多分こんな感じだったはず。
カン! カン! カン! カン!
木の板を叩くような音が瀞霊廷に児玉する。
「緊急警報、緊急警報。瀞霊廷内に侵入者あり」
旅禍───原作主人公たちが尸魂界にやって来たのである。
◇◇
「どうやらこっちでは『最強の使い手』ってのはダラダラ御託の長い奴を言うらしい」
旅禍の警報から侵入からしばらくした頃、瀞霊廷の一角にて、旅禍二名と死神一名が交戦していた。否、終わろうとしていた。
「女性に不意打ちなんて無様な真似、そうそうできる事じゃない。まともな誇りなど持っていたらとてもできない卑怯者の戦い方だよ」
旅禍の一人である石田雨竜に弓矢を突きつけられ、口でも言い負かされ、絶体絶命の死神。
「お見事。そしてさようなら。君にはもはや後悔させる時間すら惜しい」
怒りと呆れを滲ませたその言葉と共に、石田は矢を放った。その弓は死神───七番隊第四席、一貫坂慈楼坊の鎖結と魄睡を貫く
はずだった。
何もないはずの空間で、突如矢が裂かれ防がれた。
「ここは戦場。敵の人数が多い場合、弱い者から倒し数を減らすのは当然のこと。そこに男も女もありはしませんよ」
現れたのは女性の死神。
死神は破れた一貫坂滋楼に下がるように言い、坊斬魄刀を抜く。
選手交代だ。
「私は八番隊第三席、京楽花月です。他隊とはいえ四席が倒されてしまった以上、手加減はしていられませんね」
石田は見た。
花月が右手で斬魄刀を抜くと同時、左手の指をするすると動かしたのを。
おそらく、攻撃。
「……っ!」
はじめ、一貫坂滋郎坊を狙ったトドメの矢が弾かれたとき、石田には何で防がれたのかわからなかった。だが、戦場の全ては情報だ。
「わからなかった」ということからわかることがある。
それは「目では見えない」ということだ。
それは透明であるのか、それとも目に見えないほど小さい、或いは細いということ。
そして矢を防いだ後に斬魄刀を抜いたことから、斬撃でないこともわかる。
最後に、片手の指だけで操作ができるものと来たら、思い当たるのは一つ。
「糸、か」
「目が良い……というよりかは周囲の霊圧に敏感、なのですかね」
糸。
鬼道の糸。
圧縮に圧縮を重ねてミクロ単位に変貌した糸。
「さっきの男といい、死神っていうのは誇りがないのかい? 正面から戦いなよ。自信がないっていうんなら無理は言わないけどね」
「青いですね。誇りなど所詮自己満足にすぎませんよ」
花月と石田の意見は合わない。
最後の滅却師として1人で戦ってきた石田は他人の命を直接背負ったことがない。
そして尊敬する祖父と同じ滅却師であることに誇りを持っている。
そしてその誇りは自分の命よりも大切にしている。
故に、石田は実践においても誇りを重視する。
対して花月は部下の命を直接背負い、三界のバランサーとして世界のバランスを守るために戦ってきた。また、同じ護廷十三隊の仲間であるはずの涅マユリに実験隊として使われた経験から、「護廷の仲間を蔑ろにすれば涅あの涅マユリと同じに唾棄すべき存在になる」と考えているため、誇りなどという自分の都合を守って仲間を危険に晒すことをこそ恐れる。
花月にとって『誇りを守る』とは一種の舐めプに相当する。
故に、理想は理想として割り切ることができるし、それを間違いだとも思わない。
どちらが間違いとか正しいとか、そういう話ではない。
『なんのために戦うのか』は人それぞれであるというだけの話だ。
「ところで滅却師さん。私に誇りがないというのなら、もう少し警戒するべきではありませんでしたか?」
「……何の話だ」
「お連れさん、苦しそうですよ?」
彼女たちが戦っているのは平屋根の上であり、花月はその
石田の気づかぬうちに建物の下に垂らされていた糸を、花月が引き上げると───
「なにッ!?」
わめき暴れようとして、しかし口も手足も糸でぐるぐる巻きにされているせいでふごふごと声にならない音を漏らすにとどまる井上織姫がいた。
「面白いですね。現世では、戦えもしない女を侍らせて戦場にのこのこやってくるのが『誇り』なのですか」
「……っ! 死神にだって後方部隊くらいあるだろうに」
「後方部隊をいかに戦闘に巻き込まないか、というのも戦術のうちでしょう。あなたは戦いに負けたのです。それとも仲間を見捨てて最後まで抗いますか? 誇り高き滅却師」
「……貴女の……貴女の目的はなんだ」
「旅禍の捕縛「いいや、違うね。ここは最初、七番隊の第四席が守っていた。つまり七番隊の縄張りじゃないのか。なのに八番隊の君が出張ってきた。貴女は慎重なタイプなのに、仲間も連れずに1人でそんなことをするなんて思えない」
そういう命令が出た、と言われてしまえばそれまでの理論だった。石田たちは死神側の事情を殆ど知らないのだから。しかし石田は感に近い部分で自分の子の考えがこれが的外れではないと感じていた。
そして、実際にその通りだった。
他の誰よりも、同じ八番隊だとか余所の隊だとか関係なく他の誰よりも早く旅禍を捕まえたい理由が彼女にはあった。
「ですが、それがわかったところで結局あなたは交渉できる立場にありません。一方的に差し出すしかない敗北者です」
絶体絶命。
確かに端から見たら石田に打つ手はなかった。
だが、石田の目は死んでいなかった。
眼鏡をくいっと指で押し上げ語り出す。
「貴女の使うその糸は霊子……死神の使う鬼道を圧縮して細めたものだ」
「……」
合っている。
だが、だからどうしたという花月の視線を気にした風もなく石田は続ける。
「普通、物を圧縮すれば体積が減って密度が増す。糸状の物だったら細く固くなるって感じかな。僕が一貫坂とかいう死神を射った時に、僕の矢を防いだのもそれだろう。────────ところで」
「
「ッ!?」
一瞬見失った。
滅却師の使う高速歩法『飛廉脚』。
霊子の流れを作りそれに乗ることで可能とするそれにより、花月の背後を取った石田は彼女に弓矢を向ける、ことはなく。
その弓矢を
流星
それと見紛う霊子矢の連続射出が、
「お見事です。滅却師の誇り、しかと見届けました」
花月の背後に回りながらそっぽを向き、攻撃を行った。
そんな石田の隙を見逃すほど花月は、四席というのは甘くはない。
花月お得意の糸が石田を絡め取り、ぐるぐる巻きにしてしまう。
「石田くん……ッ!!」
「井上さん! そのまま逃げて!」
「女性の旅禍に殺し合いはできないようですので、滅却師さんの誇りに免じて逃げるのならば追いません。逃げるのならば、ですがね」
そう呟いて、尚も「逃げろ!」「でも!」を繰り返している旅禍の、その男性側。四肢を封じられて仰向けに転がる石田に近づき斬魄刀を向ける。
「やめて! お願い!」
「いいから逃げて! 井上さん!」
「それでは────お覚悟を」
「やめて───────────────?」
「え?」
「は?」
「ご開帳です」
するするすると石田のズボンと下着の股ぐらを四角くくり抜き、現われたるはおちんちん。
紛うことなき男性生殖器である。
「きゃあ!?」
「何をするんだ! 辱める気か卑怯もnうおい!? 斬魄刀で僕のあそこをぺちぺちと叩くんじゃあない! 玉を掬うな! 上から押さえつけるな!」
思ったより小さいな。
それが花月の忌憚なき感想であった。
石田雨竜は細身でありながらかなり鍛えられた肉体をしている。
故におちんちんがゴリゴリマッチョマンでもおかしくは無いと思っていた。
おちんちんは男性の本質を表すとは誰の言葉だったか。
つまり意外と小さい男なのか、いやさ細かいことを気にする面倒くさいタイプなのか。
しかしこれはまだ非戦闘時の姿に過ぎない。
おちんちんには第二形態があるのだから現段階で評価しきることはできない。
つまりおちんちんを勃たせたいわけだ。
「動かないでください。落ちますよ?」
「何が!?」
「ナニが」
「やかましいわ!」
「あ、半勃ち。つんつんつん。あ、斬れてしまいました。血が……」
「わかった大人しくしているからだから貴女も落ち着いてくれ!」
井上は真っ赤な顔で固まってしまい、目を瞑るのも顔を背けるのも忘れていた。つまり見てしまっていた。
「あ、忘れていました。ちょっと萎ませてください。記録のために図解に残したいので」
刺激するとだんだん長細くなってきていたことを踏まえて、再度縮んだところを観察すると長細くなる兆候のような物が発見できるのだろうかと期待に胸を膨らませながら、懐より『おちんちん備忘録』を取り出す。
小さいおちんちんは以前にお子様隊長で拝んでいるが彼は勃起時もお子様サイズだった。しかし今目の前にあるそれは勃起時に長細くなる。
そんなおちんちんの非勃起時を比較観察ができる貴重な機会。
花月の胸は高鳴っていた。
「旅禍相手なので今までのような自重が必要ないのは助かりますね。色々実験がし放題です」
「く……! ああ分かった、良いだろう。好きにしなよ。滅却師の誇りにかけてこれ以上の無様は晒さないさ!」
「あのー、お取り込み中のところ悪いんだけどさぁ」
「流石に自重してくれないかな。花月ちゃん」
いつの間に側に居たのだろうか。
番傘を目深に被った男が目尻を抑えて絞り出すような声でそう言った。
八番隊隊長 京楽春水
花月の保護者がやってきた。
右肩に浅黒い肌の大男─────旅禍の茶渡泰虎を担いで。
瞬閧とは鬼道を高濃度に圧縮した云々。
→【鬼道は圧縮できる】
破道、縛道で悪さできてしまう。そう、二次創作ならね。