かっこよくて乱暴な神様   作:TAMZET

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私は過去の世界で、飛電或人と出会った。
天津垓と出会った。
刃唯阿と、亡と出会った。
そして、かっこよくて乱暴な……
神様と出会った。


第一話:命令とお願い

 0.神様のいない世界

 

 これは、アークが飛来しなかった世界の私……2Bの話。

 機械生命体がバンカーにハッキングを仕掛け、私達ヨルハ部隊は総崩れになった。

 私も論理ウイルスに感染し、各システムに深刻な被害を受けた。

 自身の義体を破壊するため、私は偶然遭遇したヨルハ機体A2に、私を殺してくれた頼んだ。

 そして……

 彼女の白刃を胸に受け、私は死んだ。

 死んだはずだった。

 


 

 1.神様のいる世界

 目覚めると、私は天国にいた。

 そこには我々の神たる人類が、まるで何不自由なく、生きているのが当然であるかのように暮らしていた。

 機械生命体もいない、戦争もない平和な世界。

 

 そこで私は、1人の人類と出会った。

 白い服に身を包んだ若そうな人類だった。

 現在は2020年。

 人間の性別は男性……名前は天津垓と言うらしい。

 そしてこの街は、人類の楽園"ZAIAシティ"と言うのだと。

 

「君の世界で起きた事、君の世界の様子を私に聞かせたまえ?」

「はい!」

 

 私は全てを話した。

 未来では人類が滅亡してる事、宇宙より来襲した機械生命体を倒すべく、人類が製造したアンドロイド達が今も戦っている事。

 天津様はそんな私の話を全て信じてくれた。

 そして、人類のために働いてほしいとも。

 それは私の製造理由そのものだった。

 そもそも人類の命令に拒否権はない。

 

 だが、そんな時、ZAIAシティをとある一段が襲撃した。

 彼等は自分達をレジスタンスと名乗った。

 シティの人々は散り散りに逃げ惑い、あちこちから兵士が現れた。

 装甲車に乗って現れた彼等に、機械の身体をした兵士が立ち向かう。

 ひどい激戦だった。

 その中で、私は1人の人類と出会った。

 迷彩服を着た、男性の人類だ。

 不破諌……彼はそう名乗った。

 

「お前もヒューマギアだろう? 俺達はヒューマギアを天津の支配から解放するために来た。一緒に来い!」

「それは、命令ですか?」

「いや、俺の意志だ!」

 

 私は半ば強引に彼に引き摺られ、装甲車に乗せられシティを離れた。

 絢爛たる狭い世界を脱し、装甲車は暗く淀んだ荒野を進む。

 そこで私は見た。

 私達の世界と同じ、機械と敵が戦争をする真っ暗な世界を。

 


 

 2.荒野

 人類……不破様は解放軍のリーダーをしているらしい。

 本拠地へと向かう最中、不破様はこの世界の事を説明してくれた。

 

 数ヶ月前、未来の生命体・エミールがこの世界を訪れた。

 色々あり、エミールは未来へと帰っていったが、彼が残していったエネルギー・魔素は人類を侵し、世界を変えてしまった。

 魔素によって変革した世界の中で、不破様達は生きているのだ。

 

 ZAIAシティの外では、怪物と機械兵士が戦い続けている。

 怪物の名前は"レッドアイ"や"レギオン"と言うらしい。

 過去のヨルハのデータベース、そんな怪物の名前があった気がする。

 戦っている機械兵士の名前は"ソルド"。

 この世界を統治する企業ZAIAエンタープライズが製造している、戦闘用のヒューマギアらしい。

 ヒューマギアというのは、この世界におけるアンドロイドの俗称だ。

 装甲車の窓を開け、不破様が外の景色を見せてくれた。

 

 そこには、不破様が言った通りの光景が広がっていた。

 巨大な怪物・レギオンがヒューマギアを踏み潰す。

 動けるヒューマギアが、レギオンに群がり、その目を、鼻へと攻撃しようとする。

 レギオンに振り落とされ続けてもその攻撃は止まない。

 やがて、動けるヒューマギアが一体もいなくなった時、レギオンは怯えたようにどこかへと駆けていった。

 

「酷いだろ。ZAIAに意志を奪われちまったら、ヒューマギアは永遠に戦い続けるしかねぇ。身体が壊れて、動けなくなるまでな」

「それは、酷いのですか? 私達アンドロイドは人類のため戦う事が使命です。それは、酷い事なのですか?」

「当たり前だろ? いいか、お前達には意思がある。自分でモノを考える力がな。それを奪うZAIAは、間違ってんだよ」

「感情を持つ事は禁止されています。不破様の命令は、私達が人類から受けた命令と矛盾します。どちらを優先するべきでしょうか」

「そんなの決まってんだろ。お前が自分で決めろ」

 

 不破様はぶっきらぼうにそう言うと、また説明をして下さった。

 ZAIAエンタープライズの目的は、全ての人類をZAIAシティに集める事。

 けれど、それは建前。

 本当の目的は、ZAIAシティに住む人類以外を抹殺する事が狙いだった。

 理由は簡単、管理していない人類はレギオンやレッドアイになる可能性があるからだ。

 

 ZAIAに使われるヒューマギアは二種類に分かれた。

 一つは、人間を殺し破砕するトリロバイトマギア。

 もう一つは、レギオンを殲滅するソルドマギア。

 

 マギア達は製造される際に自由意志を全て消される。

 そんなマギア達が製造される前に救い出し、ZAIAシティに住まない人類達を守ろうと言うのが、不破様の所属するレジスタンスの活動内容らしい。

 私はそんな人類に連れられ、レジスタンスの本部を目指した。

 

 


 

 3.飛電製作所

 やがて、装甲車はとある巨大な建造物へと到着した。

 それは廃材を寄せ集めて作られた、巨大なコロニーだった。

 不破様曰く、ここがレジスタンスの本拠地らしい。

 

「ついて来い。俺達のリーダーに会わせてやる」

「はっ! それがご命令ならば!」

「命令じゃねぇ……ったく、これだからソルド型は苦手だ」

 

 私は不破諌に案内され、レジスタンスの本部へと案内された。

 レジスタンスには様々な人型がいた。

 不破様と同じ人類、そして、私と同じアンドロイドのような機械。

 恐らくヒューマギアと言うのだろう。

 その中には、明らかに戦闘に不向きなモデルも紛れていた。

 私達ヨルハ部隊で言う、H型のようなモデルなのだろうか。

 

 そんな事を考えていると、不破様がとあるドアの前では足を止めた。

 ドアの前には活字体で『飛電製作所』と記されていた。

 

「入るぞ。新顔を連れてきた」

 

 不破様はそう言うと、鉄製のドアを蹴って押し開けた。

 中には2人の人型がいた。

 一体は黒髪短髪の人型で、黒を基調とした秘書服に身を包んでいる。

 件のヒューマギアだろうか。

 もう1人は、灰色の作業服を着た男性の人類だ。

 

「ヨルハ部隊所属、機体番号2号B型です。2Bとお呼び下さい」

「不破さんから聞いてるよ。アンドロイド、ちゃんと本部に着けて、安堵(アンド)したよ〜なんちゃって、はい! アルトじゃないと〜!」

「亡と申します。飛電或人様の臨時秘書を務めております。どうぞよろしく……」

「ちょっと亡〜! ギャグを無視して進めないでー!」

 

 灰色の男性のふざけ具合に、不破様は腹を抱えていた。

 ここは頭を抱える所じゃないのかとは思ったが、人類の感情表出については、正直データ不足で正誤が分からない。

 隣にいるヒューマギアの亡も苦笑している。

 だが、その表情はどこか嬉しそうだ。

 

 アンドロイドがこんなにも感情を表に出す所を私は初めて見た。

 この世界のアンドロイドは感情を持つ事は禁止されていないのだろう。

 だが、その様子に私はいい知れない感情を抱いたのを覚えている。

 羨望……いや、嫉妬なのだろうか。

 それとも、飛電或人、この人類が特殊なのだろうか。

 

「ふざけちゃいるが、コイツが俺達のリーダーだ」

「飛電或人。よろしくね……えーと、トゥービー?」

「はっ! 人類に栄光あれ!」

「人類に……栄光あれ?」

 

 ヨルハ式の敬礼に、その場にいる一同当惑しているようだった。

 時代としては8000年以上前なのだ、この敬礼作法はまだ生まれていないのだろう。

 とりあえず、私は元いた世界の情勢と私自身の存在について、説明をする事にした。

 

 


 

 4.秘書

 飛電様への挨拶も終わり、私は与えられた自室のベッドの上で、今日の事を振り返った。

 

 ZAIAシティ、機械とレギオンの戦い、人類による人類の選別。

 そして新しい任務のことを。

 

 あの後私は、飛電或人から任務を通達された。

 それは私の想像の斜め上を行くもので……正直今、何をして良いのかは分からない。

 

 当初、希望した任務は戦闘任務だった。

 E型に搭載された機能はB型とほぼ同じで、戦闘に特化している。

 H型のような支援活動もできなければ、S型のような諜報活動にも向いていない。

 私には戦いをする機能しか備わっていない。

 そう上申した。

 だが、飛電様は頑なに首を縦に振らなかった。

 

「ヒューマギアは人類の希望なんだ。戦うために作られた殺戮兵器なんかじゃない。全てのヒューマギアも、君の事も俺達仮面ライダーが守ってみせるから」

「しかし……私は人類のために戦うよう命令を受けています! 武装は全て失いましたが、素手でも機械生命体の制圧程度なら可能です!」

「そう言われてもなぁ……」

「或人様。彼女に戦闘以外の任務をお与えになっては如何でしょう。人間の役に立つという点では、ヒューマギアもアンドロイドも変わりません」

 

 飛電様は亡のその発言に納得したようだった。

 戦闘以外の任務……そう言われて思いつくものは少なかった。

 釣りや資材集めなら、任務の合間にやっていた事はある。

 だが、それ以外の技能はからっきしだ。

 私は緊張して任務の通達を待った。

 少し考えた末、飛電様の口から出たのは意外なものだった。

 

「2B! 君を、不破さんの秘書に任命します!」

「あぁ!? 俺の秘書だぁ!? 社長、お前何を勝手に!」

「秘書……ですか?」

 

 秘書、知識としては認知している。

 偉い人のサポートをする役割だ。

 この場合、私は不破様の秘書をする事になるのだろう。

 飛電様や亡は妙案と言った表情をしているが、等の不破様は不満そうだった。

 

「不破さんだったら大丈夫だと思うから、ね」

「大丈夫って何だ。俺は新人ヒューマギア託児所じゃねぇ」

「し、しかし……恐れながら、秘書とはどんな任務を遂行する役割なのでしょうか」

「うーん、簡単に言うと、不破さんを手伝ったり、守ったりする仕事かな?」

「支援・防衛任務という事ですか?」

 

 それであれば、経験はある。

 基地の防衛は得意な任務の一つだ。

 支援任務も、勝手さえわかれば適応できる。

 

「分かりました。不破様の秘書、務めさせて頂きます」

「うん! 不破さんの事、頼んだよ、2B」

「待て!! 俺は納得してねぇぞ!」

「この筋肉ゴリラは暴れると周囲の器物を破損するので、代替物資には余裕を持っておく事を勧めます」

「了解!」

「おい亡! 余計な事言ってんじゃねぇ! お前も了解すんな!」

 

 そして私は、明日から不破様の秘書を務める事になる。

 今までこなしてきた任務とは違う、よく分からない任務。

 こういう事は、そう、9Sの方が得意そうだ。

 あの橋で最後に見た9Sの顔……綺麗だった。

 

「9S……君ならもっと、上手くできたのかな?」

 

 私は胸の奥に生まれた痛みをどうしていいか分からず、寝返りを打った。

 

 


 

 5.喧嘩

 翌日から私は、不破様から身辺警護を命ぜられた。

 秘書の仕事の一つなのだそうだ。

 身辺警護と言っても、不破様はいつも外での任務を行ってしまう。

 同行をしたいという希望は毎回跳ね除けられた。

 危険な任務には連れて行きたくないとの事だった。

 

 私はくる日も来る日も、不破様の部屋の前で警護を行った。

 敵も来ない、そして誰も通らない部屋の前でひたすら立ち続ける日々。

 活動限界が近づくと、休息を許してもらえた。

 お前のタイミングで休めと言われてからは、敵の襲撃が来ないと思われる時間帯を選んで休息を取った。

 そんな日々が、3日続いた。

 

 眠りもせず四六時中部屋の前に立っている私が気に食わないのか、不破様は私によく怒った。

 私が何も言い返さないと、何か言い返してみろと命令してきた。

 だから、私は命令通り言い返した。

 

「不破様は私の知っている人類のデータと合致しません。人類は知性に富み、創造性に優れたと聞いています」

「頭が悪くて頑固で悪かったな。俺もお前みたいな、会話に面白みのないヒューマギアは嫌いだ!」

「面白みのある会話の定義が理解不能です。ラーニングの機会を頂ければ、その任務にも対応してみせます」

「その任務だとか言ってるのが気に入らねぇ。たまには自分で考えて、自分で返事してみろ」

 

 不破様の拳が私の胸部部分の装甲にぶつかった。

 それは予期せぬ事だったのだろう。

 不破様は舌打ちと共に視線を逸らした。

 痛みはなかった、そもそもあったとして私は何もできない。

 だが、私が何もしないのを見て、また鋭い視線を向けてきた。

 

「何で何も言わねぇ」

「人類に対する反抗は許可されていません」

「分かった。じゃあ、殴り返してみろ」

「それは、命令ですか」

「あぁ。1発は1発だ。本気で来い」

「承知しました。人類の命令につき、特例でNFCSを解除します」

 

 私は不破様の顔面を殴りつけた。

 命令通り本気で打ったつもりだった。

 けれど、不破様は少し怯んだだけで、殴り返してきた。

 打撃は肩に当たった。

 その一撃は重く、まるで機会生命体に殴られたかのようだった。

 義体は部屋のドアを破壊し、私達は部屋へと雪崩れ込む。

 

「おいどうした? 次はお前の番だろう」

「分かり……ました!」

 

 それから私達は時間を忘れて殴り合った。

 アンドロイドと生身で渡り合う不破様の膂力は人類とは思えなかった。

 喧嘩の最中、不破様は笑っていた。

 どこか楽しそうな表情を浮かべていたのだ。

 私の思考の中にも、温かいものが生まれていた。

 私達は、笑いながら殴り合っていた。

 自分の悩みが消えていくような、そんな感覚があった。

 

「お前、戦いが好きなんだな」

「……私はB型です。戦闘目的で製造されたアンドロイドですから」

「なら、お前の好きにしろ。無理してまで俺の秘書を続ける必要は無ぇ。壊れるまで戦って来い」

 

 不破様の命令は予想外のものであった。

 だが、命令は命令である。

 

「了解、しました」

 

 私は不破様の命令通り、コロニーの正面ゲート前へ向かった。

 武装は無い。

 正面ゲートには複数体のレギオンが近づいていた。

 レギオンに勝てるかどうかは分からない。

 けれど、人類の命令は絶対だ。

 私は拳を構え、レギオンへと突撃した。

 

 


 

 6.不破様

 数時間後、私はレギオン3体を撃破していた。

 徒手空拳の戦闘でも、結構やれる事がわかった。

 既に義体のあちこちがやられている。

 損傷率は74%、あと26%で義体を完全に破損できる。

 レギオンは残り1体。

 この一体を倒して、恐らくは私も……

 

「人類に……栄光……あれ…………」

 

 そして、私はレギオン目掛けて踏み込んだ。

 その瞬間だった。

 私の後ろで銃声が轟いた。

 青い光弾が、レギオンへと発射される。

 その一撃はレギオンの硬皮を貫通し、爆砕させた。

 振り返るとそこには、ショットライザーを構えた不破様が立っていた。

 

「何してやがる……?」

「命令通り、壊れるまで……戦います。損傷率……現在……76%……」

 

 現状を報告した。

 不破様は訳が分からないと言った表情でこちらを見ていたが、やがて何かに気がついたように舌打ちをした。

 

「これだからヒューマギアは嫌いなんだ……いいから、止まれ!!」

 

 不破様は私の肩をぎゅっと抑えつけた。

 ジュウッと、肉の焼ける音がした。

 排熱機構があるとはいえ、長時間活動を行ったアンドロイドの体表は、凄まじい熱を帯びる。

 本来であれば水による冷却が必要なレベルなのだ。

 それを素手で触れば、良くて火傷……悪くすれば手の皮膚が溶けて融着する可能性さえある。 

 私は身を揺すり、なんとかその拘束から逃れようとした。

 

「や、やめてください…………人類に…………お怪我をさせるわけ…………には…………」

「お前の方が重症だろうが!!」

「私は…………ヨルハ…………です…………戦うために作られた…………人形…………それが…………私達……」

「そんなの……」

「そうだ。お前達は人類のために作られた、ただの道具だ」

 

 不破様に割り込むように、その声は聞こえてきた。

 顔を上げると、そこにはZAIAシティであった人類……天津様がいた。

 身体が半分透け、奥にはレギオンの死体が倒れている。

 付近にはドローンが飛翔している。

 どうやら、そこから投影している映像のようだ。

 不破様はまるで親の仇でも見るように、天津様を睨みつけている。

 

「天津……!?」

「そのアンドロイドは機械だ。機械はあくまで機械、道具以上の存在にはなり得ない……間違いないな、2B」

「はい……私は人類のために作られた…………アンドロイドです…………人類が道具と言えば………………私は…………」

「うるせぇ……」

「では、私が君に命令しよう。君はまた壊れるまでその身を……」

「うるせぇって言ってんだ!!」

 

 ショットライザーから放たれた弾丸が、ドローンを撃ち抜いた。

 ドローンは地面へと落下し、もう何の音も発さない。

 不破様は火傷で歪んだ手で私の顎を触り、こちらを見させた。

 大きな瞳が、視界いっぱいに映った。

 

「いいか? これからやるのは、俺がお前にする、最後の命令だ。今後のどんな命令にも優先される命令だ。わかったか?」

「は…………い…………」

「もう二度と、人間の命令を聞くな」

 

 その瞬間、私の思考の中で矛盾が発生した。

 アンドロイドは人類の命令を遂行するようプログラムされている。

 だが、不破様の命令はそれに反していた。

 人類の命令を聞くなという、人類からの命令。

 その矛盾に、私は答えが出せなかった。

 あの論理ウイルスに侵された時のように、視界が灰色に染まる。

 その中で、不破様は私の目をまっすぐ見た。

 灰色だった視界が、少し色を取り戻した。

 

「これからする事は、俺からのお願いだ。これを聞くか聞かねぇかは、お前の自由だからな」

「はい…………?」

「2B。お前は俺の秘書になれ。お前が近くにいる限り、お前の面倒は俺が見てやる。これが俺からのお願いだ」

 

 お願い。

 その言葉はまるでマスターキーのように私の思考を溶かした。

 人類の命令に従ってはいけない。

 けれど、お願いであれば聞いても良い。

 それが不破様が私にくれた、最初のお願いだった。

 

「聞いてくれるか?」

「りょう…………かい………………」

 

 私は頬を綻ばせて、そう答えた。

 自然とそんな仕草になってしまったのだ。

 不思議と胸の奥がくすぐったくなった。

 

「私はヨルハ機体2B。今から……あなたの秘書になります」

 

 それが、私達の始まりだった。




あらすじにもありますが、私が過去に投稿した『エミール/帰郷』『NieR:humagi〈el〉』の外伝となります。
エミールが帰った後のゼロワンの世界線になります。
滅がレッドアイサウザーに撃破された所の世界線でもありますね。

これを読めば、ニーアヒューマギアの途中で出てきた、2Bと呼ばれるA2の正体が大体わかります。
速攻で書いて、他のやつの投稿に差し障り無いようにします。
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