高坂穂乃果は勇者である   作:ZENSUN

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第二話の始まりです。

まだ、書き方の試行錯誤をしている段階なので、途中で書き方が変わったりするかもしれませんが、温かい目で見て下さるとありがたいと思います。

原作では『矢澤にこ』ですが、この作品では『矢沢にこ』表記にしています。

二話に関しては更新の合間に大幅な書き直しを行います。全体の流れは変わりませんが、演出面や描写などにおいてもっと幅を出す為です。


2-1 それぞれの朝

 畳に襖という日本家屋を絵にかいたような武家屋敷。平屋建てではあるが、広々とした敷地には、庭園に道場、日舞の舞台小屋と一般家庭ではお目にかかれないような施設まで取り揃えられている。

 この日も園田海未はいつもと変わらない時間に目が覚めた。

 役目を果たしたことのない目覚まし時計のアラームを止めた後、海未はランニングウェアに着替えを済ませると、日課のランニングへと出かけていく。

 

 エアコンの聞いた室内は、梅雨特有の重たい湿気を感じさせなかったが、一歩外に出ると、まだ早朝だというのにもかかわらず、じっとりとした湿度をはらんでいた。

 

「今日は暑くなりそうですね」

 

 走りながら海未は誰にも聞こえない程度の声で呟いて、ペースを上げていく。

 激動とも思える一日が過ぎ、海未の精神は随分と落ち着いていた。

 いつも通りコースを走り終えると、海未は汗を流すために風呂へと向かった。廊下を歩いていると、朝食を用意するお弟子さんと挨拶を交わし、離れ側の風呂に向かった。風呂自体は母屋にもあるが、そちらは広すぎて落ち着かないからだ。

 汗を流し終えると、広間での朝食が待っている。園田家は武術(主に剣術)と日舞に秀でた家系であり、多くのお弟子さんが早朝から稽古にやってくる。昔は住み込みで、ということもあったようだが、時代の変化か、今では通う者しかいない。

 

 朝食は家元である母からの言葉によって始まり、最低限度の申し送りが行われる以外、基本的には無言で食べるのが決まりだ。

 朝食を終えた海未に、家元である母が、海未に部屋へと来るようにと告げた。

 呼ばれこそしたが、急ぎの用であれば必ず、『直ぐに』と言われる為、海未は身なりを整えるために自室へと一度戻り、制服に着替えてから母の部屋へと足を向けた。

 

「失礼いたします」

 

 家族であっても礼儀はきちんと。それが園田家の家訓の一つだ。部屋の前で正座をして声を掛けたあと、母の返答を待ってから海未は襖を開けた。

 促されるままに、海未は母の前に座り、一礼する。

 

「先日は、お役目ご苦労様でした。海未さん、身体の方にお変わりありませんか」

「はい。変わりありません」

「それは何よりです。大事なお役目ではありますが、健康なくば務まりません。今後とも気を引き締めるようお願いしますね」

 

 母と娘がする会話にしては、かしこまったものではあったが、話をする二人の表情も声音にも緊張の様子はない。言葉遣いこそ堅苦しいが、言葉に込められた心は柔らかい。

 

「黒澤家の当主様からも、お祝いと労いの言葉がありました」

「わかりました。後ほど、お礼を申し上げておきます」

 




次回更新は9日です!
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