仮面ライダーリバイス 悪魔と伝説の狂想曲 作:BREAKERZ
ーゆいsideー
「・・・・ふぅ〜」
ゆいはその日。はるか達やはな達と共に加音町に赴くと、深く深く深呼吸をして緊張を紛らわそうとする。
「ゆいちゃん、大丈夫?」
「無理なら帰る?」
はるかとはながそう言うが、ゆいは気丈に答える。
「・・・・大丈夫だよ皆。ちゃんと、話をしないと」
ゆいは決意を込めてそう言って足を進めた。これから、生き別れの兄と対面して、父と上の兄の事を知らなくてはならないから。
ー輝ニsideー
「ふぅ〜・・・・」
輝ニは『ラッキースプーン』から離れると、調べの館のホールに来ており、ふぅ~と息を吐く。
「輝二さん。大丈夫?」
「いよいよ妹のゆいちゃんと対面するから緊張しているの?」
響といちかが聞き、他のメンバーも心配そうに見ていた。因みにエリオとキャロはカップケーキの入った箱を持って来ている。
「ーーーーうぐっ・・・・!」
輝二は胸元を抑えて苦しそうにしていた。
「大丈夫輝二さん!?」
「だ、大丈夫じゃない・・・・テメェらがさっき食わしたスイーツでまた胸焼けが・・・・!」
「さっきから呼吸が妙だと思ったら、胸焼けに耐えていたのね」
ひまりが寄り添うが、緊張ではなく胸焼けに耐えている輝ニに、アコが呆れていた。
「ーーーーみんな」
と、ホールの入口から声が響き、全員が目を向けると、はなが顔を出し、それならHGっとチームとプリンセスチーム、そして、ゆいが入ってきた。
「・・・・ゆい」
「ーーーーお兄ちゃん」
漸く対面した二人の兄妹。周囲に言いようのない緊張感が包み込んだ。
「・・・・改めて、だけどよ」
「・・・・・・・・」
「大きく、なったな、背丈」
「兄ちゃんも、ちょっと、その・・・・恐い感じに、なったね」
「うるせっ。・・・・母さんと、じいちゃんとばあちゃんは元気か?」
「うん。ママは仕事で出張に出かけていないけど、おじいちゃんとおばあちゃんは元気だよ・・・・」
「そうか。学校は楽しいか? 俺は休学中だけど」
「楽しいよ。はるかちゃん達もいてくれるし・・・・」
少し兄妹らしい会話をすると、ゆいが、意を決して輝ニに問いかけた。
「ーーーーお兄ちゃん。パパと、おっきいお兄ちゃんは、死んじゃった、の・・・・?」
弱冠震える声で聴くゆいに、思わずはるか達が前に出て、ゆいの手にソっと手を合わせたり、背中を擦ってあげたりしていた。
それを見た輝ニは、少し息を吐いてから、口を開く。
「ああ。二人共、死んだ」
「っっ!」
その言葉に、ゆいは息を呑んだ。正直ーーーー物心なんて殆どついていない頃に離婚したので、記憶なんてほんの少ししか無い。しかし、それでも、僅かな記憶では、父と兄が自分に惜しみない愛情を注いでくれていたのだけは、覚えていた。
輝ニは、兄・一光の〈フェニックス〉の分隊長就任式。突如現れた〈デッドマンズ〉に襲撃され、その攻撃から自分を庇い、父・勇一郎は背中が焼けただれ、“心臓の音が無く”なっていた事。本来は兄・一光が変身する筈だった『リバイスドライバー』が落ちてきて、怒りのままに〈仮面ライダーリバイス〉に変身し、〈デッドマンズ〉を撃退した事、戻ってみると、兄・一光が“腹部に大穴を開けて”亡くなっていた事を教えた。
「ーーーーパパ・・・・! おっきいお兄ちゃん・・・・!!」
ゆいが嗚咽を漏らし、大粒の涙を流して項垂れ、はるかとトワが抱き締める。みなみときららも、悲痛な顔でゆいを見て、はな達にいちか達、響達にエリオとキャロも悲しそうな顔になり、キャロは薄っすらと涙を浮かべる。
「ーーーーキャロ、少し席を外そうか?」
「っ・・・・うん」
「エリオ、お願いね」
「うん」
アコにも頼まれ、エリオが泣いているキャロを連れて退室する。少ししてゆいが少し泣き止むのを見て、輝ニは言う。
「ゆい。聞いた所によるとお前、春野達が戦っていた『ディスダーク』に何度か危険な目に合わされていたそうだな?」
「・・・・う、うん・・・・」
「この話を聞いて分かる通り、〈デッドマンズ〉に関われば命が危ない。お前が妹と奴等に知られた以上、もう無関係とは言えないだろうが。ーーーーできれば、お前には〈デッドマンズ〉には関わらないで欲しい」
「・・・・・・・・・・・・」
輝ニの言葉に、ゆいは黙ってしまう。確かに、父と兄を失った輝ニにして見ればこれ以上家族が巻き込まれるのは耐えられないのは当然である。しかし、ゆい自身も、思い出はほとんどないが、父て兄の命を奪った〈デッドマンズ〉を許せない気持ちはある。
だが、それ以上にーーーー。
【恐がらなくていいんだよ、ゆいちゃん♪】
何故だろうか、アギレラの事が気になる。彼女の瞳に、奇妙な感覚を覚えて仕方ないのだ。
「あ、あのね、お兄ちゃん、私ーーーー」
ーーーーうわぁぁぁぁぁぁぁ!!
『っ!』
《えっ? 今のエリオくんの悲鳴?》
突然エリオの叫び声が聞こえ、一同がエリオ達のいる方へと走るとーーーー。
『ヒャァァァァっ!!』
野獣のようなデッドマンが、右腕は人間のような腕に無数の顔があり、左腕は鞭のようになっていた。身体はピンク色の折り紙をアーマーを、否、アーマーというよりは全身を巨大な布で無理矢理、というよりグシャグシャに丸めようにも見え、全身の至る所にデッドマン共通の仮面状の顔が複数あるグロテスクな外見のデッドマンがおり。
その近くに、柱に叩きつけられて気絶しているエリオ。何故か“気絶している奏太を守っている”キャロとフリードと対峙していた。
「「「はあっ・・・・ハアーッ!」」」
『ウウっ・・・・!』
輝ニ、響、あおいがキックをおみまいし、デッドマンは蹴り飛ばされ地面をゴロゴロと転がる。
《出ました! 三人によるトリプルキック炸裂!》
「エリオくん!」
「うそっ!? 奏太!? どうしてここに!?」
「キャロ! 一体何があったの!?」
バイスが言い終わると同時に、あきらと奏とアコがエリオと奏太に駆け寄り、アコがキャロに問いかると、キャロがオロオロしながら答える。
「え、エリオくんに慰められている時に、奏太くんがやって来て、気まずい雰囲気になったら、奏太くんの後ろからデッドマンが現れて、奏太くんを殴り飛ばしたの。エリオくんが立ち向かったけど、左腕を鞭のようにして殴り飛ばされちゃって!」
『ヒャァァァァァ!』
プラナリア・デッドマンが起き上がるのを見て、輝ニがリバイスドライバーを装着し、プリキュア達も、ハミィとパフとアロマ、ペコリンてハリーとはぐたんにキャロとエリオと奏太を任せ、それぞれのアイテムを出す。
[レックス!]
「変身!!」
[バディアップ! オーイング! ショーニング! ローリング! ゴーイング! 仮面ライダー! リバイ! バイス! リバイス!]
「はっ!」
「ヘへへへへッ!」
「「「「レッツプレイ! プリキュア・モジュレーション!」」」」
「爪弾くは荒ぶる調べ! キュアメロディ!」
「爪弾くはたおやかな調べ! キュアリズム!」
「爪弾くは魂の調べ! キュアビート!」
「爪弾くは女神の調べ! キュアミューズ!」
「「「「届け! 4人の組曲! スイートプリキュア!」」」」
「「「「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」」」」
「咲きほこる花のプリンセス! キュアフローラ!」
「澄みわたる海のプリンセス! キュアマーメイド!」
「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル!」
「真紅の炎のプリンセス! キュアスカーレット!」
「強く!」
「やさしく!」
「美しく!」
「Go!」
「プリンセスプリキュア!」
「「「「「「キュアアラモード! デコレーション!」」」」」」
「ショートケーキ! 元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ、できあがり!」
「プリン! 知性と勇気を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアカスタード、できあがり!」
「アイス! 自由と情熱を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアジェラート、できあがり!」
「マカロン! 美しさとトキメキを! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアマカロン、できあがり!」
「チョコレート! 強さと愛を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアショコラ、できあがり!」
「パルフェ! 夢と希望を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアパルフェ、できあがり!」
「「「「「「キラキラ☆プリキュアアラモード!」」」」」」
「「「「「ミライクリスタル! ハート、キラっと!」」」」」
「輝くミライを抱きしめて!! みんなを応援! 元気のプリキュア! キュアエール!」
「みんなを癒す! 知恵のプリキュア! キュアアンジュ!」
「みんな輝け! 力のプリキュア! キュアエトワール!」
「「みんな大好き! 愛のプリキュア!」」
「キュアマシュリ!」
「キュアアムール!」
「「「「HUGっと! プリキュア!」」」」」
全員でポーズを決めた。
「決まったぜ(バギぃっ!)ハボォッ!!!」
よそ見をしたバイスの横顔に、デッドマンの拳が突き刺さり、壁に叩きつけられた。
『バイス!』
「うっ・・・・おおーっ! うっそ~ん! もうちょっとカッコつけさせて!」
「「「はぁぁぁっ!!」」」
リバイとホイップとエールがデッドマンを押し出して外に出る。
「「たぁっ!!」」
「はぁっ!」
「おりゃぁ!」
「「ふっ!」」
メロディとリズムがダブルキックを叩きつけ、ショコラがチョコのサーベルで切りつけ、ジェラートが拳を叩きつけ、フローラとトゥインクルがキックを叩きつけ、デッドマンの身体に傷を付けた。
が、
『うぅ・・・・!』
何と、負傷した身体が再生したのだ。
「うそっ!?」
「傷が治った!」
「何のバイスタンプなの!?」
「アムール分かるですか!?」
「・・・・・・・・解析完了。『プラナリア』だと思われます!」
エトワールとリズムとパルフェが驚き、マシュリがアムールに聞くと、アムールが解析した。
「『プラナリア』?」
「『プラナリア』とは、扁形動物門有棒状体綱三岐腸目に属する動物の総称です。自由生活性の扁形動物で、体表に繊毛と言う物あり、この繊毛の運動によって渦ができる事から、『ウズムシ』と呼ばれる、淡水、海水および湿気の高い陸上に生息する生物です。雑食でありますが、主食として魚・肉・昆虫等が挙げらます。さらにこの生物の特徴に、“著しい再生能力”を保有しているそうです」
『『再生能力』!?』
マーメイドが聞き返すと、アムールが詳しく説明すると、一同が驚いたように声を上げた。
「・・・・・・・・!」
マカロンが目を鋭くし、プラナリア・デッドマンの身体をつま先で蹴りつける。
「っ! 『ビートソニック』!!」
「『プリキュア・フェニックスブレイズ』!!」
「『ハート・フェザー』!!」
『ヒャァァァァァっ!!』
マカロンの意図を理解したビートとスカーレットとアンジュが各々の必殺技を浴びせると、プラナリア・デッドマンの身体から赤い血のような体液を散らしながら傷だらけになった。
が、
ーーーーブクブクブクブク・・・・。
『ヒャァァァァ!!』
傷口から気泡のような物が溢れ、全ての傷口を塞いで再生していった。
「うっそぉ〜ん! また傷が治っちゃった!?」
「ーーーー成る程ね。確かに凄い再生能力だわ」
「第一フェーズでこんな能力を持っているなんて・・・!」
『ヒャァァァ・・・・ハァッ!』
バイスが『オーマイガー』と言わんばかりの声を発し、マカロンとアンジュが戦慄したように呟くと、プラナリア・デッドマンは左腕の鞭を太く大きくして伸ばし、鞭のように振り回したかと思ったら、ジグザグに動かき、リバイスとプリキュア達を攻撃する。
「おっと!」
「よっと!」
『はっと!』
縦横無尽に動く鞭を回避するリバイスとプリキュア達。
「ハハーン! 再生する前にやっつけりゃ良いって事だね!」
バイスがプラナリア・デッドマンに向かっていく。
「バイスの言う事も一理あるな。良し。それなら!」
リバイは『ブラキオバイスタンプ』を起動させた。
「えっ? ウソ〜!」
バイスはリバイの元に戻った。
[ブラキオ!]
[Come on! ブ・ブ・ブラキオ! Come on! ブ・ブ・ブラキオ! Come on! ブ・ブ・ブラキオ! Come on! ブ・ブ・ブラキオ!]
後ろでLINEが展開される。
ーーーーちょっと何すんのよ!?
ーーーー速攻で片付けるぞ。
ーーーーえぇ? 何か攻め急いでない?
ーーーーまだゆいとの話も終わってねえんだ。
ーーーーあぁ、さっさと終わらせたいのね!
ーーーー折角だ。新しいゲノムの実験も兼ねるぞ
バイスタンプをドライバーにセットした。
[バディアップ!]
「ソイヤッ!」
身体から伸びたバイスが、『ブラキオバイスタンプ』をリバイに叩き込む。 リバイはスタンプの中で姿を変え、スタンプが砕けると、バイスも被り物を変わり、新たなゲノムへて変貌した。
[最大! 最長! 最古で最強! ブラキオー! 祝え! 長き王の誕生を!]
リバイは時計の針のようなアンテナと、大きい肩アーマーや、腕時計のベルトのような長い前掛け等から、全体的に『キングクラブゲノム』とはまた違った、『王』のような姿である。
バイスはブラキオサウルスの被り物をし、膝から下や腕はコングゲノムと共通しているように、ゴツく重厚なアーマーを纏っており、リバイの頭と同じ時計の針のアンテナをしていた。
「なんか行けるって感じ!」
「ふむ、何かこう妙にーーーー祝え! って言いたくなる姿だな?」
「「「「「あぁぁぁぁ〜・・・・!」」」」」
リバイスがそう言うと、HUGっとチームは何故か「それ違うでしょう!」と、ツッコミの姿勢で身悶えていた。
「ふっ!」
「バイスタイム!」
リバイスが腕タッチをしてから駆け出すと、ダブルパンチでプラナリア・デッドマンを殴り飛ばす。
『ヒャァァァ!』
「そらっ! そらっ!」
「いよっと!」
リバイが連続で拳を叩きつけてから、バイスが大きな足でスタンピングキックを繰り出す。
『ヒャァァァァァァァ!!』
「ふっ!」
プラナリア・デッドマンが左腕の鞭を振るうと、リバイは前掛けが伸びて、プラナリア・デッドマンの鞭を絡め捉える。
「そぅりゃあっ!!」
リバイが前掛けを引っ張ると、鞭を引きちぎる。
『ヒャァアアアアアアアア!!』
『ううーッ! やぁーッ!』
血飛沫のように体液を巻くプラナリア・デッドマンに向かって、バイスが飛び上がってから、左腕にエネルギーを籠めて叩きつけた。
『ヒャァァァァァっ!!』
プラナリア・デッドマンが傷ができたが、すぐに鞭もろとも再生する。
「あぁもう、ホント面倒くさい!!」
「脳筋なやり方だが、再生する時間を与えない!」
トゥインクルが再生を続けるプラナリア・デッドマンに悪態を吐くと、リバイはドライバーのスタンプを操作した。
[リミックス!]
四つん這いになったバイスの首裏ガードに直立したリバイが乗っかり、そのままバイスが身体、リバイが両腕でブラキオサウルスの頭部を作り、長い首を構成する『リバイスブラキオ』である。
[必殺! 発動! 激闘! ブラキオー!」
ーーーーブラァァァァァァァァ!!
『ヒャァァァァァァァ!!』
プラナリア・デッドマンが右腕の顔(人面ではなく、デッドマンの顔)が飛び出し、爆弾のように赤く発光しながらリバイスブラキオに向かう。
ーーーーブラァァァァァッ!
リバイスブラキオが咆哮すると、爆弾が空中で、ピタッ
と止まってしまった。
「えっ? 止まった!?」
「動きを止めたの!?」
「いえ、アレはまるで、時間が止まったような・・・・」
ホイップとメロディが驚くが、カスタードは訝しそうに目を細めた。
ーーーーブラァァァァっ!!
ーーーードドドドドドドドドドドドドドドド!!
リバイスブラキオは咆哮を上げてからズシンズシンと走り出し、その長い首で停止した爆弾を上へと薙ぎ払うと、爆弾が爆裂さ、プラナリア・デッドマンを上へとぶっ飛ばした。
『ヒャァァァァァァァァァ!!』
「死ぬ気で、決めるぜ!」
[ブラキオ! スタンピングフィニッシュ!]
追うように飛び上がったリバイスブラキオが前足と首をプラナリア・デッドマンに叩きつけると、『ブラキオバイスタンプ』のエンブレムが浮かび、プラナリア・デッドマンが地面に叩きつけられ、地面を僅かに陥没させて火花を散らす。
『ヒャァァァァァァァ・・・・!』
リバイスはリミックスを解除して降り立った。
「はい3!」
バイスはすぐにスイートチームとアラモードチームの間でそう言い。
「2!」
プリンセスチームとHGっとチームの間で言い。
「1!」
最後にリバイの近くに移動するとーーーー。
ーーーードガァァァァァァァァァァァァンンッ!!
プラナリア・デッドマンが爆散した。
「楽勝! 楽勝! イエーイ!」
『イエーイ!』
バイスがプリキュア達とハイタッチをし勝利を分かち合っていた。
しかしーーーー。
「大変にゃーーーー!!!」
「ハミィ?」
そんな空気を引き裂くように、ハミィが大慌てで駆け寄ってきた。
「ハミィどうしたの?」
ミューズが聴くと、ハミィはキキィィ! とブレーキをかけたように土煙を上げなから停止する。
「エ、エ、エリオが・・・・! 奏太が・・・・!」
「エリオくんと奏太くんが、どうしたの?」
「二人が・・・・誘拐されちゃったにゃーーーー!!」
『ええええええええええええっっ!!?』
「何?」
「うっそ〜ん!!」
プリキュア達が驚きの声を上げ、リバイスも目をパチクリさせた。
〜十数分前〜
ーゆいsideー
ゆいはハリー(人間態)から眠っているはぐたんを預かり、ハリーはアロマ(人間態)と共に、エリオと奏太の治療をしていた。幸い奏太は軽傷であり、エリオもそれほど酷い傷を負っていなかった。遠くから戦いの音が聞こえてくがる。
と、その時ーーーー。
ーーーーヒュルルルル・・・・バシンっ!
「うわっ!」
「ぐぁっ!」
突然何処からか伸びてきた触手に二人共殴られ、元の精霊の姿に戻ってしまい気絶した。
「ハリー!?」
「お兄ちゃん!?」
ハミィとパフが驚き、ゆいが触手が飛んできた方に目を向けると、ダイオウイカ・デッドマンから人間。戻ったオルテカがいた。
「オルテカペコっ!?」
「ーーーーさぁ、チャンスですよ?」
ペコリンが驚くと、オルテカの後ろから大川聖奈先生が現れた。
「大川先生・・・・!?」
「っ、七瀬さん?」
「な、何で先生が、〈デッドマンズ〉に!?」
「・・・・・・・・・・・・あなたには、関係ない」
自分の学校の体育の先生が〈デッドマンズ〉の信徒だった事に、ゆいは驚きを隠せなかった。
が、オルテカがゆいに向けて恭しく頭を下げるのを見て、訝し気に眉根を寄せるゆい。
その時ーーーー。
「はぁい、ゆいちゃん♪」
「っ! アギレラ!?」
不意に背後から声が聞こえ振り向くと、アギレラが笑みを浮かべていたのだ。
「さ、連れてちゃって」
「できればソコの少年も連れていきましょう。利用価値があります」
アギレラとオルテカがそう言うと大川先生は、気を失ったエリオと奏太を抱えて逃げ出した。
そして、オルテカもその場を離れる。
「あっ!」
ゆいが大川先生を追いかけようとするが、アギレラが遮った。
「っ・・・・!」
ビクッとなるゆいに、アギレラが笑みを浮かべたまま話し出す。その隙に、ハミィがコッソリとその場を離れる。
「ゆいちゃんって、今の状況に満足しているの?」
「えっ?」
「聞いたけど、ゆいちゃんって何度か〈ディスダーク〉の『ゼツボーグ』にされたけど、最終的には自分の力でソレを押しのけるようになった。でも、それでも自分は、お友達のプリキュアちゃん達の力になれない。そして今は、生き別れになっていたお兄ちゃんに守られている。そんな、”お兄ちゃんやお友達に対して何もできない自分“に、歯痒さを感じているんじゃないの?」
「っ!」
その言葉に、ゆいは図星を衝かれたように肩を震わせる。
アギレラは笑みを濃くして、ゆいに近づき、頭を撫でながら言う。
「ゆいちゃんは本当は凄い女の子なのに、『力』がないから、“いっつも除け者扱い”で、悔しくないの?」
「・・・・・・・・」
「〈デッドマンズ〉に入れば、『力』が手に入るかもよ?」
「っ、な、何を言ってるの? あなた達は・・・・!」
「思い出なんて殆どない。お父さんとお兄さんと言っても、『赤の他人』のような感覚ーーーーじゃないの? ゆいちゃんにとっては、ね」
「っ・・・・・・・・」
さらに息を詰まらせるゆい。確かに、『仇』であるのは確かだが、父と兄の記憶なんて幼いーーーーそれこそ物心付いて間もない頃の記憶しかない。肉親である筈なのだがーーーー何処か、『他人』のような感覚があった。
ーーーードガァァァァァァァァァァァァンンッ!!
そのゆいの様子に笑みを浮かべたアギレラが、その場に届いた爆発音に、つまらなさそうな顔を浮かべる。
「もう終わっちゃった。まあ良いや。またね、ゆいちゃん♪」
そう言って、アギレラはその場を去り、ゆいは立ち尽くしかできなかった。
ーオルテカsideー
そして、プラナリア・デッドマンが爆散したのを高みの見物をするオルテカは、隣に現れた男性に話しかける。
「作戦が失敗した人の顔ではないですね?」
「ええ。ここからが『本番』ですから」
その男性、『救世主の素顔の男性』が、『プラナリアバイスタンプ』を握り、薄っすらと笑みを浮かべていた・・・・。
次回、エリオと奏太は助ける為に、欲望のゲノムが発動。