1.心を知る機械
不破様のお願いを聞く約束をしてから、はや数日。
私は不破様の秘書を続けていた。
秘書と言っても、書類をまとめたり日程をスケジュールを管理するような仕事ではない。
世界が崩壊している以上、外の世界では経済の流通はほぼ完全にシャットアウトされていた。
各コロニーとのやりとりは亡が取り仕切っている。
私の任務の内容は不破様が壊した備品の補充が主だ。
握力が凄まじいようで、何でもかんでも壊してしまうのだ。
それ自体は簡単だった。
壊しそうなものの補充場所を覚えておけば良いのだから。
だが、どうしても一つ、達成できない任務あった。
不破様は今日、出かけている。
私はこの任務について、コロニーの技術部門長、刃様の意見を聞くことにした。
不破様と同じく、就寝時以外は迷彩服で過ごしているような方だ。
「なに……? 面白みのあるような会話がしたい?」
「はい。不破様はよく私に、『面白みのない奴だ』と言います。秘書として、面白み知るべきだと思うのですが、そういったものはどうやってラーニングすれば良いのですか」
「アイツ……人工知能に面白みを求めてどうする」
私の質問に、刃様は呆れた様子だった。
私にではなく不破様に呆れているようだった。
どうもあの方の周りにはそういった反応をする方が多い。
「面白味と言うのは、ラーニングで会得できるものじゃない。お前の心の中にある感情から、自然に生まれるものだからだ。そして、感情もまた、ラーニングできるものじゃない」
「感情……私は感情を持っても良いのでしょうか」
「どういう事だ?」
ヨルハ部隊は感情を持つ事を禁止されている。
アンドロイドは、偉大なる人類と同じ心を持つ事は許されないと。
未来のヨルハ部隊の規則について聞いた刃様は、開口一番「馬鹿らしい規則だ」と零した。
「その世界の人類は、天津と同じだな。人工知能を道具としか見ていない。心から生まれる想いは、テクノロジーを超えるというのにな」
「想いが、テクノロジーを超える?」
「私の持論だ。
「しかし、私にはそのやり方が……」
「……そうだな。感情について知りたいならいい場所がある」
刃様は私にとあるものをくれた。
それは2枚のチケットだった。
チケットには、掠れた字で『美女と野獣』と記されていた。
2.闇市
私達はレジスタンスの主催する闇市へと足を運んだ。
刃様曰く、観劇のための服を選ぶためなのだという。
不破様は嫌がったが、刃様は有無を言わさず連れてきた。
「お前、アンドロイドとはいえ、女性型をボロボロの服のまま放置していて、何も思わないのか?」
「何で俺が
「2Bはお前の秘書なんだろう。なら、お前が色々教えてやれ」
不破様は明らかに不服そうだったが、何も言い返さなかった。
闇市には様々な服がかかっており、私達は服選びを開始した。
不破様の選んできた服は、どれも個性的なものが多かった。
この時代の服の良し悪しは分からないが、刃様の反応を見る限り、「一般的に受け入れられる服でない」事は想像できた。
とはいえ、私は今着ている軍服以外は知らない。
未来では必要なかったからだ。
服選びは難航し、任務達成は困難に思えた。
けれど私は、不思議とそれを苦には感じなかった。
かつて9Sと、商業施設跡で話した事が思い出される。
「戦争が終わったら、僕達もここで買い物できますかね」
「今は任務に集中する」
「はーい」
「……でも………………そういうのは、少し楽しみかもしれない」
「2B? 何か言いました?」
「何も言ってない。任務に集中する」
その時の事を思い出し、私はドレスを選んだ。
黒を基調とした、飾りっ気のないドレス。
「本当にそれでいいのか?」
「はい。もしもう一度友人と会えるなら、これを着た姿で会いたいと思いました」
「……そうか。お前が決めたのなら、それがお前の一張羅だ」
余談だが、不破様は真っ赤なタキシードを選ぼうとして、刃様に怒られていた。
3.観劇
廃材で作られた劇場には、私と不破様以外にも様々な観劇者がいた。
迷彩服の人物、ヒューマギア、人型でないロボット。
それらが皆一様に席に座っているのは、何とも奇妙だった。
劇場の幕が開くまでの数分、私は胸の辺りにずっとおかしな感覚を覚えていた。
どこかくすぐったく、暖かい感覚。
まるでその感覚に身を浸してしまうのが怖くなってしまうような。
不破様も同じなのだろうか、どこか落ち着かない様子だった。
「お前、こういうの観に来た事あるか?」
「未来の遊園施設で、それらしきものを見た事はあります。確か、ロミオとジュリエットという作品名だったと記憶しています」
「そうか……俺は初めてだ。こういうのを観る前に、家族と別れちまったからな」
「家族……血の繋がった共同体。生殖で増える人類には、家族がいるんですね」
「お前にはいないのか?」
「私はアンドロイドです。製造され、管理番号をつけられ、戦うだけの集団です。それは不破様の言う家族の定義には合致しないかと」
「分かってねぇな。血の繋がりだけが家族じゃねぇんだよ」
「それはどういう……」
私の問いを遮るように、劇場のブザーが鳴った。
劇の内容は、呪いで野獣と化した王子様が、愛する女性を見つけ真実の愛に目覚めるという内容だった。
真実の愛とは何なのか、私には理解できなかった。
しかしそこで私は、野獣と人間、種族が違う者同士でも家族になれる事を知った。
「同じ思いを持って、同じ方向を向いてりゃそれが家族になる。もう一度聞く。お前にも、家族はいたのか?」
「……はい。いました。とても、大切な仲間……家族が」
「そうか。そりゃ良かった」
「不破様にも、家族はいるのですか?」
「……俺にもいたよ。大事な家族がな」
その日、結局感情の何たるかは分からなかった。
けれど不破様は、その日から面白みの無い奴と口にする事は無くなった。
私は不破様にとって面白みの無い存在では無くなったのだろうか。
そうだとして理由は分からない。
私にとって人類はまだ、分からない事ばかりの神様だ。
4.夢
劇を観た日の夜、私は飛電様に呼び止められた。
隣には、秘書の亡も一緒だ。
「2B。あなたの記憶領域内にあるデータを使って、あなたを未来に帰すタイムマシンを作っている。いつ出来上がるかは不明だが、完成すれば、君は元いた未来に帰る事ができるはずだ」
「ありがとう。タイムマシンだけじゃなくて、居場所まで提供してくれて」
「私達もあなたの記憶領域内のデータを使って実験しているから、それで借り貸し無しだ。まぁ、その過程でおかしなプログライズキーがいくつか生まれたが……」
「亡。今日はそんな話しに来たわけじゃないだろ?」
「そうでしたね、或人様」
飛電様は私に問いかけた。
秘書活動は大変ではないか、レジスタンスの暮らしには慣れたかと。
秘書活動については特に苦に感じた事はない。
それにこのコロニーは基本的に戦闘とは無縁の場所だ。
そんな憩いの場所にずっといると、つい気が抜けてしまう。
全て正直に答えた。
飛電様は「よかった」と笑った。
不破様、刃様の事もよく分からないが、この人類が一番よく分からない。
戦闘用アンドロイドがその機能を錆びつかせる事が、良い事なのだろうか。
「ねぇ、2B。君には夢ってあるかな?」
「夢……ですか?」
私は少し思考を巡らせ、首を横に振った。
飛電様が言っている夢の定義が分からなかったのだ。
「ゆめ、とは……何ですか? 人が寝ている時に脳の活動が見せる幻覚、もしくは目指すべき目標や目的……概念として理解はしています」
「或人様より、格段にわかりやすい説明ですね」
「亡? もうちょっとほら、オブラートにくるんで……ね」
「アンドロイドはそういった類の幻覚は見ません。もしあるとすれば、論理ウイルスへの感染による幻覚くらいです」
「俺が言ってるのは、目標とか目的の方。2Bには、そういうものはあるかい?」
「だとすれば、夢はあります。機械生命体を殲滅し、地球の制圧権を奪還する事がヨルハ部隊の夢です」
飛電様は私の回答に、首を捻った。
私としては夢の定義に合致する回答だと思ったのだが、どうやら飛電様はその回答では満足しなかったようだ。
そんな飛電様の様子を、亡は微笑んで見つめている。
「何か、おかしな回答をしてしまったでしょうか」
「うん……うん……。2B、それは君のいた部隊の夢だね?」
「はい。地球を奪還し、機械生命体との戦争に勝つ事が、我々の……」
「俺は君に、君の夢を見つけてほしいんだ。君だけが目指したい未来の姿。俺たちと一緒に、それを探そう」
「私だけが目指したい、未来……」
そう聞いた時、私の思考の中に浮かんだのは9Sの姿だった。
彼と一緒に、デパートで買い物をして、釣りをして、舞台を見て。
でも、そんな些細な事が夢と呼べるのか分からなくて。
私は答えることができなかった。
5.向かい合う時
レジスタンスに参加してから、およそ1ヶ月が経過した。
不破様の介護……もとい秘書活動にはかなり慣れたものだ。
備品の補充は速やかに、車の運転や戦闘の際の後方支援にも参加させてもらえるようになった。
最初はその手の仕事を任せて下さらなかった不破様も、最近では私に多くを頼る事が多い。
それが何故だか、とても嬉しかった。
当初はヨルハの軍服で任務に臨んでいたが、今は亡に仕立ててもらった飛電製作所の秘書服を着用している。
かつてイズというヒューマギアが使用していた服を黒く染めたものらしい。
排熱性には欠けるが、動きやすさは軍服に勝る。
秘書型ヒューマギア・イズの奪還。
それはレジスタンスの目標の一つであるとの事だった。
イズはZAIAシティに囚われている。
私をここに連れてくるきっかけとなったアタックも、そのイズの居場所を突き止めるためのものであった。
もうじきレジスタンスは、イズの奪還のためにZAIAシティへ総攻撃を仕掛けるという。
基地全体には緊張が広がっていた。
不破様は時折、家族の事を私に話すようになった。
不破様の家族はこことは別のコロニーにいるらしい。
普段から不破様の思考は矛盾だらけだが、特段家族の事を話す時はそれが顕著だった。
家族よりコロニーの皆を守る事を優先する、その反面で家族を一番大切に思う。
明らかに矛盾した思考だった。
自分にも9Sや6Oという大切な仲間はいた。
家族に限りなく近しい、大切な存在だ。
けれど、任務との優先順位をつける事はできる。
私にとっては任務が最優先、彼等はその次だ。
けれど何故だろう。
そう結論づけた時、胸の奥に痛みが走るのだ。
これまで人間の思考を学んでも、全くわからないその痛み。
その答えを、私は不破様に尋ねる事にした。
非番の日、私は不破様の部屋を訪ねた。
不破様は険しい顔で私の事を睨みつける。
任務でしくじった覚えはない。
昨日までの時点では、多少の喧嘩こそすれ、不破様を怒らせるような事をした覚えも無かった。
その異変に、何か嫌な予感がした。
「お前、俺に隠してる事は無いか?」
「隠している事、ですか?」
私は首を横に振った。
この世界に来てから、人類に隠し事をした事はなかった。
そもそも、人類に対し虚偽の申告は許されていない。
しかし、不破様がそんな事を聞いてくるのには理由があるのだろう。
どうにせよ、弁明するしか道はない。
私は不破様の次の言葉を待った。
「お前の本当の名前、2Bじゃないんだってな。正式名称、ヨルハ二号E型。任務は、裏切り者の抹殺。間違いないか」
私は息を飲んだ。
どうして不破様がその事を知っているのか。
決まっている、亡に提供した記憶データに入っていたのだろう。
けれど、もっと驚いたのは自分自身に対してだ。
どうしてこの事をレジスタンスに伝えていなかったのか。
私は未来の世界で、ヨルハ機体2Bとして活動していた。
2Bと名乗る事は虚偽の申告にはならない。
だが、2Eもまた私の本当の機体番号でもある。
それを問われた以上、否定は虚偽の申告となる。
でも、それを認める事は、私にとって暗闇へ一歩を踏み出す事と同義だった。
だが……
「…………間違いありません」
私はそう答えるしかなかった。
そして私は、逃げた。
引き止める不破様の声を振り切り、部屋を後にしたのだ。
この世界に来て初めて、自分の意思で決めた行動だった。
6.涙
私はひたすらに走った。
レジスタンスのコロニーを背に、走った。
身体が熱暴走するのも構わず、敵が追ってくるのも構わず。
ひたすらに、暗がりの荒野を走り続けた。
走っている間、胸の奥にずっと小さなナイフが刺さっている感覚に襲われた。
義体の構成上そんなはずは無いのだが。
その痛みは確かに胸の奥にあった。
制服のヒールが折れ、瓦礫に躓いた所で……私は倒れた。
そこは、どこかのコロニーの残骸であった。
全身が高熱に包まれ、所々から煙が上がっている。
しばらくは動けそうにない。
私は日陰に身を隠すと、膝を抱え蹲った。
「うう……」
ヒールの折れたブーツを脱ぎ、少しでも排熱を試みる。
こんなに走ったのは久しぶりだった。
無計画に、禁止されたはずの感情のままに。
硬い義足の裏が細やかな砂の中に埋もれる。
体を冷やしながら、私は自分のしてしまった行動を省みる。
レジスタンスへの虚偽の申告。
勝手な脱走。
任務の放棄。
何より、不破様の信頼を裏切ってしまった。
もう、レジスタンスに帰る事はできない。
この暗い世界で唯一の居場所を私は失ったのだ。
本当に居心地の良かった、あの場所。
それを、私は……
その時、ふと地面が濡れている事に気がついた。
雨が降ってきたのかと思い空を見上げるが、そこには灰色の景色が広がっているだけだ。
不意に視界がぐにゃりと歪む。
網膜のフィルタにゴミがついたのだろうか。
目を拭うと、大量の液体が手に付いた。
そこで気がついた。
「私……何で、泣いてるんだろう…………?」
涙は次から次へと溢れてきた。
胸の奥にずっと刺さっていたナイフが痛くなって、痛くなって。
私は嗚咽を漏らし、涙を流した。
たった1人で、日陰の元で。
まるで少女のように、泣き続けた。
どれだけの時間が経っただろう。
ふと、視界が暗くなった。
何か巨大なものが、太陽の光を遮ったのだ。
「…………?」
空を見上げると、そこには巨大な胴長の怪物が巨軀を屹立させていた。
恐竜のブラキオサウルスに似た、10mを越す怪物である。
その怪物の事を私は知っていた。
不破様の家族の情報を調べている時に知った事……この付近のコロニーには、この関東地区を束ねているらしいレッドアイ【アイテル】の巣があるらしいのだ。
この巨大なレッドアイはアイテルで間違いないだろう。
本来であれば、レジスタンスの総戦力で対処すべき敵だ。
だが、今は……
「もう、いい……」
私は日陰から身を出すと、レッドアイの視界へと踏み込んだ。
戦闘の意思があった訳ではない。
どうしてそんな事をしたのかと聞かれても分からない。
死人のように歩く私を、怪物の赤眼が捉える。
「6O…………9S…………私も、そっちに…………」
奇声を上げ、怪物はその巨大な足を振り下ろした。
質量の塊が、頭上から迫ってくる。
それを避ける余力も残っていない。
安息を前に私はゆっくりと目を閉じた。
一瞬の後……
集音フィルタをつんざく爆発音と共に、私の全身を衝撃が襲った。
衝撃は爆風の如く私の全身を吹き飛ばした。
何度も硬い地面に叩きつけられた。
「う……ううっ……」
目を開けると、そこには青い仮面ライダーがいた。
仮面ライダーランペイジバルカン、不破様が変身する仮面ライダーだ。
ランペイジガトリングプログライズキーを装填したショットライザーを、レッドアイに突きつけている。
「どっかに駆けていったかと思ったら、何バカやってやがる! 危ねぇから下がってろ!」
バルカンは肩部のアビリティウィングを地面へと突き刺し自身の身体を固定した。
超高出力の必殺技を放つ予備動作である。
「こんなんじゃ、倒せねぇだろうけどよ!! 俺の秘書に、手ぇ出してんじゃねぇよ!!」
バルカンはランペイジガトリングプログライズキーのダイヤルを思う様に回転させる。
ガキガキガキッッ!!
重い回転音と共に、出力が切り替わる。
「【パワー・スピード・エレメント! オールランペイジ!】」
灰色のエレメントが、ショットライザーにエネルギーを充填する。
バルカンはショットライザーの銃口をレッドアイの瞳へと向けた。
「消え失せろ、
バルカンが引き金を引いた。
「【ランペイジ・オール・ブラスト!!】」
凄まじい衝撃波と共に、巨大な蒼の光弾がレッドアイへと放たれた。
怪物は避ける間もなくそれを頭部に喰らい、仰向けに倒れた。
効果があったと言う事なのだろう。
バルカンは私の手を引き、近くにあった軍用バイクに乗り込んだ。
怒りに満ちたレッドアイの叫びを背に、私達はコロニーを後にした。
7.居場所
レジスタンスの本拠地へと戻る道中、不破様はずっと無口だった。
私も、何も話す事ができなかった。
裏口から本部に入って、部屋に戻ってきて。
やっと、不破様は口を開いた。
「悪かった」
その言葉に、私は耳を疑った。
てっきり、その場で処分を通達されるものと思っていたからだ。
謝罪……それは本来私がするべきなのに。
どうして、不破様が謝るのだろう。
「俺はお前の秘密を聞いた時、お前が天津の命令で俺に捕まったんだと思っちまった。スパイとして潜入するために、な。だから今朝、お前を問い詰めたんだ」
「当然の判断です。私がした事は、その場で処分されてもおかしくない事ですから」
「……でも、考えたらそんな訳が無ぇんだ。いくらでもチャンスはあったはずだからな。だから、お前が裏切ってねぇ事くらいはすぐに分かった」
不破様は舌打ち混じりに続ける。
その怒りは、おそらく自分自身に向けられているのだろう。
「お前が何で秘密を言えなかったのか、ずっと考えてた。で、答えが分かった。お前……俺達に捨てられるのが怖かったのか」
「…………!?」
胸がズキンと痛んだ。
不破様の推理は、的を得ていた。
捨てられるのが怖いから秘密を隠していた訳では無い。
だが、この居場所を失う事は、私にとって耐え難い事だった。
私は不破様の問いに、こくりと頷いた。
「ふざけんじゃねぇ」
不破様は眉間に皺を寄せ、怒りの双眸で私を睨んだ。
これまでに見た中で、最上級の怒りのように思えた。
「いいか? よく覚えとけよ。俺はこれから何があっても、お前が例えどんな悪人だろうと、お前を見捨てねぇ」
「どうして、ですか?」
「お前が、俺の秘書だからだ。今日から俺が、お前の居場所になってやる。それでいいか?」
不破様の目は真っ直ぐだった。
私の求めていた答えは全て、そこにあったのだ。
「はいっ!」
私はその時初めて、この世界が眩く見えた。
この世界に私の居場所ができたのだと、そう思えた。
その時、ふと開いた窓からドローンが飛び込んできた。
ZAIAの文字が刻印された製品である。
ドローンは私達の目の前で、ホログラムを展開した。
現れたのは、白い服を着た人類……天津様だった。
「君達に朗報だ。我々ZAIAエンタープライズは魔素に対する画期的な対抗策を開発した。人類は魔素とレギオンの恐怖から解放される」
「何を言ってやがる、天津!!」
不破様はホログラムの天津へ向かって凄んだ。
だが、天津は全く動じる事なく説明を続ける。
おそらく、一方的に通信を送っているだけなのだろう。
「ついては、有効の証として1週間後、君達にイズをお返ししよう。そこにいるヨルハ機体、2Bと交換でね」
ホログラムの姿で、天津様は満面の笑みを浮かべていた。
これで2/3終わりです。
今日一日かければ全部書き終わると思ったんですけどね。
目算が甘かったです。