高坂穂乃果は勇者である   作:ZENSUN

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2-7 バックダンサー3

「それで、ただバックダンサーをやってもらうんじゃフェアじゃないし、終わったらお礼ってわけじゃないけど、私も勇者部に入部してあげるわ」

「え!?」

 にこの発言に穂乃果が驚きの声を上げた。

「どういうことです?」

 海未が訝しげな表情で尋ねる。提案自体はありがたいものだが、それだけに、簡単に受け入れることが出来なかった。

「勘違いしないでよね、あくまで入部するだけよ」

 つまり、にこが言っているのは幽霊部員になるということだ。しかし、それには一つ問題があった。

「確か、掛け持ちは禁止されてましたよね」

 ことりの言うように、この学院では、部活動の掛け持ちは禁止されている。にこが勇者部に(たとえ幽霊部員であっても)入部するにはアイドル研究部を辞めなくてはならない。

「それなら大丈夫よ。このアイドル研究部はもう廃部だし」

「えぇっ!?」

 本日二回目の叫び声が部室に響いた。今回は海未も動揺を隠せなかった。

「部員がいないんだもの、当然でしょ」

 当然という言葉に反して、にこの顔は諦めのような悲しさを帯びていた。

「本当に、それでいいんですか?」

「私が嫌だって言ったら、あんた達が部員になってくれるっての?」

「それは……」

「さっきも言ったけど、いい部分だけを味わおうなんて話はないの、アイドルも部活動もね」

 そこまで言って、にこは部室を出ていこうと扉に手を掛けた。

 どこに行くのかと尋ねる穂乃果に、にこは、

「引き受けてくれるって言ってくれたのはありがたいけど、もう一度、三人でよく考えてから答えてちょうだい」

 と、言って部室から静かに去っていった。

 残された三人は顔を見合わせたあと、改めてにこの頼みについて考えた。

「海未ちゃんどうしよう?」

「コンテストは審査もあるという事ですし、私たちはバックダンサーとはいえ、私たちのパフォーマンスも審査の対象になるでしょうから、簡単に引き受けていいものか迷いますね」

「私はやっぱり引き受けてもいいと思う。矢沢先輩が勇者部に入ってくれるっていうのは置いておいても、私たちを頼ってくれたんだし」

「それはそうだけど、私ダンスなんてしたことないよ」

 バックダンサーとしてコンテストに出るという重圧に、今一歩踏み出せないことり。幼馴染であるがゆえに、ことりは穂乃果と海未の身体能力を知っていた。穂乃果はそもそも体育会系であるし、海未に至っては武術に日舞の経験まである。

ダンス経験はなくてもこの二人は直ぐに上達するだろう。しかし、

 

「私運動苦手だし。絶対二人の、矢沢先輩の迷惑になるよ……」




次回更新は29日です。
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