Attack Function! グレイスミサイル!》
その直前、ナイトメアに数多のミサイルが殺到した。
勢いの乗っていなかったデスサイスは止まり、仙道が反射的にグレイスミサイルが放たれた方を見る。
そこにいたのは、矢沢リコが操るクイーンだった。
思考が一瞬だけ止まるが、すぐさまナイトメアの超機動で離脱する。
ミサイルのホーミング機能が追尾しようとするが、全て撹乱されて爆風すら掠りもしない。
(チッ、生きていたのか!)
ナイトメアはその速度を確保するため、ありとあらゆるものを削ぎ落としている。
装甲は勿論、イヴィル・デスサイスも最低限の耐久を残して限界まで軽量化が測られ、さらには情報収集機器を搭載していない。
情報収集機器とは、周囲の環境や他LBXの反応を自動で収集してくれる優れものだ。各LBXに搭載された情報収集機器が得た情報をメカニックが解析し、状況判断に用いるといった使い方がされている。
最も有名な情報収集機器はアキレスの鶏冠で、それを真似る者はセカンドワールドでも少なくない。
そして仙道はメカニック以外の隊員を持たず、情報収集機器の恩恵に与れないためリコの奇襲を受けた、というわけだ。
だが、その程度のデメリットなど仙道は百も承知であり、ナイトメアの障害にはなり得ない。
「フッ、必殺ファンクション!」
《Attack Function!デスサイズハリケーン!》
ナイトメアが高速回転を始め、黒い竜巻が発生する。
ブロウラーフレームのハカイオーに直撃してもロストには出来ないだろうが、戦闘不能は免れない。
仙道は自身の勝利を確信し、
「――遅いぜ、仙道」
紅い軌跡を置き去りにして、ハカイオーがナイトメアの眼前に躍り出た。
仙道の思考がまたも空白化する。
ハカイオーがこれほどの高機動を持つなどあり得ないのだ、いくら改造したと言えど限度がある。
しかしそれをじっくり考える時間はない。
強引に回転を止めて完成途中の竜巻を霧散させ、デスサイスを下段から滑らせる。
対し獣神雷鳴刃は上段からの袈裟懸け。
死を前にして、一秒がどこまでも引き伸ばされていく二人の視線が映像越しに交差する。
直後、郷田の視界がブレた。
九十度、百八十度と視界が回転し、ナイトメアを見上げる形で止まった。
デスサイスが首を捉え、ハカイオーの刈り取ったのだ。
コアスケルトンからのエネルギー供給が途絶え、郷田のコックピットがブレイクオーバーを示す淡い緑に覆われる。
理論上、LBXは必要なものを全て胸部のコアスケルトンに収めているため頭部なしでも動く事は可能だが……そもそもダメージ超過だ。
そして、ナイトメアも無事とは程遠い。
肩から入った獣神雷鳴刃が、コアスケルトンを僅かとはいえ傷付けていた。
左腕は当然動かず、剥き出しの部分からエネルギー漏れによるスパークが発生し続けている。遠からず、ブレイクオーバーは免れないだろう。
だが、まだ倒れるわけにはいかない。
まだ、決着はついていないのだ。
「リコ撤退だ! 逃げろ!」
「おっ、おう!」
ギンジの声に引っ張られ、リコがホバー機構で後退を始める。
対し仙道はその場を動かず、画面の端に映るオペレーターの少年とナイトメアの状態を擦り合わせていく。
「おい、今の俺はどれくらい動ける」
「全力稼働は無理。重心も不安定だし脚部の回線もイカれた」
「チッ、郷田も面倒な事してくれたぜ。サポートしろ」
ブレイクオーバーを目の前にして、どこまでも冷静に勝ちを引き寄せる、それが仙道の戦い方だ。
故に、オペレーターにサポートを求める。
「嫌だよ」
「……あ?」
だが、オペレーターはそれを拒否した。
理由は単純明快、ナイトメアの修理に多大な費用がかかるからだ。
LBXの修理やメンテナンスは基本的に部隊のメカニックが行う、つまりパーツはメカニックが自費で手に入れる必要がある。
ナイトメアはその特性ゆえバランス補助機や装甲、さらにカメラの機能に至るまで高性能なパーツで構成されている。
つまり、ブレイクオーバーならまだしもロストなんてしたら、たとえ優勝できても収支はマイナスになってしまうのだ。
それに、
「勝利条件は他のLBXを殲滅する事じゃない、あの丘のエリアを確保する事だ。クイーンとの戦闘でブレイクオーバーしてもおかしくないのに、勝利できなかったら僕が大損なんだ」
「……今も損してるだろうが」
「コンコルド効果だね。少し冷静になりなよ、仙道君。郷田には勝ったんだ、これ以上いくら頑張ってもクルセイドの利益が手に入るだけだよ」
「……
吊るされた男の逆位置、意味は徒労に終わる。
タロットカードに全幅の信頼を置いている仙道は、それで操縦桿から手を離す。
セカンドワールドに警報が鳴り響き、レクリエーションの終わりを告げた。
◯情報収集機器
ゲーム的に言うなら、右上あたりにある敵や味方が点として映ったミニマップです。
仙道は出来る限りの軽量化を図るために搭載していません。
本来なら他のメンバー(隊員ではない)の情報収集機器で手に入る情報をメカニック兼オペレーターの少年が取捨選択して仙道に伝えていますが、今回はその他のメンバー自体がいませんでした。
◯ハカイオー雷牙の超加速
鈍重なブラウラーフレームでナイトメアに追いつくための隠し球。
理屈は単純で、背中にガオーキャノンを放つ砲を取り付けました。
いざという時の超加速が可能になりましたが、機体冷却のための排気口を増やした影響で可動域が狭くなったり壊れやすくなったり、それによる重量増加など弱点も増えています。
今回限りのピーキーカスタムなので、以降の使用は恐らくないでしょう。恐らく。
仙道ダイキと郷田ハンゾウの番長コンビは出て欲しい?
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出て欲しい
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出なくて良い