Labyrinth of the Violet   作:白波恵

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全てはそう、母の為の生命なのだ


violet zero Ⅹ

xxxx年xx月xx日

 

うたごえがきこえる

 

うたごえがきこえる

 

なつかしいような、あたらしいような、ふしぎなうた

 

「_き___

_______番___れる

君______だ、や____を_げよ_」

 

こえがきこえる

 

ぜったいてきで、ふへんてきで、わたしたちをしはいするこえ

 

くらやみがはれる

 

あおいいろがみえる

 

ぼやけたせかいに、すみれがみえる

 

「母様、551番から580番までの製造は問題ありません

現在、脳の成熟過程に合わせ情報入力中です」

 

「うん、わかった

246番から301番までは休憩だ、三日後には120番から150番までがL社に入社するからね、テストデータ次第では製造方法を再検討しないとだから」

 

「母様、491番から550番まで、正常に起床を始めました

母様からの指令を待機しています」

 

「わかった、今行くよ」

 

すみれはいってしまう

 

のこったのは、おんなじかおのわたしたちだけ

 

「記憶同期は?」「二日後です」「その後母様からの最終調整を」「オリジナルの容体は?」「コギトの浴槽にて休息中です」「歌が聞けないのが残念です」「L社の方は」「反復75回目です」「まだ始まったばかりだから、これからもっと時間がかかるだろうと母様が」「私達も次第に改良体が作られるんでしょうね」「母様の理想のため」「私達の本能のため」「理想郷の現界には私達では不十分ですからね」

 

おなじこえ、おなじふく、おなじせたけにおなじなまえ

 

わたしたちは、れいん

 

あまつぶのようにたくさんあって、これからももっとふえていく

 

わたしたちにちがいはなくて

 

ちがうのはおりじなるだけ

 

それがわたしたちだから

 

いずれはわたしもうまれるのだ

 

かあさまのけんのうにより、とおかでおとなのにくたいにせいじゅくするから

 

うまれたら、かあさまのおやくにたつんだ

 

おなじわたしたちをつくって、いつかろぼとみーしゃににゅうしゃして、はんぷくがくりかえされるたびにつぎのわたしがにゅうしゃする

 

これはてすと、かあさまのりそうをかなえるためのじゅんびだんかい

 

かあさまにつかいつぶされるのがわたしたち

 

それでいいの、それがわたしたち、れいんというそんざいであるのだから

 

ああ、なんだかねむくなってきちゃった

 

もうすこしやすんで、のうをそだてなきゃ

 

さいしんのきおくとどうきさせるために、ようりょうをふやさなきゃ

 

うすいまぶたをとじれば、まっくらなせかい

 

うたごえがきこえる

 

うたごえがきこえる

 

なつかしいような、あたらしいような、ふしぎなうた

 

「きらきらひかる………おそらのほしよ……」

 

きこえる、きこえる、おりじなるのうた

 

わたしたちをおちつかせる、ねむりのうた

 

おやすみなさい、かあさま

 

またおはようをする、そのときまで

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