仮面ライダーリバイス 悪魔と伝説の狂想曲   作:BREAKERZ

47 / 75
今回、エリオとあるキャラが絡みます。


妹の迷い。弟の惑い?

ーゆいsideー

 

その日。はるか達が〈仮面ライダーエビル〉ことカゲロウから、先輩プリキュアの友人を助ける為に留守にした日。

ゆいはパフとアロマと共にノーブル学園の敷地内を散歩していた。

 

「・・・・・・・・はぁ・・・・」

 

【溜め息を吐くと幸せが逃げるよ?】

 

「っ!」

 

近頃溜め息ばかり吐いているゆいは、背後にアギレラの声が聞こえたかのように、バッと振り向くが、当然ソコにアギレラの姿は無かった。

幻聴が聴こえる程に参っている自分に頭を悩ませていると、

 

「あっ、七瀬さん!」

 

「あっ、翔くん!」

 

ランニング中だった牛島翔と出会い、横並びになりながら談笑し、歩く速さが緩やかになっていた。

ゆいは牛島翔と最近は仲良く会話をしている。趣味とかが合うからという理由もあり、お互い良い男友達や女友達の感覚であり、もうゆいは年上の翔を名前で呼ぶようになっていた。

 

「「(ニヨニヨニヨニヨ)」」

 

そんな二人の様子を、パフとアロマはニヨニヨとした笑みを浮かべて眺めていた。

そのまま仲良く、楽しく談笑している内に、ゆいは女子寮に到着した。

 

「あっ、それじゃ僕はこれで・・・・」

 

「うん。またね」

 

翔と別れたゆいは、女子寮の自分とはるかの部屋に戻ろうと通路を歩き、アロマとパフが飲み物を買ってこようと少し離れ部屋の扉を開けると、ノーブル学園女子寮の寮母『白金さん』が話しかけてきた。

 

「ーーーー七瀬さん。あなた宛にお届け物が来ていますよ」

 

「えっ? あ、ありがとうございます」

 

ゆいは白金さんから、両手で持てるくらいの大きさであまり重くないダンボール箱を受け取り、部屋に入っていった。

 

「ーーーー差し出し人は、『匿名配送』?・・・・一体、誰から・・・・?」

 

と、その時、一瞬ゆいの脳裏に一人の少女の姿が浮かんだ。

 

【ーーーーねえ、私と一緒に、『ギフ様』の家族にならない?】

 

「っ、まさか、アギレラ・・・・?」

 

先日のアギレラの言葉を思い出し、ゆいは警戒しながら恐る恐るとダンボール箱の蓋を開けた。

が、ダンボール箱の中に小さな箱が置かれ、さらにその上に一通の手紙が置かれていた。それを手に取って手紙に書かれていた文章に目を走らせる。

 

「【この箱の中には、あなたの運命を決める物が入っています。できれば使わないで欲しいと望んでいます。あなたには、穏やかな世界で『皆を待っている人』であってほしいから】、なんだろうこれ・・・?」

 

アギレラとは思えないような文面に、ゆいは眉根を寄せて訝しげな顔になりながら、箱の蓋を開けて中身を見るとそこにはーーーー。

 

「っ・・・・! こ、コレって・・・・!?」

 

ゆいは驚愕に目を見開いた。何故なら箱の中身は。

ーーーー兄・輝ニが使うリバイスドライバーと似た『ドライバー』と、『コブラがエンブレムとなったバイスタンプ』だった。

驚くゆいだが、廊下からアロマとパフが話している声が聞こえ、慌ててダンボール箱を机の下に隠し、何事も無かったかのように振る舞うのであった。

 

 

 

 

 

 

ー翔sideー

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

牛島翔は女子寮から少し離れた場所で、ゆいの部屋の窓をジッと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーライブsideー

 

入澤キリヤこと、〈仮面ライダーライブ〉が正式に仲間になって数日後。仮面ライダー達は活躍しまくっていた。

とあるゲーム会社の地下駐車場でギフジュニア達と『クラゲ・デッドマン 第一フェーズ』を追い詰めフェニックス隊員達。その中から、ライブがライブガンを撃ちながらMHチームと5GOGOチームと魔法使いチームと共に進む。

 

「ふっ! はっ!」

 

ライブガンを巧みに使い、ギフジュニア達をプリキュア達が倒し、ライブはクラゲ・デッドマンに回し蹴りを叩きつけ、至近距離からライブガンの光弾を撃ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

ーデモンズsideー

 

「っ!」

 

[コンドル!]

 

誠司こと、デモンズはとある高校の屋上で『コンドルバイスタンプ』を起動させ、デモンズドライバーに押印する。

 

[Add! Get! Dominate up! コンドル! ゲノミクス!]

 

デモンズの背中に紫色のコンドルの翼『デモンランブルジョーカー』を広げ空を飛び、S☆Sチームとハートキャッチチームがギフジュニアと戦い、空でハピネスチャージチームと戦う『オウム・デッドマン 第一フェーズ』を追い、飛翔しながら攻撃する。

 

「はーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー輝ニsideー

 

そしてリバイスはフレッシュチームとスマイルチームとドキドキチームと共に、夜の大学でギフジュニアや『ハリモグラ・デッドマン 第一フェーズ』と戦っていた。

 

「「はぁっ!!」」

 

『たぁっ!!』

 

ギフジュニアを蹴散らしていくプリキュア達。

リバイスは、ハリモグラ・デッドマンを攻めたてる。

 

「死ぬ気で、決めるぜ!」

 

[レックス! スタンピングフィニッシュ!]

 

リバイとバイスの足に、エネルギーが流れ込み。

 

「「おりゃぁあああえっ!!!」」

 

『ガァァァァッッ!!』

 

ハリモグラ・デッドマンにスタンピングフィニッシュを放つと、ハリモグラ・デッドマンは壁に叩きつけられ、後ろにレックスのエンブレムを作りながら、火花を散らす。

それを見たバイスが、ギフジュニアを片付けたプリキュア達声を発する。

 

「さあ皆! 久しぶりに! 3<スリー>!」

 

『3‹スリー›!』

 

フレッシュチームがバイスに合わせて指を三本立て。

 

「2<ツー>!」

 

『2!』

 

スマイルチームが指を二本立て、

 

「1<ワン>!」

 

『1!』

 

ドキドキチームのチームが人指し指を立てた瞬間ーーーー。

 

ーーーー ドガアァァァァァァァァァンン!!

 

ーーーー【レックススタンピングフィニッシュ】

 

「ビクトリー!!!」

 

バイスが勝利宣言すると同時に、壁に張り付いたハリモグラ・デッドマンは爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

ー狩崎sideー

 

そして翌日の昼頃。フェニックス・スカイベースにて、これまでのリバイス達の活躍を空中モニタで見ていた狩崎と嵐山雄二郎司令と分隊長のヒトミ、さらに機動六課の隊長陣とFW陣が集まっていた。

 

「仮面ライダーが三人となり、プリキュア達との連携も上手くいってます」

 

「だが、〈デッドマンズ〉関連犯罪はなくなる何処か増える一方だ。ま。それはさておきーーーー」

 

はやての報告に、狩崎はそう言って返す。そしてすぐに、懐から『ブラキオバイスタンプ』と『バッファローバイスタンプ』をエリオに渡した。

 

「ヘイ! エリオ‹雷ボーイ›くん。これ、輝ニくんに渡して来てくれたまえ。今は奏‹リズムガール›の家のお店にいるようだから、キャロ‹ドラゴンガール›ちゃんと一緒に届けてくれたまえ。お小遣いもやるからカップケーキでも食べてくると良い♪」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

「失礼します!」

 

「あっ! エリオ! キャロ! 私達にもカップケーキ買ってきてー! お代は後で払うから!」

 

スバルの声を背中に受けながら、エリオとキャロが研究室から出ていく。

すると、空中モニタに端に映ったクラゲ、オウム、ハリモグラの契約者達が表示されると、モニタの中央にファーのフードで頭を覆い、さらにフルフェイスのマスクで顔を覆った人物が表示されていた。

 

「・・・・最近の契約者達って、この人のネット配信を見て、〈デッドマンズ〉に接触したんですよね?」

 

「『救世主』。と呼ばれている。〈デッドマンズ〉の布教活動をしている人物だ。主に、若者を中心に人気がある配信者だ。追跡しようとしても、あらゆるネットワークを経由していて、特定は不可能となっている」

 

フェイトの言葉に、ヒトミが応え、さらに狩崎が契約者達の事を話す。

 

「クラゲ・デッドマンの契約者は、大手ゲーム会社に入社したばかりの新卒社員だったが、下請けのような仕事と上司や先輩にコーヒーを淹れる事ばかりで、大きな仕事を任せてもらえないからと言って三ヶ月で会社を辞めたせいで、クリエイターの夢が潰されたと言う逆恨みから」

 

「はっ。たった三ヶ月のペーペーに大きな仕事を任せて貰える訳ねえだろ」

 

ヴィータが吐き捨てるように言った。

 

「オウム・デッドマンの契約者の女子高生は、彼の配信を見て〈デッドマンズ〉に入れば、誰も持っていない『バイスタンプ』と言うアイテムが手に入ると言う理由からと」

 

「ゲームのアイテム感覚で『バイスタンプ』を得ようなど、何と浅はかな」

 

シグナムは、女子高生の軽率な行動に不快感を露わにした。

 

「ハリモグラ・デッドマンの契約者は、不要な授業を履修し、必修科目をサボって友達と遊んでばかりで、留年してしまった事を恨んで大学を攻撃したようだ」

 

「自業自得だな」

 

「そう言った馬鹿な行動をしたがる人達が、この『救世主』って人の配信を見て、『バイスタンプ』を購入して、騒ぎを起こしているのね」

 

ザフィーラが呆れるように呟き、シャマルが渋面を作って、『救世主』を見る。

 

「〈デッドマンズ〉や『バイスタンプ』がどれ程危険なのか知らず、社会に不平不満を持っている人間達を扇動している、と言う事か」

 

「輝ニくんは、【暇人の阿呆共ほど、そう言う話を真に受けて馬鹿をやりまくるんだよなぁ】、と呆れて言っていたがね」

 

「輝ニさん。辛辣ですぅ」

 

アインスの言葉に狩崎が輝ニの言葉を伝え、リインが苦笑する。

 

「ーーーー皆。ちょうどその『救世主』さんの配信が始まってるの」

 

なのはがスマホで『救世主』の配信を皆に見せた。

 

 

 

 

 

ー『救世主』sideー

 

そして今、カーテンが引かれ、真っ暗になった何処か綺麗な応接室のような雰囲気がある部屋にて。

『救世主』と呼ばれる配信者の映像が撮られていた。撮っているのは女性で、『救世主』の言葉を笑顔を浮かべて聞いていた

 

『世界中で広がる格差社会。貧富の差。強者はどんどん強くなり、弱者はどんどん弱くなる。私はーーーー〈デッドマン〉の思想に共鳴する。彼らは、この不公平な世界を変える模の達だ。魂を解放し、真の自由なコミュニティーを形成する。まさにーーーー新しい家族だ』

 

ーーーーパチパチパチパチパチパチ・・・・。

 

『「っ!?」』

 

突然部屋に響く拍手に、『救世主』と女性は驚き、女性は配信を切り、部屋の出入り口に目を向けると、部屋の扉が開いた。

 

『あなたは・・・・?』

 

部屋に入ってきた青年に『救世主』が声を発すると、青年、オルテカがにこやかに笑みを浮かべ、両手を広げて話し出す。

 

「噂の『救世主』に会いに来ました。ようこそ、〈デッドマンズ〉へ」

 

『救世主』は椅子から立ち上がると、そのフードとマスクを取り外した。

 

 

 

 

 

ーアギレラsideー

 

「オルテカは?」

 

「スカウトに行っております」

 

〈デッドマンズ〉のアジト・ギフの間にて、アギレラとフリオか話をする。

 

「本業は『心理カウンセラー』ですが、『救世主』を名乗る若者達のカリスマのようです」

 

「ふ~ん。じゃ私も行ってこようかな、スカウト」

 

「はい? 何処のどいつです?」

 

フリオがぎこちない笑みで首を傾げる。

 

「・・・・教えな〜い♪」

 

アギレラはいたずらっぽい笑みを浮かべ、フリオを置いて部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

ー輝ニsideー

 

そして、輝ニは何をしているのかと言うとーーーー。

 

「おい。何だこれおい?」

 

「ようこそいらっしゃいました輝ニさん!」

 

「本日はお忙しい中、真にありがとうございます!」

 

「質問に答えろや。おい。何だこれおい?」

 

奏の家である『ラッキースプーン』に、用事があるから来て欲しいと頼まれ、やって来た輝ニは店の椅子に座ると、響とあおいとあきらが突然襲いかかり、縄で椅子に縛り付けられていた。

 

《わぁおっ! 輝ニってば、緊縛プレイに目覚めちゃった感じぃ?》

 

「(んな訳ねぇだろうが・・・・!)」

 

バイスが騒ぐのを五月蝿く感じながら、頭にギャグ漫画の血管マークを浮かべた輝ニは、目つきをつり上げてこんな目に合わせたアホ軍団を睨む。

 

「おいコラ。そこの脳味噌スイーツドアホウ軍団。これは一体全体どう言う事だオラ?」

 

「実は私達! 甘いお菓子が苦手な輝ニさんか食べられるように、私達キラパティと奏ちゃんが試行錯誤して作ったスイーツを輝ニさんに食べて貰おうと思ってお招きしました!」

 

「私達の気合いのスイーツ! 味あわせてあげます!」

 

「ありがた迷惑なんだよっ!!」

 

エッヘンと胸(平坦)を反るいちかと、同じく胸(ティアナクラス)を反る奏に、輝ニをさらに苛つかせ、語気を荒らげさせた。

 

「まぁまぁ輝ニさん。ここは騙されたと思ってね」

 

「騙されてンだよ実際! その慣用句の使い方間違ってンだよ!」

 

響が宥めるが、輝ニは身体を揺すり、必死に椅子を動かして逃げようとするが、ゆかりが輝ニの両肩に手を置いて動けないようにした。

 

「ーーーー嵐山くん。男の子なら弱点をそのままにしておくのはいけないと思うわ。ここはあなたの弱点克服を善意で協力する皆の意志を尊重してちょうだい」

 

「・・・・宇佐美達と南野が善意が来ているのは分かるがな、琴爪」

 

「何かしら?」

 

「ーーーーお前は絶対、面白そうだからと、悪意を以ているだろう!」

 

顔をニヤつかせているゆかりを見て、輝ニが声を荒げる。

 

「ーーーーそんな事・・・・少ししか思っていないわよ」

 

「目ぇそらしながら言うなっ! つか、少しは思ってたんじゃねえか!」

 

サッと顔を逸らすゆかりに怒声を浴びせる輝ニ。本格的に暴れようとすると、店からシエルにひまり、エレンとアコがスイーツを持ってきたのを見て、顔を青くした。

 

「は、離せ! 離しやがれ! 十年以上かけて漸く板チョコ半分クリアできるようになった俺に、そんな大量のスイーツは劇物でしかないっ!」

 

「まあまあ! 皆で協力して甘さ控え目にしたから!」

 

「やめろってんだこのド阿呆の掃き溜め軍団!!」

 

《輝ニ。メッチャ嫌がってます♪》

 

「あ、そんな事言っちゃうんだ。それならーーーー無理矢理口に突っ込んじゃえ!!」

 

「やめろ! 宇佐美! 北条! マジで止めモガっ!!」

 

いちかと響が、ショートケーキとシュークリームを輝ニの口の中に突っ込んだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「どう輝ニさん?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

響が聞くが、輝ニは何も答えない。

 

「あれ? 顔が青くなってる・・・・?」

 

「白目を剥いてます・・・・」

 

「これって・・・・」

 

「気を失ってるわね」

 

《ーーーー返事がない。ただの屍だ》

 

あきらとひまり、エレンとアコが言い、バイスがそう言うと、輝ニはテーブルに顔面から倒れ、ゴトン!と言う音を響かせた。

 

『こ、輝ニさんっ!?』

 

「嵐山くんっ!?」

 

「あらまあ」

 

いちか達と響達が驚き、ゆかりも目をパチクリさせた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

が、輝ニはフルフルと腕を動かし、人差し指にケーキのクリームを付けて、テーブルに文字を書く。あたかもそれは、殺人事件の被害者によるダイイングメッセージのように。

 

「ーーーーえっと・・・・【アトデ ゼンイン シバクーーーー】」

 

「『アトデ ゼンイン シバク』?・・・・『後で、全員、しばく』!?」

 

「うわっ! 本気で怒ってる!?」

 

「どどど、どうしようっ!?」

 

慌てふためく一同に、話しかける一人の少年が現れた。

 

「・・・・何やってんだよ、姉ちゃん達?」

 

「あ、奏太」

 

そんなやり取りを見て呆れているのが、奏の弟の『南野奏太』であった。

と、ソコでーーーー。

 

「皆さーん!」

 

「あっ、エリオくんにキャロちゃん」

 

「アコちゃ~ん!」

 

エリオ達がやって来て、キャロがアコとハイタッチした。

 

「どうしたの二人揃ってデート?」

 

「いえ、狩崎さんから届け物があってーーーーあっ」

 

「あっ」

 

エリオがここに来た理由を話していると、奏太の存在に気づき、奏太もエリオを見て黙る。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

何故かお互い気まずい空気になる二人。

 

「奏太?」

 

「あっ、オレ、宿題あるから!」

 

そう言って、奏太が家に戻っていった。そんな様子を見て、姉と姉の友達として奏太と子供の頃から付き合いがある奏も響が目をパチクリさせた。

 

「奏。奏太って宿題マジメにやる子だったけ・・・・?」

 

「ううん。いつも響と同じく忘れるか、当日になってから慌て出す子よ・・・・」

 

「アコ。奏太くん。エリオくんと何かあったの?」

 

エレンの問いに、アコはやれやれと肩をすくめた。

 

「・・・・別に、大した事じゃないわよ。前に奏太と下校している途中でキャロとエリオと会ってね。奏太がサッカーに誘ったんだけど、運悪くその時は、エリオ達はチーター・デッドマンの捜査をしていたから断ったの。奏太はそれでもやろうって言ったんだけど、私が「エリオとキャロは忙しいんだから、邪魔しないの」って言って止めたんだけど。その日から奏太がエリオに遠慮しちゃって、さらにエリオも奏太との距離感が掴めなくて遠慮しちゃってるの」

 

アコの説明に全員が何とも言えない顔になった。〈時空管理局〉の魔導師であるエリオとキャロだが、地球では普通の九歳の子供達だ。同年代の子達との距離の付け方が分からずにいるのは仕方ない事とも言える。

 

「難しい問題だね、それは」

 

「エリオくん自身は、奏太と仲良くしたいと思っているんですけど」

 

「奏太もね」

 

「ーーーーあの」

 

と、ソコで、奏達に話しかける女性がいた。

 

「あっ、『大川先生』」

 

「こんにちは南野さん。カップケーキを買いに来たんだけど、良いかしら?」

 

「は、はい。どうぞ!」

 

大川先生と呼ばれた女性は、奏と共に店に行くと、数個のカップケーキを購入して、店を出ようとした際、不意にーーーーエリオと目が合った。

 

「えっ・・・・?」

 

「・・・・?」

 

大川先生はエリオをジッと見てから、少しして口を開く。

 

「ボウヤ。お名前は・・・・?」

 

「えっ? エリオ・モンディアルです、けど?」

 

「そうーーーーエリオくん、ね。”また会いましょう“」

 

そう言って、大川先生はその場を去っていった。

 

「誰あの人?」

 

「ノーブル学園の体育教師の『大川先生』よ。前はよく、家のカップケーキが大好きな息子さんと買いに来てくれてたの」

 

「前は?」

 

シエルが聞き返すと、奏だけでなく、響やエレンやアコ、さらにハミィも悲しそうに顔を沈めた。

 

「ちょっと前にね。『本の化け物』みたいなのが現れて街が破壊されちゃった時、その時に息子さんとはぐれてしまって、まだ息子さんが見つかっていないの」

 

「そんな・・・・!」

 

「今は落ち着いているけど、当時は酷い顔になっていたわ。でも、今は漸く立ち直って、息子さんが帰ってくるのを待っているみたいよ」

 

「(ーーーーノーブル学園の、ゆい達の学校の先生、か)・・・・んで、息子さんの好物を持って帰りを待っている訳か。いたたまれねぇなソイツは」

 

「うん・・・・って、んん!?」

 

いちか達と響達が振り向くと、いつの間にか復活していた輝ニが、半眼になりながら一同を見下ろしていた。

 

「あ、あら〜。輝ニさん起きてたの・・・・」

 

「・・・・天誅!!!」

 

ーーーーデン!×10

 

『いったぁ〜〜〜〜いっ!!!』

 

《うわっ! いったそ〜!》

 

プリキュア達の脳天にチョップを振り下ろし、悲鳴が空に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー大川先生sideー

 

そして件の大川聖奈先生は、加音町にある家に戻ると、棚に置かれた息子の写真に、『ラッキースプーン』のカップケーキを添えた。

 

「『涼太』。あなたの大好きなラッキースプーンのカップケーキよ」

 

その目は何処か虚ろな光を放ち、写真に向かって慈しむと 悲しみが交じったような声色だった。

 

「・・・・もしかして、あのエリオって子・・・・」

 

写真に映る息子の『涼太』は、髪を黒くしたエリオと似た容貌だった。

大川先生は、鞄の中にある『バイスタンプ』を握りしめたーーーー。

 




次回、祝うゲノムが登場!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。