とある特殊工作兵見習いの日常   作:氷桜

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小南 桐絵-③

 

「あ、此処抑えておいて貰えますか?」

「こうか?」

「はい。」

 

明かりだけが付けられた訓練室。

足元には本部から持ち出した配線作業用の工具一式。

部屋の隅には万が一を考えて多めに用意してもらった配線を巻いた状態で準備完了。

壁沿いには四隅のボルトを外した板状のパーツが幾つも並んでいる。

ぱちん、と音を立てて原因と思われる配線部位をある程度余裕を見て切断。

 

「よし、取り敢えず原因部分っぽい場所はこれで分離できました。」

「そうか。 後は?」

「実際に一回電気を流してみて、問題がないことを確認して復帰作業ですね。」

 

時間としては然程掛かるまい。

元がどういう状態だったのか、は念の為写真で撮りつつ作業していたからその通りに戻すだけだし。

 

「もしこれで正常動作しなかったらもう一回分離してみて、それでも無理なら全面調査になるので……。」

「更に時間が掛かる、か。」

「はい。 もしそうなったら技術者(エンジニア)もう一人は欲しいですね。」

 

実際こういう作業をしてるだけで勉強になる。

その機械一つ一つがどういう動作をしているのか、までは読み取れるわけではないが。

気になったものは後で調べ、分からなければチーフに聞けばいい。

罠に関しての見解聞くついでに冬島さんに聞いてもいいかな。

 

「まずは試してから、だな。 宇佐美に声を掛けてくる……鷹も少しは休め。」

「え、其処まで疲れてませんけど?」

「時計を見ろ。 お前が集中し過ぎているだけだ。」

 

言われて時計を見る――――あれ?

気付けばもう六時半回ってる……?

最後に見た時は五時くらいだったと思ったんだけど。

端末使ってた筈なのに全く気付かなかった。

 

「相変わらず集中しすぎると時間を忘れるな、お前は。」

「あー……すいません。 もう少し早く気付くべきでした。」

「今後の修正箇所だな。」

 

それに、恐らくそろそろ……だなんて。

レイジさんが何かを考え始めると同時、入口側が大きな音を立てて開く。

 

「レイジさーん、ご飯できたけど……ってまだやってたの?」

「小南、もう少し落ち着いて開けろ。 壊れたらまた厄介だろ。」

 

まあ、この支部でこんな事する人間はほぼ限られる。

そのうちの片割れ、小南が顔を見せる。

開けた扉からは空腹に刺さる刺激臭。

そして見慣れない格好。

 

「鷹、直ったの?」

「これからそれを確かめようと思ってたとこ。 ……で。」

「何よ。」

「お前のその格好何?」

 

時折見かける、活動的な行動向きの私服の上にエプロン。

そしてこの匂いから考えると。

 

「何って、私が今日の当番なだけなんだけど。」

「昨日の今日かよ。」

「別にいいでしょ。」

 

……昨日の発言、分かってて言ってたのだろうか。

なんか忘れてて言った気もするけど。

 

「洗い物とかもあるし、出来れば一緒に済ませたいんだけど。」

「……何? 自然と俺のまで用意してる?」

「カレーですけど何か文句でも?」

 

目が微かに光った気がして、危険を感じた。

危うく発動しそうになった心拍数増加による思考加速(サイドエフェクト)を気合で抑え。

いえ全く、とそんな意味を込めて首を横に振る。

 

「……鷹、どうする?」

「あー……。 問題ないかだけ栞さんに見て貰ってからにしません?」

「そうするか。 とのことだ、小南。」

「はいはい。 じゃあうさみに声掛けとくわね。」

 

じゃあお皿はー、なんて呟きつつ部屋を出ていく小南。

ほ、っと溜息。 良かった危険は去った。

噛みつかれるのは勘弁。

 

「手早く済ませるぞ。」

「アイ・サー。」

「多分、お前に食わせることも考えて作ってたようだからな。」

 

へ、と一言。

 

「今日の具を見て考えてみろ。」

 

そんな突き放すような言葉を最後にして。

栞さんを待つ態勢に移行したレイジさんを横に。

どういう事だろう、と俺は首を捻っていた。




尚具はシーフードでした。

年上/オペレーターの中から。(※原作2014年2月時点で高校三年生以上を指す)

  • ダメ男育成員月見さん
  • 超ゲーマー国近さん
  • やや寸胴今さん
  • 姉御肌過ぎるののさん
  • 謎アイコン製作者橘高さん
  • 同い年だけど三上さん
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