和菓子屋の少女と普通の男の子 作:麒麟
「暴力女はないだろ」
俺がため息をつくと隣の席の小野寺が苦笑する
どうやらさっきのヒザ蹴り女っていうのは桐崎さんのことらしい。俺はその事実に少しだけ頭を抑える
そして広がる醜い言い争いは少しだけ続いているのを俺は手を叩いて止める
「お二人さん。仲がいいのはいいんだけど、ちょっと落ち着けって」
「「良くない!!」」
「そう。なら、まず桐崎さんだっけ?話を聞いたところ謝ることは確かに謝ったけど急いでいたからって理由で言葉で挨拶したくらいで通りすぎていったんだろ?これに関しては桐崎が悪い。まずは怪我をしてないか確認して何かに遅れるにしろ連絡を入れたら良かっただろ?一条が頑丈だったからよかったものの、もしお年寄りだったりしてみろよ。骨折とかしようなら桐崎自身が責任を負うことになるんだぞ?」
「……うっ!」
正論を告げると桐崎は自分でも自覚あるのか言葉に詰まる
今度は一条に向き俺は軽く説教を始める
「まぁ、急いでいたのも分かるけど、もう少し落ち着け。…んで一条は一条で初対面の相手に暴力女はないだろ。確かに桐崎に非があることも確かだけど、もしそれが人違いとか双子の姉とかだったらどうするんだ」
「……それは」
まぁたらればだし、真っ先にいう言葉ではないだろう
それでも桐崎だけを悪者だけにするのはこれから、桐崎も、一条も後悔することになるだろう
「それに桐崎は今日から転校生だぞ……お前だって苦労しているんだろ?周囲からの固定概念ってやつには。一条も同じくらい苦労してきたんじゃないのか?」
「……」
「今回の件に限ってはお互いに悪いところが多すぎるからな。ちゃんと謝るくらいはしとけよ」
「さすがクラスのお父さんだな」
「誰がお父さんだ!!キョーコ先生も悪ノリしないでください!!」
俺は呆れたようにしてしまう
するとクスクスと笑う声が隣から聞こえると同時に小野寺が笑っていた
「小野寺このネタ好きだな」
「えっ?だって本当にお父さんみたいなんだもん」
「はぁ。同級生どころか最近キョーコ先生からもいわれんだぞ」
まぁ今のはキョーコ先生に感謝だけど。俺が真面目な雰囲気だけどお父さんネタでクラスの賑わいが保たれている
笑い声が絶えないのはこのクラスの長所だろう。ムードメーカーである舞子のおかげが多いだろうけど
それでも
隣の席の小野寺はそのあともずっと俺の方を見てきたのであった
「は?ペンダントをなくした?」
「そうなんだよ。だから放課後一緒に探してくれないか?」
一条が放課後俺の方にくると俺は少しだけ苦い顔をしてしまう
別に俺は探すことはいいんだけど放課後は基本的にバイトが入っているのだ
「…いいけど、バイト入っているからそこまで長く探せないぞ?」
「それでも助かるよ」
「んで?」
「んでって」
「どんな形でどんなやつなのかってこと探し物の形とかわからないのに探せないだろ?」
「えっと。確か」
と俺が聞いたら形を表す一条
どうやら鍵穴が空いているペンダントなど色々な
俺はそれを見ながら軽くメモを取る
「了解。んじゃ探すけど期待はすんなよ」
「あぁ。サンキュー。今度なんか奢る」
「はいはい」
俺は少しだけその姿を見送った後小さく苦笑して、桐崎さんと一緒に行動する一条を見る
小野寺もそっちに行くのがうっすり見えていたが同じところを探していたところで見つかる可能性は低いだろう
と俺は少しだけ気楽に捉えていた
なお、ペンダントは結局見つからず俺は成果なしとだけメールに送るのであった
結局ペンダントを見つけるには二週間かかり、いつのまにか一条と桐崎は全く話さなくなった