仮面ライダーリバイス 悪魔と伝説の狂想曲 作:BREAKERZ
ーバイスsideー
《へい! 皆元気かぁ〜い! 俺っちバイス! 超絶イカした悪魔だぜぇ! ちょいとここまでのおさらいだぜ!》
思念体のバイスが騒ぎながら、これまで経緯を説明する。
《父ちゃんと兄ちゃんを〈デッドマンズ〉に殺された輝二は、〈仮面ライダーリバイス〉として戦っていた! その最中、可愛子ちゃんばかりのプリキュアちゃん達! 美味しそうな〈時空管理局〉の魔導士ちゃん達! あと〈フェニックス〉の連中と、仮面ライダーデモンズになった誠司と一緒に戦ってたんだけど! そんな俺っち達の前に、以前ぶっ倒したバイスタンプに宿る悪魔カゲロウが、なぎさちゃんとほのかちゃんの友達、キリヤってヤツに取り憑いて、〈仮面ライダーエビル〉となって俺っち達の前に現れやがった! しかも! ソイツのせいで輝二の生き別れの妹のゆいちゃんに、輝二と兄妹だってバレちゃうし、カゲロウが好き放題暴れるわで、もうシッチャカメッチャカ! 決着を着けようと挑んだけど!》
* * *
【はぁっ!!】
【ダメーーーーー!】
リバイがリバイスラッシャーを振り下ろし、ホワイトとブラックが止めようと走り出すが、バイスが抑える。刃がエビルの頭部を切り裂こうとした。
ーーーーが、
【・・・・・・・・・・・・・・・・】
【・・・・・・・・・・・・・・・・ふっ】
エビルに刃が触れる寸前、リバイはスラッシャーをピタッと止めた。
【チッ、出てこねえか】
【俺がビビッてキリヤの身体から脱出するのを期待したようだがーーーー残念だったなぁ!】
エビルブレードでリバイスラッシャーを弾くと蹴りを叩き込み、リバイが体制を僅かに崩す隙を突いてすぐに起き上がり、ジャッカルゲノムの加速でリバイの身体を斬りつける。
【ぐぅああああぁぁぁっ!!】
【輝二っ! あっ!】
【『輝二さん! バイス!』】
連続で斬りつけられ、リバイは変身が解除されバイスも姿を消した。
プリキュア達となのは達が駆け寄ろうとしたその瞬間、
【ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!】
【『きゃぁぁぁぁっ!!』】
バッファロー・デッドマンが横から突進してきて、行く手を遮る。
【くっ! (ドンッ!)ぐはぁっ!!】
あお向けに倒れる輝二の腹に、エビルが踏みつけるように足を乗せて動きを止めると、見下すように視線を向ける。
【どうだ嵐山輝二? こうも簡単に叩きのめされる気分は?】
【ぐぅ・・・・! カ、カゲロウ・・・・! 何故、そこまで俺を執拗に攻撃、するんだ・・・・!】
【あぁん?・・・・そうだなぁ、テメェにはちょっとした『恨み』があるんだなぁ!】
エビルは物思いに耽るように顎に手を当ててそう言った。
【う、恨み? まさか、あの戦いでの・・・・】
【それよりも前からあるんだよ!】
輝二の腹を力強く踏みつける。
【ぐはっ!!】
【《この野郎! 輝二をイジんなぁ!》】
思念体のバイスが、エビルの顔面を何度も殴りつけるが、実体の状態では触れる事ができず、エビルに認識されてすらいない。
【輝二さん!】
イーグレットが駆け出そうとするが、今度はギフジュニアがワラワラと出てきて、イーグレット達となのは達を遮る。
【さて、お前の方が終わりーーーーだなぁ!】
エビルがエビルブレードを輝二に振り下ろそうとする。
【っ・・・・!】
輝二は、胸元から"細いチェーンにくくられたリング"を引き千切り、指に嵌めて力を込めようとしたその瞬間ーーーー。
【オラァァァァァァァァァァッ!!】
【っ! ぐわぁっ!!】
何と、横からエビルに向かって突進してきたバッファロー・デッドマンによってエビルは突き飛ばされ、柱に叩きつけられると地面に落ちた。
【っ、よっと!】
【輝二さん!】
輝二はその隙を逃さず、即座に起き上がって体勢を整えると、すぐにルミナスが駆け寄り、治癒を施す。
【・・・・おい、元ムカデの牛。どういうつもりだ?】
【仮面ライダーリバイスは、我が倒すべき宿敵。貴様のよえな寄生虫悪魔にやらせる訳にはいかん】
エビルはエビルブレードを構えると、バッファロー・デッドマンも、斧のような武器を構える。
【調子こいてんじゃあねえぞ・・・・。この中二イカレ野郎!】
【我は我の道をゆくのみ!】
輝二達をそっちのけで、戦いを始めるエビルとバッファロー・デッドマンがその場から離れていく。
【キリヤくん!】
【ホワイト! ここは引こう!】
エビルの方に駆け出そうとするホワイトの手をブラックが握って止めた。
【離してブラック! キリヤくんが! キリヤくんが!!(パシンっ)っ!】
振り払おうとするホワイトの頬に、輝二が平手打ちをした。
【頭冷やせ雪城ほのか。冷静さを抜いた今のお前じゃ、入澤キリヤってヤツを助けられねぇ! ブラック! ルミナス! 連れて行け!】
【う、うん!】
【は、はい!】
ブラックとルミナスがホワイトを連れていき、ブルームとイーグレットに連れられながら輝二も引き、なのは達はギフジュニア達を抑えていた。
【(・・・・バイス。どうだった?)】
【《おうよ! バッチリだぜ!》】
そんな中、輝二とバイスがコッソリと話をしていた。
ーデモンズsideー
ブラキオ・デッドマンデモンAと交戦していたデモンズが、ドライバーにスパイダーバイスタンプを押印した。
【[Charge!] 】
【ふっ!】
【 [デモンズフィニッシュ!] 】
デモンズの背中から赤い蜘蛛の足を生えて飛び上がり、右足に囲って飛び蹴りを放つ。デモンズの蹴りを叩き込んだ。
【でりゃっ!!】
【『グギャァァァァっ!!』】
ーーーー【デモンズフィニッシュ】
ヒットした際に、赤い蜘蛛の巣が浮かび爆発した。
【愛の光を聖なる力に! ラブプリブレス!】
【勇気の光を聖なる力へ! ラブプリブレス!】
【【あなたにハッピー! お届けデリバリー! ハァァァピィィィィ!!】】
ラブリーとプリンセスが『ラブプリブレス』を操作し、ハートと円のエネルギーを作り、合わさるとブラキオ・デッドマンBに向けてシュートした。
【【プリキュア! ツインミラクルパワーシュート! ハピネスチャージ!!】】
【『ガァァァァっ!!』】
ブラキオ・デッドマンBは爆散した。
【【【【【プリキュア! チアフルアタック!】】】】】
チアフルスタイルとなったHUGっとチームが、ミライパットにメモリアルパワーを注ぎ込み、巨大な6個のハートのエネルギーが繋がって1つの花のようになって、ブラキオ・デッドマンCに飛んでいき、浄化した。
【『グゥゥゥゥっ!!』】
浄化されたブラキオ・デッドマンCが消えた。
【相楽! プリキュア! ここは退くぞ!】
ヒトミからの指示で、デモンズとプリキュア達はこの場から去っていった。
* * *
ーバイスsideー
《んで! ブラキオのデッドマンをやっつけた誠司達も一緒に、〈フェニックス〉のスカイベースのカリちゃんの研究室に戻った俺っち達! んもう皆の雰囲気がお通夜になっちゃってんのよ!》
バイスがそう言うと、ひかりと舞に包帯を巻いてもらっている輝二。深刻な状況に、誰しもが声を発せずにいた。
《はーい! では暇つぶしに、なぎさちゃんの頭の中を覗きまーす! へへ・・・・それではいってみよう!》
バイスがなぎさの頭の中に入ると、脳の中らしき場所に行き。
《あっ! なぎさちゃん発見! って、ええっ!?》
《うぅっ! うっ! わぁーん!》
《えぇっ!? なぎさちゃん号泣!?》
何と、なぎさの心は涙を流していたのだ。
《はい報告! 悔しくて、マジ泣きしてました! ふぇぇぇん!》
バイスがなぎさの中から出てきて泣き真似をする。
そんな中、狩崎が口を開く。
「カゲロウは入澤キリヤくんの身体で、一般人に被害を出している。これ以上はもう擁護できないね」
「っ! それって、どういう事? ドクター?」
「・・・・〈フェニックス〉は、入澤キリヤくんごと、カゲロウを殲滅する、って事さ。ブルームガール」
「っ! そんな!」
思わず立ち上がるほのかに、狩崎は淡々と声を発する。
「残念だがホワイトガール。彼一人の為にその他大勢の市民が危険に晒される訳にはいかない」
「・・・・そんな・・・・」
「ほのか・・・・」
そして力無く座り項垂れるほのかに、パートナーの精霊メップルは、悲しそうに見上げる。
《ほのかちゃん・・・・痛いの痛いの、飛んでいけ〜・・・・これでよくなる?》
ー輝二sideー
「(バイス。今雪城が痛いのはソコじゃねぇよ・・・・)」
バイスなりにほのかを気遣って頭を撫でるが、輝二は苦笑する。
「輝二くん・・・・」
「あ?」
と、ソコでなのはが少し顔に影をさしながら輝二を見据える。なのはを知る人間達ならそれが静かに怒っているという事が分かる。しかし、輝二はそんな静かな怒りに気づいているのかいないのか、普段通りの態度だった。
「あの時、君はキリヤくんごとエビルを攻撃しようとしたよね? 何で?」
「ーーーー自分の命が危険に晒されれば、カゲロウがビビって引っ込むと思ったからだ」
「もし引っ込まなかったらどうしてたの?」
「ちゃんと寸止めしただろうが」
「そういう問題じゃないの!」
『っ!』
《うわぁビックリ! 何々? なのはちゃんってば結構ヒステリックな性格なの??》
なのはが怒鳴り声をあげ、なぎさ達も咲達も響達もめぐみ達もはな達も、当然誠司や精霊達もビクッとなり、バイスがドン引きした。
が、輝二はそんな怒号なんてどこ吹く風と言わんばかりだった。
「あんな危ないやり方で助けようなんて『無茶』をしなくても! もっと、『安全なやり方』で助けようとすれば「『安全なやり方』、って何だ?」っ!」
なのはの言葉を遮るように、輝二はなのはの威圧的な視線を真っ向から見返しながら問う。
「雪城と美墨が必死に声をかけても届かなかった。この中で誰よりも入澤キリヤってヤツとの繋がりが深い二人が、だ。それなのに、彼との繋がりなんてまるでない俺達が、どうやってヤツを助けるんだ?」
「それはーーーー皆で考えて・・・・」
「そんな能天気で悠長な事をやってるから、遂に一般人に被害が出る事態になったんだろうが?」
「っ!」
輝二の言葉に、なのはは押し黙る。
「具体的なアイデアも無いのに、『安全なやり方』も何も無いだろうが。だったら、多少は強引なやり方だろうがそれを実行するしかない。『安全』だの『無茶』だのと、そんなーーーー"くだらない線引きなんてして何が成せるんだ?"」
「っっっ!!」
「「っっっ!!」」
輝二のその言葉になのはが、否、フェイトにはやても息を詰まらせた。
それはーーーー少し前に『鬼教官』に言われた言葉だったからだ。
【貴様らは『無茶』だ『安全』だと、"くだらない線引きをしていたから、『限界』を超える機会を失ったのだ"!】
輝二は別にそれを知っている筈がない。しかし、なのは達の心にある、ちょっとした『傷』をエグッた。
フルフルと若干震えて、黙ってしまったなのはを放って、輝二は研究室を出ようとするが、項垂れるほのかを見て、フウ、と小さく溜め息を吐いてから、口を開く。
「“それにしてもキリヤってヤツは、随分情けないヤツだなぁ"」
「・・・・・・・・え?」
輝二の言葉に、なぎさが弱冠目を鋭くし、項垂れていたほのかがピクッと、反応する。
「ああも簡単にカゲロウに身体を乗っ取られて好き勝手にされて、今は美墨と雪城が助けてくれるのを待ってうずくまっているなんて、元〈ドツクゾーン〉の幹部なのに、何とまあ不甲斐ないヤツだなぁ!」
「ちょっと輝二さーーーーほのか?」
輝二に文句を言いそうになるなぎさだが、それよりも早く、ほのかがすくっと立ち上がる。
「今キリヤってヤツは、こう思ってるだろうなぁ。『助けてなぎささ~ん! 助けてほのかさ〜ん! 僕じゃカゲロウに勝てないよぉ〜! 怖いよぉ〜! 恐ろしいよぉ〜! 苦しいよぉ〜!』って、メソメソ泣いているのか。それともカゲロウの言う通り、無様に消えてしまった(パシィッ!)・・・・・・・・」
輝二の言葉が平手打ちで止められた。そうーーーーほのかが止めたのだ。
ほのかの意外な行動に、なぎさとひかり、メップルにミップルにポルンにルルン、他のプリキュアメンバーに、なのは達すら唖然と目を見開いた。
「ーーーー取り消して・・・・!」
「・・・・・・・・」
フルフルと震える声で、ほのかが声を発したかと思えば、キッと顔を上げて輝二を睨みつける。輝二はまるで臆する事なく、なのはの時のように真っ向から見返す。
「取り消して! キリヤくんの事を何も知らないあなたに! キリヤくんの事をとやかく言う権利なんてないわ! キリヤくんはメソメソ泣いてなんかいない! 消えてもいない! 必ず生きてる! そして絶対、カゲロウに打ち勝つわ!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
輝二とほのかが視線を交じわせ、両者に沈黙が流れる。
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
その空気に、周りの皆も黙った。
「・・・・ふっ、分かってるじゃないか」
「・・・・え?」
輝二はニッ、と笑みを浮かべる。その反応が少し意外だったのか、ほのかは目をパチクリさせた。輝二はポンとほのかの肩を叩くと、今度こそ研究室を出る。
「キリヤってヤツは、"お前達が助けてくれるのをジッと待っているようなヤツじゃない"、それが雪城が知っている入澤キリヤなら、お前のやる事は、もう決まっているだろう?」
「輝二さん・・・・」
輝二はそう言い残して、研究室を去った。ほのかは輝二は打った手をジッと見ると、グッと握りしめると、なぎさ達に向けて顔を向けた。
「「「っ!」」」
振り向いたほのかの顔を見て、なのはとフェイトとはやてはそのーーーー『迷いない覚悟の炎を宿した瞳』に一瞬、"旦那様達と同じ炎を見た"。
「なぎさ。ひかりさん。それに皆。私、決めたわ。必ず、キリヤくんを取り戻す。その為に、力を貸して!」
「当然!」
「はい!」
「メポ!」
「ミポ!」
「ポルン!」
「ルルン!」
『うん!』
なぎさ達は力強く頷くと、ほのかはなぎさに近づいて、
「ーーーーなぎさ。私のほっぺた、ビンタして」
「えっ!?」
「お願い」
「・・・・・・・・」
ほのかの申し出に、なぎさは目を見開いて驚くが、その決意に満ちた眼差しを見ると、
「・・・・分かった。でも、その後、私のほっぺたもビンタしてくれるほのか?」
「!・・・・ええ!」
なぎさの返しに、今度はほのかが目を見開くが、薄く笑って頷いた。
そしてーーーー。
「ーーーーふん!」
ーーーーパンッ!
なぎさがほのかの両頬にビンタをした。
「〜〜〜〜!」
ほのかの両頬に紅葉のような手形が付き、痛みを少し堪えるように、うっすらと涙目になると。
「それじゃほのか、お願い」
「ーーーーええ」
次はなぎさが顔を突き出すようにあげると、
ーーーーパンッ!
「ぶっちゃけ、痛〜い!」
「私も痛かったわよ」
なぎさの両頬にも、ほのかによる紅葉のような手形が付いて、なぎさが涙目になるが、ほのかも苦笑した。
「おいおい片方じゃなくて両頬かよ・・・・」
「男前ね。なぎさもほのかも」
誠司が苦笑し、さあやが笑みを浮かべた。
そして、気合を新たにしたなぎさとほのかは、ひかりや皆を交えて、これからの事を話し出した。
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
「輝二くんも、ホワイトガール達も、『覚悟』を決めたって所かな?」
狩崎の言葉に、なのは達は返せず、ほのか達を見てこう思った。
ーーーー彼女達は、『あの人達』と同じ、"向こう側に行ける人間なんだ"。
と。
ー輝二sideー
研究室を出た輝二はすぐに通路の角に隠れている六人に目を向けた。
「ーーーーお前ら、元気づけようとスウィーツを持って来たんだから、ちゃんと届けてやったらどうだ?」
角から出てきたのは、いちか達アラモードチームだった。
「あの、輝二さん、痛くなったんですか?」
「いてぇに決まってんだろ。美墨の方がくると思っていたが、まさか雪城とはな・・・・」
「あんな悪びれた事を言わなくても、普通に言ってあげれば良かったんじゃないかな?」
「ふん。甘ったるい慰めなんかよりも、発破になっただろう?」
「ハッパ? 草がどうかしたの?」
「シエル。そっちの葉っぱじゃないから・・・・」
ひまりが心配そうに言い、あきらが呆れたように言うが、輝二はフンと鼻で息を吐きながら返し、シエルが外人らしいボケをあおいがツッコんだ。
「輝二さんは、これからどうするの?」
「最初に言った通りだ。入澤キリヤを助ける。それが俺が受けた『依頼』だからな」
「それじゃ! 輝二さんも食べて! 元気100%になるスウィーツだよ!」
いちかがスウィーツが入ったバゲットを差し出すが、輝二は弱冠苦い顔をし、
「すまないが、俺は甘い物が苦手なんだ・・・・」
『えぇっ!?』
「うふふ、嵐山くんって、本当に面白いわ」
ゆかりだけは笑みを浮かべていた。後にキラパティのメンバーや奏は、輝二が食べられるスウィーツを作ろうとするのはまた後の話。
ーアギレラsideー
そしてそのその頃、〈デッドマンズ〉の本拠地・『ギフの間』では、フリオが苛立たしげに、テーブルを蹴る。
「ーーーーカゲロウは生け贄を集める気がさらさら無いみたいだが!?」
「リバイスを消してもらったら・・・・もう用済みですね。ま、バッファローが先にリバイスを消すか、カゲロウが先に消すか、ちょっとした茶番劇ですかね」
ドカッとソファに座るフリオに、爪の手入れをしていたオルテカがそう答えた。
すると、ギフの石棺を愛しく撫でていたアギレラが口を開く。
「ウソっぱちの愛なんかに頼るから、そうなるのよ。ーーーー幸せは掴もうとすればするほど遠ざかる。身を委ねるしかないのにね」
「おっしゃるとおりです」
フリオがにこやかに答えながらソファから立ち上がると、アギレラはスキップしながら石棺から離れ、部屋を出ていく。
「ちょっと遊んでくるね♪」
「いってらっしゃいませ」
アギレラが部屋を出ていくと、フリオは執事の如く頭を下げた。
ー狩崎sideー
全員が帰った後、狩崎はリバーシで遊んでいた。
と、ソコに嵐山雄二郎司令官がやってきた。
「随分と悠長に構えているな。〈フェニックス〉にとっては、良い状況ではないぞ?」
「ん〜、少し悲しんでますよ。結構な自信作であったツーサイドライバーが、無駄になろうとしているんですから」
「お前にとっては全てが『実験』か。その最終目標は何だ?」
「海よりも深い〈仮面ライダー〉への愛が故。それだけですよ」
そう云うと、狩崎がリバーシの白の駒を黒に反転させた。
ーゆいsideー
そしてここはノーブル学園の浜辺。ソコでゆいは1人で波を見ながら佇んでいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
1人になりたいと無理を言って、はるか達から離れてここに来たのだ。波を見れば何か気が紛れるかと思ったが、何も変わらない。父と一番上の兄が〈デッドマンズ〉に殺され、下の兄が戦っている。母に連絡しても通じず、祖父に祖母は詳しい事は知らない。
「・・・・ハァ・・・・」
「溜め息を吐くと幸せが逃げるよ」
「っ!?」
自分は何もできない事に無力感を感じていたゆいが、突然の声に振り向くとソコには、先日の温泉旅行で遭遇した〈デッドマンズ〉のリーダー・アギレラがいた。
「あ、アギレラ・・・・!」
「あっ、名前覚えてくれたんだ♪ 温泉旅館、楽しかっね?」
「っ・・・・」
ゆいは警戒しながら距離を空ける。
「安心して。別にゆいちゃんをイジメに来た訳じゃないの。寧ろーーーーゆいちゃんを救いに来たんだよ」
「・・・・???」
「ーーーーねえ、私と一緒に、『ギフ様』の家族にならない?」
「『ギフ様』? 誰なの? いやそれより、なる訳ないよ・・・・」
「悩んでる『答え』が見つかるかもよ?」
「えっ?」
ニッコリと笑みを浮かべるアギレラが、ゆいに近づく。
「っ!」
「恐がらなくていいんだよ、ゆいちゃん♪」
数歩後ろに退くゆいに、アギレラは笑顔で近づく。
「・・・・・・・・」
「(この子・・・・)」
と、ソコでゆいは、アギレラの瞳に何処か、『ある少女』の瞳と重なったーーーートワイライトだった頃の、トワのような。
「ーーーー七瀬さん。どうしたんですか?」
と、ソコで、ランニング中だった牛島翔がやってきた。
「翔くん! っ!!」
振り抜くがソコに、アギレラの姿は無くなっていた。