ウルトラマンゼット。彼は、別宇宙の地球を守るために戦い、命懸けでセレブロの文明自滅ゲームを阻止した。そんな彼は、一体化している地球人のナツカワ・ハルキ、そして仲間になった幻界魔剣ベリアロクと共に光の国へと帰還を果たす。
「ここ最近、様々な宇宙で宇宙警備隊や現地のウルトラマンが交戦中の怪獣が連れ去られるという事態が発生している。ゼット、以前君が守った地球のある宇宙に急行し、監視を行ってほしい」
宇宙警備隊隊長であるゾフィーは、ゼットに監視任務を与えた。無論、この任務はゼットだけに与えられた任務ではない。
若手であるジードやタイガ、ベテランであるグレートやパワードは各々がかつて守った地球のある宇宙に派遣されているし、ウルトラ兄弟も光の国と同じ宇宙の太陽系に派遣されている。また、文明監視員も動いている。
「頼んだぞ、ゼット。この先何が起こるか分からない、気をつけて行くんだ」
隣にはウルトラマンエースもいた。
「分かりましたエース兄さん!行ってきます!」
育ての親であり、尊敬する先輩でもあるエースに激励されたゼットは、任務へと向かった。
そして、ゼットとハルキの2人は地球付近へと戻ってきており、月面にいた。今回、ベリアロクは連れてきていない・・・というか、ついて来なかった。
『ゼットさん、地球は綺麗ですね』
『そうだなハルキ、地球はウルトラ綺麗だ』
2人は、久しぶりに見る地球に見惚れている。そのため、あることに気づくことが出来なかった。
突然、背後にウルトラマンを吸い込める程の大きな空間の割れ目が現れる。中は紫色で、気味悪い目の模様が散りばめられていた。そして、吸引が始まった。
『何だこれは?』
『ゼットさん!吸われてますよ!』
既に、左半身が吸い込まれかけている。さらに、吸引は強くなる。
『これはウルトラヤバイ!』
『うわぁぁぁぁぁ!』
割れ目はゼットを完全に飲み込むと、何事も無かったかのように閉じてしまった。後に、文明監視員が来訪したことでゼットの失踪が光の国に伝わったという。
『・・キ!ハルキ!目を覚ませハルキ!』
「うっ・・・ゼット・・さん・・・ハッ!」
気絶したハルキは、ゼットの声で目を覚ました。
「たしか、月面にいた俺達は目玉の浮かんだ空間に吸い込まれて・・・・」
『あのウルトラ気持ち悪い空間に吸い込まれた後、変身が解除された状態で知らないところに来てしまったようだ』
「とにかく、探索したほうが良さそうっすね」
ハルキは仰向けの状態から上半身を起こす。周囲を見渡すと、草原や湖、竹林が見えた。
「あれは・・・」
見渡す中、ハルキの目に何かが映る。
それは・・・
「ストレイジのレーザーライフル?それに、ヘルメットと防弾チョッキまで!」
20式レーザー小銃、ヘルメット、防弾チョッキ。いずれも地球を旅立つときに持っていかなかった装備達である。
「どうして・・・・?」
『まあ、ハルキ。誰がくれたか分からないが、ありがたく受け取っておこう。後で必要になるかも』
「そうっすね、ゼットさん」
ハルキは、防弾チョッキを着こんでヘルメットを被り、小銃を背中に背負った。
『ハルキ、とりあえず湖の方へ向かおう。釣りでもしてる住人がいるかもしれない』
少し歩き、ハルキは湖のすぐ近くにたどり着いた。
「ゼットさん、あそこに赤い洋館がありますね。行ってみましょう!」
『待つんだハルキ、なんか人ならざる者の気配を感じる。あそこ、ウルトラヤバイ場所かも』
「じゃあ、あそこは保留で・・・・・ん?」
『どうしたハルキ?・・・え?あれは!』
赤い洋館とは別方向の離れた空を見上げる。すると、空間がひび割れていた。割れ目からは、赤い空間が見える。
「Zさん、あれってバラバのときの!」
『あぁ、間違いない。超獣が来る』
やがて、ひび割れは完全な穴となる。その中から、巨大な何かが地面に降下した。
嘴の付いたオレンジ色の頭部に、そこから生えている1本の角、芋虫のように蛇腹状の青い体、そして背中にあるオレンジ色の光る結晶体。その正体は、一角超獣バキシムであった。
『ハルキ!あれはバキシムだ!』
「行きましょう、ゼットさん!」
ハルキはリュックからウルトラゼットライザーを取り出して構える。そして、ウルトラアクセスカードを挿入しようとしたが、ある光景を見て動きが止まった。
「ゼットさん、俺たち幻覚でも見てるんですかね?」
『ウルトラ信じられないが、現実みたいだ』
2人が見た光景。それは、2人の人間?が生身で空を飛び、光弾を大量に放ってバキシムを攻撃しているところだ。
「行くぞ早苗!霊夢が怪我して動けない分、私達が頑張るんだ!」
箒に跨がり、黒い魔女の帽子を被った金髪の少女、霧雨魔理沙は声を張り上げる。彼女の友であり、博麗の巫女である博麗霊夢は、とある怪獣との戦いで大怪我し、永遠亭に運び込まれていた。
「そうですね魔理沙さん!紫さんが来るまで人里を守りぬきましょう!」
魔理沙の隣に並び立つのは、守矢神社の風祝である東風谷早苗だ。
「早苗、あの怪獣知ってるか?」
「もちろん!あれは一角超獣バキシム、腕から放つ火炎やロケット弾、頭の角型ミサイルが武器です!」
「わかった!」
魔符「ミルキーウェイ」!
開海「海が割れる日」!
魔理沙は、周囲に出現させた複数の魔方陣から星型の弾を大量に発射。早苗は、波打つような弾幕で左右から挟み込んで攻撃する。
だが、相手は超獣だ。妖怪を殺せるレベルにまで威力を上げた弾幕くらいでは、通用するはずがない。
「全然効いてないぞ!この前の小さい奴とは桁違いだ!」
「そりゃそうですよ、あれは以前のゴメスより大きいですし、怪獣を越えた超獣ですから!」
以前、小型のゴメスが人里を襲った時、2人は霊夢と共に戦い、威力を上げた弾幕で討伐に成功していた。
「ギヤァァァァァオ!」
バキシムが咆哮し、腕と鼻から多くのロケット弾を魔理沙達に発射する。そして、魔理沙達の後方には人里が存在していた。
「やらせるか!」
恋符「ノンディクショナルレーザー」!
複数の魔方陣からレーザーを発射する。数本のレーザーはロケット弾の雨を凪払うように動き、多くを撃墜する。撃ち漏らしもあったが、それは早苗によって排除されていた。
しかし、未だにバキシムに対して有効な打撃を加えられていない。攻撃を迎撃するにしても、人間である以上、このままでは限界が来る。
「このままだとジリ貧だ」
魔理沙と早苗には、焦りの色が見えていた。
「ゼットさん、あのままだと・・・」
『あぁ、いつかは負けるだろうな。ハルキ、俺たちも行くぞ!』
「押忍!」
《Haruki Access granted.》
ウルトラアクセスカードをライザーに挿入し、ブレード部分をスライドさせた後、ゼットライザーを上に掲げる。
『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼーット!』
「ウルトラマーン!ゼーット!!!」
相棒の名を叫びながら、ハルキはライザーのトリガーを引いた。
《UltramanZ Original!》
上空から光が溢れだし、その中から出現したウルトラマンゼットは飛び蹴りを喰らわせ、バキシムを少し後退させる。
「ヘェアァァッ!!」
ゼットは両手の拳を胸の前で突き合わせるようなポーズをとると、バキシムと相対した。
『ハルキ!相手は超獣だ、気を抜くなよ!』
『押忍!!!』
「怪獣の次は巨人か?」
と、魔理沙はゼットを見上げて言う。
「ウルトラマン・・・・」
「え?」
「魔理沙さん、あれはウルトラマン。正義のヒーローです!」
それは、早苗の知らないウルトラマンだった。銀、青、赤の3色で構成されているのは、彼女の知る最新のウルトラマン、ゼロと同じだが、それに加えて黒いラインが入っている。何よりも目立つのは、Zの形のカラータイマー。まさに、ウルトラマンゼットは奇抜に見えた。
「ジェア!」
ゼットは前方宙返りでバキシムに接近する。目の前に着地したゼットに対し、雄叫びを上げながらバキシムは棘のついた腕を振るう。
「ジェェェア!」
ゼットは姿勢を低くして回避すると、右肩でショルダータックルをバキシムにかます。
「ジェア!」
さらに、バキシムの胸部へ右手の手刀を2連続で当てる。
続けて、バキシムの両手を持って腹部に膝蹴りを当てると、頭部を掴んで背負い投げした。そして、ゼットはバキシムに馬乗りになり、何度も手刀を喰らわせた。
「すげえ執拗に攻撃してるな・・・」
「魔理沙さん、それは相手が超獣だからですよ。それに、エースだって超獣相手にあんな感じで戦ってますから」
「エース?」
「ウルトラマンエース、超獣退治の専門家です!動きが似てますし、あのウルトラマンはエースと何か関係がありそうですね!」
ゼットは執拗に攻撃しているが、これは「完全に動きを止めるまで攻撃を続ける」という、エースから教わった対超獣の心得を忠実に守っているからである。
ゼットは攻撃を続けていくが、突然バキシムが腕から連射したロケット弾が直撃したことで引き剥がされる。そして、バキシムはゼットに対して火炎を浴びせかけた。
「ジェアァァァァ・・・」
7万度の火炎を浴びせかけられたゼットは悶え、一時的に行動不能となる。バキシムは、そんなゼットに少しずつ接近していた。
秘術「グレイソーマタージ」!
早苗は、ゼットを助けるためにスペルカードを宣言し、五芒星の形の光輪を高速回転させてバキシムにぶつける。
「私もいくぜ!マスタースパーク!」
魔理沙は手にしたミニ八卦炉をバキシムに向け、極太の光線を放つ。
五芒星は砕け、マスタースパークもあまり効果は無かったが、ゼットが立ち上がるための隙を作ることができた。
ゼットは近くまで接近していたバキシムの腹部を蹴り、バックステップで距離を取ると再びバキシムと相対する。
「ギヤァァァァァァオ!」
バキシムは別名の元となっている頭部の角型ミサイルを発射する。
「ジェア!」
ゼットはトサカに手を添え、スラッガー状の光波弾であるゼットスラッガーを放って相殺、ミサイルの爆発による煙で視界が悪くなった。
『今だハルキ!あの技で決めるぞ!』
『分かりましたゼットさん!』
Zは拳を握りしめた両腕をクロスさせた。
『エース兄さん直伝!』
そして、クロスした両腕を上下に開く。
(この動き!まさか!!)
早苗にはこの動きに見覚えがあった。
『バーチカル・・・・ギロチン!!!』
両腕の間に形成された半月状の光のカッターをバキシムに向けて放つ。バーチカルギロチンは煙を引き裂いて進んでいき、バキシムを縦に真っ二つにする。バキシムの体は、左右に倒れると爆散した。
爆発すると同時に、ゼットはいつもの拳を突き合わせるポーズを取る。そして、早苗達の方へ向く。
「ジェア!」
ゼットはサムズアップをきめ、目をキラキラとさせた早苗はそれに対してサムズアップで返した。
「ありがとう!ウルトラマン!」
ゼットはその言葉を聞くと、空へと飛び立つ。軌跡で空にZを描くと、ウルトラマンはどこかへと消えた。
「ウルトラマン、カッコいい奴だぜ・・・」
魔理沙は呟く。
「魔理沙さん!ついにウルトラマンのカッコよさを分かってくれましたか!今度一緒にウルトラマンのDVDを見ましょう!」
「あっ、あぁ・・」
魔理沙は早苗の熱意に圧倒されていた。翌日、魔理沙はウルトラシリーズを見ることになり、そのままファンになった。また、人里では怪獣を倒した巨人の噂で持ち切りとなり、早苗によってその巨人がウルトラマンと呼ばれる存在であることが広められた。
ウルトラマンゼットの消えた空を見ていた者は、早苗と魔理沙だけではなかった。
「ナツカワ・ハルキ君、そしてウルトラマンゼット。しばらくの間、幻想郷のことをよろしく頼みますわ」
そこにいたのは、リボンの付いた白い帽子を被り、白いドレスと中華風の紫の前掛けを組み合わせた導師服を着ている金髪の女性だ。女性は、多数の目が浮かんでいる空間を開くと、その中に消えた。