上へのぼっていくと戦いの雰囲気が流れてきていた、誰かが戦っている、そう思い角を曲がると、ケアリーさんと誰かが戦っている、すると俺が来た事を見抜いたのかケアリーさんがこちらを向いてきた。
「お前、久しぶりだな」
「えぇ……全くですよ」
そう言うとケアリーさんが目の前にいた相手から俺の方へと向かってくる、近づいてくればくるほど体の大きさに驚く、この体に打撃を通そうと思ったら思い切り振りかぶった一撃や的確に場所を叩かなくてはいけないはずだ。
「フンッ!!」
ケアリーさんが張り手の一撃を繰り出してくるが避ける、風が通り過ぎていくほどの勢いである、まともに喰らうと大きくダメージを受けるだろう。
「よく避けたな、でも次は当ててやるぜ」
そう言ってもう一度張り手を繰り出す、張り手の勢いは良いのだが思いっきり足がお留守だから脛を思いっきり蹴り飛ばしてやる。
足腰がしっかりしているから崩れないというのは分かるが足腰がしっかりしていてもこの場所は痛いはずだ。
「オラァ!!!」
避けて回り込み、がら空きの脛に思い切り蹴りをかましてやる、小気味良い音を立てたし手応えは十分だ。
「てめえ、脛を……」
痛みからか一瞬動きを止める、絶好のポジションが空いたので俺は大きく踏み込んだ。
「動きを止めちゃあ……いけんでしょうが!!」
「ぐはっ!!」
振りかぶった右の一撃を肝臓にぶち当ててケアリーさんの動きを止めにかかる、体
勢を立て直そうとしている所に悪いが俺は顔を下げさせる為に、ケアリーさんの股
間を蹴り飛ばした。
「あぉおおお………」
股間を押さえてしまい痛みのあまりうずくまる、俺は降りてきた顔を蹴ってやった、ケアリーさんの顔に血が滲んでいく。
「一発じゃあ終わらないぞ!!」
顔面に膝をぶち込み、後頭部に拳を何度も振り下ろす、膝を幾度もぶち込まれたケアリーさんの顔はいつの間にかパンパンに腫れあがっていた、言葉が喋るのを聞いていたがうわごとだった。
「さて……次はあんただな」
俺がケアリーさんをやっている間に起き上がっていたであろう人を見る、随分とケアリーさんにはやられていたようだな、所々にあざが見受けられた。
「お前にスナイパー空手の講座を始めよう」
そう言って構えてきたのでこちらは踏み込んで顔面を狙ってストレートを出そうとしたが次の瞬間、驚きに包まれたのだった。
「なっ!?」
踏み込むはずがバランスを崩していた、まさか俺の動く足を狙って蹴ってきたというのか!?
「どうやら感づいたようだな、その通りだ。 膝の狙撃……そして一撃必殺!、それが『スナイパー空手』だ!!」
顔面に迫る攻撃を捻って避けたが……相性はバカ正直にいけば凄く悪い、踏み込まずに近づかなくてはいけないのだ、そんな芸当なんぞできるわけがない。
「攻撃の回避だけなら狙撃射程外に出れば良いだけだ……それに破る方法はおぼろげながら見つけた」
その方法とは相手が俺の膝を狙撃するその一瞬の間よりも速く、俺が逆の足で相手の方を狙撃する、それが俺の考えた攻略法だ。
「シッ!!」
相手が狙撃の様子を見せるように踏み込んでパンチを打とうとする、そうしたら踏み込んだ瞬間に相手の足が伸びてきた、コレをあいつのように蹴れたならあいつも俺と同じ思いをするはずだ。
「オラッ!!」
そう思い踏み込んできた足を狙ってきたのでその足とは逆の足でその狙ってきた足を蹴ってやったのだった。
今の作戦は成功しただろうか、成功していたなら相手のバランスを崩れて、失敗していたらこちらが無防備に相手にやられるだけである。
「何かしたかったのかね?」
しかし相手の動きが止まる事は無く逆に俺の体勢が崩される結果となっていたのだった、クソ……失敗してしまったか。
「くっ……」
「甘いわ、ただ足を乗せて蹴っただけで止まるとでも思ったか!!」
そう言われて顔を蹴り抜かれる、ヘッドスリップで衝撃を逃がすが頭がじんじんとする、上手くいかないものだな。
「ハッ!!」
再び踏み込んで狙撃される一瞬を狙って、逆の足で狙撃してくる足を止めようとした。
「まだまだ!!」
しかし今度も失敗してしまい、今度は蹴りではなく拳が顔面にめり込んで嫌な味が口中に広がる、どうやら口を切ったようだ。
感覚としてはもう少しなのである、乗せるタイミングと崩すための威力が分かれば十分だろう。
「シッ!!!」
三度目の攻撃を繰り出す、相手は若干呆れ顔で俺の攻撃を流そうとしていた。
「全く……無理だと言うのを理解しろ!!」
そう言った瞬間狙撃の足が見えた、さっきよりも俺はワンテンポ速く逆の足で蹴ってやったのだった。
「今だ!!」
タイミングとしては問題はないようだ、後は崩れるかどうかである、崩れてくれればこっちの価値で、崩れなければもう一度トライするだけだ。
「どんなもんだい?」
「コレは……スナイパー空手!?」
バランスを崩したのが見えた、結果は成功したようだ、本当に成功してよかった、成功しなければ辛い戦いを強いられていただろう。
「そういう事さ」
三回目にようやく成功した、コレまでに食らった顔面への蹴りと拳の分を込めて返してやる。
「オラアアアア!!!」
体勢を崩していた相手の顔面を思い切り叩き込む、顔が歪んで跳ね上がる、手応えが十分だと感じ取れた。
「ぐは……」
鼻血を撒き散らして倒れていったのを見届けると俺は安堵のため息を吐いた、まさかあんなにも相性の悪い相手に出会うとは予想すらしていなかったからである。
「とりあえず二人倒した…上の階に行くか…」
ケアリーさんとスナイパー空手の人を倒したので階段を探す為に動こうとした、すると後ろから声が聞こえたのだった。
「待ちなよ」
その声に振り向くと声の主は小さな女の子だった、おいおい……こんな子供まで参加しているのか?
「ようやく追いついたか……馬場、用意できてるか?」
「ああっ、出来てるぞ」
女の子の後ろにいたのは深道信彦ともう一人男の人だった、一体どういう事だ、はじめの時に入ってなかったら失格じゃないのか?
そんな事を考えていたら深道信彦が前に来て、真剣な顔でこちらを見ながら言葉をかけてきた。
「お前はあの子に手を出そうとしているのか?」
「あんな子も参戦していたみたいだな、別に俺はあの子を相手にする気は無いんだが……」
「そうかよ、しかし万が一の事もあるんでな、質問した所で意味は無いんだ、とにかく念には念を重ねさせて貰うぜ、イッツ・ショータイム!!」
掌を打ち合わせると火花が散る、前回と違い寸前で目を瞑
「エアマスター!!」
「相川さんか……」
離れてから振り向くとそこには相川さんがいた、そりゃ離れたのは正解だったな。
しかしこんな所で会うとはな、正直悪化はしてないが疲れているからどうしたものだろうか、そんな事を考えていたら一つの影が俺の前へと進んでいた。
「お姉ちゃんをやっつける!!」
「ダメだ」
幾らなんでも無茶な事を言っている、こんな子が相川さんに勝てる訳がない、それを考えている間に今にも女の子が相川さんの方へ走ろうとした。
しかし男の人が無理だといって女の子を抱える、とりあえずコイツがあの子を引き離す為に別の場所まで運んでいく係ってわけだな。
「逃がすための時間稼ぎをする、ここから出たらひとまず安心だろう、頼んだぜ、馬場」
信彦さんが両手に花火の束を持って準備を始める、まさかやる気かよ……仕方ないな、さすがに俺も此処にいるわけだし、見捨てられないしな。
「んがぁあああああああ!!!」
信彦さんが両手に火のついた花火を持ち、口に火のついた花火をくわえてマキさんの方へと歩いていく、じゃあ俺も協力をするかな。
「それは通用しない、前にも分かってるはずだぞ」
空を舞って相川さんは花火を避けていく、しかし着地寸前に俺がいるのが見えたのか、少し後ろの方へと着地する、残念だな……閃光に紛れるように入ったのに。
「お前も相手をするのか……」
「いや、見てみぬ振りは出来ないんでね…なに、手助けだけですよ…この状態であんたと戦うのは無謀だからな」
こっちはアバラがやばいのに怪我もしてない相川さんと戦って勝てるはずもない、俺の目的を果たすためにはこれ以上コンディションを悪化させるわけにはいかない。
これからはとんでもないイレギュラーが起こらない限りは、望む戦い以外はスルーしていく方向だ、さっきのケアリーさん達との戦いで動きの切れもさほどよくはないというのが把握できたしな、正直大丈夫だと思ってやったけど全然そんな事はなかった。
俺が構えてじりじりと迫る動きをして時間を稼ぐ、最もコレはモーションだけでいつでもバックステップを踏めるようにしておく。
「それっ!!」
「くっ、花火の爆弾か!!」
今にも相川さんが飛び掛ってくる瞬間、信彦さんからのサポートが入る、閃光で目晦
「流石に俺もやる時はやるぜ、ナイスタイミングだったな」
そうかっこよく決めている信彦さんだったが花火の煙が晴れたら女の子が近くに居なくなっていた。
「おいおい、信彦さん、何してんだよ……」
「いやいや、俺に言うなよ……俺はみおりちゃんを抱えてなかったんだからさ」
腕から抜けられたのかみおりとかいう女の子が相川さんの前に立っていた、勝てる訳が無いのを分かっているくせに……
「来な、エアマスター」
女の子が涙を流しながら相川さんに向かってそう言うと戦いが始まった、と言ってもその戦いは瞬く間に終わりを告げていた。
床に足を付いて相川さんが女の子の攻撃を避けると、その降りてくる際に側頭部へと軽く一撃を加えていた、その一撃で女の子は意識を手放したのか緩やかに倒れた。
「お前は倒しておかないとな……あいつらと違うし、何より『エアスピンドライバー』を外すぐらいの腕前だしな」
「えっ……」
「はあっ!!」
相川さんが俺に向かってくる、あの女の子を連れて帰るためのサポートだって言ったのに目を付けられてるのかよ、しかしこの距離では逃げる事は出来ない。
さっきはイレギュラーと目的以外は相手にしないと言っていたがこの状況では相手にしなくてはこちらがやられてしまう、そうなれば本末転倒だ。
コンディションを悪化させない程度に相手をして隙ができればその間に女の子を回収してさっさとトンズラでもするか。
「シッ!!」
「遅いッ!!」
俺が拳を出すと相川さんは即座に空を飛んで回避をした、そして技を繰り出そうとしてくる、俺は即座に腕を引いて防御の体勢をとった。
「『エア・カット・ターミネーター』!!」
「くっ!!」
頭を下げて回避をする、なるほど……意識を断ち切る為の技か。
「フッ!!」
「はあっ!!」
俺は再び拳を出す、すると長い足の一撃が飛んできた、狙っているのは顔面だというのが分かる、すぐにKOさせるつもりだがそう簡単に負けてはやれない。
「カッ!!」
蹴りの一撃を首を捻る事で衝撃を逃して避けきる、そしてその一瞬の隙を狙ってカ
ウンターの一撃を繰り出そうとした、すると頭を挟む動作が見えた。
「『エア・カット・ターミネーター』!!」
「縦……だと…!?」
縦から繰り出されるというのは予想外だった為、俺は防御や回避が一瞬遅れてしまう、首に足がかかり力が込められて次の瞬間には捻られてしまうだろう、そのギリギリというところで……
「くそっ!!」
信彦さんが再び花火の爆弾を放って閃光で視界を奪う、相川さんの力が一瞬緩んだのが分かった為、俺はその隙に技から抜けて気絶している女の子を抱えて信彦さんに渡した。
「信彦さん、パス!!」
「OK!!」
ちゃんと受け取ったのだろう、こちらへと返事を返してきた、そして俺達は全速力で相川さんから逃げていた、今の俺だったら勝てるような光明が一つもない、それを考えれば良い選択だっただろう。
まあ……全員に共通していることだろうけど目的を果たすまでは終われないというのが理由としては大きいのだが。
「で、これからどうするんだよ?」
「俺は無傷といえば無傷だし任務は果たした、リタイアしてこのままみおりちゃんを連れて帰るがお前はどうするんだ?」
信彦さんがわざわざ俺に聞いてくる、ここに居て途中で降りる訳にはいかない、寄り道こそしたものの俺は上の階や先に進まなくてはならなくてはいけないのだから。
「俺はまだ続けますよ」
「そうか、頑張れよ」
俺はそう言って信彦さんと別れたのだった。
今回の話での上手い勝ちパターンが考えられなかったため、こんな仕様になりました、すいません。
何かご指摘がありましたらお願いします。