にじファンでは山茶花というユーザ名で投稿しておりました、またよろしくお願いします。
俺の名前は楊鉄健。
読み方はヤナギテッケンって言う。
高校1年生で今日からこの東京の戸的高へ転校して来た、その理由は親の仕事の都合による転勤で、そして俺は初日にして俺は目の前に居る女性に絡まれている。
見た目は背が高く、髪の毛はそこまでめちゃくちゃに長いわけではなく可愛いというよりは綺麗といった表現が似合う。
何故絡まれたのかというと実は転校初日の朝から不良と喧嘩をしてしまったからだ、だといっても不良が女性にからんでいたのが理由だったんだけど。
それで俺が不良を相手に戦い普通に倒したら今目の前にいる女性に見られていたのだ、それが理由で絡まれることになっている。
「で、どういった用なんです?」
「ああ……美菜ちゃん助けてくれてありがとう」
「それだけですか?」
変だな……お礼を言うような雰囲気じゃなかったぞ、今のは。
どちらかといえば戦うのが好きな奴が出す雰囲気だ、スパーリングでも喧嘩上がりの奴が出してるのを見た事があるが一際とこの人は濃いな、戦いが本当に好きなようだ。
俺はとっさに身構えていた、もし今攻撃されても大丈夫なように。
「それだけだよ、あんたが戦う気ないみたいだしやめた」
成る程戦う気がないからアウトって訳ね、まあ、俺としては万々歳なわけだが。
俺は不良が他の人に迷惑をかけない限りは自分から攻撃する気はない、例外として自分にどうしようもない危機とかだったり、相手が聴く耳を持たず手を出してきたら別だけどな。
「待ってくれ……あんたの名前は何って言うんだ?」
「私の名前か? ……『
そう言って去っていく女性、なるほど相川さんか。
とりあえず今日はもう帰るか……
……ただこの日から自分の転機が訪れるなどわかるわけもなく、とてつもない強敵と出会い続けることになるなど思いも寄らなかった。
そして次の日、転校初日から喧嘩をした俺は憂鬱な気持ちのまま学校へ行く。
「ハアッ……」
ため息をついている自分はきっと情けない顔をしているんだろう、正直な所不良を相手にしてふんだんに使う必要はなかったと思う。
自分が六歳の時から始めた『立ち技』の『武術』である『ボクシング』は不良を倒す為とはいえ本気を出す為にはいかない、手の速度がプロでは時速三十キロは出る。
遅いと思うなかれ、『体感速度』と基本的に近距離で放たれるため三十とは言えどとてつもなく速いのだ、今の俺は三十ではなく二十前半だ。
ボクサーのパンチを掴むには度胸が優れていて反応速度が速い奴、純粋に危険を顧みたりしないクレイジーな奴、もしくはめちゃくちゃ珍しいだろうが瞬きよりも速い打撃を見切れる奴。
といってもどれもこれも出会える可能性は低いだろう、それこそ『人生に一人』でも出会えたら幸運だ、そして三種類だから『三人』だろう。
それから放課後になるまで俺はのんびりと授業を受ける。
「せっかくだから夜の公園でも回るか?」
ちょっとした好奇心が心の中にあった、青森とは違ってここの夜はどういったものなんだろう?
俺はそう思って家に電話を入れて遅くなる事を伝えた後にある繁華街へと向かっていった。
「随分と騒がしいな……」
そう感想が自然に出るほどの光景だ、街行く人たちが男女問わず綺麗な格好をしている、そして一際うるさい場所を感じ取った。
その場所とは路地裏だった、喧騒の声が飛んでいるのが聞こえてくる、俺はその声の方向へと走って行った。
目に飛び込んできたのは多くの男性が女性を囲んでいる光景だった、喧嘩かなにか知らないが戦っていて、その中心に立っていたのは相川さんだった。
「何やってんだ、あの人……」
俺は気になってその喧騒の中に入る、なんか男が数人がかりで相川さんを攻撃していた。
「幾らなんでもそれは男としてどうなんだろうな」
俺はとりあえずその集団の攻撃を食い止めるために動く、絡まれる以外にこういう一人相手に複数という手合いも嫌いなのだ。
「やらせてもらうぜ、『エアマスター』!!」
「残念だがそこで終わりだ」
囲もうとする男達の一人の前に立つ、案の定男達はイラついたようにこちらへ言葉を投げかけてきた。
「お前、なんのつもりだ!!」
「こういうつもりだ、大声出して恥ずかしくないのか?」
俺は構えて言葉を投げかける、これが恥ではないならば大概の事が恥ではないだろう、武器とかでも装備してこいというものだ。
「なめてんじゃねえぞ!!」
男が苛立っている状態で攻撃をしてくる、そんなものでやられるほど俺は甘くなんてない、俺は普通に攻撃を避けてダメージが通りそうな『肝臓』へ右の拳によるブローを見舞う。
「グハァ!!」
見事にクリーンヒットした為呻いている、残念だけどそうなって動きを止めたら集中狙いだぜ、そうやって呻く前に肝臓を防御したほうがいいんじゃあないのか?
「オラ!!」
続いて握りこんだ左の拳を先ほどと同じ『肝臓』へ叩き込む、これで一人男が倒れたが感想としては随分あっけないといった感じだ。
「てめえ!!」
後ろから攻撃してきたのかは知らないが、こちらは振り向きざまカウンターで顎へアッパーを決める。
アッパーで顎を揺らした所に顔へストレートを見舞ってダウンさせる、幾らなんでも防御ぐらいはしないといけないだろう、無用心すぎる。
俺が二人を倒している間に相川さんは他の男を倒していた。
そんな俺に近づいて相川さんは言ってくる。
「お前……私ともやってみないか?」
その『目』は昨日感じた気配と同じ『戦闘好き』の『目』だった。
「どうやら……逃がしてはくれないみたいですね」
俺は後ろに下がろうとするがじりじりとつめてくるのが分かる。
これは厄介だ……
友達か知らないが観戦してるし。
「来ないなら……行くぞ」
相川さんはビルを三角飛びで登る。
「何処から来る!?」
俺は腕を十字に交差して攻撃を待つ。
「これで終わりだ!!」
膝を高い打点から落としてくる、まるで流星か隕石かと思うほどに勢いをつけて落下してくる、俺は腕に力を込めて防ぐが腕のガードが崩れてしまう。
「グッ!!」
再び構えを取ろうとした腕の片方をつかまれていた、そしてそのまま俺を抱えてビルを駆け上っていく、まさか、ここから落とす気かよ!!
「はぁ!!」
「……舐めるな!!」
首を下げて首を固められるのを防ぎ、捻られる方向とは逆に体を捻って強引に拘束をゆるくする、
最後に落ちる際に足から落ちて衝撃を吸収してことなきを得る、当然強引に技を外したせいで少し体の節々が痛んでいるが、アレを食らうことに比べたらましだろう。
「いやはや怖かった!!」
「あんな強引に『エアスピンドライバー』を外すなんてね」
相川さんはそういった俺に軽く言って綺麗に着地する、この人…空中戦が得意とか面倒だな……厄介なタイプだ。
「まだいけるだろ?」
満面の笑みを浮かべながら着地して一番に言う言葉がそれかよ。
仕方ない人だ……こうなったら『試合』としてではなく、何でもありの『喧嘩』と考えてやらせてもらうしかないな、そう思って俺は腕に力を込めてさっきよりも気合を入れて構える。
あの人に効きそうな場所は何処だろうか?
といっても速度重視ならあまり動かない顔や腕ぐらいか、もし捕らえられるのならその都度に肝臓とかボディを中心に攻撃して速度を奪うのも良いかもしれないな。
「あの……やめて下さい」
俺が構えて相川さんを睨みつけてから数秒後。
後ろからある声が聞こえた。
無視しようとして拳を出そうとする、それに相川さんが反応して迎え撃とうとした瞬間……
「マキちゃんも本気でやったらダメ!!」
美菜さんがわざわざ割り込んで俺と相川さんの勝負を止めてきた……せっかく熱を持っていたというのに、この行動により張り詰めていた空気が一瞬で霧散する、体から力が抜けてへなへなしてしまいそうだ。
「悪いけど美奈《みな》ちゃんもこう言ってる事だし……お開きにしよう」
「はい、またいつか機会があったらやりましょう、マキさん」
そう言って路地裏を抜けて少し歩いた先に見えた人間がいた、そいつの印象は一言で言えば……
「やあ、『エアマスター』のあの技を初見で外せるとは中々の人間だろうからね、声をかけさせてもらった」
見た目が凄く、そしてなんだか不思議な奴がそこには居た。
格好を言うならば頭にはニット帽、服はポケットが沢山ついたコート、頭に被ったニット帽の下にはバンダナ、そして表情を悟られにくくする為かサングラスをかけている。
「一体何のつもりだ?」
怪しすぎる外見の為身構えて応対をする、着いていく事は着いていくが警戒心は解かない方が良いだろうな。
「単刀直入に言おう、楊鉄健……君に話が有ってね、喫茶店まで来て貰えないだろうか?」
この言葉が自分を後に大きく変える戦いに発展するなんてその時は知る由もなかった。
こちらでは初投稿なのでノウハウが分かっておらず至らぬ点があるかもしれません。
何か知らして気がありましたらどうかお願いします。