二乃推しの俺氏、風二乃の子供になってた件 作:Miurand
はぁ〜良く寝たね。昨日は目覚めた瞬間に両親(推しカプ)の情事(音のみ)のせいでちょっと寝れなかったけど(大嘘)。
「あら幸太。おはよう。お腹空いたでしょ?」
と言って早速ナニとは言わないけど、何の恥じらいもなく出す二乃。しかし俺も赤ん坊。恥とかそういうの以前に食欲という欲によって自然と咥えてしまうのだ。本能って恐ろしい……。
……という時期が懐かしく感じるようになってしまいました。
なんと俺は1歳になってしまったのだ。そろそろ喋れそうなのですよ。記念すべき第一声はなにを言ってやろうか…?
んまぁそんなことはどうでもいいんだけど、今は二乃が入院してます。
はっ?まさかタヒんだ!?なんて思ってる人もいるかもしれんけど、そんなことはないっす。ちゃんと生きてますよ。2人目がそろそろ生まれるとのことだぜ。いくらなんでも早すぎワロタ。
そりゃあ、あんだけ毎日ヤれば当然の結果か…。
というわけで何をしようか考えているところ。ここしばらくは父親である風太郎にお世話されておるんだけど…。
「フータロー。何食べたい?」
「そうだな…。オムライスを頼む」
「分かった」
三玖氏が堂々とフータローの嫁やってんですがそれは…………。
二乃がいたら修羅場になりそう(確信)
「いや〜、すまんな。二乃がいないとどうしても飯がな……」
「簡単な料理は作れるようにするべき」
「三玖が言うと説得力があるな…」
元々料理ができなかったが積み重なる努力のお陰でできるようになったんだもんな。今では二乃に匹敵するレベルにまでスキルアップしている。
「あ……う………」
「うおッ!!幸太がそろそろ何か喋りそうだッ!?二乃の為に録画しておかねば!!」
「もうそんな時期なんだ…。早いね」
「1年前はハイハイすらできなかったのになぁ……。今では器用に歩けるようになってるんだぜ…?」
「う……う…………」
「そうだ!頑張れ!何でもいいから何か言ってみろ!!」
録音を始めたか…。言っておくが、俺は転生者であることを無闇に隠したりはしないぞ。無闇に言いふらすこともしないけどな。
「あっ、あっ、あー………うわきはするなよ?」
「初めての言葉がそれはおかしいだろッ!?!?」
「フータロー。いつも一体二乃とどんな会話してるの?」
「いや、普通の夫婦らしい会話だが…」
「ウソつけ。いつも『昨日も良かったわよ♪フー君♡』とか、『二乃、今日は寝かせないからな…』とか言ってたじゃねえか。夫婦というよりはバカップルって印象の方が強いな。お陰であまり眠れなかった時があったんだからな。やめろとは言わんけど少しは自重してくれ」
「こ、こいつ……!?」
ヤベっ。流石にやりすぎたかもしれんな。病院とか連れて行かれないかな…?
「幸太は天才だ!間違いない!!1歳の時点でここまで喋れる奴が凡人なわけがない!!!流石は俺の子供だな!!!!」
…勉強はできるけど馬鹿なんですかね()
「……ただ者ではない気がするんだけど…」
あらら、気づいちまったか三玖さんや。俺はただ者ではないぞ。前世の記憶を持ち合わせて異世界から転生してきたことを除いてはただの一般人だがな。
という夢を見たのさ☆
いや、本当に夢だったんだよ!!一歳はまだ口の構造?舌の動き?とにかく大人みたいに動かせないからあんなに器用に話せるわけがないでしょうが!
だが、俺がもうすぐ2歳寄りの1歳になったのは本当だ。もうすぐ喋れそうなんだ。二乃も夢と同じように妊娠しているのだが、まだ入院するほどお腹は大きくなっていない。
で、まあ……………
「幸太!ママって言って!!」
「いいや!パパって呼ぶんだ!!」
………………なんか夫婦でしょうもない?微笑ましい?賭け事をしているようだ。
「ほら幸太!!ママよ!マーマ!!」
「違う違う!!パパだ!パーパ!!」
「ちょっと邪魔しないでよフー君!!子供の初めての言葉はママって相場で決まってるのよ!!」
「相変わらずミーハーだな二乃は!!ここはやはりパパと呼ばせるべきだろう!!」
親達にとっては重要なことなのかもしれんが言わせてくれ。俺からしたら無茶苦茶どうでもいいんや……。そろそろそれくらいは喋れるとは思うが、これはどちらの希望を叶えてやるべきか……。
「パー………」
「うおお!!いいぞ!!その調子だ!!!」
「ダメよ!ここはママって呼んだ方がいいわよ〜?ママって呼んでくれたらおやつあげるわよ、ほら!」
そう言って我が母親は自作のシュークリームを俺に見せつける。ゴクリ…。この娘、母親というアドバンテージを最大限に利用する気満々だ……!!!
「くっ…!!ならパパと呼んでくれたら勉強を教えてやろう!!小学校に入学してから苦労することのないように徹底的にな!!」
「馬鹿じゃないの!?流石にまだ早すぎるわよ!!それに子供が勉強で喜ぶわけないでしょ!?」
うわぁ……。それで喜ぶ子供はいませんて……。育児下手くそ系パパ……?………何そのパパ。
「……マー」
「うわぁあ!!待ってくれ幸太!今ママって呼んだらお父さん悲しくなっちゃっうぞ!!泣いちゃうぞ!?いいのか!?」
「子供相手にどんな脅迫してるのよ!?」
いや、ホントだよ……。仕方ないなぁ。ここは…………。
「………パーマ」
はい残念。いつ誰が2択だと言った?俺が新しい3択めを作れば問題ないのだよ!!
「ぷっ…!!」
「「あははははははッ!!!!!」」
ありゃ?そんなに面白い要素あった?今のでそこまで笑える要素ある……?
「流石俺の息子と言うべきか、随分変わった子だな…!!」
「これは引き分けね…!むしろこの子の一人勝ちだわ…!!仕方ないわね。このおやつは幸太のものよ!」
「あーい!」
「よし!父ちゃんからは勉強のプレゼントだ!!」
「えー……。まだしたくないよそんなの」
「「…………えっ?」」
「………あっ」
やべ…!!普通に喋っちゃったよ…!!つか普通に喋ることできたの!?完全にやらかした……!!!!
「ねえ、フー君、この子天才よ?」
「あ、ああ…!!間違いない…!!」
「よし!今日はあの子達呼びましょう!!」
「いや待て。あいつら何か予定があるかもしれんだろう?」
「大丈夫よ。実を言うと姉妹で予定が空いてる日を共有してるのよ。だから明日なら空いてるはずだわ」
「えー……。日曜くらいゆっくりさせてくれよ………」
「それ、休日は家事を殆ど肩代わりしてくれている人の台詞?」
「あいつらがいると妙に疲れるんだよ……」
「あら……。私は……?」
「……言わなくても分かってるだろ?」
父親は前髪を弄りながらそう返答する。これは照れ隠しをする時の仕草である。
「あらやだ♡嬉しい♡今日は寝かさないわ…!!」
「馬鹿…!お前のお腹の中には子供がいるんだから控えろ!」
「ちぇ……。でもそれもそうね……」
……ということで、明日は再び五つ子が全員揃うことになるんだってさ。下手したら俺が一番疲れる可能性があるんだけど………。
はい日曜になりました。俺が起きたら既に五つ子は集まっていた。
「ねえねえ、コータ君が器用に喋るって本当!?」
「じゃあ、私にはお姉ちゃんって言ってほしいな」
「はいはーい!私にもそれ言ってほしい!!」
「わ、私にも言ってほしいな!」
1、3、4、5の順で俺にそう話しかけてくる。
「うん。えっと………」
「もう忘れたの!?私は一花だよ!い・ち・か!」
えっと……。お母さんの兄弟や姉妹は叔父さんとか叔母さんって呼ぶのがオーソドックスだよな……?
「い、一花叔母さん……?」
「んんんん???何を言ってるのかなコータ君は?私は一花お姉さんだよ!一花お・ね・え・さ・ん!!」
なんでぇ…!?叔母さんでも間違いじゃないでしょ!?もしかして呼ばれ方を気にするタイプなのあなた!?というかその目怖いんですけど……。
「………一花」
「あ、あの……私は一花お姉さ…」
「一花…!一花!!」
ちょっとムッと来たので呼び捨てにしてやるもんね!ふんだ!!あ?大人気ない?だって俺まだ1歳だもん!!精神年齢…?なにそれおいしいの?
「あーあ。一花が変に過剰な要求するからよ」
「ええ!?私そこまで難しいこと要求した!?」
「一花。お前は幸太から見たら叔母さんで合ってるだろ?何故そこを訂正しようとする?」
「いや、確かにそうなんだけどさぁ…。やっぱりフータロー君には分からないかぁ………」
一花がそう言うと、父親はニヤリと意味深な笑顔を浮かべる…。この人、意味わかってらっしゃるようだ……。
「あー!その顔絶対意味わかってるでしょ!?」
「さあな。なんせ俺は鈍感だからな」
「本当に鈍感な人はそんなことも言わないしそんな顔もしないよ!!」
「じゃあ次は私の番。私は三玖だよ。三玖お姉ちゃんって呼んでくれると嬉しいな」
静かなトーンで優しくそう話しかけてくる三玖叔母さん……いや、お姉さん。この人には定期的にお世話になっているし、ここは素直に要求に応えることにする。
「うん!三玖お姉ちゃん!」
「……!!フータロー!!二乃!!この子もらってもいいかな!?」
「ダメに決まってるだろ!!」
「ダメに決まってるでしょ!!」
三玖お姉ちゃんは珍しく大声でそんなことを言うが、息ぴったりの夫婦に拒否された。まあ当然の反応だわな。
「えっ?私は呼び捨てなのに、なんで三玖はお姉ちゃん呼び……?」
「はいはーい!じゃあ次は私の番ですね!私は四葉叔母さんですよ〜!!」
下手すると子供よりも元気で明るく接してくる四葉叔母さん(仮称)。あなたは叔母さん呼びでもいいんだ……。やはりこの人は5人の中でもずば抜けて人間としてできているようだ……。
だが、敢えて叔母さん呼びはしない。
「四葉……お姉さん!四葉お姉さん!」
「あ、あれ?いや、私はお姉さんじゃなくて叔母さんですよ!」
「四葉お姉さん?」
あれ?お姉さん呼びじゃダメなの?
「……四葉お姉ちゃん?」
これならどう?
「な、なんで叔母さん呼びしてくれないんですか……!?でもお姉ちゃん呼びもいい…………」
ああ……。尊い気持ちなった時って人はこんな顔をするんだなぁ……。ちなみに説明は無茶苦茶むずい。
「えっ?えっ?四葉も?四葉に至っては要求すらしてないよね?」
「じゃあ次は私だね!私のことは五月でいいよ〜!」
うーん………。この人に叔母さんって呼ぶのはなんとなく気が引けるんだよなぁ……。ならなんて呼べばいいかな…?
「……………」
「………………あ、あれ?私は五月ですよ〜?い・つ・き!」
「………五月お姉さん」
「えっ?あれ?」
「お姉さんかぁ……。まあいいか」
なんだかんだいって一番軽いなこの人。
「えっ、ちょっと待って?なんで私だけ呼び捨てなの?おかしくない?!」
「こら!あまり騒ぐと幸太が泣いちゃうかもしれないでしょ!」
「それにしても、この子流暢に話すね?」
「本当にね!一歳とは思えないよ!」
「この子……。ひょっとして天才なのでは……?」
「ふふふっ…。気づいてしまったか…。何せ俺の子供だからな!何もおかしいことはあるまい!!」
「あ〜……」
「上杉君に似てるとなると……」
「デリカシーが……」
「心配ですね………」
「おい、喧嘩売られてるのかこれは?」
「まあまあ。それに関しては大丈夫よ。私がいるからには、風太郎みたいにノーデリカシーな男の子に育てたりはしないわ!」
「ああ……。確かに二乃が母親なら大丈夫かも」
「むしろ大きくなったら金髪になったり、ピアスをつけられてたり、ちょっとワイルドに育て上げられるかも……」
「ちょっと〜………。私をなんだと思ってるのよ?流石に子供にはそんなことしないわよ?」
うん。俺も嫌だ。ピアス穴開けるの無茶苦茶痛そうだし。
「でも風太郎の子供だから、案外似合うかもしれないわね……」
「やっぱり二乃は二乃だ………」
「だね………」
「お母さんになっても変わらないね!」
「だ、ダメだよ二乃!間違っても子供に刺青を入れたりしたら!」
「だからやらないわよ!!……この子がやりたいって言ったら止めないけど………」
いや、やらないからね!?それすると温泉やプールに入れなくなるもん。0…というか、なんか眠くなってきちゃった……。
「あらあら、幸太おいで」
「うーん………」
眠くなるとどうしても無意識に体が動いてしまう。どうやら体はまだ母親の温もりを欲しているようだ。
「はーい。おやすみ」
「おやすみ…………」
そうして、俺は母親の腕の中で意識を落としたとさ……。
シリアス系は結構考えなきゃいけないけど、ほのぼのは比較的考える必要もないので意外と楽。まああくまで比較した場合の話なんですけどね。次はどんな話にするか完全に未定です。
最近メインで書いてる作品は無茶苦茶シリアスなので、こちらでほのぼのを書くと気分転換に丁度いいんですよね……。