仮面ライダーリバイス 悪魔と伝説の狂想曲 作:BREAKERZ
それは、嵐山輝二が〈仮面ライダーリバイス〉として戦い初めての頃。輝二はある二人の男を探していた。
一人は、『蛭山明彦<ヒルヤマ アキヒコ>』。でっち上げや捏造の記事を書き、人を不幸にする記事を喜んで作る悪徳記者だ。
最近の標的はプリキュアであり、【プリキュアがいるから我々は危険な目にあう】、【プリキュアは魔法等と胡散臭い力を使うぺてん師】、【一部のプリキュアは政府と癒着している】、【プリキュアは自分勝手な善意を押し付けているだけの偽善者】とプリキュアに批判的な記事を書いていた。
もう一人は、『加藤雅夫<カトウ マサオ>』。高校生で、学校では顔が少し整っている優しい好青年。だが裏では、何人もの女子生徒や若い女教師と肉体的な関係を持ち、さらには可愛ければ男子生徒でも手を出す無責任で無節操な男だった。
輝二は独自のぶーさんや情報屋の情報網を使って、この二人の人物像と最近この二人が、〈デッドマンズ〉から『バイスタンプ』を手に入れた事と、頻繁に出会っている事を突き止めた。
プリキュアにアンチな悪徳記者と無節操な男のコンビだ。何を企んでいるのか大体想像がつく。
【(ま、俺には関係ないからどうでも良いけど)】
と、後にそのプリキュア達と腐れ縁を作る事になる輝二は露知らず、二人が密会している廃工場を見つけ、ソコに向かおうとしたその瞬間、
ーーーーワー! ギャー! グァー!
【???】
【≪何か煩くね?≫】
廃工場から、複数の男達の野太い悲鳴のような声が響いてくる。蛭山は半グレを雇う事もしているので、おそらくその手の連中がバカ騒ぎでもしているのだろうと思った。が、不思議な事に、その声はすぐに止み、不気味な静けさが残った。
【(何だ?・・・・っ!)】
廃工場から妖しい光が僅かに見え、さらにそのすぐに廃工場から“何か”が目の前に飛んできて、輝二の横を通りすぎ、その先にあった木に突き刺さった。見てみるとそれは。
【≪何これ? 釘抜き?≫】
【いや、これはーーーーバールの先端だな】
そう、突き刺さっていたのは工具のバール。その釘抜きの部分であった。半グレ達の武器かな? と思い、輝二は一応〈フェニックス〉に連絡を入れてから、再び廃工場へと向かった。
ーーーードガァァァァァァァァンン!!
【っ! 変身】
【[リバイスドライバー! レックス! バディアップ! オーイング! ショーニング! ローリング! ゴーイング! 仮面ライダー! リバイ! バイス! リバイス!]】
【よっと!】
突然の盛大な物音にすぐにリバイスドライバーを着けてリバイスに変身した二人は、静かに工場の中に入った。
すると工場の中心で、ボロボロになり気絶した半グレ達が倒れ、件の蛭山と加藤の二人が、二体のデッドマンを側に控えさせていた。
【(トカゲとゴリラのデッドマン、さしずめ『リザード・デッドマン』と『ゴリラ・デッドマン』かな?)】
正確には、『コモドドラゴン・デッドマン』と『コング・デッドマン』なのだ。
多分蛭山との報酬のトラブルかなんかで揉めて、数の不利を考えた蛭山と加藤が、バイスタンプで悪魔を呼んだんだろうと思ったが、二人の話し声が聞こえ、ガンデフォンの録音機能を起動させた。
【何だったんだよ? あの男?】
【さぁな。自分の事を『スタイリッシュ悪人デストロイヤー』なんて名乗っていたが・・・・】
【(ーーーーどうやら何者かに襲撃されたようだな。それにしても・・・・)】
【(センス0の名前だねぇ~、その襲撃者)】
と、呆れながらコッソリ会話するリバイスだが、蛭山と加藤は話を続け、加藤が自分達のデッドマンを指差す。
【コイツらを使って、プリキュア達を捕まえた後は、俺の好きにして良いんだよな?】
【あぁ。プリキュアの強みはチームプレーだからな。一人ずつ確実に倒して捕まえた後は、お前の好きになぶって良いぞ。俺はその姿を写真で取り上げて、新聞にデカデカと載せてやるよ。『伝説の戦士プリキュア、快楽に溺れる』ってな】
下卑た笑みを浮かべる蛭山に、加藤は訝しそうな顔になって問いかける。
【それにしても、アンタは何でそんなにプリキュアが気に食わないんだ?】
【はっ! あの『世の中皆優しい人達ばかりだよぉ~』、『世界はこんなに綺麗なんだよぉ~』、『頑張れば、信じれば夢は叶うよぉ~』、何てほざいてやがる、脳ミソお花畑なお嬢ちゃん達に、『現実』ってヤツを教えてやろうって思ってなぁ。それに大衆ってのは有名人の綺麗な部分じゃなくて、汚い部分の方が大好きだからなぁ。自分達の日頃の鬱憤を晴らせるターゲットが欲しいんだよ。『真実』なんてどうでも良い事なんだよ。お前も好みのプリキュアをなぶらせてやるんだ。ありがたく思えよ?】
【へぇ~、じゃぁ誰にしようかなぁ? キュアムーンライトとか、キュアマカロンみたいな澄ました女やトゥインクルのような生意気そうな女も悪くないなぁ。けど、キュアビートもなぶりがいがありそうだし、胸も大きくてスタイルの良い子が揃ってるフレッシュなら、キュアパインを味わいたいなぁ】
下卑た笑みで舌舐めずりをする加藤に、同じ男として嫌悪感を感じた輝二は、少し痛め付けてから〈デッドマンズ〉の事を聞こうと思っていた慈悲が、一瞬で消滅した。
【・・・・速攻で終わらせるぞ、バイス】
【あいよ!】
ダッ! とリバイは胸元の紋章にバイスタンプで押印して、リバイは両足が、バイスは尻尾が大きくなり飛び出す。蛭山と加藤が驚くが、二人は構わず、スタンピングフィニッシュで一気に二体を撃破した。
『レックス・スタンピングフィニッシュ』
ーーーードゴォォォォォォォォォン!!!×2
【【うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?】】
突然の爆風で二人は軽く吹き飛びながら転がり、その拍子にバイスタンプを放り出すと、その先にリバイスが立っていた。
ーーーーバシュンッ!! バシュンッ!!
そして、倒れる二人の背中をバイスタンプを二つともキャッチしたバイスが尻尾を叩きつけて動きを押さえ、ガンデフォンの光弾が二人の顔をギリギリに掠めた。
【ひ、ひぃぃぃぃぃっ!?】
【な、何だよお前らぁ!?】
【うるせぇ。テメェらが知ってる〈デッドマンズ〉に関する情報を全てゲロしろ。三秒以内だ。ほら1・・・・】
バシュンッ!! バシュンッ!!
【【まだ三秒経ってねぇよ!!】】
バシュンッ!! バシュンッ!! バシュンッ!! バシュンッ!!バシュンッ!! バシュンッ!! バシュンッ!!バシュンッ!!
【【ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!】】
一秒でガンデフォンを撃つリバイに、理不尽そうに悲鳴を上げる二人だが、リバイは関係無いと五月蝿い、と言わんばかりに光弾を蛭山と加藤の顔に当たるギリギリに撃った。
【とっととゲロしろ。さもないと手の平か足にデッカイ風穴が空く「ーーーーガシャァァァンッ!!」あん?】
弱冠本気で引き金の指に力を込めたリバイだが、突然離れた位置から何かが崩れ落ちる音がして、バイス共々目をそちらに向けるとソコにはーーーー。
【・・・・何よ? あの血まみれの筋肉ゴリラの出来損ない?】
バイスがかなり失礼な事を言うが、リバイも同意した。
現れたのは、体格は大柄で、身体にはモリモリと筋肉の鎧を纏っており、筋肉ゴリラと言っても良いガタイの凄い男だった。しかし、上半身は裸で、所々に鉄パイプで殴打された痕もある上、顔は無造作に伸びた前髪と頭から血がドクドクと流れ顔を隠し、出来損ないと言うよりも、くたばり損ないと言った方がシックリくる容貌だった。
その筋肉ゴリラは前髪の隙間から、ギラギラと獰猛な光を放っており、まるで餌を前にしたケダモノのように唸るような声をあげた。
【あ、アイツはさっきの・・・・!】
【『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』!?】
【えっ? あれが?】
【(スタイリッシュじゃなくて、マッスルだろ・・・・)】
【・・・・こせ・・・・!】
【は?】
【その・・・・スタンプを、僕に寄越せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!】
咆哮を上げて迫る『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』は、リバイに向かってストレートパンチを突き出した。
【っ! おらっ!】
ーーーードシッ、バコォォォォンッ!!
【はぶんっ!?】
危険を感じたリバイは突き出された拳に蹴りを入れて軌道をずらすと、拳は『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』の顔面に深く突き刺さった。それはもう、顔のパーツが全部、比喩抜きで凹んだようだ。
【バイス!(バキッ!)】
【ぎゃぼっ!?】
【おう!(バキッ!)】
【べあっ!?】
リバイスは蛭山と加藤の後頭部を思いっきり殴ると、二人は地面に顔面を叩きつけて気絶した。
次にリバイは『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』の上を飛んで踵落とし後頭部に、バイスは下から踵で顎を蹴り上げた。
ーーーーバキャッ!!
【げぶばぁぁぁぁっ!?】
『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』は後頭部と顎からの同時に攻撃で、顔面にめり込んだ拳が離れると、ただでさえ血が流れていた顔に鼻血も加わって真っ赤に染まり、さらに福笑いのように顔がグチャグチャになってしまい、そのまま土煙をあげながら倒れて気絶した。
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
【どうするよこのゴリラ?】
一応脈はあるが、完全に虫の息で気絶した『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』を爪先でツンツンしながらバイスが聞くと、リバイは声を発する。
【完全にコッチを殺す勢いだったから思わずやっちまったけど。ま、放っておいて良いだろう。もうすぐ〈フェニックス〉も来るし、後はアイツらに任せれば良い】
そう言って、『コモドドラゴンバイスタンプ』と『コングバイスタンプ』を持って、リバイスはその場を去った。
ーーーー数分後に駆けつけた門川ヒトミ達によって蛭山と加藤の他、半グレ達は捕縛されたが、『スタイリッシュ悪者デストロイヤー』の姿だけは、消えていた。
* * *
そして現在に戻りーーーー。
〈便利屋 嵐〉の事務所にて、高校の勉強をしている輝二。休学しているとは言え、勉強は怠るつもりはないようだ。数時間程勉強し、軽く身体を伸ばした。
≪えぇ・・・・只今輝二は勉強中です≫
「おしっ。本日の勉強はこれで終了、っと・・・・」
『た、ただいま~・・・・』
「おお、便利屋代行の仕事、お疲れさん」
と、ソコでいつものように事務所にやって来たプリキュア達。今回はスイートチームとフレッシュチームとGoプリンセスチームである。全員疲れているのが分かるほどに、ヨロヨロだった。
「ま、迷子の猫ちゃん達の捜索、終えたよぉ~・・・・」
「まさか、一匹か二匹かと思ったら十一匹の仔猫を探す事になるなんて・・・・!」
「こ、こっちは、ワンちゃん達の散歩、終わらせてきたわ・・・・」
「ラ、ラブちゃんが一番おっきなワンちゃんの散歩をして、走り出したワンちゃんに引き回されて大変だったよぉ・・・・」
「あ、あははは、ごめ~ん・・・・」
「わ、私達も、お惣菜の買い出しの代理、してきたよぉ・・・・」
「奥様方の荒波が凄まじかったわ・・・・」
「女は弱し、されど母は強しって、あぁ言うのを言うんですわね・・・・」
ほぼボロボロの状態のプリキュア達を見て、輝二がテーブルに置かれたお菓子とジュースを準備している妖精達を親指で指差す。
「お疲れさん。お菓子とジュースはソッチにあるから、好きなだけ食べて良いぞ」
『あ、ありがとう・・・・』
全員がソファーに座ってお菓子とジュースを頬張る。疲れた身体に甘い物が染み渡り、頬を緩ませるプリキュア達。
さて、何故プリキュア達が〈便利屋 嵐〉の仕事の代行をしているのかと言うと、いつもの通りに事務所に掃き溜まるプリキュアオールスターズに、遂に輝二がキレて。
【テメェら!! 人の事務所で掃き溜める暇があるなら仕事を手伝え!! 菓子代と飲み物代と光熱費代わりだっ!!】
と、言われ、前に便利屋の仕事にも興味があったオールスターズはそれを了承した。
が、結果はご覧の通りであった。
「まぁったく『こうじん』も酷いよねぇ。私達に自分の依頼をやらせるなんて」
「誰が『こうじん』だ天ノ川。人の事務所で駄弁って掃き溜まっていられても迷惑なんだよ」
「まぁそう言わず輝二さん。あ、奏。確か冷蔵庫にカップケーキ入れてたよね」
「ええ取ってくるわ」
「あっ! カオルちゃんのドーナッツも持ってきてたんだった!」
「それも持ってこないとね」
「それじゃ私は戸棚に置いておいた紅茶も持ってくるわね」
「みなみ。わたくしも行きますわ」
「だから人ん家の事務所の給湯室や冷蔵庫に自分達用の紅茶やらオヤツとか入れてんじゃねぇ! 悪霊寄りの座敷わらしかお前らは!!」
完全に溜まり場にしているプリキュア達に、輝二は血管を浮かべながら怒鳴るが、もはや慣れたのかプリキュア達は気にしなかった。
ーーーーピコン。
「あ?・・・・・・・・」
自分のスマホのメール受信音が聞こえ、輝二はメールの中身を確認すると目線を少し細くし、事務所を出ようとする。
「あ、輝二さん。何処か行くの?」
「ちょっと野暮用だ」
そう言って、輝二は事務所から出ていった。
ーはるかsideー
「野暮用って、輝二さんどうしたのかな?」
「さぁーーーーあれ?」
はるかの言葉に響は首を傾げると、机の上に、新しく渡されただろうバイスタンプが置かれていたのに気づいた。同じく気づいたラブが、『タコが刻印されたバイスタンプ』を手に取った。
「う~ん、改めて見ると、本当にこんなスタンプで人間の中の悪魔が出てくるの?」
「ラブちゃん、勝手に取ったら輝二さん怒るよ?」
「大丈夫だよブッキー」
「ーーーーくぁ~・・・・キュア? プリップ~♪」
と、ソコでお昼寝していたシフォンが起きて、超能力でバイスタンプを浮かばせた。
「うわっ!」
「シフォン! 何しとんのや!」
シフォンが超能力で輝二の机に置かれていた他のバイスタンプや参考書や文具やらその他までも浮かせて、部屋の中央で回していた。
「キュワ~♪」
『うわぁっ!?』
特に、バイスタンプは縦横無尽に飛び、奏がおぼんでバイスタンプを叩き、響が仰け反ってかわし、アコの頭上をかすり、きららが捕まえようとするが逃げられ、トワの顔の横を飛び、せつなの後ろから迫るバイスタンプを回避し、美希の顔を横切った。ーーーーその際、自分の前を横切ったバイスタンプに、タコの刻印があったのを見て、美希が青ざめる。
「っ! い、今のバイスタンプって、タコ!?」
「あ、そういえばタコのバイスタンプがあったよ」
「イヤーーーー!! 私タコは駄目なの! そんなので押印されたらタコの悪魔が生まれちゃうわ! そんなの悪夢よっ!!」
「悪魔が生まれたらそれだけでも悪夢よ・・・・!」
「そう言えば、『音吉さん』から貰った本に、タコってヨーロッパの一部では『悪魔の化身』とも言われてるってあったわ・・・・!」
「あぁそれでドクターさん、タコさんのバイスタンプを作ったんだ」
錯乱する美希に、オカルトが苦手なみなみとエレンが顔を青ざめ、祈里は納得した。
「プリップ~♪」
「シフォン! やめるんやっ!!」
「っ、それ!」
と、ソコでアロマが人間態に変身すると、ドーナッツをシフォンの口に押し付けた。
「キュア~♪ ハムハム♪」
ドーナッツが機嫌が良くなったのか、超能力が止まり、床や机にバイスタンプや他の物が落ちた。ホッとする一同に、ラブが声をあげた。
「・・・・皆、片付けようか。この惨状を輝二さんが見たら・・・・」
ーーーーこのドアホウ共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!
と、鬼面を着けて怒鳴り声をあげる輝二の姿を想像して、半眼で苦笑した一同が片付けを始めた。
「シフォンちゃん。超能力をイタズラに使っちゃ、メッ、だよ?」
「キュア~?」
「分かってないわね」
「ごめんなさい」
祈里が優しく諭すが、シフォンは首を傾げ、アコが呆れたように呟くと、せつなが謝罪した。
「・・・・あれ?」
片付けている中、はるかが一枚の写真を見つけて手に取ると首を傾げた。写真には、男の人と女の人、そしてその足元に二人の小さな男の子がいた。おそらく輝二の両親と幼い頃の輝二のお兄さんの『一光』と、幼い頃の輝二だと思ったが、首を傾げた理由は他にある。その幼い輝二達兄妹の他に、“幼い女の子がいた”。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はるか、どうしたの?」
「みなみさん。この写真」
はるかがみなみ達とラブ達と響達にも写真を見せた。
「輝二さんの家族との写真だね」
「コレがどうかしたの?」
「・・・・輝二さん、お父さんとお兄さんが〈デッドマンズ〉に殺されたんだよね?」
「ええ」
「それじゃ、お母さんとーーーー多分妹さんだと思うけど、この人達はどうしたのかな?」
『っ!』
全員が確かに、と思った。この事務所で集まるようになってから、輝二のお母さんは一度も顔を見てないし、妹さんも姿が見えない。これは少々気になる。
「ーーーーそれに、この妹さん・・・・私、何処かで会ったような気がするの」
『えっ?』
「「「・・・・??」」」
「ロマ?」
「パフ?」
ラブ達と響達が目をパチクリさせるが、みなみときららとトワ、そしてアロマとパフまでも首を傾げた。
「・・・・私も、誰かに似ているような」
「何だろう? 見覚えがある、この妹ちゃん・・・・」
「ええ。何処かで、それこそ昔ではなく、最近の記憶で・・・・」
「どうなってるロマ?」
「パフも会った気がするパフ?」
う~ん、と悩むGoプリンセスチーム。他の一同も首を傾げていた。
ー輝二sideー
と、その頃、輝二は下の階のぶーさんが経営する喫茶店のカウンターで、ぶーさんからお金が入った茶封筒を渡された。
「受け取らないってさ。自分の役に立てなさい、って」
「・・・・そうか。悪いけどぶーさん、預かっておいて」
「・・・・分かったよ」
輝二がそう言うと、ぶーさんはカウンターの引き出しを開けると茶封筒をいれた。既に何個も茶封筒がある。
輝二はバイスタンプの回収で〈フェニックス〉から貰っている報酬金の八割を十年近く前に離れ離れになった母親に、妹の学費と養育費、そして母の生活に当てて欲しいと、ぶーさんを通して渡しているのだが、母親は受け取ろうとしなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
「輝二くん。あの娘の友達のプリキュアちゃん達に、いずれバレると思うぞ」
「・・・・それでも、俺はあの娘をーーーーゆいを巻き込むつもりはない。それで、何か情報が入った?」
輝二がそう聞くと、ぶーさんは小さく息を吐いてから、タブレットを取り出し、輝二に見せた。
「カゲロウに関する情報は入っていないけど、近頃都内の半グレや暴力団を襲撃している奴がいるみたいなんだ。ある暴力団の事務所前の駐車場のカメラにソイツが映っている」
タブレットにはーーーー『ムカデのデッドマン』が、事務所から出ていった姿が表示されていた。
「コイツか。それで、襲われた奴らに共通点は?」
「最近、ドラッグとかを売りさばき始めた奴らがターゲットのようだ」
「分かった。ありがとうぶーさん」
そう言って、輝二はぶーさんの店を出ると、
「おや輝二くん」
「牛島さん」
ご近所の牛島太助の一家が現れた。奥さんの『牛島公子』と中学生の息子である『牛島翔<カケル>』だった。
「息子さんですか? 確か『ノーブル学園』に通っているんでしたよね?」
「ああ。休みだから帰ってきてくれてね。コレから家族で買い物なんだ」
「良いですね。それじゃ、俺はこれで・・・・」
そう言って、事務所に戻る輝二。そしてすぐに。
ーーーーこのドアホウ共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!
ーーーーきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ごめんなさーーーーい!!
と、怒鳴り声が響き、牛島一家は何処か影のある顔になりながら、その場から去っていった。