かっこよくて乱暴な神様   作:TAMZET

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第三話:神様(前編)

 1.覚悟

 天津様の宣言があった翌日。

 私はただ淡々と業務をこなした。

 日々がつまらなくなるように。

 いつこの人達と離れてもいいように。

 

 亡からは、レジスタンス内は二派に分かれていると聞いた。

 私の身柄は引き渡さず、ZAIAへの徹底抗戦を誓う者。

 私をZAIAに渡し、イズを返してもらおうと考える者。

 後者の方が正しい意見であるのは明白だった。

 ZAIAシティの勢力だけでも、レジスタンスの数百倍なのだ。

 アメリカに本拠地を置くZAIAエンタープライズ本社からの援軍が到着すれば、その戦力差は最早比較にならない程だ。

 

 或人社長はあれから刃様と、研究室に篭り切っているらしい。

 何をしているのかは私も教えてもらえない。

 

 不破様は……いつも通りだ。

 外征に出ては行き倒れたヒューマギアを回収している。

 私はそのサポートをする、それだけだ。

 一度だけ不破様に、私が犠牲になる事を提案した事がある。

 その時不破様は、頭ごなしに否定しなかった。

 

「俺はお前の居場所になると約束した。だが、お前の自由を制限するつもりは無ぇ。出ていきたいなら出ていけばいい」

「はい……」

「だがな。もしお前が俺たちの事を仲間と思ってるなら、殺す気で頼れ。もっとも、俺は機械の攻撃なんぞで死ぬつもりは無ぇがな」

 

 命令ではない、本心からの言葉だった。

 この人類は、ZAIAエンタープライズと戦って勝つ目算があるのだろうか。

 それ程に頭の切れる人類だろうか。

 それに……

 

「不破様は……どうしてそこまで私に優しくして下さるのですか。一消耗品のアンドロイドに、どうして……」

「お前がアンドロイドかどうかは関係無ぇ。俺はお前と……2Bと話してんだからな」

 

 不破様の言っている事は分からなかった。

 けれどその言葉は、ここに居たいと思わせるに十分だった。

 私にとってこのレジスタンスは、どこまでも居心地の良い、居場所だった。

 

「お前の本心を言ってみろ。お前は天津の所に行きたいのか?」

「私は……」

 

 気がつくと私の視界は涙で利かなくなっていた。

 未来の世界では押し殺していた感情は、本心はもう、見て見ぬ振りができないほどに大きくなっていた。

 

「本当は、レジスタンスの皆様と一緒にいたい……です。服も着たいし……劇ももっと観たい…………心の事も、夢の事も、もっともっと知りたいんです!!」

「そうか」

「不破さんの秘書、もっと続けたいんです。ここでも、未来でもヨルハの仲間達と一緒に……ずっと……ずっと…………っ!!」

「分かった。なら、俺が何とかしてやる」

 

 不破様はそう言うと、立ち上がった。

 黒いコートを肩にかけ、扉に手をかける。

 そんな不破様の首筋に私は……手刀を振り下ろした。

 

「おま……え…………」

「申し訳ありません。それでも私は、不破様を……レジスタンスの皆様を、守りたかったんです」

 

 覚悟はもう決まっていた。

 天津様の元へ行き、イズというヒューマギアを取り返す覚悟が。

 


 

 2.意地悪な神様

 ZAIAシティへと戻った私は、驚くほど丁重にもてなされた。

 ヒューマギア達に案内され、シティの奥地へと進む。

 そこにはあの白服の人類・天津垓が待っていた。

 

「長旅ご苦労。まずは、君の英断に感謝しよう。君のおかげで、我々ZAIAシティの民は無事に未来へと旅立てる。では、手始めに君の持っている未来のデータを頂こうか」

「未来へ……? いや、そんな事より。私がここに来れば、イズというヒューマギアをレジスタンスへと帰して頂けるのでしたよね!」

 

 詰め寄る私の頬を、天津様は思い切り平手で打った。

 その膂力は人間のものとは思えない程強力であった。

 勢いよく壁に吹き飛ばされ、私は全身を打ちつけた。

 

「道具が思考するな……イズを返すかどうかを決めるのは君ではない」

「は、はい。失礼致しました」

 

 私の額に拳銃を突きつけ、天津様は続ける。

 

「そのイズなのだが、生憎今は未来に行ってしまっていてね。しばらく連絡が取れなくなってしまっているんだ」

「そんな……! だったらこの約束は」

「道具が勝手に喋るんじゃない!!」

 

 天津様は拳銃のグリップで私のこめかみを殴りつけた。

 

「うっ!?」

 

 力任せの打撃に、思考が中断される。

 視界が暗くなり、私は倒れた。

 

 どれほど時間が経っただろう。

 目眩を堪え立ち上がると、私の周囲にはヒューマギアの兵士数人が、自動小銃を構えていた。

 これ以上何か言えば、これで撃つという脅しだろう。

 天津は先程と変わらない体勢で立っている。

 それほど時間は経っていないのだろうか。

 

 私は両腕を後ろに組み、降伏の意を示した。

 頭よりも、胸が痛かった。

 レジスタンスの人々から教わった優しさ、夢。

 そういうものを持っているのが人間だとラーニングした。

 それら全てを否定されるようで、辛かった。

 

「君の持つ未来のデータは頂いた。本来なら君にもう要はない」

「……そう、ですか」

「だが、私は君の事を高く評価している。仮にもレギオンを単騎で撃破する戦闘能力は賞賛に値する」

「…………はい」

「その代わりに、だ。2B、私は君をヒューマギアのような下劣な存在ではなく、特化アンドロイドとして扱おう。限りなくZAIAシティの人類と同じ扱いだ」

「はい……」

「素直になったな。もちろん、レジスタンスの連中にも交換条件を出そう。君が私に協力するなら、レジスタンスの人々を全員ZAIAシティに受け入れると約束しよう」

「…………光栄、です」

 

 天津様の言うことがどこまで信用できるかは分からない。

 当初の交換条件は既に反故にされている。

 この方の言う事は一つも信用できないのかもしれない。

 

 それでも私は、天津様に逆らう権限を持っていないのだ。

 誰の命令も聞くなという不破様の最後の命令。

 それに逆らい続けることが、苦しくてたまらなかった。

 天津様は上機嫌に続ける。

 

「だが、その前に君には試練を課したい。我がZAIAシティを守る、兵士としての能力を試したくてね」

「はい……どんな試練でも…………必ず答えてみせます…………」

「その意気だ。まったく、ヒューマギアもここまで従順であれば楽だったんだがな」

 

 天津様がパチンと指を鳴らすと、ヒューマギアの兵士達が駆け寄った。

 手には何かを持っている。

 それは未来にあった武器、三式戦術刀であった。

 それともう一つ、ヒューマギアはベルトのような何かを持っている。

 

「この武器とゼツメライザーを使い、外にいるレギオンを倒す。これが、私が君に課す試練だ。君が勝てば、私は全ての約束を守ろう。だが、君が負ければ……その時の事は話す必要は無いだろう」

「了解しました。必ず勝ってみせます!」

 

 天津は「フン」と鼻を鳴らすと、ビルの奥へと消えていった。

 私は二つの武器を手に、ZAIAシティ外壁の戦場へと向かう。

 背後には兵士たちがいる。

 最早逃げる事は叶わない。

 光の奥に広がる戦場。

 その光の中に、私は懐かしい思い出を見た。

 

 不破様の秘書をしていた日々、或人達に教えてもらった夢。

 未だに答えが出ないことの方が多い。

 その答えも出せないまま、私は戦うしかない。

 

「不破様……刃様……亡……或人様……私は、戦います」

 

 光が私の視界を包み込んだ。

 その光が晴れた時、そこにいたのは。

 巨大なレッドアイ【アイリス】だった。

 


 

 3.壊れたく、ない

 三式戦術刀を手に、跳躍する。

 アイリスは高さ10mを超える巨大なレッドアイ。

 ブラキオサウルスのような身体をした長首の怪物である。

 その表皮は硬く、肉には刃が通らない。

 ならば、弱点を突いて攻めるしかない。

 巨体のあちこちに突き出る突起を足場とし、駆け上る。

 狙うは先の戦いで不破様が傷付けた弱点、瞳だ! 

 

「はああっ!!」

 

 身体を捩り、三式戦術刀をレッドアイの目へと突き立てる。

 予想通り、瞳の硬度はそこまででもなく、刃は半分ほどレッドアイの頭の中は突き刺さった。

 凄まじい悲鳴が集音フィルタを揺らす。

 視界までブレそうだ。

 

 レッドアイがその長い首をブルンと振るった。

 振り落とそうと言うのか……そう思いしがみついた私は、直後その判断を後悔した。

 怪物はその長い首を思い入り振り回すと、その勢いのままに荒野の大地へと叩きつけた。

 私は慌てて手を離すと、荒野に向けて飛んだ。

 

 ズガン!! 

 

 轟音と共に、全身を衝撃が駆け抜けた。

 凄まじい衝撃であった。

 レッドアイの攻撃の跡には、巨大なクレーターが形成されている。

 もしそのまましがみついていれば、確実に義体は大破していただろう。

 

「化け……物ッッ!」

 

 とはいえ、先程の衝撃のダメージが軽いわけではない。

 現在の損傷率は12%程だ。

 このまま被撃を最小限に抑えつつ攻撃すれば、勝機はあるかもしれない。

 そう考え、再度突撃しようとした所で、ふと上空に何かが見えた。

 黒い何かが複数、飛翔してくるのだ。

 

「……? 鳥? いや、飛行機?」

 

 その正体は、軍用のジェット機であった。

 腹には、何か先端が丸い細筒を抱えている。

 その正体に気がついた瞬間、私は跳躍し、レッドアイから距離を取った。

 数秒後、軍用機は細筒を地面へ向けて投下する。

 それはレッドアイに向けて放たれたミサイルの雨だった。

 

「滅茶苦茶ッッ!?」

 

 着弾の瞬間、私は身を丸めて衝撃に備えた。

 爆風はまるで私諸共レッドアイを消し飛ばそうとするかのように、広範囲に吹き荒れた。

 

「あう……ッッ!!!」

 

 熱い風が全身を焼く。

 気を抜いたら焼け焦げてしまいそうだ。

 爆煙の中で、私はZAIAシティの外壁を睨み据える。

 その頂点から私を見下ろす、白い服の人類を。

 

 天津様はきっと、この戦いで私を破壊したいのだろう。

 あの方が欲しいのは、元々彼女の持つ未来世界の情報だ。

 それさえ手に入れてしまえば、アンドロイドなど用済みだろう。

 

 ミサイルの空爆をものともせず、レッドアイは爆進する。

 片目を失ってもなお、その巨体から繰り出される一撃は脅威だ。

 レッドアイの突進を回避し、返す刀で巨体を駆け上る。

 

「たあッッ!!」

 

 非力な私がレッドアイを倒すには、愚直に弱点を狙い続けるしかない。

 気がつくと、私は叫んでいた。

 レッドアイが全身を振るわせる……振り落とされてたまるか! 

 軋む身体でレッドアイの身体へとしがみつく。

 傷つくたび私は、不破への思いを叫んでいた。

 或人様から教えてもらった夢を、刃様から教えてもらった感情。

 その声は、きっとここに来たばかりの機械のようなから出せるようなものでは無かった。

 感情と意志に満ちた声だった。

 叫び、斬り、泣き、歯を食いしばり。

 私はそれでも人と生きたいと願って戦った。

 

 その様子を、天津様はまるで見世物でも見るかのように、アイスティーを啜りながら眺めていた。

 城壁の最上段からその姿が見えていた。

 私が傷つく度、満足げに笑み、時に笑いを漏らすのだ。

 私は恐らくこの世界に来て初めて、人が憎いと思った。

 私がしたい事をじゃまする、この男が。

 ふと、ZAIAシティより広域放送があった。

 天津様の声である。

 

「そのゼツメライザーを使用しろ、アンドロイド。そうすれば、レッドアイなどたちどころに倒すことができる」

 

 そう、私が受け取った武器は2種類あった。

 三式戦術刀とゼツメライザー。

 腰に巻き、プログライズキーを差し込んで使用するものだと聞いていた。

 デメリットは無いと説明も受けている。

 

 だが、それを信用する事はできない。

 ここから生きて帰るために、これは使ってはいけないものだと、私は直感していた。

 だが、義体の損傷も既に限界に近い。

 このまま戦っても敗北は見えていた。

 

「キィィィィン!!」

 

 風を裂くような音と共に、レッドアイの右眼が紅く光った。

 瞬間、そこから熱を帯びた光線が放たれた。

 

「な…………ッッ!?」

 

 予想外の攻撃……! 

 回避が間に合わない! 

 気がつくと、左腕の付け根に激痛が走っていた。

 視界の端で、細長い何かが折れ曲がっている。

 アレは、私の義体の腕だ……。

 

「ああああああっ!!?」

 

 遅れて思考が痛みを認識した。

 走り出そうとする意思が、心が、痛みにかき消される。

 そこが限界だった。

 

 息も切れ、手も震える。

 もう戦えないと全身が訴えかけている。

 先程まで死を敬遠していたはずの心が、今や死を受け入れようとしている。

 レッドアイの右眼が赤く光った。

 

「ナインズ…………」

 

 私は絶望的な視界の中で意識のチャンネルを閉じた。

 

 ドカン!! 

 

 凄まじい爆発音と共に、レッドアイの頭で爆発が起きた。

 爆発は一回だけでなく、続け様に何度もレッドアイを責め立てる。

 

(何が起きてる!?)

 

 私は周囲に目をやり、その正体を探した。

 そしてそれは、ZAIAシティの反対側からやってきていた。

 無数の装甲車が、兵器の弾頭を積んで爆走して来るのだ。

 無数のミサイル群はそれらから放たれていた。

 彼らの正体はすぐに分かった。

 レジスタンスのみんなだ。

 

「俺たちの仲間になんて事しやがるんだレッドアイ野郎!!」

「アイテルの野郎許さねぇぞ!!」

 

 レジスタンスの仲間達は、口々にレッドアイを罵り、弾頭を打ち込む。

 その攻撃は効果的では無いだろう。

 だが彼らは攻撃を止めない。

 

「やめてください!! こんな、1アンドロイドのために!! 大事な人類の命を……」

 

 レッドアイの視線が彼らへと向いた。

 右眼が紅に染まる。

 あのビームを撃ち放つつもりだ。

 

「逃げて下さい!!」

 

 私は叫ぶ。

 けれど、その声は轟音に紛れて届かない。

 

「逃げ……」

 

 無情にも、レッドアイの瞳から熱線が放たれる。

 熱線は地を這い、装甲車の装甲を頭たやすく切り裂いた。

 

「……!!!!」

 

 耐久の限界値を迎えたのだろう、装甲車は轟音と共に爆散した。

 そこに何人の人類が乗っていたのかは分からない。

 だが少なくとも、これまで私が好きだった人が死んだ。

 アンドロイドのように義体があるわけではない。

 死んだ人類は戻ってこない。

 天津はそれを見て、安全地帯で笑っている。

 許せなかった。

 

 私の義体の損傷は既に7割を超えている。

 動くことすら奇跡だ。

 それでも私は立ち上がった。

 兵士として、あの人たちを守りたかったから。

 そして同じ志を持つその人は、爆煙の中から現れた。

 

 青い仮面ライダーだった。

 霞む視界の中に、私はヒーローの姿を見た。

 

「待たせたな、2B。俺は仮面ライダーバルカン。ZAIAもアイテルも、俺が全部ぶっ潰す!!」

 

 青い仮面ライダー……ランペイジバルカンは、その双眸を怒りに染め、レッドアイへと突進した。

 


 

 4.絶望

 超巨大レッドアイ対仮面ライダーバルカン&装甲車3台。

 本来レッドアイとは、一個師団が出動しても倒せるかどうか分からない戦力を持つ強大な敵である。

 いかに手負いとはいえその圧倒的な戦力に太刀打ちはできない、そのはずであった。

 

 だが、誰もの予想に反し、戦いはバルカンの優勢に進んでいた。

 バルカンは右背部の片翼、アビリティウィングを展開し、レッドアイの周囲を飛翔しながら銃撃していた。

 本来であれば、ショットライザーの出力では敵の肉体にダメージを与える事はできない。

 だが、怪物は確かに痛がる素振りを見せている。

 

「不破様! どうして……」

「刃を脅して出力を上げさせた! 反動で後遺症が残る可能性があるらしいが、俺はお前を守れればそれでいい!」

 

 バルカンは片翼の出力をさらに上げると、レッドアイの頭部へと突進した。

 迎撃さんと怪物がその長い首をもたげる。

 鞭の如く振るわれる長大な首を、バルカンは回避し、続け様に銃撃を打ち込んだ。

 

 ガンガンガァン!! 

 

 鉄をハンマーで打ち付けるような音と共に、レッドアイの頭部の肉が一部砕け散った。

 凄まじい猛撃の応酬である。

 だが、その一撃により怪物には明確な隙が生まれた。

 

「一気に畳み掛けるぞ!!」

 

 片翼を機動させ、バルカンは敵の頭部を目掛けて飛翔する。

 左腕の動物型機動兵器・ライダモデル達を一斉に展開しようとした瞬間、その顔面へと赤い線が放たれた。

 

「不破様ッッ!! 避けて下さい!!」

「ッッ!?」

 

 レッドアイが苦し紛れに放った熱線が運悪く顔面を捉えたのだ。

 顔面に直撃を受けたバルカンは地へと落下する。

 

「不破様!!」

 

 私は身体の損傷に構わずバルカンの元へと駆けた。

 落下する身体を右腕で抱きとめ、地を滑る事で衝撃を緩和させる。

 バルカンの顔は、左半面が割れていた。

 だが、その面の奥から覗く瞳には確かに意志の光があった。

 それで分かった。

 この人はまだ大丈夫だと。

 不破様は私の想いに応えるように、ヨロヨロと立ち上がった。

 

「悪いな、2B……」

「無事でよかったです。それと……私はあんな事をしたのに……来てくれて、ありがとうございます」

「俺は丈夫だからな。あの程度屁でも無ぇ」

 

 不破様は苦しそうに暴れ続けるレッドアイに向けて、ショットライザーを構えた。

 既にリボルバーには、灰色のエネルギーが装填されている。

 

「3ヶ月前、俺の家族はコイツに殺された。コイツだけは俺が殺す! ……ッッ!」

 

 ぐらり……

 不破様の体勢が崩れた。

 先程の攻撃のダメージが大きいのだろう。

 私は身体を入れ、その左肩を支えた。

 不破様は荒い息で笑う。

 

「羽が壊れちまった……2B! 支えられるか?」

「了解!」

 

 私達はレッドアイに銃口を向け、引き金を引いた。

 

「【ランペイジ・オール・ブラスト!】」

 

 灰色の巨大な光弾がレッドアイの左目へと発射される。

 光弾は怪物の巨大な左目を貫き、内部で爆発した。

 怪物の絶叫が荒野にこだまする。

 長い首を凄まじい勢いで振り回し、レッドアイは荒れ狂う。

 明らかに致命傷は与えたはずだ。

 しかし、その身体が崩壊する兆しは無い。

 不破様が再びショットライザーを構える。

 

「まだか……!」

「いや、これで終わりだ。君達はよく奮闘した」

 

 上空から声が聞こえたかと思うと、上空から飛来した無数の光の矢がレッドアイを貫いた。

 矢はレッドアイの全身をくまなく貫き、その身体を瞬く間に灰へと変えた。

 跡には、小さな赤い球体が残っているばかりであった。

 その声には聞き覚えがあった。

 そして黄金の鎧を纏った声の主は、空より舞い降りた。

 

「天津……今更何しに来やがった」

「レッドアイ退治は人類の命題だ。感謝してほしいくらいだ。人類代表として、私が倒してやったんだから」

 

 仮面ライダーサウザー・天津様は、紅の双眸で私達を一瞥した。

 何故今更になって援護をする気になったのか、そんな事は分からない。

 だが、レッドアイが撃破された今、戦いは終わったのだ。

 そう考えた途端、義体を支えていた力が一気に抜けた。

 そんな私を不破様が支えてくれた。

 装甲車に乗るレジスタンスも、武器を掲げて喜んでいる。

 そう、戦いはもう終わったのだ。

 だが、その光景を見回したサウザーは「これではいけない」と呟いた。

 

「機械であるお前が希望に頬を綻ばせるなど、あってはならない事だ。見ていろ、今お前の希望を壊してやる」

 

 そう言い放ち、サウザーは黄金槍・サウザンドジャッカーを地面に突き刺した。

 何故そんな事を?

 そんな事を考える暇もなく、無数の黄金の槍が地面を這い周囲を斬撃した。

 

「これが、私に逆らった者の末路だ」

 

 斬撃は無作為にサウザーの周囲を襲い。

 それに巻き込まれた一台の装甲車が爆散した。

 レッドアイとの戦いが終わってなお、戦闘は継続していた。

 

 




後編の分量をミスるのは最早伝統芸。
次回でラストです。
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