Labyrinth of the Violet   作:白波恵

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怨恨に抱かれ、産声を上げる


violet zero Ⅵ

xxxx年xx月xx日

 

「ねぇ、ヴィオラ…なんだか気持ちが悪いの

足元もおぼつかなくて…」

 

「そうか…そろそろこの部屋で過ごすのも厳しそうだね

病室へ移動しよう」

 

 

 

xxxx年xx月xx日

 

「ねぇヴィオラ、あのヒトは…アイツはどこ…」

 

「今長期的な研究中なんだ、手が離せないし、君に危険を及ぼしたくないから離れられないんだそうだ」

 

 

 

xxxx年xx月xx日

 

「頭が痛い、全身が痛い

内臓も、骨も、舌も

一番痛いのは眼の奥…熱いような冷たいような気がして…」

 

「そう…鎮痛剤を出そう、点滴するから…」

 

 

 

xxxx年xx月xx日

 

「眠れない…悪夢ばかり見るの

黒い蛇がこちらを見ていて…」

 

「けど、もうすぐ分娩間近なんだ、休めるときに休みなさい」

 

 

 

xxxx年xx月xx日

 

「痛い、痛い、痛い痛い痛い…!

おねがい、お願いヴィオラ…あのヒトに…会いたい…」

 

「…」

 

 

 

xxxx年xx月xx日

 

「わ…たし…たちの……子…」

 

「大丈夫、無事に産ませるさ

今は手術に集中して、麻酔を打つから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとう、無事に生まれたよ

かっわいい女の子じゃないか、これで…

 

…萌恵?

………ふ…ふふふ…

 

始まったね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

xxxx年xx月xx日

 

「研究の方はどうだい、アイン

なかなかうまく進まなくて悩んでいると言ってたじゃないか

…そう、とうとう対人被験に移行したんだ

被験者は…エノク、というとあの小さな男の子…

…死んだのか

わかっていたことだろ?研究とはそういうものだ

…エノクと親しかったリサが研究所を出て行った…見つけた時にはもう死んでたんだ

死体が残ってたのなら、掃除屋じゃなかったのかな、それだけでラッキーだろう

カルメンが?気に病むことじゃ…だから言ったんだ、君みたいなお人好しじゃ耐えられないって

ああ、わかったよ、彼女の部屋に立ち寄ってみるよ」

 

 

 

「カルメン、いるんだろう

…カルメン?返事がないなら勝手に入らせてもらうよ

女の子の部屋に無断で入る趣味はないんだけどなぁ

ちゃんと片付けて…なんだこれ…荒れ放題じゃないか

なぁカルメン、エノクが死んだからってそこまで気に病むことかな?

彼は外郭出身だったんだろう?ここに来たお陰で、あそこよりもマシな生活を送ってから死ねたのは、幸運だと考えて…

…おいおいカルメン、風呂場の電気調子悪いじゃん、ちゃんと言って取り替えなきゃ…

……カルメン?…何、してるの?」

 

 

 

「カルメンは浴槽で死んでた、嘘じゃないさ

手首を切って…そう、自殺だろう

やれやれ、都市の人々の病を治すと豪語してた彼女がああなっては本末転倒じゃないか

さて、アイン、ベンジャミン

これからどうする?研究を続ける?それとももう中止して、今の都市と共存する?

 

…君ならそう言うと思ったよ、アイン」

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