和菓子屋の少女と普通の男の子 作:麒麟
「一条と桐崎か?なにしてんの?」
「えっと」
「水口くんと小野寺さんは?」
「俺たちはさっき街中であって、お互いに時間があったからクレープ買ってきたところだけど……」
「クレープ?」
俺はクレープを見せると桐崎はなんのことか分からないけど一条は納得していた。元々甘いものが好きなのはこの一ヶ月でわかっていたのだろう
「んで、どういう繋がり?」
「繋がりって」
「まぁ、桐崎と一条が俺たちと同じように出かけていただけってことはあるだろ?」
「えっと、それは」
「……その一言でわかったよ」
デートですね。完全に
俺は苦笑してしまうと同時に少しだけ疑問に覚えてしまう
あれ?でもそんなに仲よかったか?こいつら
「ふ〜ん。まぁおめでとうっていえばいいのか?」
「おめでとうって他人事だな」
「別に俺には関係ないしな。他人の恋愛ごとについてそう簡単に触れることが阻害する可能性だってあるし、人が誰を好きになるかなんて自由だからな。俺は恋愛に興味ないし、余計に拗れる方が問題だろ?」
「…おっしゃる通りで、さすがクラスのお父さんだな」
「誰がお父さんだ」
もう何度も言われていることに飽き飽きしながら、俺はいつもなら笑っている小野寺の方を見る
俺の目の前には我慢しているように、そして苦しそうな。そんな小野寺がいた
一瞬息を呑んで立ち尽くしてしまう
分かっていたつもりだった。一条のことが好きってことに薄々気付いていたのもあるのだが
それでもやっぱり笑顔を見せている小野寺に胸が痛みが増す
「水口くん?」
「……ん?なんだ?」
「だから一条くんと桐崎さんってお似合いだよねって」
「まぁな」
どこか煮え切らない返答になってしまう
その反応に桐崎と一条は少しだけ不自然になっていた
俺は話をそらすためにふと思い出す
「……つーかそれ、結局どこにあったんだ?」
「へ?」
「ペンダント。俺結構探したけど見つからなかったから。途中から桐崎が一条たちと離れて探し始めたのも少しだけ分からなかったし」
「……あぁ。これか」
「鍵穴が空いたペンダントかって珍しいし年季が入っているから」
「これはごみ収集の場所にあったのよ」
「……よく見つけたな。それ」
俺は苦笑してしまう。それが本当ならかなり苦労していたはずだ
そういうところに一条も惚れたんだろうかと
「ん。んじゃ俺はもう行こうかな。クレープあるし、そろそろ夕飯の買い出しもしないといけないから」
「あ、あぁ。そっかお前一人暮らしだもんな」
「あぁ。小野寺はどうする?」
「私も、行こうかな」
「そうか。それと小野寺クレープ」
「へ?あっうん」
俺は小野寺にクレープを手渡すとそして一口食べる
ただ今この中で食べるものではないがどうしてもこの苦味から逃げたくてチョコバナナではなくいちごクリームにするのが正解だったと軽く後悔しながら
「んじゃ、また明後日な」
「またね。一条くん、桐崎さん」
「えっ?うん」
俺は無理矢理にも話を切り上げ俺は帰ろうとする
すると小野寺もついてくる
しばらく無言なときが続くと同時に俺は小さくため息を吐く
「大丈夫か?」
「えっ?」
「なんとなく見てたら分かる。好きだったんだろ?」
「……うん」
「すげぇよ。それで笑顔でいられるんだから」
俺は小野寺に告げると素直に頷く
慰め方なんかは知らないのが少しだけ
「あはは。でも水口くんにもバレちゃったね」
「そりゃそうだろ。俺は三人に関してはただの友人関係であって俺以外は当事者だからな。俺だけ他人事だから周囲に目を向けることができるんだよ」
「当事者じゃないって」
「実際そうだろ。……まぁ俺から言えるのは泣けばいいんじゃないのか?」
小野寺は少しだけキョトンとしている
分かっていたことだけどショックはやっぱり大きいのだ
「泣いてスッキリした方が辛いときはスッキリするぞ。余計に溜め込んでいるときの辛いからな。一回色々はしゃいで、辛い気持ちを変換させた方がいい。俺も実際経験はあるし、それに彼女がいるからってアタックしたらダメってわけじゃないだろ?」
「…そうだけど」
まぁ俺が言えることはこれくらいかなぁ…
あとは小野寺次第だろうだろうあとはて
か小野寺さぁそしてしばらくクレープをたべて食べていると同じく食べながらグスグスと涙をながをながしはじを流し始める小野寺にをむご無言で眺める……
俺は慰めるわけでもなくそれを見つめていた