仮面ライダーリバイス 悪魔と伝説の狂想曲 作:BREAKERZ
ー輝二sideー
ーーーーカチャ・・・・。
「っ・・・・」
その夜。輝二は自分の家の自室のベッドで寝ていたが、突然、外に繋がる扉から開く音が聞こえ、瞬時に起きる。スマホの時計を見ると、時刻は午前四時。そろそろ夜明けが来る時刻だ。
輝二は宙を浮遊しながら、ナイトキャップを被って枕を抱いて、見事な鼻ちょうちんまで出してムカつく程完璧な就寝スタイルて寝ているバイスを小さな声で起こす。
「おいバイス・・・・」
≪ーーーーむにゃむにゃ、もう、プリキュアちゃん達食べきれないよぅ・・・・≫
「妙に不気味な寝言なんて言ってないで起きろ・・・・!」
≪んん~・・・・ありゃ? ちょっと! ゆう子ちゃんといおなちゃんのサンドイッチは!?≫
「どんな風にアイツらを美味しく頂こうとしてたんだ?・・・・んな事より、侵入者だ・・・・!」
≪えっ? 警報! 警報! 侵入者在り! 侵入者在り!≫
他者には姿も声も聞こえないバイスが喧しく騒ぐ。
「うるさい! ちょっと、壁抜けして、外の奴らの人数数えてこい」
≪あいよ≫
バイスが壁をすり抜け、輝二は自室の机の引き出しから道具を取りだし、ドアの横に身を屈め、バイスからの報告を待つ。
≪見つけた!≫
「数は?」
≪暗くて良く分からなかったけど! 居間に男が二人! 一人はスーツで、一人は筋肉系!≫
「・・・・良し」
輝二は音を立てずにドアを少し開けて、居間を動く二つの影を確認すると、引き出しから取り出した物、催涙グレネードを開けて隙間から居間に転がした。
その瞬間ーーーー。
ーーーープシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
「ぬおっ!?」
「これは!?」
「っ!」
輝二は煙で男達が戸惑っている隙にドアから飛び出し、二つの影に向かった。
ーーーードガッ! バキッ! ゴキッ! グギッ! ドシュッ! バキャッ!!
それから嵐山家の居間から、何かを殴る音が響く。
≪おぉっとぉ! 輝二選手! 侵入者二人に殴りかかったぁ! 激しいバトルだぁっ!!≫
そんな中、バイスは楽しそうに実況をしていた。
◇
「ーーーーさん! 輝二さんっ!」
「・・・・・・・・っ! おらぁっ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
声が聞こえ、目を覚ました輝二は声がする方に上段蹴りを放つが、声の主は身体をブリッジして回避した。微睡んでいた意識がハッキリしてくると身体が不規則にグラグラ揺れているのを感じ、車で移動しているのが分かった。
そして、蹴りを放った相手を見ると、私服のはなが輝二の蹴りを顔面スレスレが回避する姿があり、周りを見ると、他のプリキュア達(何人かが驚いた顔をしている)もいた。
どうやら誘拐されて大型バス(しかも希少な六十人乗り)の最奥席に座って移動しているようだ。
「何だ野々。お前も誘拐されたのか? 危ない目に合うやつだなぁ」
「ゆ、誘拐なんてされてないから! と言うか、今まさに危ないのは輝二さんの方だから!」
「・・・・どういう事だ? 俺は家に不法侵入してきた二人を催涙グレネードで怯ませてから迎撃しようとして・・・・」
「その二人を半殺し寸前にまで追い詰めた後、その二人に拘束されて眠らされた後、このバスに乗せられたのよ」
さあやが苦笑しながら説明した。
「成る程。だから俺の身体は拘束されてるのか」
縄で縛られた上半身を見下ろしてそう呟いた。
「それで、俺を誘拐しようとした二人はどうした?」
「一人はわたくしの執事のセバスチャンですわ」
「もう一人は、後ろのバスに乗っている機動六課の皆さんのザフィーラが人間に変身した姿です」
「(ペコリ)」
アリスと六花が説明し、運転しているセバスチャンが会釈した。
「ふむ。セバスチャン、さんは大丈夫か? 結構良い攻撃が入ったと思うけど?」
「ええ。大丈夫ですよ。肋骨を八本折られただけです。シャマル様に治療魔法を受けて回復していますよ。ザフィーラ様に至っては右腕と左足、それに左の鎖骨を折られたくらいです。今シャマル様に治療魔法を受けてます・・・・ゴフッ」
セバスチャンはにこやかに話をしているが、少し血を吐いた所を見ると、まだ完治していないようだ。
「・・・・ぶっちゃけ、重傷でしょ」
「輝二さん、やり過ぎですよ・・・・」
「人を誘拐しようとした奴らはな、骨の二~三本くらいはへし折られても文句言えねえんだよ」
「いや、二~三本処か二人合わせて十本以上折られてるんだけど・・・・」
「二人共ボロボロでしたし」
「過剰防衛と言わざるえません」
全員が苦笑をする中、なぎさとほのかが輝二にそう言うが、輝二はこんな目に合って当然と言うが、ほまれとえみるとルールーがそう言った。
「んで、わざわざ俺を誘拐してどうするつもりだ」
≪輝二、輝二≫
「あん?ーーーーっっ!!」
バイスが輝二の隣の窓際の席を指差したのでそちらに目を向けるとソコにはーーーー。
「は、初めまして嵐山さん。私、七瀬ゆいって言います」
「(・・・・ゆ、ゆい!?)」
ゆいがお行儀良く挨拶するが、輝二は目を見開いて硬直していた。
「っ!」
『(ビクッ!)』
そしてすぐ、ゆいから見えない位置で、前髪の影からギラッ! と瞳孔が開き、目が血走った人殺しのような目になった輝二がプリキュア達を睨むと、そのあまりの迫力に、歴然の戦士であるなぎさとほのか、ゆりですらもビビった。
後にプリキュアオールスターズ曰くーーーー。
『この時の輝二さんの迫力は、私達が今まで戦ってきた組織のラスボス達以上だった・・・・!』
「(テメエらどういうつもりだゴラァ!? )」
「(温泉旅行に友達のゆいちゃんが連れてきただけなんです!)」
「(こ、この間のムカデのデッドマンとの戦いでのメンタルケアと思って下さい!)」
「(ゆいゆいにはコウジンの事は教えていないから!)」
「(だから安心して、ゆいの近くに座ってくださいな!)」
「(アイコンタクトで会話できる程の仲になってたロマか?)」
はるか達Goプリンセスチームとアイコンタクトで会話していた。
「(・・・・・・・・この子に余計な事をくっちゃべってみろ。ーーーー未来永劫に口が利けないようにしてやる!)」
『(コクコク・・・・!)』
殺意増し増しの視線で睨まれ、プリキュア達はかつてない恐怖を感じながら首を縦に振った。
輝二は身体に巻き付けられていた縄を自力で引きちぎると、不機嫌さを隠そうとせず、ドガッ!と、ゆいと距離を開けて座席に着いた。
「(あちゃー、うまく行かないナリ・・・・)」
「(やっぱり強引過ぎたんじゃ・・・・)」
「(見てよアレ・・・・『近づくんじゃねぇよオーラ』が全身に迸ってるよ)」
「(こ、恐いです・・・・!)」
咲と舞が半眼になり、えりかとつぼみが、輝二が纏うオーラに戦々恐々としていた。
ホテルに到着して、機動六課(+誠司と狩崎とヒトミ)がバスから下りてくると、「テメェらも共犯かッ!?」と輝二に睨まれ、身体を硬直させた。
六課一同曰く。
『魔王モードのなのは(ちゃん/さん)以上の迫力があった・・・・』
「ちょっと皆! 魔王モードって言わないで!」
と、なのはの訴えを無視し、一同は温泉旅館であるホテルへと入っていった。
入るとすぐに、スタッフが声をかけに来た。
「いらっしゃいませ、水上温泉へようこそ」
「お世話になります」
「よろしくお願いします」
『お願いします!』
スタッフに一応代表として狩崎が挨拶すると、輝二にプリキュア達も挨拶した。
「おやおやおや~!」
「あ、牛島さん」
ホテルにチェックインしようとしている家族がいて、声をかけられた輝二が目を向けると、牛島家の人達がいた。
「こりゃまた奇遇だねぇ、輝二くん!」
「どうも」
「輝二さん知り合い?」
「ウチの近所のご家族だ」
「あら、牛島くん」
「あっ、生徒会長も来てたんですね!」
「みなみさん知り合い?」
「私のクラスメートよ。牛島翔くんって言うの」
「どうも、始めまして」
みなみ達を見ると、牛島太助が声を上げる。
「いや~、ウチの息子の学校にこんな美人な生徒会長がいただなんて! 輝二くん、お友達?」
「・・・・いいえタダ働きで働くーーーー下女共です」
『誰が下女ですってぇーーーーっ!?!?』
『まぁまぁ!』
輝二の発言に頭に血管を浮かべた何人かのプリキュアが飛び掛かりそうになるが、他のプリキュア達と六課一同が羽交い締めで止めた。
と、ソコで、眼鏡を掛けた中居の少女が牛島家の人々に話しかける。
「お部屋にご案内致します」
「はい。じゃあ」
「(ん?)・・・・ええ」
≪ん? あれれ?≫
その中居の少女に連れられて、牛島家の人達が離れていくのを見ながら、輝二とバイスは訝しそうに見る。
≪おい輝二、あの女何処かで・・・・≫
「(あぁ。何処かで見た気が・・・・)」
「お荷物。お預かり致します」
今度は後方から男性スタッフが声をかけられると、荷物運びのスタッフ達だった。
「あ、ありがとうございます」
その中に、はるか達の学校の教育実習生の『玉置豪』がいた事に、はるか達は気付かなかった。
ーオルテカsideー
輝二達がチェックインをしていると、女性スタッフが眼鏡をかけたフロントスタッフの青年に話しかけた。否、それに扮したオルテカに。
「グラシアス・デッドマンズ」
「・・・・・・・・・・・・」
その言葉を聞いて、オルテカは眼鏡の縁を上げながらニヤリと笑みを浮かべた。
ー輝二sideー
「・・・・・・・・・・・・」
輝二は温泉に浸かりながら、怒りを静めようと瞑目していた。そんな輝二に同じ部屋になっている誠司と狩崎が話しかける。
「あまりしかめっ面は止めておきたまえ。せっかくの旅行を楽しんではどうかな?」
「無理矢理連れてこられて良い気分になる訳ないでしょうが。まぁ来てしまったもんはしょうがないから、取り敢えず温泉は楽しみます。・・・・それで、カゲロウの器にされた人間は分かりましたか?」
「うん。空手ボーイが以前カゲロウ、エビルと交戦した時ーーーー」
【この身体の持ち主との関係者が、“プリキュアの中にいるんでな”!】
「と、奴は言っていた。この言葉を本当と受けとって見て、プリキュアガールズの関係者達を洗って見たのだが、“別の世界にいるメンツ”を除いて、全員の無事が確認できている」
狩崎からそう聞くと、輝二は眉根を寄せた。
「ーーーーじゃあ一体、誰なんだ・・・・?」
未だに正体が知れないエビル、カゲロウの器となってしまった人物。輝二は得たいの知れない不安感を感じた。
ーアギレラsideー
ホテルの一室にて。
「〈フェニックス〉や魔導師の連中も来てるなんて聞いてない」
中居の少女、アギレラが気だるそうに言う。
「アイツら、エビルの正体を探ってるんじゃないですか?」
玉置豪、フリオがそう言うと、アギレラはオルテカに話しかける。
「あのカゲロウってヤツ。ここで決着つけるんでしょ?」
「アギレラ様、顔がにやけてますよ」
「フフッ・・・・楽しみじゃない? 楽しい楽しい皆での旅行が、ズタズタになるなんて」
アギレラの言葉に、フリオとオルテカも笑みを浮かべると、先程の女性スタッフが、『バイスタンプ』を持って入室してきた。
ー輝二sideー
浴衣姿になった輝二は、浴衣姿の誠司とコンビを組んで、同じく浴衣姿のなのはとフェイトと卓球をしていた。
「おらっ!!」
ーーーーギュルルルルルルル!! シュバッ! ガツンっ!!
「にゃっ!!?」
「なのはっ!?」
輝二が打った玉が台で凄まじい回転をすると、これまた凄まじい勢いで飛び跳ね、なのはの額に当たり、なのはは仰け反るように倒れると、フェイトが駆け寄る。
「もう一丁!!」
ーーーーギュルルルルルルル!! シュバッ! ガツンっ!!
「あうっ!!」
が、輝二は続いて卓球の玉を打つと、先ほどと同じく回転し今度は、フェイトの額に当たり、フェイトも倒れた。
≪試合終了ーーーー!! この勝負、輝二と誠司の勝利!!≫
「ふん」
「俺、何にもしてない・・・・」
「てか、あんな勝敗で良いの・・・・?」
完全に別のスポーツのなっていた勝負に、誠司とひめ、他のメンツも半眼で呆れていた。
◇
部屋に戻った輝二は外の景色を眺めながらコーヒー牛乳を飲んでいた。
「ふん」
ーーーーコンコン。
「ん? はーい」
女性陣から逃げてきたエリオとハリーとシローを交えて狩崎とババ抜きをしていた誠司が抜けて、部屋の扉を開けると、ソコにはひかりが来ていた。
「九条どうした? 皆とお土産や施設に遊びに行ってたんじゃないのか?」
「あの、輝二さんに、ちょっとお話が・・・・」
「ん?」
誠司が輝二に目を向けると、輝二は窓の外を眺めながら、入って良いと手招きした。
「・・・・その、すみません。輝二さんに内緒でゆいさんを連れてきてしまって・・・・と言うよりも、輝二さんも無理矢理連れてきちゃって」
「ま。戦士の休息だと言っても、七瀬ゆいくんが来ると知れば、君は絶対来ないと思ったからだけどね」
「・・・・・・・・もう気にしなくて良い。こうなってしまったんだから、もうどうしようもない。が、ゆいに俺との関係をバレないようにだけはしてくれ。あくまで、一緒に〈デッドマンズ〉と戦う協力者、って事にしておいてくれ」
「は、はい!」
「九条達にもすまないな。妙に気を使わしてしまって」
「いえ。気にしないで下さい。私達のお節介ですから」
「お節介じゃなきゃ、プリキュアは勤まらないんじゃないのか?」
「そら言えてる」
輝二の言葉にシローが同意するように頷くと、一同は可笑しそうに笑みを浮かべた。
「・・・・ふぅ、部屋で大人しくするのも飽きたし、少しホテルの中を見て回るか。九条も行くか?」
「あ、はい! シロップとエリオくんも行きませんか? うららさんとキャロちゃんが寂しそうでしたよ?」
「はい!」
「・・・・しゃあねぇなぁ」
「相楽、お前は?」
「んじゃ俺も行くかな。母さんと妹にお土産買っておきたいしな。狩崎さんは?」
「私は少しノンビリさせていただくよ。最近夜遅くまで調整していてほとんど寝ていないのでね」
「分かりました」
そう答え、輝二達は部屋を後にした。そして、輝二達は気づいていなかった。輝二が座っていた椅子に、赤く点滅する“盗聴器”が置かれていた事に。
ー牛島sideー
盗聴器から音声を聴いていた牛島太助は、重い声で妻と息子に声で話しかけた。
「彼とプリキュア達の関係は良好のようだ」
先ほどのフレンドリーな雰囲気とは全くの真逆の声色で二人に指示を出す。
妻の公子と息子の翔も、先ほどのアットホームな雰囲気が消え、今は能面な顔で佇んでいた。
「そろそろ、浴衣に着替えておけ」
「「はい」」
その様子は『家族』ではなく、まるで『上司と部下』のようであった。
ー輝二sideー
そしてその夜。
宴会場で机を並べ、全員で夕食を摂っていた。食いしん坊のメンバーが凄い勢いでご飯を食していた。
「あら! どうも」
「こりゃまたまた、奇遇ですねぇ!」
「あ、どうも」
またも牛島家族もやって来て、別の机に向かった。その時、輝二達の視線に隠れて、牛島太助は能面な顔に戻っていた。
そんな中、中居の少女は白い薬をコッソリと飲み物にいれて、輝二の元へと届けた。
「どうぞ当館からのサービスでございます。地元のマスカットソーダです」
「あ、ありがとうございます」
中居の少女が他の皆にもソーダを配り終えて去っていくと、バイスが出てきた。
≪おい輝二! なんか怪しいだろ! この飲み物も!≫
「(・・・・・・・・っ)」
バイスに言われ、輝二はソーダの入ったグラスに視線を向けると、一瞬キッと目を細め、ソーダのグラスから手が滑ったような体で、畳に溢した。
「ちっ・・・・!」
中居の少女が小さな声で舌打ちするのが聞こえ、その場から去り、輝二は立ち上がろうとすると、いちかが声を上げた。
「うわぁ~! 輝二さん何してんのっ!?」
「すまん。少しめまいがな・・・・。ちょっと席を外す」
「あ、輝二さん!」
はるかが声を上げるが、輝二は構わず中居の少女を追った。
ーアギレラsideー
中居の少女、アギレラは物置部屋のような場所で、フリオとオルテカと話をしていた。
「アギレラ様・・・・飲み物に毒入れちゃったんですか? ハハハハハ・・・・!」
「そうよ。悪い?」
可笑しそうに笑うフリオに、アギレラは不機嫌そうに答えるが、オルテカは溜め息を吐きながら伊達眼鏡を直す。
「カゲロウとの約束を忘れたのですか?」
オルテカは、カゲロウとの会話を言った。
* * *
カゲロウはその日、ギフの間にて、“自分の器となった者”の姿で説明した。
【プリキュア達に残酷な『真実』を教えてやる。根はお人好しの嵐山輝二も、ショックを受ける。奴らの関係にヒビを入れてやるのさ】
【面白れぇ・・・・】
ーーーーガンっ!
近づこうとするフリオに、カゲロウはテーブルを蹴って遠ざける。
【貴様らは指を咥えて見ていろ。絶対に手を出すなよ】
【ふん!】
* * *
「知ってるでしょ? 私、命令されるのが嫌いなの」
そう言うアギレラに、フリオとオルテカは苦笑するが、すぐにアギレラの背後を見て、顔を強ばらせた。
「あっ、アギレラ様!」
「っ!」
『ふっ』
振り向いたアギレラの首を、エビルに掴んだ。
『手を出すなと筈だが、聞いてなかったのかっ!?』
掴んでそのまま、アギレラをフリオとオルテカの方に放り投げ、フリオとオルテカがアギレラを受け止めた。
『楽しい楽しい旅行の幸せの絶頂から地獄に叩き落とさなきゃ、意味がないだろう! それに、テメェが余計な事をしたから、嵐山輝二が不審を感じやがった。今こっちに向かってきているぞ!』
「「「っっ!!」」」
エビルにそう言われ、耳をすますと、こちらに向かって走ってくる足音が聞こえ、アギレラ達はすぐにその場から走り去った。
ーエビルsideー
『ふん、ガキ共が』
そう言って、エビルの後方から足音がさらに近づき、そして扉が開かれると、リバイスドライバーを巻いた嵐山輝二が入ってきた。
「っ! 誰も、いない。・・・・逃げられたかクソッ!」
誰もいない物置部屋を見回す輝二は悔しそうに毒づくと、リバイスドライバーを外した。
「輝二さん!」
すると、ひかりの他に、なぎさとほのかが、輝二を追いかけて来ていた。
「っ! 美墨、雪城、九条、どうした?」
「どうしたじゃないよ! 心配になってついていこうとしたら、いきなり走り出しちゃって・・・・!」
「何かあったんですか?」
「・・・・いや、ちょっと道に迷っちまった。行くか」
そう言って、輝二はひかり達を連れて、部屋を後にした。無人になった部屋に、カゲロウが現れる。
「くくくくく、もうすぐだ・・・・」
カゲロウの不気味な声が、無人となった物置部屋に木霊した。