仮面ライダーリバイス 悪魔と伝説の狂想曲   作:BREAKERZ

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開戦の悪魔

ー輝二sideー

 

「リベンジボーイ。これを・・・・」

 

「ん?」

 

樹海の湖に向かう途中、狩崎が輝二に渡したのは、先日回収した『イーグルバイスタンプ』と『新たなバイスタンプ』だった。

 

「これで少しは戦術の幅が広がるだろう」

 

「・・・・受け取っておく」

 

輝二は2つのバイスタンプを懐に入れると、ネックレスとして巻いている指輪を手にした。

 

「(また遭遇するかもな、ボンゴレの現ボスに・・・・)」

 

実は輝二はボンゴレには、ある繋がりがあった。

 

「・・・・っ!」

 

[リバイスドライバー!]

 

と、輝二は嫌な予感を感じ、上方へと鋭い視線を向け、リバイスドライバーを装着した。

それと同時に、空からストゥラオ・モスカが十数体くらいが、スポーツカーの前方の道路やその上空に現れた。

 

「What!?」

 

狩崎が慌てて急ブレーキを掛け、キキィィィィ! と、耳障りな音を上げながらスポーツカーは横になり、ストゥラオ・モスカに向かう。

ストゥラオ・モスカが片手を上げて、ガガガガガガガ! と、マシンガンを放つ。

 

「変身!」

 

[レックス! バディアップ! オーイング! ショーニング! ローリング! ゴーイング! 仮面ライダー! リバイ! バイス! リバイス!]

 

「イエイ!」

 

「狩崎さん!」

 

リバイが狩崎と自分のシートベルトを引きちぎり、空かさずバイスが狩崎を担ぎ、リバイと共にスポーツカーから飛び降りる。

その瞬間、ストゥラオ・モスカの放った弾丸が、狩崎のスポーツカーを穴だらけにし、スポーツカーは爆発した。

 

「っと。車、済まないな」

 

「気にしないでくれたまえ、〈フェニックス〉に請求するよ。それにしても、ストゥラオ・モスカが団体でお出迎えとはね?」

 

「うわ~、生で見ると、スンゴい趣味の悪いデザイン~!」

 

ストゥラオ・モスカがバイスの言葉に反応したのか、一斉に武器を構えた。

 

「あらぁ、気にしてた?」

 

バイスがそう言うのと同時に、ストゥラオ・モスカ達がマシンガンを放つ。

 

「ちぃっ!」

 

「うわわわわわわわ!!」

 

リバイとバイスが慌ててその場を離れようしたその瞬間ーーーー。

 

「キュァァァァァァ!」

 

と、動物の鳴き声のような声が響くと、リバイスと狩崎の眼前に、トゲが付いた紫色の雲のようなものが広がり、マシンガンの弾丸を防いだ。

 

「何っ!?」

 

「何これ雲っ!?」

 

「いや・・・・」

 

驚くリバイスだが、狩崎は冷静に『雲』を眺めると、『雲』を背負っているような『小さなネズミ』がいた。

 

「どうやらこれは、『匣兵器』のようだね」

 

『匣兵器』。

近年、裏社会の組織、マフィアが所持する、『特殊なエネルギー』で稼動するオーバーテクノロジーである。

 

「『匣兵器』? 何故そんなものが?」

 

疑問に思うリバイの後方から、先ほどから自分達を追っていた黒い車がやって来て停車し、その中から黒いスーツを着用し、黒髪に整った顔立ち、猛禽類のような鋭い目付きをした20代中盤くらいの男性が下りてきた。

 

「っ! あの男はっ!?」

 

「知ってるのかい?」

 

「俺の通う『並森高校』ーーーーいや、その『並森市』と隣町の『海鳴市』を裏から牛耳っている、『伝説の最恐風紀委員長 雲雀恭弥』!!」

 

「えっ? 何その風紀委員なのに、ギャングのような人?」

 

驚くリバイスを気にせず、雲雀恭弥は紫色のフワフワとした炎、『雲の死ぬ気の炎』を纏ったトンファーを構えて走りだし、リバイスと狩崎の横を通りすぎると、ストゥラオ・モスカ達の弾幕を全て回避して接近し、一瞬で二体のストゥラオ・モスカを破壊した。

 

「うっそぉ!? めっちゃ強いじゃんあの人っ!? ホントに人間っ!?」

 

雲雀の圧倒的な強さに驚愕するバイスを見て、雲雀が目を細める。

 

「・・・・ふぅん、最近『並森高校』の生徒が〈仮面ライダー〉になったと報告を受けたから、少し見に来てみたけど。大した事ないようだね?」

 

「・・・・・・・・あ?」

 

雲雀恭弥の薄く笑った顔と声に、リバイは仮面越しに片眉をピクンっ、と動かした。

 

「所詮、群れるだけの弱い奴らと同類かな?」

 

「・・・・・・・・」

 

「あの~、輝二?」

 

「バイス。狩崎さんを守っていろ」

 

バイスにそう言うと、リバイはダッ! と駆け出し、オーインバスター50を構えて雲雀に迫ると、その横を通り過ぎ、ストゥラオ・モスカを一瞬で三体粉砕した。

 

「ふん。こんなガラクタを潰した程度で、偉そうにしないで欲しいね。オッサン」

 

「ワォ」

 

雲雀はリバイに少し興味が出たような声を漏らす。

すると、他のストゥラオ・モスカ達が攻撃体制となり、二人に迫った。

 

「邪魔しないでね」

 

「助けてと泣いても助けねえ」

 

二人はそう言うと、トンファーとオーインバスター50を構えて、ストゥラオ・モスカに挑んだ。

 

「うっわ~。輝二ってば、完全にマジになってる」

 

「失礼。怪我はないですか?」

 

「ああ、ありがとう。・・・・凄い頭だね」

 

雲雀が降りた車から、同じく黒スーツを着用し、長いリーゼントをした男性が、狩崎を助け起こしていた。

 

 

 

 

 

ーボンゴレsideー

 

リバイスがストゥラオ・モスカに遭遇するほんの数分前ーーーー。

ヴァージル教授のアジトのある湖畔に着いたツナ達は、ストゥラオ・モスカの大軍と、それを率いる『川西美春』が変身する『クジャク・デッドマン』と交戦を開始した。

ストゥラオ・モスカ一体の戦闘力は、軍隊の一個中隊にも匹敵する。そんなストゥラオ・モスカの大軍を、たった八人で相手するのだ。普通ならば勝ち目など皆無に等しい。

がーーーー。

 

「果てな」

 

ボォンッ!

 

「『時雨蒼燕流 功式 八の型 篠突く雨』・・・・!」

 

斬!

 

「『マキシマムイングラム』!」

 

グワシャッ!

 

獄寺が骸骨の砲台で、山本が刀で、了平は拳で、戦車の大砲にも耐えるストゥラオ・モスカの装甲を貫き、切り裂き、そして粉砕していった。

 

「ふっ!」

 

そしてツナとエンマも、炎を纏った拳で、ストゥラオ・モスカを撃破していく。

 

「っ!」

 

『(ニィッ!)』

 

と、その時、ツナは背後から嫌な気配を察知し、頭を下げ、体勢を低くした。

 

バカンッ!!

 

ツナの頭があった所に、クジャク・デッドマンが尾羽で出来た巨大鉄扇を振り下ろした。避けられた鉄扇はそのまま、地面に亀裂を生み出した。

 

「『大地の拳<プーニヨ・テッラ>』!」

 

『ぐぅうっ!!』

 

エンマは重力を纏った拳をクジャク・デッドマンに叩き込むと、凄まじい斥力によって、吹き飛ばした。

 

『女性一人を相手に二人がかりだなんて、男らしくありませんねぇ?』

 

「〈財団X〉に所属する殺人鬼を相手にするんだ。生半可なやり方はしないさ」

 

『また殺人鬼だなんて、人聞きの悪い事を言いますねぇ。女性に対するデリカシーが無いですよぉ?』

 

クジャク・デッドマンは不満そうな声を漏らすが、ツナもエンマも騙されない。この女からはーーーーとてつもない『邪悪な悪意』を感じてならないからだ。

そしてクロームは。

 

「はぁっ!」

 

『霧の死ぬ気の炎』の特性、『構築』によって産み出された幻覚と、『幻覚を実体化させる装置』で生み出した火柱で、ストゥラオ・モスカを焼く。

 

『ーーーー!!』

 

しかし、火だるまになっても攻めてくるストゥラオ・モスカ。

 

ーーーーバリバリバリバリ!

 

「『電撃角<エレットゥリコ・コルナータ>』!」

 

が、ボンゴレギアを纏ったランボの決め技で一掃する。伊達に〈仮面ライダー〉との戦いに巻き込まれていないのだ。

 

「ありがとう、ランボくん」

 

「良いって事ですよクロームさん。・・・・あの島から放たれた電磁砲が、俺のバリアに攻撃したんですよね?」

 

「うん。だから間違いなく」

 

「あの島が敵の本拠地、ですか・・・・」

 

クロームとランボは、湖の中心の島を見据える。

しかし、ストゥラオ・モスカがまた攻めてきたので、二人は切り替えて迎撃した。

 

 

 

 

 

ーミラsideー

 

ミラは、十年近く前に両親の離婚によって離れ離れになっていた、輝二の『妹』、『七瀬ゆい』の側にいた。

 

「・・・・・・・・」

 

ミラは優しく、ゆいの髪を撫でてあげると、懺悔するように頭を下げ、ヴァージル教授の元に戻る。教授の後ろには、二人ほどの研究員が立っていた。このアジトでは、〈財団X〉所属の研究員や警備兵が配置されているのだ。

 

「あぁミラ。嫌な役割をさせて済まなかったね」

 

「いえ。七瀬ゆいは確保しました」

 

「うむ。まだ準備が出来ていない。暫くはストゥラオ・モスカ達に足止めをしてもらおう・・・・見たまえ」

 

ヴァージル教授が見せたのは、白と黒の光が繭のような形となった物体。

 

「・・・・あの中に、『ミハエル』が・・・・?」

 

そう、『バットバイスタンプ』と『エンジェルガイアメモリ』を入れられた少年こそ、ミラの弟『ミハエル・フォーミュ』である。

 

「君の気持ちは分かる。弟のミハエルが侵された『ウィルス』は、私の妻を、メノアの母を死に追いやった『ウィルス』と同じものなのだからな」

 

「教授、この『ウィルス』は一体・・・・?」

 

「私も長年『ウィルス』に関する研究をつづけてきたがが、こんな未知のウィルスは初めてだ。だからこそ、こんな『ウィルス』にも負けない、強靭な身体として、『バイスタンプ』をよって産み出される悪魔。それを制御する為のドライバー。そして最後に、『天使』の記憶が宿る『エンジェルガイアメモリ』によって、更なる進化が起こる筈だ!」

 

「ですが・・・・」

 

「ん?」

 

ミラが不安そうな顔となり、ヴァージル教授は怪訝そうに眉根を寄せた。

 

「この戦い、何も問題はありません、よね?」

 

「私はこの研究で妻を蘇生させる。君は弟のミハエルを取り戻す。そしてこの研究結果を手土産に、〈財団X〉で地位を得る。そうすれば、我々には安住が待っているのだ」

 

「ですが、この悪魔がそれ程の力を持っているのか・・・・」

 

「その実験の為に、〈仮面ライダーリバイス〉を誘きだしたのだ。さらに、〈財団X〉にとっても邪魔な存在であるネオボンゴレファミリーとシモンファミリーボスを始末すれば、我々の地位は不動となる。何も心配はいらない。私の娘と仲間達は強いからな」

 

「・・・・・・・・」

 

ミラは不安そうな顔をさらに濃くすると、ミハエルを観測していた計器に反応があった。

 

「っ、リバイスが近づいているようだ」

 

「(輝二・・・・)」

 

ミラはここに向かってくる〈仮面ライダーリバイス〉に、輝二に会うのを恐れていた。

 

 

 

 

ーボンゴレsideー

 

『っ!』

 

「ーーーーっ!!」

 

『かはぁっ!』

 

クジャク・デッドマンが攻撃を回避し、カウンターで拳を叩きつけると、クジャク・デッドマンが大きく引く。

そして、エンマはジャンニーニから、川西美春の新しい情報を聞いていた。

 

『ぐっ・・・・!』

 

「貴方は以前、『天ノ川学園高校』に赴任してから、貴方は自分がそれまで、十数人もの問題のあった生徒達を殺したり、謀殺していた事を暴かれてしまい、逮捕されそうになったと。その時に、〈財団X〉にスカウトされたんですね?」

 

『・・・・ええ、そうですよ。でも、それが何だと言うのですかぁ? 私は弱者を救うため、社会のゴミになる生徒達を掃除していただけです。そう、超能力何かを使う怪物達からね!』

 

エンマの言葉に、クジャク・デッドマン、川西美春は悪びれもなく言った。

 

「そんなの教師のやる事じゃない。教師は生徒達と向き合って、教え、導く存在だ。お前のやってる事は、『弱者を守る』と言う題目を立てて、自分の殺人欲求を満たしているだけだ。教師と言う職務を侮辱している行為だ。そんな貴方が、教師を名乗る資格はない!」

 

「超能力を正しい事に使う事を教え、正義の戦士『イナズマン』を生んだ教師がいた。その人が、貴方のこれまでの殺人を暴いた教師、『如月弦太郎』も、同じ事を言ってたのではないですか?」

 

『っっ!!』

 

『如月弦太郎』の名を出した。そこで、それまで余裕綽々で慇懃無礼で、人を小馬鹿にした態度のクジャク・デッドマンから、初めて怒気を感じた。

 

『・・・・あの「青春だ!」とか、「友情だ!」とか、「教師も生徒も皆友達だ!」とか、暑苦しく青臭い理論を出す新米教師ーーーー本当に暑苦しくて、鬱陶しかったわ』

 

クジャク・デッドマンが冷酷に呟くと、破壊されたストゥラオ・モスカの残骸から、プシュゥゥゥゥゥ~! と、煙幕が発射され、周囲が煙に覆われた。

 

「っ」

 

「コンタクトディスプレイが・・・・!」

 

煙の中にはチャフが含まれているのか、コンタクトディスプレイにノイズが走る。

 

ザシュ! ザシュ!

 

「「ぐぁっ!」」

 

ツナとエンマの肩を、鋭い刃物が小さく切り付ける。

そして、煙の中にいるクジャク・デッドマンが静かに手の平から鋭い刃を取り出す。

 

『(うふふふふ。私のガイアメモリは『キラー』、『殺し屋の記憶』が宿っているメモリ。こんな煙の中でも、真っ暗闇の中でも、獲物を仕留める事ができ、気配を消す事など動作もないの)』

 

クジャク・デッドマンは、肩を押さえて動かない二人から、ツナの方に向かう。

 

「(先ずはネオボンゴレボスを仕留め、その後シモンファミリーボスを仕留めましょうか)」

 

冷酷に、そして悪意に満ちた歪んだ笑みを浮かべながら、クジャク・デッドマンはツナの背後に回ると、その刃を振り下ろし、それがツナの側頭部に向かって、刃を押し付けよう振り下ろし、刃がツナに突き刺さろうとしたその時ーーーー。

 

ヒュン・・・・。

 

『は?』

 

クジャク・デッドマンは間の抜けた声を漏らした。何と、ツナの姿が、陽炎のように消えたのだ。

 

『ま、まさか、残像・・・・?』

 

「いくら気配を消してもーーーー」

 

『っ!』

 

クジャク・デッドマンが背後の声に振り向くと、ガントレットを構えたツナがいた。

 

「お前の身体から漏れでている、『どす黒い悪意』までは消せないっ!!」

 

『はっ!?』

 

振り向いたクジャク・デッドマンの腹部に、ガントレットを叩き込んだ。

 

「『ビッグバンアクセル』!!」

 

『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!』

 

収束された炎エネルギーが、インパクトの瞬間に爆裂し、クジャク・デッドマンの身体を炎が包み込み、

 

ドガアァァァァァァァァァァァァァンン!!!

 

爆散した。

 

「「・・・・(コクン)」」

 

爆風で煙が吹き飛ぶと、ツナはエンマと合流し頷き合い、クジャク・デッドマンの爆発地点に目をやると。

ソコには、川西美春の姿はなく、破壊されたドライバーと、ブレイクされた『キラーガイアメモリ』。そして、ドライバーから無傷の『クジャクバイスタンプ』が出てきて、地面に落ちた。

辺りを見ると、仲間達もストゥラオ・モスカを片付けたのか悠然と立っていた。

 

 

 

 

ーメノアsideー

 

「寸での所で逃げたようですね」

 

「まぁ、あんな殺人欲求の塊みたいなサイコパス教師にやられるようなら、その程度とも言えるわ」

 

「(コクン)」

 

近くの丘で戦況を眺めていているのは、メノア・ヴァージルとノノを肩に乗せたケイだった。

 

 

 

ーミラsideー

 

ミラは一抹の不安を抱えながらも、弟のミハエルが目覚めるのを、心待ちにしていた。

思えば、長い日々だった。

幼い頃に両親を亡くし、二人は街から離れた教会の孤児院で育ってきた。決して裕福ではなかったけど、神父様にシスター、同じく孤児の仲間達に囲まれ、とても幸せだった。

身体は弱かったが絵を描くのがとても上手だったミハエルは、近所の虐めが好きな子供達、特にそのグループのリーダーである資産家の御曹司にターゲットにされていたが、その度に孤児院の仲間達が庇ってくれたりしてくれた。不幸が起こっても、必ず幸せがやってくる。神様はいるんだ。祈ればきっと救われる。ミラはそれを信じていた。

ーーーーだが、最悪の不幸がやって来た。

ある日、絵画コンテストにて、資産家の御曹司の描いた絵が落選し、ミハエルの描いた絵が優勝した。勿論、自分も神父様もシスターも孤児の仲間達もそれはとても喜び、皆でお祝いしようとした。ミラもミハエルに花束を送ろうと、少し遠くにある花畑で籠いっぱいに花を詰めて教会に帰った。すっかり暗くなり、シスターに怒られちゃうと少し不安になるミラ。

だが、教会に帰ったミラの目の前に広がったのはーーーー炎に包まれた教会だった。ミラは籠を落とし、急いで教会に向かおうとすると、傷だらけのミハエルが自分に近づいてきた。何があったか聞くと、突然、柄の悪い男達が数人押し寄せ、自分達を鉄パイプなどで殴り気絶させた。神父様が庇ってくれて軽傷だったミハエルは、助けを呼ぼうと裏口からコッソリと抜け出すと、突然爆発が起き、教会が炎に包まれた。

その暴漢達が近づいているのに気づいたミラは、ミハエルを連れて茂みに隠れた。そして、暴漢達が言っていた。何と、資産家の御曹司が、ミハエルに優勝を奪われた腹いせに、金で暴漢達を雇って教会を燃やさせたのだ。

驚愕するミラとミハエルだが、暴漢達は突然現れた黒服の男に射殺された。おそらく、口封じだろう。ミラは見つからないように隠れ、ミハエルを守りながら祈った。

 

【神様助けて! 神父様を! シスターを! 皆を助けて!!】

 

が、その祈りは届かず、消防が駆けつけ、消火を終えた教会を見るとソコにはーーーー真っ黒な焼死体となった皆がいた。ミラもミハエルも泣き崩れた。

警察に言っても精神を病んだ子供の妄言として聞き入れて貰えなかった。そして夜遅く。病院に入院していたミラは、自分達の病室に入ってきたあの時の黒服の男の他に、資産家の御曹司がいた。どうやら自分達の口も封じに来たようだが、来ることを予期していたミラはベッドの下に隠れており、隠し持っていたカッターで黒服の男の頸動脈を切って殺し、男の持っていたサイレンサー付きの拳銃を奪い、資産家の息子に向けた。

いつも自分達を馬鹿にし、ゴミでも見るような目で見下していたその御曹司は、尻餅を付いて涙や鼻水を垂れ流し、失禁しながら惨めに命乞いをした。

ミラは、こんな奴のせいで、皆は殺されたんだ! と、怒りのままに引き金を引こうとしたが、父親や母親に助けてと喚く無様な御曹司を見ると、コイツにも家族がいるんだと思い、警察に真実を伝えるよう約束させると、拳銃を下ろした。

が、その時、その御曹司はミラに飛びかかり、拳銃を落とさせると、ミラを顔を殴り、馬乗りになって、ミラの首を両手で締めた。

 

【お前らみたいな下賎の人間が、この僕に命令してんじゃねぇよ!!】

 

逆上し、殺されそうになるミラ。

 

【(神様・・・・! いや、そうか、神様なんて、いないんだ・・・・)】

 

また神に祈ろうとするミラ。しかし、彼女は気づいた、この世に神なんて、存在しないのだと。

死を受け入れそうになったミラだが、唐突に、プシュンっ! と、拳銃の銃声が鳴り響くと、御曹司の脳天から血が垂れ、そのまま力無く倒れ死んでいた。

ミラが息子を押し退けて辺りを見ると、ベッドの下に隠れさせていたミハエルが、銃口から煙を出している拳銃を握って、ガタガタと震えていた。

 

【ね、姉さん!!】

 

【ミハエル!】

 

泣きながら自分に抱きつく弟を抱き止めたミラ。二人の病室に、〈財団X〉の研究員が入ってきた。後で聞いてみると、御曹司の父親は〈財団X〉の下部会社であり、その資産家も息子には手を焼いていたとの事だ。ミラとミハエルは、〈財団X〉に引き取られ、特殊戦闘員として訓練をしていた。

ミラは何とかこなしていたが、ミハエルは身体が弱く、さらに心優しい性格だったので、殺しはまるで出来なかった。それだけでなく、『未知のウイルス』に身体を蝕まれていて、このままでは、処分されると思ったが、ヴァージル教授の実験の被検体となる事で、命を繋いだのだ。

そして今、宙に浮いていた光の繭が開きーーーーミラと同じプラチナブロンドの髪と、美しい赤い瞳に、美術品のような美麗な中性的な美少年、弟のミハエルが姿を表し、目を覚ます。

 

「姉、さん・・・・」

 

「ミハエル!」

 

「姉さん!ーーーーうっ!」

 

「ミハエル?」

 

「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」

 

ミハエルが突然苦しみだし、漆黒の闇のオーラを放った。

ミラとヴァージル教授が驚愕する。

 

「ミハエル!?」

 

「な! まさか、『バットバイスタンプ』の悪魔かっ!?」

 

ヴァージル教授が驚くが、黒のオーラがミハエルの身体に纏わりつくと、黒のレザースーツのようになり、ミハエルの身体に着用した。

 

「ミ、ミハエル・・・・?」

 

「・・・・・・・・あぁん? ミハエルじゃねえよ、お姉様っ!!」

 

ミハエル?が、人差し指をミラに向けると、ソコから光線が発射され、ミラの身体をーーーー。

 

「危ないっ!」

 

が、直前にヴァージル教授がミラを突き飛ばすと、光線がヴァージル教授の左肩を貫いた。

 

「ぐぁっ!」

 

「教授っ!?」

 

「ふぅん、やるねぇ、教授先生♪」

 

痛みに悶えるヴァージル教授は起き上がり、ドライバーを腰に巻き付けると、『メガロドンバイスタンプ』を取り出した。

 

[メガロドン!]

 

「こんな結果になるとはな・・・・! しかし、ミハエルは返して貰おう!」

 

『メガロドンバイスタンプ』をドライバーに押し込むと、ヴァージル教授の姿が、『メガロドン・デッドマン』へと変貌した。

 

「へぇ~じゃあこっちも!」

 

ミハエルが歪んだ笑みを浮かべ、両手を広げると、影の中から無数の蝙蝠が出現し、身体を包み込むと、その姿を変貌させた。

蝙蝠のように突き出た耳、暗闇のように漆黒な身体、所々に蝙蝠の趣向がある姿、『バット・デッドマン』へと。

 

『ウォーミングアップくらいにはなってくださいよぉ? 教授先生♪』

 

『はぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

メガロドン・デッドマンとバット・デッドマンがぶつかり合う。

 

「・・・・・・・・・・・・ミハエル、何で・・・・?」

 

その様子を、ミラは愕然となるだけだった。

 




急展開した事態。この状況をリバイスはどうするのか!?
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