そういえば、ウルトラマンゼットは初めて明確に最初から最後まで見たウルトラマンだったな。まあ、本編以外は殆ど追えてないんですけどね…
『ハルキ、町が見えてきたぞ』
「そうですね、ゼットさん。後は、住民との接触が上手くいくことを祈るだけっす」
バキシムとの戦いの後、人気のない場所に降り立ったハルキは戦いの途中に見えていた町に歩いてきていた。
その町は外周が木の壁で覆われており、内部を詳しく見ることはできなかったが、建物の屋根に瓦が使われているのは確認できた。おそらく、和風の建物が立ち並んでいるのだろう。やがて、ハルキは町の数少ない出入口である門の前に辿り着いた。
「おや、見慣れない顔だな。おまけに珍しい服装をしている。もしかして、外来人か?」
門の前には一人の女性が立っていた。青のメッシュが入った腰まで届くくらいの長い銀髪で、頭には変わったデザインの帽子をかぶっている。そして、ワンピースのような構造の青い服を着ていた。
「外来人?というのはよく分からないっすけど……俺、ナツカワハルキっていいます!」
「おお、元気の良い奴だ。ハルキといったな。私は上白沢慧音、この人里の寺子屋の教師兼人里の守護者をさせてもらっている。私が教えられる範囲であれば、色々と教えてやろう」
「ありがとうございます、慧音さん」
ハルキは頭を下げる。そのまま、ハルキは慧音に連れられて人里に入り、彼女の家に案内される。そして、この場所について説明を受けた。
「ここは幻想郷と呼ばれる土地なのだが……」
慧音の説明によると、ここは幻想郷と呼ばれる土地らしい。幻想郷は博麗大結界という結界によって外部と完全に遮断されており、外の世界で忘れられたものや失われたものが流れ込んでくる。そして、妖怪や妖精といった空想の存在が住んでいるとのことだ。あくまでも幻想郷は結界で遮断されているだけなので、別世界というわけではない。
「時折、外の世界から幻想郷に何らかの要因で入り込んでしまう人がいて、私達は外来人と呼んでいる」
「外から来たから外来人なんすね。で、迷い込む要因って何があるんですか?」
「そうだな……修理や点検で大結界が緩んだ時に迷い込むのが多いが、とある妖怪によって誘拐されて幻想郷に来てしまうこともある。ハルキ、こちらに来る前に何があったか覚えているか?」
「そうっすね。たしか……」
ハルキは思い出す。変身した状態で月面にいた時、いきなり背後に現れて自分達を吸い込んだ空間の裂け目のことを。そして、内部は紫で気味の悪い目の模様が散りばめられていたという特徴を彼女に伝える。なお、その時の様子については色々と誤魔化しているが。
「その空間の裂け目は間違いない。あの大妖怪が作ったスキマという特殊な空間だ」
「その大妖怪って何者なんですか?」
「八雲紫。幻想郷を創設した存在の一人にして、妖怪の賢者だ。境界を操作する能力を駆使して外の世界に行ったり、気に入った存在を幻想郷に連れ去ったりする」
「俺はその八雲紫とかいう人に連れ去られたってことっすか」
『八雲紫か……ウルトラ凄い力の持ち主みたいだ』
とにかく、自分達が来てしまった土地と誘拐の犯人について必要な情報を得ることができたハルキとゼットだったが、最後に一つだけ知りたいことがあった。
「慧音さん。そういえば聞き忘れていたことがあったんですけど、幻想郷には昔から怪獣がいたんですか?」
「怪獣……あぁ、あの巨大生物のことか。連中が現れたのは最近になってからだ。外の世界から来たのではないかと思っていたが、妖怪の賢者によると外の世界にはあのような生物は過去にいなかったそうだ。一体、連中は何処からか来たのか……」
「外の世界にもいない?」
『ハルキ……その通りだとすると、幻想郷があるのは俺達がいた地球とは別の地球ってことになる』
ハルキとゼット、そしてストレイジの面々が戦ってきた地球は、怪獣や宇宙人が頻出するような世界であった。自分が所属していた組織のことも含め、そのことを彼女に説明すると……
「なるほど、君は外の世界どころか完全な別世界からきたのか。しかも、怪獣と戦う部隊に所属していたと……あの妖怪が君を連れてきた理由がようやく分かった」
ハルキの持つ怪獣の知識や怪獣と戦ってきた経験を借りるために連れてきたのだろうと解釈した慧音。実際にはそれに加えてハルキと一体化しているウルトラマンゼットの力を借りるという目的もあるのだが、彼女には知るよしもない。
「それはさておき……ハルキ、君のために住居を用意させてもらうが、取りあえず今日は私の家に泊まってくれ……まあ、明日には住居も準備できるだろう」
「色々とすいません、慧音さん」
その日、ハルキは彼女の家に泊まることになり、食事と風呂、寝床を提供された。
数日後、自宅を与えられたハルキは人里に馴染んでいた。力仕事をしたり、寺子屋を手伝ったりするなど、人里の一員として扱われている。そんなある日、ハルキの所に来客があった。
「私は清く正しい新聞記者、鴉天狗の射命丸文です! あなたが外来人のハルキさんですね?」
「はい、俺がナツカワハルキっすけど……新聞なんてあるんですね」
ハルキの目の前にいるのは、新聞記者を名乗る鴉天狗という妖怪の少女、射命丸文。髪は黒髪のボブで、頭には山伏のような赤い帽子を被っている。そして、鴉天狗であることを証明するように、背中からは黒い翼が存在するのが見えた。
「私達、天狗は新聞を発行してるんですよ。ちなみに、私が出してるのは〈文々。新聞〉っていいまして、これが今日の新聞です。お近づきの印にどうぞ」
そういって新聞を手渡してくる射命丸。新聞に少し目を通してみると、中身は新聞というよりかは週刊誌のような感じだった。
「それで本題ですが……是非、ハルキさんを取材させていただきたいと思いまして。大丈夫ですか?」
「いいっすけど、取材なんて緊張しますね……」
そして、射命丸による取材が始まった。
「へえ、ハルキさんは怪獣と戦う部隊にいて、怪獣と同じスケールの特空機とかいう大型の機械に乗り込んで戦っていたんですね……そういえば、私の友人が怪獣対策で似たようなものを作ろうとしていたような……」
「意外と幻想郷でも機械を作れる人っているんですね」
「妖怪の山は外の世界と同等かそれ以上の技術力を持っているんですよ。特に、河童は機械を作るのが得意なんですけど、最近は怪獣と戦うための機械を急ピッチで作っているという話です」
幻想郷には妖怪の山という場所がある。文字通りに妖怪が住んでいる山であり、射命丸の種族である天狗によって支配されている組織的な社会となっており、侵入してきたよそ者を排除する程に仲間意識が強い。そのため、少し前に外の世界から神社が転移してきた時には騒ぎになっていたという。
「ハルキさん、もし良かったら私の友人に会ってみませんか? 実際に対怪獣用の機械を操ってきた人に会えたら、友人が喜ぶと思いまして……」
「俺は構わないっすけど、人間の俺が妖怪の山に行ってもいいんですか?」
「大丈夫ですよ。新聞記者は一人までなら客を招いてもいいという特例があるので」
「じゃあ、お邪魔させてもらうっす」
こうして、ハルキは妖怪の山に招かれることになった。念のために戦闘用の装備も準備し、戸締まりも終えたのだが……
「そういえば、妖怪の山までどうやって行くんですか?俺、空も飛べないっすよ」
「それはご安心ください!私が運びますから!」
「運ぶって……え?ちょ!?」
次の瞬間、ハルキの体が射命丸によって小脇に抱えられる。彼女は妖怪なので人間よりも力が強く、成人男性くらいなら余裕で抱えることができるのだ。
「では、行きますよ!」
「まって、速……う、うわぁぁぁぁぁっ!!!」
そして、彼女は翼を広げて飛翔すると、とてつもない速さで妖怪の山へと飛んでいく。天狗は幻想郷において最速の種族であり、ハルキは予想外のスピードに絶叫。二人は空の彼方に消えていった。
『ハルキ……大丈夫か?』
『なんとか大丈夫っす。でも、ウルトラマンになった経験がなかったらヤバかったかも……』
ウルトラマンの飛行速度は音速を越え、速さ自慢の天狗よりも速く飛ぶことができる。特空機のパイロットである上、ゼットと一体化して何度も共に戦ってきたハルキであれば問題なかった。
それはさておき、ハルキは射命丸に連れられて妖怪の山に入った。途中、彼女の友人である白狼天狗の少女に出会ったりしながらも、河童が住んでいるエリアに辿り着く。
「やっぱり、河童って水辺に住んでるんですね」
ハルキの視界に映るのは、水辺で動き回ったり、水中から顔を出している多数の人影。彼女達は皆、河童である。
「そうですね。殆んどの河童は水辺に住んでますよ。まあ、中には川から離れた山童という者達もいますけどね」
その時、河童の集団の中から飛び出してきた一人が接近してくると、声をかけてきた。
「射命丸じゃないか。おや、そっちの盟友は?」
「あぁ、彼はですね……」
河童の少女にハルキのことを紹介する射命丸。外の世界から来た人間であり、怪獣との戦いの経験があることを説明されると、少女は目を輝かせてハルキに自己紹介してきた。
「はじめまして、盟友。私は河城にとり、機械いじりが大好きな河童の一人さ。君の話、色々と聞かせてもらうよ?」
「め、盟友?」
「あぁ、河童と人間は古来からの盟友だからね。だから、私は人間を盟友と呼ぶのさ。とりあえず、私のラボに案内するよ」
こうして、ハルキはにとりという河童の少女のラボにお邪魔することになり、射命丸と共に彼女の後についていこうとしたのだが……
ゴォォォォ……!!
「「「!?」」」
突然、風切り音が混じった轟音が遠くから響いてくる。その方向を見てみると巨大な竜巻が存在しており、妖怪の山へと向かってきていた。
「どうして竜巻が?! 山の周辺の風は天狗によって制御されているのに……」
射命丸は妖怪の山の付近における竜巻の発生に驚きを隠せない。やがて、それを発生させた張本人が竜巻の中から姿を現した。
「ギエェェェッ!!!」
現れたのは、鳥類のような嘴のある双頭とトゲトゲの赤いボディが特徴的な怪獣だった。
『ハルキ、あれはキングパンドンだ! ゼロ師匠から聞いたことがある。セブン師匠を苦戦させたパンドンを改造したとかいう、ウルトラヤバい奴だ!』
『そんな奴なんすか!?』
警備隊の筆記試験が危なかったゼットだったが、ゼロに教わったことは割と覚えていた。彼の知識通り、目の前の怪獣はキングパンドンだった。
その時、キングパンドンは二つの頭部の口から放たれる火炎弾である〈双頭撃炎弾〉を連射し、妖怪の山の各地を火の海に変えていく。
迎撃のために多数の天狗が現れ、風の刃や妖力を変換した光弾をキングパンドンに向かって大量に放っていくが、効果はない。逆に天狗達が火炎弾を受けて消し炭にされていく始末である。
「あぁ、仲間達が……! くっ、ハルキさんはここにいてください。私は行ってきます!」
そう言って飛び出していく射命丸。さらに、にとりまでもが何処かへと行こうとする。
「私は山火事を消しに行ってくる。盟友は私のラボにでも避難しておいてくれ。あそこは頑丈に作られているからね」
こうして、その場にはハルキだけが残された。いや、正確にはもう一人いる。
「ゼットさん、俺も行った方がいいっすかね?」
『ハルキ。今は行くべきじゃないと思う。地球は地球人が守るように、幻想郷はそこの住人が守るものなんでございますよ。まあ、ウルトラ危なくなったら行きましょう』
「そうでしたね、ゼットさん」
疾風「風神少女」!
射命丸はスペルカードを宣言し、弾幕でキングパンドンを攻撃する。だが、迎撃に出た天狗の攻撃と同様に効いている気配はなく、火炎弾による攻撃が返される。
「くっ……!」
幻想郷で最速と言われている天狗という種族の中でも、特に強い部類に入る射命丸は火炎弾の雨をなんとか回避することができていた。
(もしも、これが直撃したら……)
幻想郷の決闘である弾幕ごっこと異なり、一発の被弾が命取りになりかねない状況に、射命丸は最悪のケースを想像する。彼女はそんなことを思いながら火炎弾を回避していくのだが、ついに火炎弾が翼の先に掠ってしまった。
「あっ……!」
掠りとはいえ超高熱の火炎弾に被弾した射命丸の動きが少し鈍くなり、姿勢も崩れる。そんな彼女の視界に映されたのは、完全に直撃コースの火炎弾だった。しかし、それが彼女に当たることはなかった。
何故なら、射命丸の目の前に発光する大きな光球が現れ、飛来した火炎弾を防いだからだ。その光球は変形すると、巨人の形をとって実体化した。
「キアッ!!」
その正体こそ我らのウルトラマンゼットである。射命丸の危機を見て、ハルキが咄嗟に変身したのだ。ゼットは射命丸の方へと振り向くと、彼女の無事を確認して頷く。
『とりあえず、彼女は無事なようだな』
『ふぅ、間に合って良かったっすよ……』
「これが、ウルトラマン……!」
そして、ウルトラマンゼットはいつも通りの拳同士を突き合わせるようなポーズを形作り、キングパンドンと相対する。
「ギエェェェッ!!!」
キングパンドンは火炎弾を連射してくるが、ゼットは何発かを腕で防御して山に着弾しないように弾き、それ以降は魔法陣のような紋様が特徴的なバリアであるゼットバリアで受け止めた。
火炎弾の連射が止まったところで、ゼットはバリアを解除してキングパンドンへと接近していくのだが、そこでパンドンは今まで使っていなかった攻撃方法を解禁する。
「ジェアァァァッ!?」
その攻撃の名はタブルレイ・インパクト。両方の口から同時に放つ二色の破壊光線であり、左頭からは赤色、右頭からは青色の光線が発射される。ゼットはこの攻撃を真正面から受け、その高い威力によって吹き飛ばされてしまった。
勢いよく山の斜面に叩きつけられるゼットの巨体。ゼットは何とか立ち上がるが、キングパンドンはそこへ追い討ちといわんばかりに二色の破壊光線を撃ち込んできた。その直撃を受け、ゼットは再び斜面に叩きつけられてしまう。そして、ゼットが砂煙の中に消えたのを確認したパンドンは破壊活動を継続する。
『うぅ、ウルトラ痛いでございますよ……』
『あれがあんな攻撃をしてくるなんて聞いてないっすよ……』
『すまない、ハルキ。俺の勉強不足だったみたい……』
『Zさん、ここは秘伝の神業でいきましょう!』
『そうか、セブン師匠のメダルなら……! ハルキ、ウルトラフュージョンだ!』
『押忍!!』
キングパンドンの改造元であるパンドンはウルトラセブンが地球で最後に戦った相手である。そのため、ハルキはセブンのメダルを使った形態であるアルファエッジへの変身を提案した。
そして、ハルキは腰のホルダーから三枚のウルトラメダルを取り出した。ウルトラマンゼロ、ウルトラセブン、ウルトラマンレオのメダルである。
『宇宙拳法、秘伝の神業!』
ハルキはウルトラゼットライザーのブレードにある三つの穴にメダルをセットすると、ブレードを動かしてスキャンしていく。
《Zero! Seven! Leo!》
『ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!』
『ウルトラマン!ゼーット!!』
相棒の叫びに続けてその名を唱和し、ハルキはライザーを高く掲げてトリガーを押す。すると、現実空間において青・銀・赤の三色の光の筋がゼットの体に集束し、その肉体に変化を起こした。
《Ultraman Z Alpha Edge.》
ウルトラフュージョンを果たしたゼットは砂煙の中から光を纏った状態で飛び出し、破壊活動を続けるキングパンドンに体当たりして吹き飛ばす。
そして、立ち上がるZ。怪獣を含め、その場にいた者達は目撃した。先ほどとは異なる姿に変化した彼の姿を。
頭部にはビームランプと二つのスラッガー状のパーツが追加され、上半身にはあまり変化がないものの、下半身は赤いカラーリングがメインとなり、セブンのようなプロテクターが腰周辺に追加されていた。
この形態の名はアルファエッジ。セブンとその系譜であるレオ、ゼロのメダルで変身し、彼らの技を元にした攻撃や宇宙拳法を主体とするバランスのよい形態である。
「おおっ! 姿が変わりました! タイプチェンジ……いや、それにしては姿が変わりすぎなような……うーん……」
目撃者の一人は、妖怪の山の頂上にある守矢神社の風祝である東風谷早苗だった。キングパンドンとの戦いに加勢しようと神社から降りてきていたのだが、そこで彼女はゼットの変化を目にした。
早苗はウルトラマンゼロの初登場までしかウルトラシリーズを見ておらず、ウルトラフュージョンという概念を知らなかった。
「キアッ!!」
「ギエェェェッ!!!」
空手のような宇宙拳法の構えを取るゼット。キングパンドンは双頭撃炎弾を放ってくるが、ゼットは頭部から出現させた三日月状の光刃である二つのゼットスラッガーをヌンチャクのように連結させ、回転させることで防いでいく。
アルファチェインブレードで攻撃を防ぎながら距離を詰め、何度も振り回してキングパンドンを切り付ける。ブレードをしまってからは宇宙拳法による格闘戦に移行し、間髪を入れずに連続攻撃を繰り出して圧倒する。
『アルファバーンキック!』
パンドンの腕を受け止め、空いている方の腕で正拳突きを浴びせた後、炎を纏った回し蹴りを連続で放ち、パンドンを怯ませる。さらに……
『ゼスティウムメーザー!』
額のビームランプからコンパクトな破壊光線であるゼスティウムメーザーを放ち、追撃の手を緩めない。素早さと手数の多さで攻め立てるのがアルファエッジの特徴であり、その特性を最大限に発揮してキングパンドンを追い詰めていた。
「すごい……怪獣を圧倒している」
「確かに凄いですよね! 宇宙拳法に加えてセブンやゼロ、レオの技までも使っているんですから!」
「え?」
ゼットが戦う姿を見て、率直に感想を言う射命丸。いつの間にか近くに来ていた緑髪のオタクが何やら騒いでいるが、気にしてはいけない。
一方その頃、ウルトラマンゼットとキングパンドンの戦いは終わりに差し掛かろうとしていた。
「ギェェ!!」
「ショワッ!!」
ゼットはキングパンドンの体当たりを回避し、死角に入り込むと横蹴りを放って吹き飛ばす。すると、先ほどのゼットと同様に山の斜面へとパンドンの巨体が叩きつけられた。
『ゼスティウム光線!』
『チェストォォォ!!!』
ウルトラマンゼットは腕を十字に組んで必殺のゼスティウム光線を放つ。青白い光線が向かう先には起き上がったばかりのキングパンドンがおり、光線を受けて倒れた直後に爆散した。
その後、ゼットはウルトラ水流を放って山火事を消し止めると空へと飛び去っていく。もちろん、飛行の軌跡で空にゼットを描くのも忘れていない。
「ウルトラマン……貴方のことをもっと知りたいです……」
その様子を見ていた射命丸の顔は赤くなっており、彼女がウルトラマンゼットに惚れているのは間違いなかった。
「おのれ、ウルトラ戦士……一度のみならず二度も私の計画の邪魔をするとは……!」
誰にも知覚できない異空間にて、蝙蝠のような意匠の宇宙人が憤っていた。
「これでは、恐怖のエネルギーを集めるのに支障が出てしまうではないか!」
その宇宙人は幻想郷において恐怖の感情から生み出されるエネルギーを収集していた。結界によって完全に隔離され、元より恐怖で満ちていた幻想郷に怪獣を送り込むことで恐怖を増幅し、とある存在を育成するための糧としたのだ。
「まあ、私の計画を邪魔するのであれば抹殺するだけのこと。怪獣のストックも大量にある。ウルトラ戦士を殺し、我が同胞の無念を晴らす!」
そんなことを叫ぶ宇宙人の背後には、赤黒く半透明な膜に覆われた繭のような巨大な塊が鎮座しており、その内部で何かが蠢いていた。
「こいつが完成すれば、私は最強の力を獲得したも同然。手始めにこの宇宙から征服し、いずれは全ての宇宙を支配する神となるのだ! フハハハハ!!!」
異空間に響く宇宙人の高笑い。彼の声に反応したかどうかは定かではないが、背後の巨大な繭が拍動し、黄色の発光体が少しばかり透けて見えていた。